年度の途中で現在使用している会計ソフトから全力会計へ移行するにあたって、どのように実行するのがよいかを解説します。
他社ソフトで金融機関連携を行い、金融機関のデータをAPIなどで直接取得し、仕訳登録をおこなっている場合とそうでない場合に分けて解説します。
最初は金融機関連携を他社ソフトで利用しているケースから解説します。
1 他社ソフトで金融機関連携を利用しているケース
1-1 他社ソフトから全力会計へ移行する大きな流れ
❶ 区切りのよい月の末日までの仕訳を全て登録する
❷ ❶で登録した期間までの会計データをエクスポートし、全力法人税のインポート機能を使って会計データをインポートする
❸ 全力会計の金融機関連携で会計年度初日から※現在までのデータを取得する
※会計年度初日からデータ連携できない場合は、電子帳簿保存法の観点から別途作業が必要になります。
❹ 会計年度初日から❶の期間までのデータを金融機関連携の仕訳登録から一括で対象外にする
1-2 他社ソフトから全力会計へ移行する方法
前述の流れにそって1つ1つ移行方法を解説していきます。
【ステップ1】 区切りのよい月の末日までの仕訳を全て登録する
例えば、2024年10月に移行したいと考えた場合は、他社ソフトで2024年9月までの仕訳をすべて登録しておきます。また、他社ソフトで金融機関連携をしている場合は、2024年9月までのデータをすべて取得し、それに関する仕訳登録をすべて終わらせます。
- 年度の途中で消費税を申告することになった
- 税抜経理方式を採用している
詳しくは次のページをご参照ください。
【ステップ2】 【ステップ1】で仕訳登録した期間までの会計データをエクスポートし、全力法人税のインポート機能を使って会計データをインポートする
次のマニュアルに則って他社ソフトから会計データをエクスポートし、全力法人税のインポート機能を使って会計データをインポートします。
全力法人税のインポート画面は、以下の全力会計のメニューからアクセスできます。
【弥生会計】
【MFクラウド会計】
【弥生オンライン】
※弥生オンラインは、勘定科目データと固定資産台帳データのエクスポートを行うことはできません。
【会計freee】
【会計王】
【汎用形式】
(上記5つ以外の会計ソフトをご利用の場合は、データを所定の形式に整形することでインポートが可能になります。)
※汎用形式では、固定資産台帳データの様式の用意がございません。
【ステップ3】全力会計の金融機関連携で会計年度初日から現在までのデータを取得する
全力会計で金融機関連携を行い、会計年度初日から現在までのデータを取得します。
全力会計で金融機関連携を行い、金融機関等の明細データを取得する方法は、以下のページを参照してください。
会計年度の初日から金融機関等の明細データを取得できた場合
2024年1月から領収書や請求書、取引明細をオンラインでやり取りした場合には、一定の要件にしたがって電子保存することが義務付けられました。
例えば、Amazonの領収書はオンラインでやり取りしているので、一定の要件にしたがって電子保存する義務があります。
全力会計で金融機関連携を行い、会計年度の初日から金融機関等の明細データを全力会計に読み込ませることができると電子帳簿保存法の要件に従って電子保存できていることになります。
この点について詳細は次のページをご覧ください。
ただし、電子帳簿保存法の要件に完全にしたがった電子保存になるためには、会計年度の初日から金融機関等の明細データを全力会計に読み込ませている場合に限ります。
したがって、会計年度の初日から金融機関等の明細データを全力会計に読み込ませている場合は次のステップ4に進んでください。
そうでない場合は、次の対応が必要になります。
会計年度の初日から金融機関等の明細データを取得できなかった場合
全力会計で金融機関連携を行い、会計年度の初日から金融機関等の明細データを全力会計に読み込ませることができると電子帳簿保存法の要件に従って電子保存できていることになります。
しかしながら、金融機関等が連携によって提供できる明細データの保持期間が3ヶ月程度であるため、会計年度の初日からデータを取得できなかった場合には、完全に電子帳簿保存法の要件に従って電子保存できていないことになります。
電子帳簿保存法では、年度を通じて「取引年月日」「取引金額」「取引先」で検索できることが要件になっています。年度の初日から明細データがない場合は、この1年間を通じて検索ができないのです。
では、このようなケースでは、どのように対応すべきかを解説します。
基準期間の売上高※が5,000万円以下か5,000万円超かで対応の仕方が変わります。
※基準期間とは、その電子取引を行なった日の属する年度の前々年度を意味し、売上高とは、損益計算書で「売上高」と経理する本業によって得た収益を意味し、雑収入等の営業外収入や特別利益を含みません。
5,000万円以下 | 5,000万円超 |
---|---|
移行前の会計ソフトと全力会計で明細データを保持していればOK。 |
|
【基準期間の売上高が5,000万円以下の場合】
基準期間の売上高が5,000万円以下の場合は、検索要件が免除されるため、改ざん防止策が講じられている移行前の会計ソフトに連携した金融機関等の明細データが保持されており、移行後は全力会計に明細データが保持されていれば電子帳簿保存法の要件を満たして電子保存ができていることになります。
【基準期間の売上高が5,000万円超の場合】
全力電子帳簿などの電子取引データ一元管理ソフト等を利用して改ざん防止策を講じて電子保存※をする体制が整っているかどうかで対応が変わります。
この体制って何?と現時点で思っている場合は、整っていないと考えられます。
電子保存の体制が整っている | 電子保存の体制が整っていない |
---|---|
連携先の機関等のHPから明細データを出力してその電子保存のシステム内で電子保存する。 | 移行前の会計ソフトと全力会計で明細データを保持していればOK。 |
※改ざん防止策を講じて電子保存すると聞いて意味がわからないという方は次の記事を参照して、電子取引データの電子保存がどのようなもので、自社がどのように行わなければならないかを理解しておく必要があります。
【電子保存の体制が整っている場合】
自社が構築している電子保存をするシステムの中で検索要件を満たしながら保存することとなります。
銀行口座の明細やクレジットカードの明細は、月ごとの明細をPDF出力したものを次のように電子保存するという方法が考えられます。
AmazonなどのECサイトのデータは領収書データを出力して電子保存することになるでしょう。(消費税の申告を原則課税方式で仕入税額控除するためには、いずれにしてもインボイスが必要になりますので結局ダウンロードは必要になります。)
【電子保存の体制が整っていない場合】
税務職員からの求めに応じて、電子データの提示または書面での出力ができるようになっていれば、どういう方法でも電子保存していればよいので、移行前の会計ソフトに連携した金融機関等の明細データが保持されており、移行後は全力会計に明細データが保持されていれば電子帳簿保存法の要件を満たして電子保存ができていることになります。
税務職員から電子取引データの提示が求められたら、移行前の会計ソフトの連携した明細データができる画面と全力会計の明細確認画面を提示するようにしましょう。
「税務職員からの求めに応じて、電子データの提示または書面での出力ができるようになっていれば」という部分について、次のページで詳しく解説しています。
【ステップ4】会計年度初日からステップ1の期間までのデータを金融機関連携の仕訳登録から一括で対象外にする
全力会計で、金融機関連携によって取得した明細データのうち、他社ソフトで仕訳登録できている部分のデータは仕訳登録する必要がないので、仕訳登録対象外として画面に表示しないようにします。
金融機関連携の仕訳登録画面で以下のように「一括」ボタンをクリックします。
対象外にしたい期間を指定して、「…対象外にする」ボタンをクリックします。
指定した範囲の明細データがすべて対象外となり、仕訳登録画面に表示されなくなります。
以上が他社ソフトで金融機関連携をしている場合の移行方法になります。
2 他社ソフトで金融機関連携を利用していないケース
移行する他社ソフトで金融機関連携を利用していない場合の全力会計への移行方法を解説します。
2-1 他社ソフトから全力会計へ移行する大きな流れ
❶ 区切りのよい月の末日までの仕訳を全て登録する
❷ ❶で登録した期間までの会計データをエクスポートし、全力法人税のインポート機能を使って会計データをインポートする
❸ 全力会計の金融機関連携で会計年度初日から現在までのデータを取得する
※会計年度初日からデータ連携できない場合は、電子帳簿保存法の観点から別途作業が必要になります。
2-2 他社ソフトから全力会計へ移行する方法
前述の流れにそって1つ1つ移行方法を解説していきます。
【ステップ1】 区切りのよい月の末日までの仕訳を全て登録する
例えば、2024年10月に移行したいと考えた場合は、他社ソフトにおいて、2024年9月までの仕訳をすべて登録しておきます。
- 年度の途中で消費税を申告することになった
- 税抜経理方式を採用している
詳しくは次のページをご参照ください。
【ステップ2】 【ステップ1】で仕訳登録した期間までの会計データをエクスポートし、全力法人税のインポート機能を使って会計データをインポートする
次のマニュアルに則って会計データのエクスポートをし、全力法人税のインポート機能を使って会計データをインポートします。
全力法人税のインポート画面は、以下の全力会計メニューからアクセスできます。
【弥生会計】
【MFクラウド会計】
【弥生オンライン】
※弥生オンラインは、勘定科目データと固定資産台帳データのエクスポートを行うことはできません。
【会計freee】
【会計王】
【汎用形式】
(上記5つ以外の会計ソフトをご利用の場合は、データを所定の形式に整形することでインポートが可能になります。)
※汎用形式では、固定資産台帳データの様式の用意がございません。
【ステップ3】全力会計の金融機関連携で会計年度初日から現在までのデータを取得する
全力会計で金融機関連携を行い、会計年度初日から現在までのデータを取得します。
全力会計で金融機関連携を行い、金融機関等の明細データを取得する方法は、以下のページを参照してください。
会計年度の初日から金融機関等の明細データを取得できた場合
2024年1月から領収書や請求書、取引明細をオンラインでやり取りした場合には、一定の要件にしたがって電子保存することが義務付けられました。
例えばAmazonの領収書はオンラインでやり取りしているので、一定の要件にしたがって電子保存する義務があります。
全力会計で金融機関連携を行い、会計年度の初日から金融機関等の明細データを全力会計に読み込ませることができると電子帳簿保存法の要件に従って電子保存できていることになります。
この点について詳細は次のページをご覧ください。
ただし、電子帳簿保存法の要件に完全にしたがった電子保存になるためには、会計年度の初日から金融機関等の明細データを全力会計に読み込ませている場合に限ります。
したがって、会計年度の初日から金融機関等の明細データを全力会計に読み込ませている場合は、会計データの移行も完了し、電子帳簿保存法の対応も完了したことになります。
そうでない場合は、次の対応が必要になります。
会計年度の初日から金融機関等の明細データを取得できなかった場合
全力会計で金融機関連携を行い、会計年度の初日から金融機関等の明細データを全力会計に読み込ませることができると電子帳簿保存法の要件に従って電子保存できていることになります。
しかしながら、金融機関等が連携によって提供できる明細データの保持期間が3ヶ月程度であるため、会計年度の初日からデータを取得できなかった場合には、完全に電子帳簿保存法の要件に従って電子保存できていないことになります。
電子帳簿保存法では、年度を通じて「取引年月日」「取引金額」「取引先」で検索できることが要件になっています。年度の初日から明細データがない場合は、この1年間を通じて検索ができないのです。
では、このようなケースでは、どのように対応すべきかを解説します。
全力電子帳簿などの電子取引データ一元管理ソフト等を利用して改ざん防止策を講じて電子保存※する体制が整っているかどうかで対応が変わります。
この体制って何?と現時点で思っている場合は、整っていないと考えられます。
電子保存の体制が整っている | 電子保存の体制が整っていない |
---|---|
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全力会計で金融機関連携をして取得できた明細データはその状態で電子保存OK。それ以前の電子取引データは、連携先の機関等のHPから明細データを出力して任意の方法で電子保存する。 |
※改ざん防止策を講じて電子保存すると聞いて意味がわからないという方は次の記事を参照して、電子取引データの電子保存がどのようなもので、自社がどのように行わなければならないかを理解しておく必要があります。
【電子保存の体制が整っている場合】
自社が構築している電子保存をするシステムの中で検索要件を満たしながら保存することとなります。
銀行口座の明細やクレジットカードの明細は、月ごとの明細をPDF出力したものを次のように電子保存するという方法が考えられます。
AmazonなどのECサイトのデータは領収書データを出力して電子保存することになるでしょう。(消費税の申告で仕入れ税額控除するためには、いずれにしてもインボイス(領収書データ)が必要になります。)
ただし、基準期間の売上高※が5,000万円以下の場合は、年度を通じて検索できる必要がないので、全力会計の金融機関連携により取得できなかったデータのみ上記方法で電子保存することもできます。
※基準期間とは、その電子取引を行なった日の属する年度の前々年度を意味し、売上高とは、損益計算書で「売上高」と経理する本業によって得た収益を意味し、雑収入等の営業外収入や特別利益を含みません。
【電子保存の体制が整っていない場合】
税務職員からの求めに応じて、電子データの提示または書面での出力ができるようになっていれば、どういう方法でも電子保存していればよいので、全力会計で金融機関連携を明細データを取得している部分は、電子帳簿保存法にしたがって保存ができていることになります。明細データを取得できていない期間のものについては、任意の方法で電子保存することになります。
例えば銀行口座の明細やクレジットカードの明細は、月ごとの明細をPDF出力したものを自社が契約しているクラウドストレージに保存するということが考えれます。
また、AmazonなどのECサイトのデータは領収書データを出力して、自社が契約しているクラウドストレージに電子保存するという方法が考えられます。(消費税の申告を原則課税方式で仕入税額控除するためには、いずれにしてもインボイスが必要になりますので結局ダウンロードは必要になります。)
税務職員から電子取引データの提示が求められたら、全力会計の明細確認画面と任意の方法で保存した場所を見せるようにしましょう。
任意の方法で保存するやり方について、思い浮かばないという方は次の方法を参考にしてみてください。
また、「税務職員からの求めに応じて、電子データの提示または書面での出力ができるようになっていれば」という部分について、次のページで詳しく解説しています。
以上が他社ソフトで金融機関連携をしていない場合の移行方法になります。