消費税の課税対象となる課税取引とは【図解】誰でもわかる素人のための消費税11

 

課税取引とは

 

元国税調査官・税理士による、消費税についてよく知らない、専門家でない一般の方に向けた記事です。

すべての方に向けて網羅的に説明すると市販の参考書のようにわかりにくいものになりますので、中小企業向け、一般の方向けに的を絞ってわかりやすく解説します。

今回は、消費税の課税対象となる課税取引について超基礎から解説します。

この記事を書いた人

税理士(元国税調査官)

税務署に12年間勤務。主に法人税の調査に従事。

現在は、クラウド税務ソフト「全力法人税」、「全力消費税」や「全力電子帳簿」等を提供するジャパンネクス株式会社の代表を務める。

税務署側の視点を交えながら、主に法人税・消費税について一般の方に向けて実務に直結した税務情報を分かりやすく解説します。

ジャパンネクス株式会社

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課税取引とは

課税取引とは、ズバリ

消費税が課せられる取引

をいいます。

当たり前ですね。文字通りですから。

では、消費税が課せられる課税の対象となる取引とはどのようなものなのでしょうか。

例えば、近所のコンビニでお弁当を買ったら、消費税を払いますね。つまり、これは課税取引です。

どうして消費税がかかるのでしょうか。

それは、消費税法上で消費税がかかる取引が規定されていて、その条件に合致しているからです。

どのような取引に消費税が課されることになっているかは、法律が入り組んでいるのでとても一言では表現できません。

そこで図解で消費税がかかる・かからないを判定しながら説明していきたいと思います。

消費税がかかる取引が課税取引です。

課税取引の位置づけ

消費税がかかるかからないの判定(以下「消費税の課否判定」といいます。)をする際に、判定の対象となる取引を次のように分類するのが一般的です。

  • 課税取引
  • 非課税取引
  • 免税取引(輸出等)
  • 不課税取引

それぞれの用語が消費税の課否判定を考える上でどのような位置付けになるかを図解で示しながら、課税取引について確認していきましょう。

消費税の課否判定の概要(図解)

消費税課税の対象図解(免税版).001

今回は、図解のうち左側の輸入取引以外の一般的な取引について解説します。

図の1段目

事業者が行う取引」から始まっていますが、「事業者が行う取引」を消費税を課す対象としていますので、ここからスタートします。

例えばサラリーマンの方が生活用の資産を売ったとしても消費税はかかりません。

2段目

事業者が行う取引のうち、国内の取引を消費税を課す対象としていますので、国外で行われた取引は消費税のかからない取引として「不課税取引」に分類されます。

3段目

事業者が行う国内の取引のうち、「有償で行われる商品の売買、サービスの提供、資産の貸付け」を消費税を課す対象としていますので、そうでない取引は不課税取引に分類されます。例えば寄付を受けた場合などは有償でないので消費税はかかりません。

4段目

事業者が行う国内の取引のうち、有償で行われる商品の売買、サービスの提供、資産の貸付けのうち、非課税取引に該当するもの以外で、さらに免税取引(輸出等)にも該当しないものに消費税がかかります。

その消費税がかかる取引を課税取引といいます。

つまり、課税取引というのは消去法で判定されるものであることがわかります。

それではもう一度順を追って、課税取引となる流れを詳しく見ていきましょう。

図解のそれぞれの箇所について、詳細の解説を行うととても1つの記事におさまりませんので、それぞれの解説についてはお示ししているリンクをご覧ください。

事業者が行う取引とは

図解の1段目の「事業者が行う取引」についての詳細は次の記事で解説していますので、こちらをご覧ください。

消費税は事業としての対価性がなければかからない|素人のための消費税2
消費税についてよく知らない、専門家でない一般の方に向けた記事です。すべての方に向けて網羅的に説明すると市販の参考書のようにわかりにくいものになります。中小企業向け、一般の方向けに的を絞ってわかりやすく解説します。はじめに消費税は、国内におい...

 

 事業者が行う取引に該当する

国内取引とは

図解の2段目の国内取引か国外取引かの判定については次の記事で解説していますので、こちらをご覧ください。

消費税の内外判定は4つのパターンで判定|素人のための消費税1
元国税調査官・税理士が解説。消費税がかかるのは国内取引のみ。消費税がかかるかを判断する上で内外判定は重要。資産の譲渡または貸付けか、サービスの提供か、電気通信利用役務の提供か、金銭の貸付けかの4つのケースに分けて判定。

 

 国内取引に該当する

有償で行われる商品の売買、サービスの提供、資産の貸付けとは

図解の3段目の有償で行われる商品の売買、サービスの提供、資産の貸付けについての説明は、「事業者が行う取引」で紹介した記事「消費税は事業として対価を得ていなければかからない」の中の「対価を得て とは」の部分が該当します。

なお、厳密には商品の売買、サービスの提供、資産の貸付け以外の取引にも消費税がかかる場合があります。

例えば、特許権を侵害されたことで加害者から受け取る損害賠償金も実質的には対価を得ていると解釈して消費税を課す対象になります。

このように商品の売買、サービスの提供、資産の貸付け以外にも対価性があるということで消費税を課す対象となる場合がありますが、難しい論点はここでは省略し、便宜的にわかりやすくこのように表現しています。

 

 有償で行われる商品の売買、サービスの提供、資産の貸付けに該当する

非課税取引とは

図解の4段目の「非課税取引」に該当しないと言っている「非課税取引」については次の記事で解説していますので、こちらをご覧ください。

消費税の非課税取引とは|誰でもわかる素人のための消費税9
元国税調査官・税理士による、消費税についてよく知らない、専門家でない一般の方に向けた記事です。すべての方に向けて網羅的に説明すると市販の参考書のようにわかりにくいものになりますので、中小企業向け、一般の方向けに的を絞ってわかりやすく解説しま...

 

 非課税取引に該当しない

免税取引とは

図解の4段目の「免税取引」に該当しないと言っている「免税取引」については次の記事で解説していますので、こちらをご覧ください。

消費税の輸出免税取引とは|誰でもわかる素人のための消費税10
元国税調査官・税理士による、消費税についてよく知らない、専門家でない一般の方に向けた記事です。すべての方に向けて網羅的に説明すると市販の参考書のようにわかりにくいものになりますので、中小企業向け、一般の方向けに的を絞ってわかりやすく解説しま...

 

 免税取引に該当しない

 

課税取引に該当します。

課税取引判定の具体例

実際に具体例を使って、課否判定を行なってみましょう。

事例

横浜市にある次のような駐車場を賃貸している場合に、その月極め(1台あたり15,000円)の賃貸収入に消費税がかかるか?

コンクリート敷きの白線で区切られた駐車場

駐車場

課否判定の流れ

⒈ 事業者が行う取引かどうか

事業者が行う取引かどうかは「事業者が事業として対価を得て行う取引が反復、継続、独立して行われ」ているかどうかで判定します。

毎月賃貸して収入を得ており、反復、継続、独立していると認められるため該当します。

 事業者が行う取引に該当する

⒉ 国内取引かどうか

貸付けが行われる時に、その資産が所在していた場所が国内の場合は「国内取引」の原則にあてはめれば、駐車場は横浜市にあるので国内取引に該当します。

 国内取引に該当する

⒊ 有償で行われる商品の売買、サービスの提供、資産の貸付けかどうか

1台あたり15,000円の収入を得ており、有償で行われる資産の貸付けに該当します。

 有償で行われる資産の貸付けに該当する

⒋ 非課税取引に該当するか

限定列挙されている非課税取引となる項目の中に「土地の貸付け」があります。

しかしながら、事業者が駐車場又は駐輪場として土地を貸す場合に、その土地に用途に応じた地面の整備又はフェンス、区画、建物の設置等をしているときは、非課税取引に該当しません。今回の駐車場は「コンクリート敷きの白線で区切られた」ものですので非課税取引に該当しません。

(参考)土地の取引 消費税の非課税・課税の判定|素人のための消費税3

 非課税取引に該当しない

⒌ 免税取引に該当するか

輸出取引やその他の免税となる取引に該当しませんので、免税取引には該当しません。

 免税取引に該当しない

 

課税取引に該当します。

 

今回は非課税取引に該当するかどうかを判定するところで、土地がそのまま貸付けられるのではなく、施設としての貸付けの場合は非課税取引にならないということを知っているかどうかが問われるという部分はありましたが、このように一つ一つを順番に判断すれば、自ずと消費税の課否を判定することができます。

まとめ

その取引が課税取引かどうかは、正確にはこのように段階を経て消去法で行なっていくことがお分りいただけたかと思います。

この図解通りに判定ができれば、課税取引かどうかの判断を自分で行えるようになるかと思います。

消費税の課否判定に迷った時にはこの図解に当てはめて考えてみてください。自分ではわからずに調べて判定できた場合にも、なぜそれが課税取引やその他の取引となるかがわかるようになるかと思います。

執筆者 ジャパンネクス株式会社代表 元国税調査官 税理士 海野 耕作

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