消費税の免税取引とは|誰でもわかる素人のための消費税10

輸出免税

元国税調査官による、消費税についてよく知らない、専門家でない一般の方に向けた記事です。

すべての方に向けて網羅的に説明すると市販の参考書のようにわかりにくいものになりますので、中小企業向け、一般の方向けに的を絞ってわかりやすく解説します。

今回は、消費税の免税取引について超基礎から解説します。

免税取引の位置づけ

消費税がかかるかからないの判定(以後「消費税の課否判定」といいます。)をする際に、判定を要する取引を次のように分類するのが一般的です。

  • 課税取引
  • 非課税取引
  • 免税取引(輸出等)
  • 不課税取引

それぞれの用語が消費税の課否判定を考える上でどのような位置付けになるかを図解でお示しします。

消費税の課否判定の概要(図解)

消費税課税の対象図解(免税版).001

今回は、図解のうち輸入取引以外の一般的な取引について解説します。

図の1段目は「事業者が行う取引」から始まっていますが、そもそも事業者が行う取引でないと、消費税はかかりません。例えばサラリーマンの方が生活用の資産を売ったとしても消費税はかかりません。

2段目)事業者が行う取引のうち、国外の取引は消費税のかからない取引(不課税取引)になります。

3段目)事業者が行う国内の取引のうち、有償で行われる商品の売買、サービスの提供、資産の貸付け以外のものは不課税取引になります。例えば寄付を受けた場合などは有償でないので消費税はかかりません。

4段目)事業者が行う国内の取引のうち、有償で行われる商品の売買、サービスの提供、資産の貸付けのうち、非課税取引に該当するもの以外で、さらに免税取引(輸出等)にも該当しないものに消費税がかかります。その消費税がかかる取引を課税取引といいます。

つまり、課税取引というのは消去法で判定されるものであることがわかります。

それでは本題である、この免税取引について解説していきます。

(参考)

国内取引か国外取引かの判定に関する記事

消費税の内外判定

有償で行われる商品の売買、サービスの提供、資産の貸付けに関する記事

消費税は事業として対価を得ていなければかからない

非課税取引に関する記事

消費税の非課税取引とは

免税取引とは

免税取引は大きく次の3つに分類されます。

  1. 輸出免税
  2. 免税店で物品を売買する際の免税
  3. その他の免税(消費税法以外の法律に基づくもの)

免税取引の中では1.が実務で頻出する項目です。2.については、輸出物品販売所を運営していないとほとんで関係ありません。3.については、かなりマニアックなのでここでは解説は省略します。

それではそれぞれを以下で詳しく見ていきましょう。

輸出取引とは

輸出取引として消費税が免除されるには次の2つの要件が満たされる必要があります。

  1. 輸出取引に該当するか
  2. 輸出取引に該当するという証明があるか

第一に次にあげる輸出取引に該当するかを判断し、該当していた場合にその取引が輸出取引であると証明できる一定の書類を7年間保管する必要があります。

それでは1.の輸出取引について詳しく見ていきましょう。

1. 輸出取引の範囲

以下の11項目の取引が輸出取引となります。

(1) 本邦からの輸出(原則として関税法第2条第1項第2号《定義》に規定する輸出をいう。)として行われる商品の取引(典型的な輸出取引)

(2) 外国貨物※の取引又は貸付け((1)に該当するものを除く)

 ※外国から日本に到着した貨物で輸入許可がおりる前のもの及び外国へ輸出する貨物で輸出の許可を受けたもの

(3) 国内と国外にわたって行われる旅客又は貨物の輸送

(4) 外航船舶等(専ら国内及び国外にわたって又は国外と国外との間で行われる旅客・貨物の輸送のために使用される船舶・航空機をいいます。以下同じ。)の取引又は貸付けで船舶運航事業者等(船舶運航事業、船舶貸渡業若しくは航空運送事業を営む者をいいます。以下同じ。)に対するもの

(注) 外航船舶等には、日本国籍の船舶又は航空機も含まれる。

(5) 外航船舶等の修理で船舶運航事業者等の求めに応じて行われるもの

(6) 専ら国内と国外又は国外と国外との間の貨物の輸送の用に供されるコンテナーの取引、貸付けで船舶運航事業者等に対するもの又はそのコンテナーの修理で船舶運航事業者等の求めに応じて行われるもの

(7) 外航船舶等の水先、誘導、その他入出港若しくは離着陸の補助又は入出港、離着陸、停泊若しくは駐機のための施設の提供に関連するサービスの提供等で船舶運航事業者等に対するもの

(8) 外国貨物の荷役、運送、保管、検数又は鑑定等のサービスの提供

(9) 国内と国外との間の通信又は郵便若しくは信書便

(10) 非居住者※に対する鉱業権、工業所有権、著作権、営業権等の無体財産権の取引又は貸付け

 ※非居住者とは、国内に住所又は居所を有しない自然人及び国内に主たる事務所を有しない法人がこれに該当し、非居住者の国内の支店、出張所等の事務所は、居住者とみなされます。また日本国内にある事務所に勤務する方や日本に入国後6か月以上経過した方は「非居住者」には該当しません。以下同じ。

(11) 非居住者に対するサービスの提供で次に掲げるもの以外のもの

イ 国内にある資産の運送又は保管

ロ 国内における飲食又は宿泊

ハ イ又はロに準ずるもので国内において直接その恩恵を受けるもの

 【ハの例示(輸出免税に当たらない)】

  • 国内にある資産の運送や保管
  • 国内にある不動産の管理や修理

  • 建物の建築請負

  • 電車、バス、タクシー等による旅客の輸送

  • 国内における飲食又は宿泊

  • 理容又は美容

  • 医療又は療養

  • 劇場、映画館等の興行場における観劇等の役務の提供

  • 国内間の電話、郵便又は信書便

  • 日本語学校等における語学教育等に係る役務の提供

(11)の例としては、国内の事業者が国内で発行する雑誌に、非居住者の商品の広告を掲載するケースがあげられます。このようなケースは輸出取引に該当します。

2. 輸出取引に該当するという証明が必要

上記の輸出取引に該当したからといって、免税取引になるわけではありません。

その取引が免税となる輸出取引に該当するという証明があって初めて免税とすることができます。

輸出取引等の区分に応じて輸出許可書、税関長の証明書又は輸出の事実を記載した帳簿や書類を整理し、納税地等に7年間保存する必要があります。

消費税のあらまし(平成30年6月)より 国税庁)

どのような証明書類が必要なのか

(ア) 上記1.の⑴のうち輸出の許可をうける貨物の場合

 輸出許可証(税関長が証明した書類)

(イ) 上記1.の⑴のうち郵便物として輸出する場合(その価格が20万円超のとき)

 輸出許可証(税関長が証明した書類)

(ウ) 上記1.の⑴のうち郵便物として輸出する場合(その価格が20万円以下のとき)

 次の帳簿か書類のいずれか

ⅰ 次の事項を記載した帳簿

  • 輸出年月日
  • 品名と品名ごとの数量と価額
  • 受取人の氏名または名称と住所等

ⅱ 受取人から交付を受けた物品受領書等で次の事項が記載されている書類

  • 輸出者の氏名または名称と住所等
  • 品名と品名ごとの数量と価額
  • 受取人の氏名または名称と住所等
  • 受取年月日

(エ) 上記1.の⑼の取引の場合

 次の事項が記載されている帳簿か書類のいずれか

  • 役務の提供をした年月日(期間)
  • 役務の内容
  • 対価の額
  • 相手方の氏名または名称と住所等

(オ) その他の取引の場合

 契約書その他の書類で次の事項が記載されているもの

  • 収入を得る側の事業者の氏名または名称とその取引に係る住所等
  • 取引を行なった年月日
  • 対価の額
  • 相手方の氏名または名称とその取引に係る住所等

詳しくは消費税基本通達7-2-23をご覧ください。

続いて輸出物品販売所での輸出物品を売買する際の免税について解説していきます。ただし、この論点については、輸出物品販売所に関わりのないという方が相当多いと思いますので、さらっと解説して終わりたいと思います。

免税店で物品を売買する際の免税について

免税店を経営する事業者が、外国人旅行者などの非居住者に対して一定の物品を一定の方法で売買する場合に、消費税が免除されます。

免税となる物品は通常生活のために使用される物品に限られます。さらに同じ非居住者に対して同じ免税店で1日の販売価額(税抜き)の合計額が次の金額である必要があります。

免税の対象となる物品 販売価額
飲食料品、医療品、化粧品その他の消耗品 5千円以上
上記消耗品以外の生活用物品(家電、バッグ、衣料品等) 5千円以上50万円以下

上記の条件を満たし、さらに免税対象の物品を購入後に輸出する旨を誓約する書類の提出をその購入する非居住者から受け、それを7年間保存する必要があります。

また、免税店を開設するためには、その事業者の納税地の税務署から許可を得る必要があります。

免税店の免税制度について詳しくお知りになりたい場合は、次のリンクをご覧ください。

輸出物品販売場における輸出免税について(国税庁)

まとめ

実務では免税取引を検討するようなケースはかなりの部分が輸出取引になってくるかと思いますが、輸出取引として免税となるのは、上記(1)から(11)の輸出取引に該当し、その該当するという証明書を7年間保管するというのがポイントになります。

執筆者 ジャパンネクス株式会社代表 元国税調査官 税理士 海野 耕作

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