税理士も使っている!小規模企業共済による夢のような節税効果とは

小規模企業共済手帳在中の封筒

小規模の会社を経営している役員の方や個人事業主の方に夢のような節税効果を持つ制度をご紹介したいと思います。

その名を「小規模企業共済」といいます。

それではまずは制度の概要から解説していき、中盤以降でなぜ夢のような節税といえるのかを解説していきたいと思います。

小規模企業共済制度の概要

小規模企業共済制度について、その制度の概要を簡単に見ていきたいと思います。中盤以降で具体例を使って解説していきますので、ここはサラッと理解していただければと思います。

制度について詳しく知りたいという場合は、運営している中小機構の小規模企業共済のHPをご覧いただければと思います。

小規模企業共済制度とは

小規模企業共済制度とは、小規模企業の個人事業主または会社等の役員が、事業を廃業したり、会社役員の場合は、老齢による退任等をした場合に、拠出してきた掛金に一定の利息を上乗せした共済金を退職金のような形で一括または分割で受け取れる制度です。

つまり、個人事業主や会社役員が加入できる制度であるため、この記事で解説する節税策は完全なる個人の確定申告で効果を発揮するものであり、掛金を法人の損金や個人事業主として必要経費にするといったものではありません。

制度の概要についての詳細は次のリンクをご覧ください。

制度の概要(中小機構の小規模企業共済HP)

小規模企業共済制度の3つのメリット

主要なメリットは次の3つです。

  1. 掛金の全額が所得から控除される
  2. 利息がつく
  3. 共済金の受け取り時に税制上の優遇がある

それぞれ見ていきましょう。

⒈ 掛金の全額が所得控除に(支払い時のメリット)

支払った掛金が税法上、その全額を小規模企業共済等掛金控除として、所得金額から控除できます。

また、1年以内の前納掛金も同様に控除できますので、年末付近に駆け込みで1年分の掛金を支払ってその全額の控除を受けることも可能です。

掛金月額は、1,000円から7万円までの範囲内で、増額または減額することができます。

最大84万円の控除が可能です。

掛金についての詳細は次のリンクをご覧ください。

掛金について(中小機構の小規模企業共済HP)

⒉ 掛金に利息がつく(受け取り時のメリット)

共済金は、掛金に一定の利率を乗じた金額が上乗せされて支払われますので、掛金総額より多くなって戻ってきます。(注1)

どのくらいの金額増えるかを例を使ってお示しします。

掛金月額1万円を20年支払い続けて共済金を受け取った時の計算例

掛金合計額:2,400,000円

共済金の種類 共済金の金額 増加した金額
共済金A 2,786,400円 386,400円
共済金B 2,658,800円 258,800円

(注1)20年未満で任意解約した場合は掛金合計額を下回りますので注意が必要です。
共済金とは

共済金とは次の表の解約手当金以外を指します。

小規模企業共済 共済金の種類

(中小機構HPより)

任意解約した場合には「解約手当金」になり、元本割れするというのは前述のとおりですが、それ以外にも掛金納付月額が6ヶ月未満の場合は、共済金AとBは受け取ることができません。また、準共済金と解約手当金は12ヶ月未満の場合は受け取れないので注意が必要です。

共済金についての詳細は次のリンクをご覧ください。

共済金について(中小機構の小規模企業共済HP)

⒊ 共済金の受け取り時に税制上の優遇がある(受け取り時のメリット)

共済金を一括で受け取った場合には退職所得扱いとなり、分割で受け取った場合には公的年金等の雑所得扱いになり、通常の受け取りよりも税金が安くなる。

詳細は後述します。

小規模企業共済の加入資格

どのような人が小規模企業共済に加入できるのかを見ていきましょう。

  1. 建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社等の役員
  2. 商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社等の役員
  3. 事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員、常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員
  4. 常時使用する従業員の数が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
  5. 常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員
  6. 上記「1」と「2」に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)

このように加入できるのはまさに小規模企業に限られています。

成長が見込まれる会社は従業員の数がこの数を上回ることによる任意解約のリスクを考えておく必要があります。

加入資格に関する詳細については次のリンクをご覧ください。

加入資格について(中小機構の小規模企業共済HP)

小規模企業共済制度のすごさ

それでは、小規模企業共済制度の何が夢のようにすごいのかを、見ていくことにしましょう。

課税所得を1,000万円で月額70,000円の掛金を40歳から65歳までの25年間支払ったというケースで考えてみます。

受け取れる共済金

掛金 21,000,000円 差額
共済金A (事業廃止等) 25,341,400円 4,341,400円
共済金B (老齢給付等) 23,906,400円 2,906,400円

現在の予定利率は1.0%となっています。

掛金を25年間にわたって合計で21,000,000円支払うと上記の「差額」欄にある金額が利息として上乗せされます。

節税額がすごい(実質返戻率が驚異的)

平成30年分の税率で所得税と住民税を前述の例で小規模企業共済加入前と後でその節税金額を計算してみます。

所得税 住民税 合計
加入前 1,801,000円 1,005,000円 2,806,000円
加入後 1,518,000円 921,000円 2,439,000円
節税額 283,300円 84,000円 367,000円

年間840,000円の掛金でなんと年間367,000円の節税効果です。25年間で、トータル(367,000円×25年間=)9,175,000円という節税効果を発揮します。

受け取れる共済金にこの節税額を加味して計算した実質返戻率は共済金Aの場合でなんと214%、共済金Bの場合でも202%という驚異の数字を叩き出します!

生命保険で節税を考えたことがある方ならおわかりかと思いますが、この実質返戻率の高さは驚異的です。一般的な生命保険なピーク時でも100%を少し上回る程度です。

小規模企業共済の掛金は所得からの控除になりますので、簡単に言うと掛金×税率分の税金を減らす効果があります

したがって所得が高いほど税率が高くなりますので、所得が高い人ほど節税効果が上がります。

例えば所得が18,000,000円から40,000,000円の人は所得税率が40%なので所得税だけで840,000円×40%=336,000円の節税になり、住民税を概算すると85,000円ほどの節税になり、合計で42万円ほどの節税になります。

逆に所得金額が低ければ節税額はそれだけ小さくなることにご注意ください。

節税効果のシュミレーションは中小機構の加入シュミレーションで概算値を知ることができますので、ご自身だとどれくらいの節税効果になるのかをぜひシュミレーションしてみてください。

しかし喜んでばかりはいられません。すべてが節税になるわけではありません。

掛金を支払った時に節税になっても、共済金を受け取る時には税金が課されるので結果として節税にならないのではないか!?

ご安心を。こちらの制度、ちゃんと出口戦略が用意されています。

共済金の受け取りでの節税効果

共済金を一括で受け取れば退職所得扱いで、分割で受け取ると公的年金等の雑所得扱いになるのです。

掛金の滞納などで解約される場合(一時所得扱い)を除けば、65歳以上での受け取りとなれば任意解約でも退職所得扱いになるというサービス精神旺盛な取り扱いです。

退職所得扱いとなるとなぜお得なのでしょうか。

退職所得扱いとなるケース

退職所得は原則次の計算式で計算します。

(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額※) × 1 / 2 = 退職所得の金額

※退職所得控除額の計算の表

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円 × 勤続年数
(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超  800万円 + 70万円 × (勤続年数 – 20年)

先の例で試算してみます。

25年の積立てのケースでの退職所得控除額の計算は次のようになります。

800万 + 70万円 × ( 25年 – 20年 ) = 1,150万円

共済金Bで受け取った場合を仮定すると、退職所得は(23,906,400円 – 11,500,000円 ) × 1/2 = 6,203,200円

退職所得は他の所得と合算されず単独で税額を計算するので、速算表に当てはめると813,100円という税金が課されることになります。住民税は所得金額×10%で計算し、620,300円が課されます。合計1,433,400円が課税されます。

25年間で9,175,000円節税していますから1,433,400円差し引いてトータル7,741,600円の節税に成功したことになります。1年あたり31万円程度の節税になったことになります。

このように受け取りの際に税金が少なくなるよう配慮されているので、退職所得扱いの場合、掛金の支払い分は全額控除され、受け取り分は半額以下の金額に税金が課されます。

退職所得の計算の詳細については、次のリンクをご参照ください。

退職金を受け取ったとき(退職所得)-国税庁

公的年金等の雑所得扱いとなるケース

また、公的年金等の雑所得扱いになると次の計算式により所得金額を算定するため、収入から一定の金額が控除されることになり、こちらも収入金額丸々課税されることはありません。

受け取る年齢と受け取る共済金の金額によっては、まったく税金がかからないというケースも考えられますし、反対に一括で受け取るよりも税金が多くなるケースも考えられます。

公的年金等の所得金額の計算式は次のとおりです。

公的年金等に係る雑所得の金額=(a)×(b)-(c)

公的年金等に係る雑所得の速算表(平成17年分以後)
年金を受け取る人の年齢 (a)公的年金等の収入金額の合計額 (b)割合 (c)控除額
65歳未満 (公的年金等の収入金額の合計額が700,000円までの場合は所得金額はゼロとなります。)
700,001円から1,299,999円まで 100% 700,000円
1,300,000円から4,099,999円まで 75% 375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 785,000円
7,700,000円以上 95% 1,555,000円
65歳以上 (公的年金等の収入金額の合計額が1,200,000円までの場合は、所得金額はゼロとなります。)
1,200,001円から3,299,999円まで 100% 1,200,000円
3,300,000円から4,099,999円まで 75% 375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 785,000円
7,700,000円以上 95% 1,555,000円

(国税庁HPより)

公的年金等の雑所得の計算の詳細については、次のリンクをご参照ください。

公的年金等の課税関係 -国税庁

小規模企業共済の夢のようなメリットまとめ

掛金は全額控除され丸々節税効果を享受できます。

他方共済金を受け取る時は、利息が上乗せされる上に退職所得扱いや公的年金等の雑所得扱いで一定金額が所得から控除され税金が少なくなるため、掛金支払い時に受けた節税効果が大きく失われない。

まとめると。

退職金が積み立てられ、利息がもらえる上に、節税にもなる。という夢のような制度が小規模企業共済!

まとめ

以上のようにこれだけ夢のような制度なので、加入資格があって節税を考える方は加入しない手はありません。

しかしながら、そう遠くない先に従業員が増えることが予想される場合など、短期間で任意解約する可能性がある場合には元本割れするリスクもあります。また、今回解説した節税の効果は一例に過ぎませんので、ご自身の所得の場合どの程度の節税効果になるかを個別にシュミレーションし、その効果を測定していただくことが寛容です。

この記事の内容を踏まえて中小機構の小規模企業共済のHPをよくご覧いただき、加入を検討してみてください。

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