2022年開始の電子取引データの保存に簡単対応する唯一の方法

電子帳簿保存法2022年開始の電子取引データの保存に簡単に対応する唯一の方法イメージ

2022年1月からオンラインでやりとりした領収書等の電子取引データは、全事業者を対象として電子保存することが義務化されました。

電子帳簿保存法では、電子取引データの保存を一定の方法で行うことを求めています。

義務化されるということは、全事業者が対応を迫られます。
保存方法が一つではないことから、どの方法で保存したらよいか迷ってしまうという意見をよく耳にします。

 

 

ただこの制度をよく知っているものからすると対応はとても簡単。
実務での使い勝手や導入の容易さを考慮して常識的に判断するとすれば、次の方法一択になると言えます。

❶ 訂正・削除防止の事務処理規程を作成する

2年前の売上が1,000万円以下の場合は、❶だけでOK

❷ 2年前の売上が1,000万円超の場合は、電子保存したデータを所定の要件で検索できるようにする。

なぜこの方法一択になるのでしょうか。

その前に今回解説している電子帳簿保存は、オンライン上で領収書等のデータをやりとりした場合の電子保存を対象としています。スキャナ保存や帳簿の電子保存とは違う話です。

この区別がついていないという方は、次の記事をご覧いただき、電子帳簿保存法の3つ目の形態である「電子取引データの電子保存」についての話であることを理解してください。

中小企業は2022年電子帳簿保存法のスキャナ保存はやる必要なし
国税OB&税理士が解説。電子取引の電子保存は義務化されたが、スキャナ保存は義務化されていないので対応は必須ではない。電子取引の電子保存とスキャナ保存の違いを確認し、スキャナ保存の段違いのハードルの高さを知り、中小企業はスキャナ保存をやるべきでないことを理解する。

2022年1月から義務化された電子取引データを電子保存するための要件はどのようなものなのでしょうか。

この記事を書いた人

税理士(元国税調査官)

税務署に12年間勤務。主に法人税の調査に従事。

現在は、クラウド税務ソフト「全力法人税」、「全力消費税」や「全力電子帳簿」等を提供するジャパンネクス株式会社の代表を務める。

税務署側の視点を交えながら、主に法人税・消費税について一般の方に向けて実務に直結した税務情報を分かりやすく解説します。

ジャパンネクス株式会社

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電子取引データを電子保存するための3つの要件

電子取引データを電子保存するための3つの要件イメージ

電子帳簿保存法が求めている電子取引データの電子保存の要件は大きく3つあります。

  1. コンピュータ、ディスプレイとカラープリンタの備え付け
  2. 不正な改ざん防止策を講じる
  3. 検索機能の確保

1つ目のコンピュータ、ディスプレイ、カラープリンタについては、オンラインでデータを受領している時点でコンピュータとディスプレイはあることになりますし、カラープリンタがなければ購入すればいいだけですので、この要件は容易に満たせます。

2つ目の「不正な改ざん防止策を講じる」という要件が、どのようなものかというと、電子データは改ざんするというのは、比較的に簡単にできる上に、改ざんしたかどうかを判断するのが難しいものです。例えば「50,000」の領収書を「150,000」に改ざんし、経費を水増しするということが想定されます。

このような不正が行われないよう、対策を講じてくれというのがこの要件です。

不正な改ざん防止策を講じる【要件】

電子帳簿保存法における「不正な改ざん防止策を講じる」という要件は、次の4つのいずれかの方法で行うことが求められています。

  1. タイムスタンプが付与された後の授受
  2. データの訂正削除を行った場合にその記録が残る又は訂正削除ができないクラウドサービス等を利用して取引データをやりとりする
  3. 7営業日以内に(又は最長2ヶ月+7営業日以内に)タイムスタンプを付す
    ※ 括弧書の取扱いは、取引情報の授受からタイムスタンプを付すまでの各事務の処理に関する規程を定めている場合に限る。(超難関)
  4. 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け

このうち汎用的に使えるのは、3つ目のタイムスタンプと4つ目の事務処理規程の備え付けの2つになります。(使い勝手の観点から4つ目が残ることになります。)

1つ目と2つ目は局所的にしか使えないので、全ての取引データに当てはめることができず、汎用性にかけます。
必ず他の方法と組み合わせる必要があります。

詳しく確認していきましょう。

⑴ タイムスタンプが付与された後の授受(やりとり)

これは領収書や請求書のデータの受け渡しをする前にタイムスタンプが付与されていればOKというものです。

ある請求書データを受け取った時に、その請求書データにタイムスタンプがすでに付与されているという状態です。
その場合は、その時点で要件を満たします。

ただし、この方法は、データの交付側がタイムスタンプを付与している必要があるので、受領側が何かできるわけではなく、すべて交付側に委ねられてしまうので、汎用性がありません。

この方法は受領側がこの方法を採用するという性質のものではないため、この方法をすべての電子取引データの電子保存に適用することができません。
すべて相手次第ということになります。

続いて2つ目の方法です。

⑵ データの訂正削除を行った場合にその記録が残る又は訂正削除ができないクラウドサービス等を利用して取引データをやりとりする

この方法は、「訂正削除を行った場合にその記録が残る又は訂正削除ができないシステム」上で請求書等の電子取引データをやりとりすれば、それで要件を満たすというものです。

例えば、Amazonや楽天といったASPを利用するケースがわかりやすいと思います。

Amazonでは、自分のアカウントの注文履歴から領収書をダウンロードすることができますが、これが該当します。

Amazonの注文履歴は、削除・訂正をユーザー側ですることができません。
したがって、Amazonに領収書が保存されている限り、それは改ざん防止策を講じるという要件を満たしていることになります。

ただし、AmazonからダウンロードしてPC上に保存したり、別のソフトに保存したりするとこの要件を満たさなくなります。
あくまで、Amazon上にデータがあり、必要なときにダウンロードする場合はOKということです。

最近では請求書をクラウドでやりとりするケースも多くなってきています。

請求書発行ソフトで請求書を作成し、データはクラウド上にあり、相手先には、メールでその保存先のURLを案内し、その相手側は、発行側が使っているソフトにある請求書データにアクセスしてダウンロードするようなケースを想定してみます。

この場合は、この請求書発行ソフト側で、訂正削除の履歴が残るまたは訂正削除ができない措置が施されていれば、このソフトに保存されている請求書データはこの要件を満たすことになります。

この方法で重要なポイントが、サービス内で領収書等のデータがやり取りされなければならない点です。

電子帳簿保存法対応と言っているソフトでもこの点を理解しておらず、削除訂正の履歴が残るまたは削除訂正ができないシステムだから大丈夫だという記述があったりしますので注意が必要です。

この要件は、あくまでそのようなシステム上で電子取引データがやり取りされていなければなりません。

つまり、Amazonからダウンロードした領収書データをあるソフトにアップロードして、そのソフトが削除訂正の履歴が残るまたは削除訂正ができないシステムであっても要件を満たしません。

削除訂正の履歴が残るまたは削除訂正ができないシステム内でやりとりされていないとアウトなのです。

根拠は次の条文です。

三 次に掲げる要件のいずれかを満たす電子計算機処理システムを使用して当該取引情報の授受及び当該電磁的記録の保存を行うこと
イ 当該電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること。
ロ 当該電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行うことができないこと。
電子帳簿保存法施行規則第4条第1項第3号

この方法も汎用性がないのは、相手先がいる中ですべて「訂正削除を行った場合にその記録が残る又は訂正削除ができないシステム」内でやりとりされなければなりません。

何かを購入したり、サービスを受けたりした場合には、必ずこのようなシステムから領収書がダウンロードされなければなりません。それはサービス側次第です。

また売上の際も、書類発行側がすべてこのようなシステムを利用して、相手側に請求書や領収書を交付できるようにしている必要があります。

これらをすべてこのようなソフトで実行することはほとんど不可能だと思われます。

電子取引データは次のとおり保存期間もありますので、それがすべてのシステムでクリアされているかもわかりません。

帳簿書類の保存期間:個人事業主では最長7年、法人では最長10年

また、後述しますが、検索機能の確保要件が必要になったときに、そのシステムが、この検索要件を満たしている必要があります。

これも相手のシステム次第となってしまうため、この方法で、すべての電子取引データの電子保存を行うぞ、といった性質のものではありません。

使い勝手のよいシステムや使用頻度の多いシステムは利用するという使い方になろうかと思います。

3つ目の方法を見ていきましょう。

⑶ 7営業日以内に(又は最長2ヶ月+7営業日以内に)タイムスタンプを付す

タイムスタンプを付与するといった場合は、何らかのサービスを利用して、そこに領収書等の電子取引データをアップロードして、タイムスタンプを付与するといった形態になろうかと思います。

あるソフトにアップロードしてしまえば、要件を満たすので、とても簡単です。

ただし、大きなデメリットがあります。

それが、原則7営業日以内にタイムスタンプを付与しなければならないという期限がある点です。

すべての取引データを7営業日以内に処理するというのは、やろうと思えばできなくもありませんが、1年に1回は必ずこの期限を過ぎることが出てくるだろうというのは、容易に想像がつきます。

期限を過ぎたらこの方法では要件を満たしません。

この期限を2ヶ月伸ばすことができるのですが、この方法も超絶にハードルが高く、ほとんどの事業者が対応しないと個人的には思ってしまいます。

その理由を含め、タイムスタンプだけで要件を満たすのは難しいという面に焦点を当てて解説した記事がありますので、この点を深く知りたい方は次の記事をご覧ください。

電子取引データの電子帳簿保存法ではタイムスタンプ実は不要
2022年1月から適用開始の電子帳簿保存法の義務化への対応で、タイムスタンプだけで要件を満たそうとするのは非常に危険。なぜならタイムスタンプには付与期限があり、それを過ぎるとアウト。電子帳簿保存法に対応したソフト選びでもこの点が重要。

 

期限を過ぎたら、要件を満たさないという方法を採用するのはリスクが大きいでしょう。
作業は人間がやることなので、必ずミスは起きるものです。そうなったときには別の方法で電子帳簿保存法の要件を満たす必要が出てきます。

そういう意味でこちらの方法だけで要件を満たそうというのは無理があると言わざるをえません。

次に最後の方法です。

⑷ 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け

冒頭で一択だといった方法です。

この方法は、

訂正・削除防止の事務処理規程を作り、その規程どおりに運用する。

というたったこれだけです。

「訂正・削除防止の事務処理規程」と名称だけ聞くと面倒そうですよね。

でも安心してください。面倒なものなら誰もやらないですよね?

全事業者に強制的に適用される制度を、税務当局はやってもらわないと困ってしまいますよね?
当局は誰でもできる方法を用意しないと国民から大バッシングですよね?

そういうことでとても簡単に対応できる方法が用意した、その方法がこの4つ目の方法です。

事務処理規程のサンプルが公式に用意されており、それをほぼコピペすれば終わりです。

ではそのサンプルを紹介します。
個人事業主用と法人用で2つ用意されています。

【サンプル1】個人事業主用 事務処理規程サンプル

電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程

  この規程は、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法の特例に関する法律第7条に定められた電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務を適正に履行するために必要な事項を定め、これに基づき保存することとする。

(訂正削除の原則禁止)
保存する取引関係情報の内容について、訂正及び削除をすることは原則禁止とする。

(訂正削除を行う場合)
業務処理上やむを得ない理由(正当な理由がある場合に限る。)によって保存する取引関係情報を訂正又は削除する場合は、「取引情報訂正・削除申請書」に以下の内容を記載の上、事後に訂正・削除履歴の確認作業が行えるよう整然とした形で、当該取引関係情報の保存期間に合わせて保存することをもって当該取引情報の訂正及び削除を行う。

 一 申請日
二 取引伝票番号
三 取引件名
四 取引先名
五 訂正・削除日付
六 訂正・削除内容
七 訂正・削除理由
八 処理担当者名

 この規程は、令和○年○月○日から施行する。

【サンプル2】法人用 事務処理規程サンプル

電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程

第1章 総則

(目的)
第1条 この規程は、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法の特例に関する法律第7条に定められた電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務を履行するため、○○において行った電子取引の取引情報に係る電磁的記録を適正に保存するために必要な事項を定め、これに基づき保存することを目的とする。

(適用範囲)
第2条 この規程は、○○の全ての役員及び従業員(契約社員、パートタイマー及び派遣社員を含む。以下同じ。)に対して適用する。

(管理責任者)
第3条 この規程の管理責任者は、●●とする。

第2章 電子取引データの取扱い

(電子取引の範囲)
第4条 当社における電子取引の範囲は以下に掲げる取引とする。
一 EDI取引
二 電子メールを利用した請求書等の授受
三 ■■(クラウドサービス)を利用した請求書等の授受
四 ・・・・・・

記載に当たってはその範囲を具体的に記載してください

(取引データの保存)
第5条 取引先から受領した取引関係情報及び取引相手に提供した取引関係情報のうち、第6条に定めるデータについては、保存サーバ内に△△年間保存する。

(対象となるデータ)
第6条 保存する取引関係情報は以下のとおりとする。
一 見積依頼情報
二 見積回答情報
三 確定注文情報
四 注文請け情報
五 納品情報
六 支払情報
七 ▲▲

(運用体制)
第7条 保存する取引関係情報の管理責任者及び処理責任者は以下のとおりとする。
一 管理責任者 ○○部△△課 課長 XXXX
二 処理責任者 ○○部△△課 係長 XXXX

(訂正削除の原則禁止)
第8条 保存する取引関係情報の内容について、訂正及び削除をすることは原則禁止とする。

(訂正削除を行う場合)
第9条 業務処理上やむを得ない理由によって保存する取引関係情報を訂正または削除する場合は、処理責任者は「取引情報訂正・削除申請書」に以下の内容を記載の上、管理責任者へ提出すること。
一 申請日
二 取引伝票番号
三 取引件名
四 取引先名
五 訂正・削除日付
六 訂正・削除内容
七 訂正・削除理由
八 処理担当者名
2 管理責任者は、「取引情報訂正・削除申請書」の提出を受けた場合は、正当な理由があると認める場合のみ承認する。
3 管理責任者は、前項において承認した場合は、処理責任者に対して取引関係情報の訂正及び削除を指示する。
4 処理責任者は、取引関係情報の訂正及び削除を行った場合は、当該取引関係情報に訂正・削除履歴がある旨の情報を付すとともに「取引情報訂正・削除完了報告書」を作成し、当該報告書を管理責任者に提出する。
5 「取引情報訂正・削除申請書」及び「取引情報訂正・削除完了報告書」は、事後に訂正・削除履歴の確認作業が行えるよう整然とした形で、訂正・削除の対象となった取引データの保存期間が満了するまで保存する。

附則

(施行)
10条 この規程は、令和○年○月○日から施行する。

 

国税庁の次のページからこれらのサンプルをダウンロードできます。
参考資料(各種規程等のサンプル)

ポイントは、削除・訂正は、原則禁止であり、削除・訂正する場合は、「取引情報訂正・削除申請書」を作成し、削除訂正内容を記録として残すという点です。
訂正・削除内容を事後に確認できる体制を整えることによって信頼性を担保しようとしています。

具体的には、次の内容を含む規程とする必要があります。

  • データの訂正削除を原則禁止
  • 業務処理上の都合により、データを訂正又は削除する場合の事務処理手続(訂正削除日、訂正削除理由、訂正削除内容、処理担当者の氏名の記録及び保存)
  • データ管理責任者及び処理責任者の明確化

個人事業主は、個人事業主用として簡単なサンプルが用意されているので、これをコピペしてしまえば事務処理規程は完了です。
しかも国税庁のお墨付き付きです。

法人の場合は、サンプルを見ると、課長や係長まで登場しているので、中堅・大企業まで想定して作成されたものと想像できます。

法人用のサンプルは経理処理を複数人でやっていることが前提となっているので、経理を一人で処理しているようなマイクロ法人や小規模法人も個人事業主用のサンプルを使用すればよいでしょう。

経理担当者が単独でいて、それを確認する責任者がいるような経理処理を複数人でやっているような法人は、法人用のサンプルを使用して、それ以外の小規模法人は、個人事業主用のサンプルを使用しましょう。(国税調査官の経験から、個人事業主用となっているものを小規模法人が使っているからといって、それをいけないと注意する調査官はよほど目に余ることがない限りいないでしょう。)

またサンプルどおりのものを作らなければいけないわけではありません。
事務処理規程の趣旨から外れなければ、自社の状況によって自社用に修正して作成すればよいでしょう。

この「訂正削除の防止に関する事務処理規程」を備付けて、それ通りに運用していれば、改ざん防止策を講じる要件を満たします。

事務処理規程はほぼコピペで作成でき、タイムスタンプのように期限もなく、訂正削除ができないシステム上でやりとりする必要もなく、全然制約が少ないことがお分かりいただけると思います。

この「訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付ける」方法が最強であることにお気づきになったと思います。

つまり、タイムスタンプすら不要なわけです。

タイムスタンプには、期限を過ぎてしまうリスクがあります。
過ぎてしまったら、この訂正削除の防止に関する事務処理規程を設けて対応することになります。

だったら始めからタイムスタンプ付与などせずに、すべてこの方法でやった方がいいのでは?と思うのが普通かと思います。

他の3つの方法では、すべての電子取引データに対して要件を満たすことができません。

すなわち、あらゆる電子取引データの電子保存を行うためには、必ずこの「訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け」を実行する必要があるのです。

検索機能を確保する

電子帳簿保存法が求めている電子取引データの電子保存の要件をもう一度確認しましょう。

  1. コンピュータ、ディスプレイとカラープリンタの備え付け
  2. 不正な改ざん防止策を講じる
  3. 検索機能の確保

今度は、3つ目の「検索機能の確保」です。

実は、検索機能の確保は全事業者が必ず備えなければならないものではなく、一定の条件で、検索機能の確保要件が免除になるケースがあります。

検索機能の確保が不要なケース

「検索機能の確保」要件が不要なケースは次のとおりです。

基準期間の売上高が1,000万円以下の場合は、検索要件不要。
基準期間の売上高とは
個人事業主 電子取引が行われた日の属する年の前々年の1月1日から12月31日までの期間の売上高
法 人 電子取引が行われた日の属する事業年度の前々事業年度の売上高

例を使って判定してみましょう。

令和3年度に検索要件が必要かどうかを判定してみます。

令和元年度
(2年前)
令和2年度
(1年前)
2022.1.1 〜 2022.12.31(令和3年度)
売上9,000,000
<基準期間>
売上11,000,000 <令和3年度の判定>
令和元年度売上1000万円以下

検索要件不要

この例では、2年前(法人の場合は、2事業年度前)の売上高が900万円なので、令和3年度は検索要件は不要となります。
このように検索要件の有無を判定します。

検索要件が不要な事業者は、次の2つの要件を満たすだけで、電子取引データの電子保存の要件をクリアします。

  1. コンピュータ、ディスプレイとカラープリンタの備え付け
  2. 不正な改ざん防止策を講じる

検索要件が不要な事業者は、難しいことは何一つないのではないでしょうか?

検索機能の確保が必要なケース

基準期間の売上高が1,000万円を超える場合は、検索機能を確保する必要があります。

検索機能を確保するために、次の3つの要件を満たすこととされています。

  • 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索できる
  • 日付又は金額については、その範囲を指定して検索できる(緩和措置あり)
  • 2以上の任意の項目を組み合わせて検索できる(緩和措置あり)

緩和措置ありとしている2つの要件については、税務職員による質問検査権に基づくダウンロードの求めに応じることができるようにするということをしておくと免除になります。

つまり、税務職員による質問検査権に基づくダウンロードの求めに応じることができるようにしておくと、1つ目の「取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索できる」だけできるようにしておけばいいことになります。

この要件については、電子取引データの電子保存に対応するソフトを利用していれば当然に満たされるものですし、そうでない場合でもエクセル等の表計算ソフトや領収書等の電子データのファイル名に規則性を持たせて保存することで検索要件をクリアすることができます。

検索要件をどのようにクリアするかについては、次の記事で詳しく解説しています。

プロが解説!2024年電子帳簿保存法の義務化に対応する方法4選
元国税調査官で税理士が解説。2024年1月から開始の電子取引データの電子帳簿保存法に具体的に実務でどのように対応すべきかをわかりやすく解説。保存要件が免除される猶予措置やクラウド会計ソフト、一元管理ソフトを駆使して効率的にクリアする方法を伝...

まとめ

まとめ 電子帳簿保存法の電子取引データの電子保存なんて簡単

ここまで読んできたみなさんならもうお分かりのはず。

2022年1月から電子帳簿保存法の改正により義務化される電子取引データの電子保存って簡単でしたよね?

対応方法はたったこれだけでした。

❶ 訂正・削除防止の事務処理規程を作成してそのとおり運用する。

2年前の売上が1,000万円以下の場合は、❶だけでOK

❷ 2年前の売上が1,000万円超の場合は、電子保存したデータを所定の要件で検索できるようにする。

こうやって整理してくれる情報がないだけで、整理してしまえばとてもシンプルです。

それもそのはずです。全事業者に適用されるのに、その実行が難しかったら大混乱ですよね。

みんなにやってもらうのですから、誰でもできる方法を用意しておくのは当然のことです。

この方法を軸にして、実際に運用する中で自社に合った方法を取り入れていくというやり方が良いかと思います。
みなさんは、電子取引データの電子保存の要件をすでに理解していますので、応用ができると思います。

例えば、請求書の発行をクラウドサービスを利用して行っている場合で、頻繁にそのサービスを使用している場合は、いちいちそのデータをダウンロードして事務処理規程の方法で電子保存するのは面倒と思ったとします。
その請求書のサービスが、「データの訂正削除を行った場合にその記録が残る又は訂正削除ができない」システムであり、検索要件が必要な場合に検索要件を設けていれば、請求書の控えについては、このサービスで電子保存しようという判断もできるはずです。

このように実際に運用しながら自社に合った効率的な方法を見つけて改善していくということが、実務では大切になってくると思います。

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