法人の確定申告書を初めて作っているのですが、「売掛金(未収入金)の内訳書」って何をどう書けばいいのでしょうか?
書き方とかコツや注意点があれば教えてほしいです。
売掛金(未収入金)の内訳書には、期末時点で回収できていない売上債権を取引先ごとに書きます。
ただ、書き方の前に次の点を確認する必要があります。
- 期末に売上をちゃんと拾えているか
- 棚卸資産が正しく計上されているか
実は税務調査官は内訳書を見ながら、この2つを同時にチェックしているんです。
売上と原価は表裏一体だからです。
売上が計上されていなければ、その分の原価は計上してはいけません。
商品や仕掛品が棚卸資産に計上する必要があります。
調査官はその対応関係を確認します。この視点を知っているだけで、税務調査でのリスクがかなり下がります。
詳しくはこの記事で説明します。
- 売上高を確定させる3つのSTEP
- 売掛金・未収収益・未収入金の違いと正しい拾い方
- 売掛金(未収入金)の内訳書の書き方と記載例
- 税務調査官が売掛金の内訳書で必ず確認する2つのポイント
- 棚卸資産との対応関係まで調査官が見ている理由
目次
STEP1 売上計上基準を決める
なぜなら、いつ売上が上がるかが決まっていなければ、どの売上までを今年度の売上に計上していいかがわからないからです。
例えば、売上を計上する時期を納品したときにしているとします。するとその年度に計上すべき売上は、その年度の開始日から終了日までに納品したすべての商品ということになります。逆に出荷したけれど納品していないものは売上に計上しません。
このように売上高を確定するためには、まず売上をいつ計上するかを決める必要があります。
売上をいつ計上するかについてはいくつか基準がありますので、そこから選びます。
主な売上計上基準は以下の4つです。
| 計上基準 | 計上タイミング | 主な業種 |
|---|---|---|
出荷基準 | 商品を出荷した日 | 製造業・卸売業 |
納品基準 | 相手先に納品した日 | 小売業・卸売業 |
検収基準 | 相手先が検収した日 | 製造業・システム開発 |
工事完成基準 | 工事が完成し引き渡した日 | 建設業・工事業 |
売上計上基準については次の記事で詳しく解説していますので、売上計上基準についてよくわからない方はご一読ください。
STEP2 今年度中の売上をすべて拾う
たとえば、売上の計上時期を納品基準としている場合は、その決算の開始日から終了日までに納品したすべての商品を売上に計上する必要があります。
実務では、具体的には次のように進めていきます。
普段は得意先に差し入れる請求書の請求金額で売上を計上しているとして、その請求書の締日が20日だとします。
通常月はその月の請求金額で売上を計上することになんら問題はありませんが、決算月は違います。
決算月では21日から月末までに納品した分がその月の請求書には入っていないのでその分を拾わないといけません。
【業種別の確認方法】
| 業種 | 計上すべき売上 | 確認書類等 |
|---|---|---|
小売業・卸売業(納品基準の場合) | 翌月請求書に含まれている納品分のうち、期末までに納品したものを拾う | 期末までの納品書(控)・受領書を確認する |
建設業・工事業(工事完成基準の場合) | 翌期の請求書を確認し、工事完成日が当期中のものを拾う | 請求書だけで判断できない場合は工事台帳で完成日を確認する |
サービス業(役務提供基準の場合) | 役務の提供が完了した日が当期中のものをすべて計上する | 請求書だけで判断できない場合は検収書、納品確認書、プロジェクト管理ツールの完了記録、納品メール |
このように決算月には注意が必要です。請求書だけでなく、売上基準に則って売上となっているものを自社の書類からすべて拾うようにしましょう。もし税務調査があれば調査官が必ず確認するポイントです。
実務での売上の計上方法
「売上を計上するタイミングはいつ?中小企業の売上計上基準を元国税・税理士が解説」で触れたように、売上は実現したときに売上を計上するので、請求をしたときに売上を計上するというのが会計的には一般的です。請求ベースで売上を計上していれば、自社の売上をリアルタイムに近いタイミングで把握できるという利点があります。
一方、請求ベースで売上を計上するとその消し込みが必要になります。要するに請求どおりに金額が入ってきたかを帳簿に記録する必要があります。
これにより回収漏れを防ぐことができますが、手数がかかるというデメリットがあります。中小企業では、本業に追われて経理に時間を割けないというのも現実です。
そこで、事務手数を省くという意味で、通常月の売上の計上は入金ベース(現金主義)で行い、決算月には、売上の計上基準に則って実現している売上を拾うという手続きを取ってもなんら問題はありません。
STEP3 未収入金・未収収益を確定する
本業の収入である売上高以外の収入、つまり、未収入金と未収収益についても売上高同様に決算に反映させる必要があります。
えーと、よく売掛金と未収入金、未収収益の区別がつきません、、、
3-1 売掛金・未収収益・未収入金の違い
会計では、収入は発生しているが、代金を回収していないものを以下のように売掛金、未収入金と未収収益に分類します。
科目 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
売掛金 | 本業の売上のうち未回収のもの | 商品販売・工事代金の未回収分 |
未収収益 | 継続的な契約で提供済みだが未回収のもの | 家賃収入・貸付金利息の未収分 |
未収入金 | 本業以外の収入で未回収のもの | 固定資産売却代金・鉄くず売却代金の未回収分 |
3-2 売掛金とは
本業からの得た収入(=売上高)のうち、代金が回収されていないものを「売掛金」と呼びます。
上記1で決算月に売上を拾うという話をしていましたが、拾った売上の相手勘定科目は売掛金になります。
3-3 未収収益とは
一定の契約に従って継続して役務の提供を行う場合、既に提供した役務に対していまだその対価の支払を受けていないものを「未収収益」と呼びます。
例えば3月決算の法人の場合で、賃料を半年に一度6月と12月に受け取る契約をしていた場合に、3月末の時点では代金はまだもらっていません。しかしながら1月〜3月まではすでに貸しているので収入としては発生していると考えます。その場合は未収収益を3ヶ月分計上することになります。
仕訳例(1月300,000円を3カ月分計上する例)
| 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 未収収益 | 900,000 | 受取家賃 | 900,000 |
3-4 未収入金とは
本業以外から得た収入(=雑収入など)のうち、物の引き渡しや役務の提供が完了していて債権として確定しているが、対価の支払いを受けていないものを「未収入金」と呼びます。
例えば製造現場から出た鉄くずなどを売却したもので、代金が未回収のものや、車両などの固定資産を売って、代金が未回収のものなどが未収入金になります。
未収収益と未収入金の違いはわかりにくいかもしれません。勘定科目としては別のものですが、実務では両方を収入にあげていればその収入の相手科目を未収入金と未収収益に正確に区分できていなくても問題は特にありません。
3-5 今期の未収収益と未収入金をすべて拾う
売上以外の収入についても決算のときにすべて拾う必要があります。
未収収益の確認
家賃収入や貸付金の受取利息などの一定の契約の下、代金は受け取っていないが、役務の提供はしていて収入として発生している未収収益はないかを確認します。
未収入金の確認
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