決算賞与による節税の方法と知らないとアウト3要件!元国税・税理士が解説

 

決算賞与

 

決算が間近に迫り、利益が予想以上に出たために、何か節税する方法はないかとギリギリになって考えることはよくあることかと思います。その際に考えられる節税の方法の一つとして従業員に対する決算賞与を未払いながら計上するという方法があります。

元国税調査官・税理士が詳しく解説していきます。

 

この記事を書いた人

税理士(元国税調査官)

税務署に12年間勤務。主に法人税の調査に従事。

現在は、クラウド税務ソフト「全力法人税」、「全力消費税」や「全力電子帳簿」等を提供するジャパンネクス株式会社の代表を務める。

税務署側の視点を交えながら、主に法人税・消費税について一般の方に向けて実務に直結した税務情報を分かりやすく解説します。

ジャパンネクス株式会社

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決算賞与による節税とは

 

決算賞与による節税とはどういうことかというと、元々決算が好調なため、従業員に対して賞与を支給するということを予め考えていた場合には、決算終了後に賞与を支給して翌年度の費用とするのではなく、その決算に未払いの状態で賞与を費用として組み込んでしまおうというものです。

要するに費用の先出しです。

 

未払いによる決算賞与を計上する効果

 

決算賞与を当期の費用とすることで、実際にどれくらいの節税効果があるか、数字を使った例で考えてみましょう。

 

単年度で考えた節税効果

 

【前提】

当期の利益:1000万円

実効税率:30%

決算賞与:300万円

 

【ケース1】 賞与が決算に含まれなかった場合の税額

 

1000万円 × 30% = 300万円

実効税率30%を乗じて当期の税金は300万円となります。

 

【ケース2】 賞与が決算に含まれた場合の税額

 

(1000万円 – 300万円) × 30% =  210万円

賞与を当期の決算に含んだ場合の税金は210万円です。

 

ケース1の場合の税額は300万円でケース2の場合の税額は210万円ですので、決算賞与を決算に組み込んだ場合、90万円の節税になるということになります。

 

複数年度で考えた節税効果

 

同じ前提条件で2年間トータルで考えるとどうなるかを下の図で見ていきましょう。

ケース1は2020年度に決算賞与を未払で計上したケースで、ケース2は決算賞与を2021年度に支給したケースです。

 

ケース1 ケース2
年度 2020年度 2021年度 2020年度 2021年度
利益 1,000万円 1,500万円 1,000万円 1,500万円
賞与 300万円 300万円
税額 210万円 450万円 300万円 360万円
2年合計税額 660万円 660万円

 

両者は同じ結果になります。

節税の方法として費用の先出しをする場合は、すべてこのような結果となります。

さて、2年を通せば同じ税額納めるので意味がない、ということになるでしょうか。

ケース1の場合は、2020年度が終わった時点でケース2よりも90万円手元資金が多いわけです。これを1年多く事業に投下・運用できますので、その分徳をすることになります。少なくとも1年分の利息分は得することになります。

経営者ならケース1を選ぶべきでしょう。

 

節税の効果はわかりました。次に決算賞与を支給するにあたっての注意点を確認していきましょう。

 

決算賞与を支給する場合の注意点

 

決算賞与のデメリット 手元現金の減少

 

決算賞与を支給すると、税金は少なくなりますが、当たり前ですが、トータルの手元現金は支給しないときに比べて少なくなります。

先の例と同じ条件で考えて見ましょう。

 

当期の利益:1000万円

実効税率:30%

決算賞与:300万円

 

決算賞与支給ケースの手元現金

 

1000万円 – 300万円(賞与) – 210万円(税金) = 490万円

 

決算賞与支給しないケースの手元現金

 

1000万円 – 300万円(税金) = 700万円

 

このように決算賞与を支給しない時の方が、手元現金は210万円(700万円 – 490万円)多くなります。

当たり前の話ですね。賞与を支給すると翌期ですが、現金が流出するので、その分手元現金は減るわけです。

何が言いたいかというと、この節税策は、決算賞与を支給してもよいと考えている場合のみに使える方法であるということをここで確認しておきましょう。

デメリットとしてはこの点に尽きるかと思います。

 

従業員への賞与のみに使える方法 役員はダメ

 

この決算賞与は従業員のみに対するもののみ節税策として採用できるということも確認しておきましょう。

役員の賞与は、利益が出たからといって決算期末に支給を決定しても損金(法人税法上の経費)として認められません。

役員の賞与を損金にするためには、税務署に予め一定の期間内に、誰それにこの時期にこの金額を支給するという届出を提出している必要があります。このように支給される賞与を「事前確定届出給与」と呼びます。

 

「事前確定届出給与」について詳しく知りたい方は、次の記事を参照してください。

0からわかる事前確定届出給与とは?書き方、提出期限、記載例、議事録、無料作成ソフト全部解説
役員への賞与は原則自由に支給することができません。事前確定届出給与に関する届出書を税務署に事前に提出する必要があります。その届出書の書き方を記載例を交えて解説。提出期限は最重要チェック事項です。賞与を支給する際には議事録を作成する必要があります。議事録のサンプル付き。正確に簡単に作成できる無料ソフトも紹介。

損金の意味については、次の記事を参照してください。

損金の意味とは?損金不算入だけ注意すれば実務はほぼOK【元国税税理士が図解解説】
法人税法の独特の用語に「損金」という言葉があります。これがなぜ重要かというと法人税法には損金不算入という規定があるからです。実務で最も注意が必要なのも損金不算入です。法人税の申告をする上で不可欠な知識「損金不算入」をこの記事でマスターしましょう。

 

したがって、役員賞与を決算賞与として支給することで節税することはできないのです。

この節税策は、従業員に決算賞与を支給する場合のみ採用できるということに注意が必要です。

 

ここからが本題といえるのですが、決算賞与を実際には支給していない状態で未払いとして決算に組み込むには税務上厳しい制約があります。

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