30万円未満の固定資産(少額減価償却資産)を全額費用化して節税する方法

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30万円未満の固定資産(少額減価償却資産)は減価償却する必要がない!?

例えば、会社Aが25万円のパソコンを買ったとします。パソコンは器具備品で一般的には耐用年数が5年なので、5年かけて減価償却する必要があります。

耐用年数5年の定率法の償却率が0.4なので、購入初年度に1年間償却費を計算できたとして次の金額がこのパソコンを当期に費用化できる金額になります。

250,000 × 0.4 = 100,000

通常であれば、5年かけて費用化していくことになります。

こんな少額の資産を5年かけて管理・計算していくなんてバカらしいと思いますよね。

そこで?次のような規定が特別に設けられています。(この規定は期間が限定されているのですが、期限が来るたびに延長されています。当分の間この規定はあり続けるとたいていの人は判断していると思います。一応平成18年4月1日から令和2年3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合に適用されるということに執筆時点ではなっています。)

30万円未満の固定資産はその使い始めた日に全額費用にしていいですよ。

30万円未満の固定資産(少額減価償却資産)はなぜ節税になるのか

この規定のメリットは何かというと、1度に費用にできるので、減価償却資産として5年も管理しなくていいという事務負担の軽減になるという点もメリットです。

しかしそれよりも1番のメリットは、「節税効果がある」ということです。

例えば先の例の会社Aが、今年度の所得計算をして所得が150,000円だったとします。中小企業を例に実効税率が法人税や地方税を含め25%だとすると。150,000×25%で37,500円納付することになります。

しかし、100,000円の減価償却費のかわりに250,000を全額費用とした場合、150,000円費用が増えますので、会社Aの所得金額は0になり、税金も0になります。37,500円節税したことになります。

30万円未満の固定資産(以下「少額減価償却資産」とよびます。)が、10あったとすればいくらの節税になるでしょう?

結構な節税効果が見込めることがお分かりになるかと思います。

なお、この規定が適用できるのは「取得価額が30万円未満である減価償却資産」になりますので、先の例の器具備品に限らず、機械装置や工具など、広く「減価償却資産」に適用することができます。

減価償却資産が何かについて、国税庁のHPで次のように解説しています。

事業などの業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産といいます。他方、土地や骨とう品などのように時の経過により価値が減少しない資産は、減価償却資産ではありません。

No.2100 減価償却のあらまし(国税庁HP)

このように素晴らしい規定なのですが、この規定を適用するには実は条件があります。

その条件とは、何でしょう。確実におさえておく必要があります。

30万円未満の固定資産(少額減価償却資産)の適用条件とは

まず

青色申告を提出していること

次に

中小企業者(主に資本金1億円以下の中小法人、または常時使用する従業員の数が1,000人以下の資本金のない法人並びに個人事業主)であること

この条件を満たしていれば、30万円未満の減価償却資産であればどのようなものでも減価償却をすることなく税務上の費用とすることができます。

ただし、ここでもう一つ注意点があります。

会計期間1年間で、少額減価償却資産の購入費用の合計額が300万円に達するまでが限度とななる。

(会計期間が1年に満たない場合には300万円を12で割り、これにその会計期間の月数を掛けた金額。月数は、暦に従って計算し、1月に満たない端数を生じたときは、これを1月となります。)

先の会社Aが25万円のパソコンを12台購入した場合は、12台の合計300万円とも費用化できます。しかしながら25万円のパソコンを13台購入した場合、その13台目はこの規定を適用できません。

最後にもう一つ注意を要する点があります。

これを忘れるとこの規定の適用を受けることができず、税務調査で修正を受ける、なんてことがあるかもしれませんので注意してください。

確定申告時で絶対にするべき手続き

これまで説明した方法で経理していたとしても、何もしないと税法上はこれを費用とは認められず申告を誤ることになります。

この方法を適用するには

申告時に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付して申告すること

が要件となります。

その明細書は、法人と個人事業主では下記のとおり様式が異なります。

1. 法人の場合・・・別表十六(七)を添付する

2. 個人事業主・・・青色申告決算書等に次の事項を記載して確定申告書に添付して提出し、かつ、該当の少額減価償却資産の取得価額の明細を別途保管する(国税庁のホームページから引用)

  1.  少額減価償却資産の取得価額の合計額
  2.  少額減価償却資産について租税特別措置法第28条の2を適用する旨
  3.  少額減価償却資産の取得価額の明細を別途保管している旨

国税庁の提供する記載例はこちら

なお、弊社ジャパンネクスの提供する「全力減価償却」をご利用いただいていれば、固定資産台帳を出力すると下の画像のように出力され、自動でその要件をクリアしていますのでこの固定資産台帳を青色決算書に添付して税務署に提出すればいいようになっています。

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注意点

10万円未満の固定資産は費用にできる

次のいずれかに該当する場合は、特に税務的な手続きの必要なしにその全額を費用とすることができます。

  • 購入代金が10万円未満
  • 使用可能期間が1年未満であるもの

したがって、この場合は30万円未満の方法を用いずにこちらの方法で経理することになります。30万円未満の方法を適用する場合は上限が300万円と決まっているのでこちらには加えないということに注意が必要です。

消費税の経理方式による違い

固定資産1単位あたり30万円という金額、また合計の300万円という金額の基準は、税込経理方式を採用していれば税込で、税抜経理方式を採用していれば税抜で判断することになります。

したがって、税抜経理方式を採用している方が、消費税分多く計上できるので、300万円に達するようなケースでは、得することになります。

まとめ

以上の要件を満たしていれば、30万円未満の少額減価償却資産の全額費用化の規定を適用しない場合に比べ、早期に固定資産を費用化でき、事務負担も減る上に、節税効果があるという優れた方法です。これは使わない手はありません。

執筆者 ジャパンネクス株式会社 代表取締役 海野耕作 (税理士/元国税調査官)

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