0からわかる繰越欠損金とは 〜節税の超基本〜

青色欠損金

小規模の法人向けに0から青色繰越欠損金について解説していきます。

法人税の知識がなくても全力法人税などの税務ソフトを使えば申告書は作れますが、これだけは押さえておきたい法人税の規定の一つがこの繰越欠損金です。そんなに難しいものではないのでここでしっかり押さえてしまいましょう。

ざっくり繰越欠損金とは

まずは、繰越欠損金をゆる〜くつかんでしまいましょう。

ざっくり言うと繰越欠損金とは赤字の繰越です。

下の表を見てください。

会計年度 第1期 第2期
繰越欠損金控除前所得 △100 200
繰越欠損金 △100
課税所得 100
税金(税率30%) 30

繰越欠損金控除前所得を見てください。これは決算後の最終利益と考えてください。そうすると第1期の決算が100の赤字です。この赤字を次の決算(第2期)に繰り越します。それが繰越欠損金です。そして第2期に利益が200なので、繰り越した赤字100を控除しています。

このように黒字となっている決算期以前に赤字の決算があればその赤字を繰り越して黒字から差し引くのが繰越欠損金です。

赤字があるのに、黒字のときだけ課税してしまうとトータルで考えると公平性を欠きます。長いスパンで考えて、その会社のトータルの所得を計算するためには当期が黒字でそれ以前の決算期で赤字の期があればその赤字は差し引くべきです。

このような考えの下、赤字をそれ以降の決算期の黒字に備えて繰り越そうというのが繰越欠損金制度です。

それでは、ざっくりと繰越欠損金をとらえたところで詳しく見ていきましょう。

繰越欠損金の要件

欠損金を繰り越すには4つの要件があります。

  1. その事業年度開始の日前9年以内に開始した事業年度の欠損金であること
  2. 欠損金の生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出していること
  3. 欠損金の生じた事業年度以降連続して確定申告書を提出していること
  4. 欠損金の生じた事業年度に係る帳簿書類を保存していること

要件を一つ一つ確認していきましょう。

繰り越せるのは最長で9年間

繰越欠損金は最長で9年間繰越せます。

例えば平成21年3月期の欠損金(赤字)は平成30年3月期まで繰り越すことができます。

青色繰越欠損金

青色申告のときの欠損金であること

青色申告を提出している事業年度の欠損金(赤字)しか繰り越すことができません。

白色申告のときに赤字であってもその赤字は繰り越せません。

青色申告のときに赤字であれば、その後に白色申告になったとしても、青色申告だったときの欠損金(赤字)は9年間繰り越すことができます。

欠損金を繰り越すためにはその後申告書を出し続ける必要がある

例えば、第1期の欠損金を繰り越して第3期の黒字から差し引く場合には第2期も申告書を提出している必要があります。

第2期の申告書は白色でも構いませんし、申告期限後に提出したものでも構いません。とにかく繰り越すためにはどういう状況であれその後の事業年度を通じて申告書を出し続ける必要があります。

帳簿書類を保存していること

欠損金を繰り越すには、欠損金が生じた決算期の帳簿書類を、繰り越す年度分保存し続けている必要があります。つまり、最長で9年間保存しておく必要があります。

なお、帳簿書類の「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあり、また、「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などが挙げられます。

まとめ

以上ポイントをまとめると、次の2点に集約できます。

  • 青色申告をしていれば、その後申告書を普通に提出し続けている限り9年間は欠損金を繰り越すことができるということ
  • 繰り越した欠損金を黒字から差し引き税金を減らすことができること

このように青色繰越欠損金は節税の大基本の1つです。

これを適用するとしないとでは納税額にかなりの差が出てきます。欠損金を繰り越せないと黒字だと必ず納税ですが、繰り越せれば過去の赤字分は納税する必要がないわけですから。

青色申告の要件はどのような会社でもなり得るようなハードルの低いものなので、是非青色申告の承認の届けを税務署に提出し、青色繰越欠損金の恩恵にあずかりましょう。

執筆者 ジャパンネクス株式会社代表 元国税調査官 税理士 海野 耕作

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