
固定資産の減価償却を計算するときに必要となる「耐用年数」をどのように決定するかというと、実務では自社で合理的に見積もるなどということはせずに、税法で規定されている法定耐用年数により決定します。具体的には「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表第一から別表第六に購入した資産を当てはめて調べます。
耐用年数はなぜ法定耐用年数を適用するかについては次の記事で詳しく解説しています。

耐用年数決定のために別表を見る前に実務ではいくつか確認すべき点があります。それを図解で説明していきます。
法定耐用年数の適用手順
これに従って一つ一つ順を追って確認をしていけば、「購入時に全額費用にできたのに、減価償却をしてしまっていた。」なんて間違いを防ぐことができます。
※別表第五と別表第六については多くの企業で関係しないことが多いと考えられるため、説明をよりわかりやすくするために割愛しています。
40万円未満は減価償却をする必要がない!?
図解の中に記載がありますが、資産を購入しても法定耐用年数を適用して減価償却する必要のない場合があります。中小企業の場合はこれに該当することが多いと思います。
例えば9万円でパソコンを購入した場合、それは消耗品として9万円全額を費用として計上できます。その条件は大きく3つに分けられます。なお、この取扱いは法人と個人事業主と両方に同様に適用されます。
- 購入代金が10万円未満かどうか
- 購入代金が20万円未満かどうか
- 購入代金が40万円未満かどうか
(注1)「購入代金」は正確には税務用語では「取得価額」といい、購入代金に加え、引取運賃や購入手数料などその購入のために要した費用と、使用するために直接要した費用を合計した金額になります。(以下ここでいう「購入代金」は取得価額のことを意味しています。)
(注2)金額は、消費税について税込経理方式を採用していれば税込金額で判断し、税抜経理方式を採用していれば税抜金額で判断します。
1 購入代金が10万円未満
次のいずれかに該当する場合は、その全額がその資産の使用を開始した事業年度(個人事業主の場合は年)の費用になります。
なお、こちらの規定を適用した資産は、固定資産税として申告すべき償却資産の対象外となります。
- 購入代金が10万円未満かどうか
- 使用可能期間が1年未満であるもの
2 購入代金が20万円未満
購入代金が20万円未満であるものは、その資産の使用を開始した事業年度(個人事業主は年)から3年の間で、その購入代金に事業年度の月数/36(個人事業主は1/3)ずつを乗じた金額を均等に償却することができます。このような償却方法は「一括償却」と呼びます。
なお、こちらの規定を適用した資産も、固定資産税として申告すべき償却資産の対象外となります。
また、この規定を適用するには、法人の場合は確定申告書に「一括償却資産の損金算入に関する明細書」を添付する必要があり、個人事業主の場合は確定申告書に経費に算入した金額の掲載明細書を添付する必要があります。
【図解】一括償却のイメージ(例:タブレット15万円を購入)
取得価額15万円 ÷ 3年 = 毎年5万円ずつ費用計上
1年目
5万円計上
2年目
5万円計上
3年目
5万円計上
※定額法・定率法のような複雑な計算不要で、3年均等という点がシンプルです。
一括償却については、次の記事で詳しく解説しています。

3 購入代金が40万円未満
購入代金が40万円未満であるものは、40万円未満の資産のうち、その購入代金の合計金額が300万円に達するまでの金額を、その資産の使用を開始した事業年度(個人事業主は年)に全額費用として計上することができます。ただし、次の要件のいずれも満たしている必要があります。
- 中小企業者等(主に資本金1億円以下の法人、または常時使用する従業員の数が400人以下の個人事業主)であること
- 青色申告書を提出していること
【図解】年間300万円上限のイメージ(例:35万円の資産を購入する場合)
35万円 × 8台 = 280万円(特例OK) / 35万円 × 9台 = 315万円(上限超過)
※8台目までの合計280万円は特例適用OK。9台目は累計が300万円を超えるため、特例は適用されず通常の減価償却が必要です。
令和8年度税制改正により、この特例の内容が変更されました。改正前後の主な変更点は以下のとおりです。
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