法人の地方税の確定申告をいちいち窓口に行かず済ませたい。控えを作って、封筒に入れて、ハンコを押して、切手貼って、宛先書いて郵送せずに、簡単に電子申告したい。
予想のとおり電子申告をマスターすれば、申告業務がだいぶ楽になります。
一度電子申告を経験すると窓口にわざわざ行きたくないし、郵送での提出も相当面倒ですし、納税も金融機関に行ったりなんて絶対したくなくなります。
でも難しそう。面倒そう。費用が逆に高くつきそう。機械が苦手。などなど、とっつきにくいという意見がまだ多くあるのではないでしょうか。
これも予想どおり電子申告ができるようになるまでの準備は結構面倒です。しかしながら最初は面倒ですが、一度電子申告ができる体制ができてルーティーンになってしまえば、電子申告は難しいものではありません。その電子申告ができるようになる準備の方法をここでは解説していきたいと思います。
電子申告ができるまでには段階をふむ必要がありますが、それごとに色々あっちを調べて今度はこっちを調べてとならないように、電子申告に辿り着くまでの道のりをトータルに、そして最短ルートで、簡単に解説していきたいと思います。
なお、解説の対象を法人に絞っています。そして法人の事業税と住民税の確定申告ができるまでの準備の方法を解説します。
また、電子申告をするためには、PCdesk(ダウンロード版)というソフトを使用することが必須になりますが、このソフトがwindowsにしか対応していません。Macしかお持ちでない場合は、電子申告ができないことを冒頭でお伝えしておきます。
PCdeskが使える環境については、次のリンクをご確認ください。
eLTAXとは
まず、地方税の申告を電子的に行うには、eLTAXというシステムを使って行う必要があります。
eLTAXとは何でしょう。
eLTAXとは、地方税ポータルシステムの呼称で、地方税における手続きを、インターネットを利用して電子的に行うシステムです。エルタックスと読みます。
地方税の申告を電子申告で行うという表現は、「地方税の申告をeLTAXで行う」と言い換えることができます。
地方税の電子申告はeLTAXを使って行うことはわかったと、それではこのeLTAXをどうやったら利用できるようになるのでしょうか。
eLTAX利用の流れ
eLTAXを利用して電子申告を行うまでのおおまかな流れは次のようになります。
電子証明書とICカードリーダライタの入手
署名用プラグインのインストール
PCdesk(WEB版)で新規利用届出
PCdeskダウンロード版のインストール
PCdeskで申告書を作成送信
⒈ 電子証明書を入手する
電子証明書がなぜ必要なのか
電子申告を行うには、利用者本人であることの確認とデータの改ざんの有無を確認するために電子署名を付す必要があります。
その電子署名を付すためには、電子証明書が必須になります。
法人が地方税の申告をeLTAXで行う場合には、法人代表者の電子署名が必須になります。(または、法人の代表者から委任を受けた者(法人の役員および職員に限る)の電子署名でも構わないことになっています。詳しくはこちら。)
電子証明書の入手方法
ここでは、電子証明書の一般的な入手方法として、マイナンバーカードを取得する方法をご紹介します。
マイナンバーカードを作成すると、カードの中に電子証明書が記録されています。つまり、マイナンバーカードを作成すれば、電子証明書も同時に入手することができます。
マイナンバーカードの入手方法については、「マイナンバーカードの交付申請」ページから行えます。よくわからない場合は、お住いの自治体へお問い合わせください。
例えば横浜市で申請する場合は、次のようなに案内がされています。
横浜市の場合は、窓口、郵送またはインターネットで申請し、その後概ね1ヶ月(場合により2ヶ月)程度で、区役所からカードの受け取り方法を記載したはがきが送られてくる。そのはがきを区役所に持参して交付を受けるという流れになっています。
申請から受け取りまで1〜2ヶ月程度かかるケースがあるとのことですので、申告期限から逆算して早めの申請が寛容です。
⒉ ICカードリーダライタを用意する
ICカードリーダライタを入手
マイナンバーカード(ICカード)に記録された電子証明書で電子署名を行うには、ICカードリーダライタが必要になります。
ICカードリーダライタのご用意(公的個人認証サービスポータルサイト)でマイナンバーカードに対応したICカードリーダライタが紹介されていますので、こちらから対応するカードリーダライタを選び、用意します。
ICカードリーダライタのドライバをインストール
ICカードリーダライタを使用するためには、お使いのパソコンにドライバのインストールが必要になります。購入したICカードリーダライタの説明書き等でインストールの方法を確認し、インストールします。
⒊ 署名用プラングインのインストール
続いて電子証明書を使用して電子署名を行うために必要なプラグインをパソコンにインストールします。
プラグインのインストールの方法は、以下のようにWindowsとMacで方法が異なります。
インストールについては、次のリンクからeLTAXのサイトへアクセスし、案内にしたがってインストールを実行してください。
⒋ PCdesk(web版)で新規利用届出(利用者IDを取得)
eLTAXを利用するためには、利用者IDを取得する必要があります。
次の方法で利用届出(新規)を行うことで利用者IDを取得します。
⒈ 「PCdeskの特徴と取得方法」画面にアクセスし、「PCdesk(Web版)を利用する」をクリックする。
PCdeskの特徴と取得方法(←クリック)
⒉ 「ログイン」画面で「利用届出(新規)」をクリックする
⒊ 利用規約に同意する
⒋ 「利用種別選択」画面で「納税者(法人)」をクリックする
⒌ 「提出先選択」画面で提出する都道府県(地方公共団体)を選択し、「次へ」をクリックする。
基本的には東京都特別区以外は、都道府県と市区町村の2箇所に地方税の申告書を提出する必要がありますが、新規の利用届出では1箇所しか選択できないので、さしあたって都道府県を選択しておきます。(なお、市区町村を選択しても問題はありません。)
複数の地方公共団体への提出先の登録は、後述するPCdesk(DL版)で行います。
⒍ 利用者情報入力(法人)画面に必要事項を入力し、「次へ」をクリックする。
必須となっている箇所は必ず入力が必要です。
⒎ 「提出先・手続情報入力」画面で提出先、手続き情報を登録する。
❶「利用税目」を選択
❷「提出先事務所等」を選択
❸「事業所」を決定
・法人都道府県民税、法人事業税、特別法人事業税又は地方法人特別税の場合は、事業所(本店)の所在地住所を入力してください。
・法人市町村民税、事業所税の場合は、提出先の市区町村にある主な事業所住所を入力してください。
❹「追加」をクリック
❺「法人設立届出」欄を状況に応じて選択
❻「次へ」をクリック
⒏ 「入力内容確認」画面が表示されるので、入力した利用種別・利用者情報等の内容を確認し、間違いなければ「次へ」をクリックする。
⒐ 電子証明書の選択
❶「電子証明書の選択」画面で「ICカード又はUSBトークンを利用」を選択し、「認証局サービス名」を選択する。
❷ マイナンバーカードをICカードリーダライタにセットしてパソコンに接続する
❸「次へ」をクリックする
❹ 電子証明書のパスワードが要求されるので、パスワードを入力し、「OK」をクリックする。
10. 「証明書選択」画面で選択した電子証明書の内容が表示されるので、表示された内容を確認し、 「OK」をクリックして、署名を付与する。
11. 送信が完了し、利用届出がポータルセンタに送信されると結果表示される。
表示されている「利用者ID」と「暗証番号」を使用してeLTAXが利用できるようになります。
⒌ PCdesk(DL版)をインストールする
PCdeskとは
eLTAXを利用して確定申告をするためには、それに対応するソフトが必要になります。
そのソフトが地方公共団体が共同して運営する組織「地方税共同機構」が開発・運用を行なっているPCdeskです。PCdeskはeLTAXのホームページで無料で提供されています。
法人の事業税と住民税の確定申告をするためには、PCdeskのダウンロード版を使用します。PCdeskのWeb版では、確定申告をすることはできません。繰り返しますが、ダウンロード版はwindowsのみの対応でMacは使えませんのでご注意ください。
PCdeskをインストールする方法
⒈ 次のサイトにアクセスする
⒉ 「PCdesk(WEB版)にログインして、PCdesk(DL版)をダウンロードする」をクリックする
⒊ 取得したeLTAXの利用者IDと暗証番号でログインする
前述の⒋ PCdesk(web版)で新規利用届出(利用者IDを取得)で取得設定した利用者IDと暗証番号を入力してログインします。
⒋ 「PCdeskダウンロード版」をクリックする
⒌ ダウンロードした「PCdesk.zip」ファイルを右クリックして、「すべて展開」を選択する。
(「すべて展開」が表示されない場合は、「PCdesk.zip」ファイルをダブルクリックする)
⒍ 「setup」ファイルが作成されるので、「setup」ファイルをダブルクリックする
⒎ 「PCdesk」ファイルをダブルクリックする
⒏ 「LTNSetup.exe」をダブルクリックする
⒐ 次の画面で「はい」をクリックする
10. 「PCdesk 用のInstallShield ウィザードへようこそ」画面が表示されたら、 PCdesk(DL 版)の著作権に関する注意を確認した上で、「次へ」をクリックする
11. ライセンス条項を確認し、「同意する」にチェックし、「次へ」をクリックする。
12. インストールフォルダの選択
❶ インストールするフォルダを確認する
❷ PCdeskを使用するユーザーを選択する
❸ 「次へ」をクリックする
13. 「インストール」をクリックして、PCdeskをインストールする
14. 「インストール」をクリックして電子証明書のセットアップする
15. 電子証明書が正常に登録されたことを確認し、「OK」をクリックする。
16. インストールが正しく完了した旨のメッセージを確認し、「完了」をクリックする。
17. インストールが正しく完了すると、インストールしたパソコンのデスクトップにPCdeskのショートカットアイコンが作成される。
これでPCdesk(DL版)のインストールが完了です。
⒍ PCdeskダウンロード版を使用する
PCdeskをインストールしたら、eLTAXにアクセスします。
⒈ PCdeskのアイコンをダブルクリックするなどしてPCdeskを立ち上げる
⒉ 「新規作成」ボタンをクリックする
⒊ 「利用者登録」画面の必須の部分を入力し、登録ボタンをクリックする。
「利用者氏名」欄には、会社名を入れます。
⒋ 登録した利用者がプルダウンで選択できるようになるので、利用者を選択し、「選択」ボタンをクリックする。
⒌ 「メインメニュー」画面が表示されます。
⒎ PCdesk(DL版)で提出先を追加する
前述の新規利用届出の際に提出先を都道府県1箇所しか登録ができていないため、PCdesk上で市区町村の提出先を登録します。
東京都の23区にのみ申告する場合は、この操作は不要です。
⒈ PCdesk(DL版)にログインし、メインメニュー画面の「利用者情報に関する手続き」をクリックする。
⒉ 「利用者情報メニュー」画面で「提出先・手続き変更」をクリックする
⒊ 「提出先・手続き一覧」画面で「提出先編集」をクリック→「提出先・手続き情報追加」をクリック
⒋ 提出先を追加する
❶ 「検索」ボタンを押して提出先の自治体を選択する
❷ 「申告税目」欄で「法人市町村民税」を選択する
❸ 「区・事務所等」欄で提出先を選択する
❹ 「絞込み検索」をクリックし、検索結果の該当する行にクリックする
❺ 「追加」ボタンをクリック
⒌ 提出先一覧に表示された該当の行にチェックを付し、「課税地入力」をクリックする。
⒍ 「事業所名」と「課税地」に住所を入力し、「設定」をクリックする。
⒎ 最後に「確定」をクリックする。
ここまでで、PCdeskを使って電子申告するための準備ができました。
実際にPCdeskを使って確定申告を行う場合は、メインメニューの「申告に関する手続き」をクリックして行なっていきます。
今回は、eLTAXで電子申告する準備の方法を解説しました。
全力法人税をご利用の方で、PCdeskを使って実際に電子申告する場合は、次の方法で電子申告を行なってください。
法人税の知識不要で誰でも法人税・地方税の確定申告書が作成できる税務ソフト「全力法人税」はこちらをクリック。
コメント