社員が入社したときに必要な手続きは会社によって様々あろうかと思いますが、今回は法人が社員を雇用する際、雇用主として社会保険の手続きなど会社外部に対してしなければならない手続きについて完結にまとめました。
必要となってくる手続きは、大きく社会保険と税金の2つに分けられます。
社会保険の手続きは、健康保険、厚生年金保険、雇用保険に関するものです。
税金の手続きは、給与から天引きされる所得税に関するものになってきます。
それでは、それぞれの手続きについて見ていくことにしましょう。
健康保険・厚生年金保険関係
まずは、健康保険と厚生年金保険からみていきます。
健康保険・厚生年金保険の対象となる社員とは
健康保険・厚生年金保険の対象者について確認します。
健康保険・厚生年金保険の対象となるのは、基本的には正社員や法人の代表者、役員等です。
ただしパートタイマーアルバイト等でも、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に従事している正社員の4分の3以上である者は、対象(被保険者)となります。
また、正社員の4分の3未満であっても、以下の5つの要件全てを満たす者は、対象(被保険者)となります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 勤務期間が1年以上見込まれること
- 月額賃金が8.8万円以上
- 学生以外
- 従業員501人以上の企業に勤務していること
詳しくは社会保険の加入についてのご案内(日本年金機構)を参照ください。
必ず提出が必要な書類
続いて手続き面ですが、こちらは誰もが必要とする手続きと扶養する家族がいる場合に必要となる手続きの2パターンあります。
健康保険厚生年金保険被保険者資格取得届
健康保険と厚生年金保険の加入する手続きを健康保険厚生年金保険被保険者資格取得届を提出することにより行います。
様式・記載例
必要なもの
年金手帳(基礎年金番号を確認するため)またはマイナンバー
提出期限
資格取得日(従業員を採用した日)から5日以内
手続詳細説明
提出先
管轄の年金事務所または郵送の場合は管轄の事務センター
入社時に扶養者がいる場合に必要な書類
健康保険被扶養者(異動)届
雇用した従業員に扶養する家族がいる場合には、一定条件を満たした家族について健康保険の給付を受けることができます。健康保険被扶養者(異動)届を提出することにより健康保険に加入します。
様式・記載例
必要書類
マイナンバーのほか、住民票の写しや課税証明書等
事業主の確認があれば住民票の写しや課税証明書等については省略可。詳細は、以下の「手続詳細説明」のリンクの【扶養認定に必要な添付書類】参照
提出期限
事実発生から5日以内
手続詳細説明
家族を被扶養者にする時、被扶養者の届出事項に変更があった時の詳細説明(年金機構HP)
提出先
管轄の年金事務所または郵送の場合は管轄の事務センター
国民年金第3号被保険者資格取得届
扶養される配偶者がいる場合で、その配偶者が20歳以上60歳未満の場合は、国民年金第3号被保険者として年金制度に加入することとなり、その配偶者自身が保険料を支払う必要がなくなります。
国民年金第3号被保険者資格取得届を上記健康保険被扶養者(異動)届と同時に届け出ることで加入することができます。
様式が一緒なので、自動的に同時に届け出ることになります。
様式・記載例
必要なもの
印鑑、配偶者の年金手帳(基礎年金番号を確認するため)またはマイナンバーのほか、住民票の写しや課税証明書等
住民票の写しや課税証明書等については、事業主の確認があれば省略可。詳細は、以下の「手続詳細説明」のリンクの【扶養認定に必要な添付書類】参照
提出期限:事実発生から5日以内
手続詳細説明
家族を被扶養者にする時、被扶養者の届出事項に変更があった時の詳細説明(年金機構HP)
提出先
管轄の年金事務所または郵送の場合は管轄の事務センター
雇用保険関係
続いて雇用保険に関する手続きです。こちらは一つだけです。
雇用保険被保険者資格取得届
1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ31日以上引き続き雇用すると見込まれる従業員は必ず加入する必要があります。
雇用保険被保険者資格取得届を提出することにより加入します。
様式
必要なもの
雇用保険被保険者証(被保険者番号確認のため)・マイナンバー
次の場合は事業主が提出時に雇用契約書、労働者名簿、賃金台帳などの添付書類の提出が必要
- 事業主として初めての被保険者資格取得届を行う場合
- 被保険者資格取得届について届出期限(被保険者となった事実のあった日の属する 月の翌月10 日)を過ぎて提出される場合
- 過去3年間に事業主の届出に起因する不正受給があった場合
- 労働保険料の納付の状況が著しく不適切である場合など
提出期限
被保険者となった日の属する月の翌月10日まで
提出先
管轄の職業安定所(ハローワーク)
給与関係
続いて給与ですが、こちらは給与から天引きする所得税と住民税に関する手続きになります。
所得税関係
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出することにより給与から天引きされる所得税について、扶養控除などの諸控除を受けることが可能になります。
この申告書がないと、天引きされる税額が多くなってしまいます。
同時に年末調整に必要になりますので、源泉徴収票を提出してもらっておくとよいかもしれません。
様式・記載例
必要なもの
印鑑、マイナンバー
提出期限
就職後最初の給与の支払を受ける日の前日まで
提出先
雇用主
住民税
入社した社員が住民税の天引きを希望する場合で、給与支払報告・特別徴収にかかる給与所得者異動届出書を前の会社から交付されて持参してきた場合は、それに保管記入し提出します。
給与所得者異動届出書を持参してこなかった場合は、特別徴収への切替依頼書を作成して提出することになります。
その年の6月からその年分の住民税が天引きされますが、特別徴収(会社からの天引き)を引き続き希望する場合に必要な届出になります。
ちなみに会社からの天引きでなく、従業員自らが自治体に支払う方法を普通徴収といいます。
給与支払報告・特別徴収にかかる給与所得者異動届出書
特別徴収に関する運用は各自治体が行なっていますので、各自治体のHPなどを参照して手続きを行なってください。
参考までに横浜市の場合を例にあげておきます。
様式・記載例
提出期限
異動事由が発生した日の属する月の翌月10日まで。
必要なもの
特別徴収する月割額
提出先
財政局法人課税課(特別徴収センター)
〒231-8314
横浜市中区山下町2ー5F
特別徴収への切替依頼書
「給与支払報告・特別徴収にかかる給与所得者異動届出書」を持参してこなかった場合は、特別徴収への切替依頼書を提出します。
特別徴収に関する運用は各自治体が行なっていますので、各自治体のHPなどを参照して手続きを行なってください。
参考までに横浜市の場合を例にあげておきます。
特別徴収開始月の書き方は、横浜市では、「特別徴収開始月」欄は、1〜4期に◯を付け、開始月は、10日までに提出できる場合は、翌月を書き、10日を過ぎる場合は、翌々月を書きます。「月割額の連絡」と「月割額」欄は空欄でOKでした。
月割額は横浜市側で計算し、通知されます。
様式・記載例
提出期限
異動事由が発生した日の属する月の翌月10日。
必要なもの
従業員の氏名、住所、生年月日
提出先
財政局法人課税課(特別徴収センター)
〒231-8314
横浜市中区山下町2ー5F
入社時に社員に持ってきてもらう必要のあるもの
ここで、再度入社時に社員に持参してもらう必要があるものをまとめておきます。
- 印鑑
- マイナンバーがわかるもの
- 雇用保険被保険者証
- 源泉徴収票(予め年末調整用に提出してもらう場合)
まとめ
社員が入社するということは、しょっちゅうあることではありませんし、面倒な手続きなので、覚えておくということはほとんど不可能です。このような記事でやるべき仕事を一覧でまとめておけば、社員が入社するときになって「どうやるんだっけー?」から始めることなく、落ち着いてにこれを参照しながら漏れなく効率的に行うことができます。
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