元国税調査官・税理士による、消費税についてよく知らない、専門家でない一般の方に向けた記事です。
すべての方に向けて網羅的に説明すると市販の参考書のようにわかりにくいものになりますので、中小企業向け、一般の方向けに的を絞ってわかりやすく解説します。
物品切手とは
消費税法上、物品切手等の譲渡は非課税という規定となっています。
つまり物品切手等を売買した場合は、消費税はかかりません、ということです。
物品切手等に該当するかについては、消費税基本通達6-4-4に説明がありますが、見ただけで目がチカチカしてきます。実務の上では、次のものが物品切手等にあたるということを理解していれば十分かと思います。
- 商品券
- プリペイドカード
- 図書券
- ビール券
- 旅行券
- 映画・演劇等の入場券
物品切手等の譲渡が非課税とはどういうこと?
物品切手等の譲渡が非課税と言われても専門家でもない方にとっては、すぐには理解できないと思います。
商品券・プリペイドカードが流通していく流れに沿って、「物品切手等の譲渡が非課税」とは何を言っているかを確認していきたいと思います。
1 発行会社と販売店
発行会社が商品券を発行して、販売店がそれを購入する場面では、消費税はかかりません。
(専門的説明〜興味のない方は読み飛ばしてください〜)
これは「非課税」ではなく、「不課税取引」になります。
物品切手等を発行し、交付した場合において、その交付に係る相手先から収受する金品は、資産の譲渡等の対価に該当しない。
(消費税基本通達6-4-5より)
2 販売店と消費者
販売店から商品券を購入する場合、ここが非課税となり消費税がかかりません。
消費税法で言っている「物品切手等の譲渡」とはこの部分のことを指しています。この取引には消費税は課さないということを言っています。
通常商品券であれば贈答されると思います。消費税を申告する事業者が商品券を購入した場合は、課税仕入れにはできません。
3 消費者と小売店
消費者が小売店で商品券を使って商品を引き換える場面では、通常の取引同様消費税がかかります。商品券で買うので消費税はかからないなんて聞いたことがないはずです。
4 小売店と発行会社
代金の精算として、小売店から発行会社に請求が行われます。消費者から受け取った商品券の額面金額から発行会社が手数料を差し引いて、その残額が小売店に支払われます。
この場合、商品券の額面のやりとりには消費税がかかりません。(不課税)
手数料相当額には通常のサービスの提供ということで消費税がかかります。
まとめ(課税仕入れの時期〜専門的解説〜)
以上のように、商品券を買った時は非課税で、商品券を使ったときに消費税がかかります。
消費税を申告する義務のある事業者の方は、次の点を理解しておきましょう。
課税仕入れにできる時期は、商品券を購入したときでなく、後日実際にそれを使用して商品の購入やサービスを受けた時です。したがって、贈答する場合には、購入した事業者は、課税仕入れになることはありません。しかしながら自ら使う物品切手等を継続して購入した日の会計期間に課税仕入れにしている場合は、その処理は認められています。(消費税基本通達11-3-7)
執筆者 ジャパンネクス株式会社代表 元国税調査官 税理士 海野 耕作
コメント