郵便切手・印紙・証紙には消費税はかかりません(非課税)素人のための消費税8

消費税

元国税調査官による、消費税についてよく知らない、専門家でない一般の方に向けた記事です。

すべての方に向けて網羅的に説明すると市販の参考書のようにわかりにくいものになりますので、中小企業向け、一般の方向けに的を絞ってわかりやすく解説します。

今回は消費税がかからない取引(非課税取引)として限定列挙されているもののうち、郵便切手、印紙、証紙の取り扱いについて解説していきます。

この記事を書いた人

税理士(元国税調査官)

税務署に12年間勤務。主に法人税の調査に従事。

現在は、クラウド税務ソフト「全力法人税」、「全力消費税」や「全力電子帳簿」等を提供するジャパンネクス株式会社の代表を務める。

税務署側の視点を交えながら、主に法人税・消費税について一般の方に向けて実務に直結した税務情報を分かりやすく解説します。

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郵便切手類等の売買は非課税

次のもの(以下、郵便切手類等といいます。)の売買には原則消費税はかかりません。

(専門的には消費税法上は非課税取引に分類されます。)

  • 郵便切手、郵便葉書、郵便書簡
  • 印紙
  • 証紙

しかしながら、消費税がかからないのは、次の場所で郵便切手類等売買した場合に限って、という条件付きです。

郵便切手、郵便葉書、郵便書簡、印紙

  • 日本郵便株式会社
  • 簡易郵便局
  • 郵便切手類販売所
  • 印紙売りさばき所

証紙

  • 地方公共団体
  • 売りさばき人

(消費税が非課税になる一定の場所の詳細は消費税法別表第1第4号イ・ロ

つまり、上記一定の場所で売られる郵便切手類等は消費税がかかりませんが、それ以外で売られる郵便切手類には消費税がかかります。

例えば、金券ショップは非課税となる販売所ではないので、金券ショップで郵便切手類を購入すると消費税はかかります。

コンビニは通常郵便切手類販売所となっていますので、消費税はかかりません。

購入側の実務(消費税申告義務ありの場合)

これまでのところで郵便切手類等については、一定の場所で購入した場合は非課税という説明をしてきました。

したがいまして、消費税を申告する事業者が郵便切手類を購入した場合についても消費税はかからないという経理処理をすることになります。

しかしながら、実務ではこうしません。

なぜなら、郵便切手類を購入した時には、非課税ですが、これを使用した場合には消費税のかかる取引に変わります。郵便配達というサービスは非課税取引ではありませんので、課税取引となり消費税がかかるのです。

つまり、郵便切手類を使った時にその購入費用は、課税仕入れに該当することになります。

郵便切手類は、購入時に非課税でも結局は消費税のかかる取引になります。

原則の処理では、郵便切手類購入時に貯蔵品としておき、使用したときに経費(課税仕入れ)に振り替えます。

使った都度仕訳を切るのは面倒で煩雑になりますので、実務では次のような処理をします。

1)購入時に経費にする

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
通信費 1,000 現金 1,000

2)決算期末に郵便切手類の在庫を確認し、その金額を経費から貯蔵品に振り替える

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
貯蔵品 100 通信費 100

この方法が一番手間がなくて、期末には実際の状況に合いますので、合理的な方法かと思います。

また、少し手間がかかりますが、次のような処理も認められています。

郵便切手類を購入した事業者が、自分で使用するものについて、継続して支払った時に課税仕入れ(消費税がかかる仕入れ)とする。

消費税基本通達11-3-6

これを実際の経理に当てはめると、決算期末に通信費を貯蔵品に振り替えるときに、通信費については課税仕入れとしない(会計ソフトであれば「対象外」等を選択)処理を行います。

期末に大量に郵便切手類を保管していれば、早く課税仕入れにできますので節税の効果が多少は出てきます。しかしながら翌期にその貯蔵品を通信費に振り返る際は、課税仕入れにならない処理を行うことを忘れないようにしないといけません。それをしないと二度課税仕入れにしてしまうことになりますので注意が必要です。

まとめ

郵便切手類等については、コンビニを経営しているなど売り手側は、消費税はかからない。(ただし、非課税となる一定の場所でない場合は、消費税はかかります。)郵便切手類を購入する側は、購入時に消費税のかかる処理をして、期末に在庫分を減額する処理をするのが一般的である。これを押さえておけば実務ではまったく問題ないかと思います。

 

執筆者 ジャパンネクス株式会社代表 元国税調査官 税理士 海野 耕作

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