法人税等の翌期の処理
全力法人税では、納税であった場合に、最後に「法人税等の仕訳に関する表示」画面※に表示される法人税等(「法人税、住民税及び事業税」の意味。以下同様。)に関する仕訳を決算仕訳に追加しますが、その法人税等に関する翌期の処理について解説します。
※メニューバー「申告書」>「法人税等の仕訳に関する表示」
(画面の例示)
1 翌期の仕訳(納税だった場合)
当期をX1期(H29.3.31決算)として例を用いて説明をしていきます。
⑴ 決算仕訳(税金を納めるケース)
全力法人税では、税額計算をし、税金を納めることになった場合には、X1期の末日に次のような決算仕訳を計上します。
日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
29.3.31 | 法人税、住民税及び事業税 | 1,440,200 | 未払法人税等 | 1,440,200 |
(税金が還付になる場合は、後述します。)
⑵ 納付時の仕訳
X2期で、申告書に記載したX1期分の法人税等を29.5.31に納めたとします。
その納めた日付で次のような仕訳を登録してください。
日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
29.5.31 | 未払法人税等 | 1,440,200 | 現金・預金 | 1,440,200 |
2 翌期の全力法人税での処理
続いて全力法人税での処理について説明します。
⑴ 翌期への繰り越し
X1期の申告書完成後「翌期繰越」処理を行っていない場合はまずこれを行います。
メニューバー「設定」→「翌期繰越」画面で「翌期へ繰越し」ボタンを押します。これで翌期への繰越しが行われ、当期の法人税等の税金が繰り越されます。
⑵ 法人税等の納付状況の入力
続いてメニューバー「申告書」>「法人税等の納付状況(別表5⑵)」画面を開きます。(X2期での作業)
すると次の画像のようにX1期以前の法人税等が期首未納税額の欄に繰り越されています。
X1期の法人税等を前述のとおり29.5.31付で納付しています。
未払法人税等を取り崩して(借方に仕訳をきって)納付していますので「納税充当金納付」の列(画像の赤丸でくくられている部分)の対応する欄にそれぞれ納めた金額を入力します。
上記の例)X1期の未払法人税1,440,200円の内訳
法人税等950,600円、道府県民税50,600円、市町村民税142,900円、事業税296,100円
簡単入力フォームの場合の入力方法
「簡単入力フォーム」の場合は、次のように「納税」を選択し、「未払法人税等を減らした」を選択し、金額を入力します。
3 還付になったケース
⑴ 翌期の仕訳
税金が還付になった場合は申告した日付(X2期)に次のような仕訳を帳簿に登録します。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
未収入金 | 100,000 | 雑収入 | 100,000 |
還付金が入金になったときに、入金された日付で次の仕訳を帳簿に登録します。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
現金預金 | 100,000 | 未収入金 | 100,000 |
⑵ 翌期の全力法人税での処理
全力法人税側の説明をします。
法人税の場合
これを保存すると別表4の「法人税等の中間納付額及び過誤納に係る還付金額」欄に自動で対応する金額が表示されます。
簡単入力フォームの場合の入力方法
「簡単入力フォーム」の場合は、次のように「還付」を選択し、「「雑収入」等の科目で収益計上した」を選択し、金額を入力します。
地方税の場合
地方税も、法人税同様前期が還付の場合は、「損金経理納付」の列に還付となる金額を入力します。
簡単入力フォームの場合の入力方法
「簡単入力フォーム」の場合は、次のように「還付」を選択し、「「雑収入」等の科目で収益計上した」を選択し、金額を入力します。
地方税で注意を要するケース
地方税で注意するケースは、道府県民税(または都民税)が納付で事業税が還付のケースです。
このケースもパターンが2つあります。
- 道府県民税(または都民税)の納付額が、事業税の還付額より少ないケース
- 道府県民税(または都民税)の納付額が、事業税の還付額より多いケース
順番に解説します。
① 道府県民税(または都民税)納付額 < 事業税の還付額
前期の「法人税等に関する仕訳の表示」画面で次のような仕訳が表示されていた場合で、かつ道府県民税(または都民税)の納付額が、事業税の還付額より少ないケース(道府県民税と事業税を合算するとトータルで還付されるケース)
この例では、道府県民税(または都民税)が10,000の納付と事業税が-20,500の還付が合算されて10,500の還付となっていますが、「法人税等の納付状況(別表5⑵)」画面ではそれぞれ分かれて表示されます。
「法人税等の納付状況(別表5⑵)」画面は次のように処理します。
それぞれ「損金経理納付」の列に入力します。
簡単入力フォームの場合の入力方法
「簡単入力フォーム」の場合は、次のように道府県民税は「納税」を選択し、「「法人税、住民税及び事業税」の科目等で費用計上した」を選択し、金額を入力します。
事業税は「還付」を選択し、「「雑収入」等の科目で収益計上した」を選択し、金額を入力します。
② 道府県民税(または都民税)納付額 > 事業税の還付額
前期の「法人税等に関する仕訳の表示」画面で次のような仕訳が表示されていた場合で、かつ道府県民税(または都民税)の納付額が、事業税の還付額より多いケース(道府県民税と事業税を合算するとトータルで納付となるケース)
日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
申告した日付 | 法人税、住民税及び事業税 | 6,000 | 未払法人税等(都民税・事業税) | 6,000 |
この例では、道府県民税(または都民税)が10,000の納付と事業税が-4,000の還付が合算されて6,000の還付となっていますが、「法人税等の納付状況(別表5⑵)」画面ではそれぞれ分かれて表示されます。
「法人税等の納付状況(別表5⑵)」画面は次のように処理します。
それぞれ「納税充当金納付」の列に入力します。
簡単入力フォームの場合の入力方法
「簡単入力フォーム」の場合は、次のように道府県民税は「納税」を選択し、「「未払法人税等を減らした」を選択し、金額を入力します。
事業税は「還付」を選択し、「「未収入金」等の科目で受け入れた」を選択し、金額を入力します。
以上が法人税等の翌期の処理になります。
コメント
お世話になっております。
ド素人ですが、きちんと申告ができ、消費税還付もでき感謝しております。
翌期の処理で教えていただきたいのですが、
「2 法人税等の納付状況の入力」
の項目で事業税のみ、「当期発生」税額の列に税額が入力されているのでしょうか?
そのとおりです。
事業税のみ事業税の申告をした事業年度(当期)に認識することになっております。