0からわかる個別注記表の書き方【記載例・word雛形付き】

個別注記表

中小企業を対象として個別注記表を自ら作成する方向けに「個別注記表とは」から「作成の仕方」まで0からやさしく解説していきたいと思います。

個別注記表とは

そもそも作成する必要があるのか

個別注記表とは、会社を経営する上で従う必要のある会社法と会社計算規則により作成を義務付けられている書類ですので作成する必要があります。

貸借対照表損益計算書、株主資本等変動計算書と併せて作成が義務付けられており、これらの書類をまとめて一般的に決算書と呼んでいます。

税務署に提出する必要があるのか

法人税法施行規則第35条では、主に貸借対照表損益計算書、株主資本等変動計算書、勘定科目内訳明細書、事業概況説明書が提出書類として挙げられており、個別注記表は明記されていませんので、提出する必要がないと言えばないのかもしれません。

元国税調査官の私の経験では税務署の現場でも個別注記表がないからといって提出をお願いすることはありませんでしたし、今もしていないでしょう。

しかしながら多くの会社は添付していましたし、会社法でも作成が義務付けられている書類で決算書を構成している書類であることから、提出するべきだと言えると思います。

ただ、この書類の作成方法がわからないために申告期限を過ぎてしまうなら私なら作成しないで提出するでしょう。

ただ、銀行に提出するなら、、、

というように実務上はなんともふわふわした存在といえるのかもしれません。

どういう性格なもの?

中小企業の会計に関する指針では次のように説明しています。

会社計算規則では、重要な会計方針に係る事項に関する注記等の項目に区分し て、個別注記表を表示するよう要求されている。また、それら以外であって、貸借対照表、損益計算書及び株主資本等変動計算書により会社の財産又は損益の状態を正確に判断するために必要な事項は注記しなければならない。

大まかに言えば、貸借対照表、損益計算書と株主資本等変動計算書を補足する書類ということになります。

具体的な内容

注記すべき事項については、以下の表のように19挙げられており、また会社の形態により注記を要しない項目が規定されています。

①会計監査人設置会社以外の株式会社(公開会社を除く。)・・・多くの中小企業

②会計監査人設置会社以外の公開会社・・・大会社

③合同会社、合資会社のような持分会社

(注記を要求される項目○、注記を要求されない項目×)

項 目
(1) 継続企業の前提に関する注記 × × ×
(2) 重要な会計方針に係る事項に関する注記
(3) 会計方針の変更に関する注記
(4) 表示方法の変更に関する注記
(5) 会計上の見積りの変更に関する注記 × × ×
(6) 誤謬の訂正に関する注記
(7) 貸借対照表に関する注記 × ×
(8) 損益計算書に関する注記 × ×
(9) 株主資本等変動計算書に関する注記 ×
 (10) 税効果会計に関する注記 × ×
 (11) リースにより使用する固定資産に関する注記 × ×
 (12) 金融商品に関する注記 × ×
 (13) 賃貸等不動産に関する注記 × ×
 (14) 持分法損益等に関する注記 × × ×
 (15) 関連当事者との取引に関する注記 × ×
 (16) 一株当たり情報に関する注記 × ×
 (17) 重要な後発事象に関する注記 × ×
 (18) 連結配当規制適用会社に関する注記 × × ×
 (19) その他の注記

これだけ並べられると頭痛がしてくるかもしれませんが、これをお読みになっている皆さんは、上記①または③の方々のはずですので、主に関係するのは株式会社であれば(2)と(9)だけで、合同会社等の持分会社では(2)だけです。

個別注記表の記載例

先に記載例を見てしまった方が理解が早いと思いますので、まず見てしまいましょう。

株式会社の場合(会計監査人設置会社以外の非公開会社)

個別注記表 非公開株式会社

個別注記表 非公開株式会社2

持分会社の場合

持分会社の場合は株主資本等変動計算書に関する注記が必要ありませんので、ボリュームが少し減ります。

個別注記表 持分会社

これだけ見るとやはり難しそうに感じますが、この内容はほぼすべてを網羅した場合で、中小企業の多くは関係しない項目が多いのではないでしょうか。

それでは個別注記表の作成の仕方を1から解説していきます。

個別注記表の作成の仕方

 書式のダウンロード

該当する方の様式(Word形式)のDownloadを押してダウンロードしてください。

 様式の編集

ダウンロードした様式を自社に合うように編集していきます。

基本的な流れとしては、一つ一つ内容を確認し、該当のないものは削除し、該当するも処理方法が違う場合は変更するといった手順になります。

それでは、一つ一つ確認していきましょう。

1 中小企業の会計に関する指針

1の「この計算書類は「中小企業の会計に関する指針」によって作成しています。」という文言ですが、この指針を一度も読んだことがない方は削除してください。

文言どおり、この指針に従っている場合のみ記載します。

ちなみに貸倒引当金や未償却残高がありながら減価償却費を計上していなかったり、消費税の経理処理が税抜でなければその時点で従っていないことになります。

2 ⑴①有価証券の評価基準及び評価方法

有価証券を保有していて、税務署に届出をしていない場合は表現はそのままになります。

なぜなら税務上の法定評価方法が記載のとおりだからです。つまり税務署に有価証券の評価に関する届出をしていなければ注記表に記載のとおりに評価していなければならないのです。

有価証券を保有していなければ①の部分はすべて削除します。

2 ⑴②棚卸資産の評価基準及び評価方法

期末に棚卸資産※があり、税務署に届出をしていない場合は表現はそのままです。

これも法定評価方法が最終仕入原価法になっているからです。

※棚卸資産とは、商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等の資産であり、企業がその営業目的を達成するために所有し、かつ、売却を予定する資産のほか、売却を予定しない資産であっても、販売活動及び一般管理活動において短期間に消費される事務用消耗品費等も含まれる。

(参考)実務では棚卸資産の評価方法はたった1つ「最終仕入原価法」だけ

棚卸資産が期末になければ②の部分はすべて削除しましょう。

2 ⑵固定資産の減価償却の方法

固定資産を保有しており、税務署に届出をしていない場合は表現はそのままです。

これも法定償却方法が記載のとおりなので、記載のとおりに償却する必要があります。

(参考)法定償却方法とは

固定資産を保有していない場合は⑵の部分は削除します。

2 ⑶引当金の計上基準

引当金については法定繰入率ではなく、実績繰入率で求めている等記載内容と異なる箇所があれば訂正しましょう。

記載の引当金を計上していなければ削除しましょう。

2 ⑷その他計算書類の作成のための基本となる重要事項

消費税の部分はどの会社も該当しますので、ここは必ず記載することになります。

ちなみに免税事業者は税込経理方式と決まっています。

リース取引がある場合は所有権移転外リース取引を売買として処理している場合はそのように変更しましょう。変更がなければそのままで、該当がなければ削除しましょう。

3 会計方針の変更

会計方針の変更があれば記載例を参考にその内容を記載してください。

4 株主資本等変動計算書に関する注記

合同会社や合名会社等の持分会社はこの注記は不要です。

⑴の部分は株式会社であれば必ず記載が必要になる部分です。

自己株式があれば⑵のように記載し、配当を行うのであれば⑶や⑷のように記載します。

まとめ

以上のように基本的には様式を削除・編集していけば個別注記表はそう難しくなく作成できるのではないでしょうか。

様式にはたくさん書いてありますが、例えば、有価証券や固定資産、引当金、リース取引がなければ、消費税の経理処理と普通株式の数だけ書いて終わりなんてこともざらにあるのではないでしょうか。

個別注記表は第三者に経理処理の内容をよりわかりやすく説明するものですので、同族で経営していて、銀行などに決算書を見せるわけでもなければ経営判断の資料となるものでもないので、重要度が落ちるように見えるかもしれません。

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