この記事でいう3000万円控除とは不動産の譲渡に関する租税特別措置法第35条の特例を指し、軽減税率とは同様に租税特別措置法第31条の3の特例を指します。
不動産の譲渡に関する租税特別措置法第35条の特例がどのようなものかわからない場合は、次の記事をご覧ください。
また租税特別措置法第31条の3の特例の特例がどのようなものかわからない場合は、次の記事をご覧ください。
特例適用のための手続き
3000万円控除と軽減税率の特例を適用するために必要な手続きは次のとおりです。
- 譲渡した年分の確定申告書を提出する
- 「確定申告書(分離課税用)第三表」の特例適用条文欄に条文を記入する
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算書)を提出する
- 申告書に必要な添付書類を併せて提出する
確定申告書を提出する
3000万円控除と軽減税率の特例を適用するためには何よりもまず確定申告書を提出する必要があります。
3000万円を差し引けば利益が出ないからといって申告しない、というのは誤りです。そもそも確定申告が要件なので申告をしていなければこの控除を受けられません。
なお、この特例は確定申告の期限内でなければ受けられないというわけではありませんので期限後に提出する場合でも適用が可能です。
「確定申告書(分離課税用)第三表」の特例適用条文を記入する
「確定申告書(分離課税用)第三表」の特例適用条文欄に以下のように記入します。
- 3000万円控除→「措法35条」
- 軽減税率→「措法31条の3」
譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算書)を提出する
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譲渡所得の内訳書にこれらの特例を適用して計算した譲渡所得の金額等を記載します。
不動産譲渡に関する申告で最も重要な書類がこの書類になります。
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添付書類を提出する
3000万円控除の添付書類
特にありません※。
ただし、売却したマイホームの売買契約日の前日においてそのマイホームを売った人の住民票に記載されていた住所とそのマイホームの所在地とが異なる場合には、戸籍の附票の写し、消除された戸籍の附票の写しその他これらに類する書類でそのマイホームを売った人がそのマイホームを居住の用に供していたことを明らかにするものを、併せて提出する必要があります。(軽減税率の特例にも共通)
※平成28年分以降の申告ではマイナンバー制度の導入により住民票の写しの添付が不要になっています。
平成27年分以前は譲渡した日から2ヶ月を経過した日後に発行された住民票の写しを添付する必要があります。
軽減税率の添付書類
- 売却した家屋の登記事項証明書又は閉鎖に係る登記事項証明書
- 売却した土地の登記事項証明書(借地の場合には土地賃貸借契約書など)
ただし、譲渡所得の特例の適用を受ける場合の不動産に係る不動産番号等の明細書」を提出することにより、その添付を省略することが可能です。
住民票の扱いについては3000万円控除と同様です。ただ通常軽減税率を適用したら3000万円控除も適用しますので3000万円控除を適用せず、軽減税率のみ適用する方のみ住民票については注意すればよいと思います。
まとめ
3000万円控除と軽減税率に関しては、添付書類についても数が少なく用意するのも難しくありませんので、確実に添付して申告するようにしましょう。
執筆者 ジャパンネクス株式会社代表 元国税調査官 税理士 海野 耕作
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