この記事でいう損失繰越の特例とは不動産の譲渡に関する租税特別措置法第41条の5の2の特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例を指します。
この制度がどのようなものかがわからない方は、次の記事をご確認ください。
特例適用のための手続き
損失繰越の特例を適用するために必要な手続きは次のとおりです。
- 譲渡した年分の確定申告書を提出する
- 「確定申告書(分離課税用)第三表」の特例適用条文欄に「措法41条の5の2 1項」と記入する
- 特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)を提出する
- 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【措法41の5の2用】を提出する
- 申告書に必要な添付書類を併せて提出する
確定申告書を提出する
損益通算をする年分
この特例を適用して損益通算をするためには確定申告書を提出する必要があります。
この特例を適用するためには確定申告を期限内に提出する必要があります。
ただし、損失を繰り越す場合には期限内申告を要するので、損失を繰り越さない申告は期限後でも適用することができます。
繰越控除をする年分
この特例を適用して損失を繰り越す場合には、譲渡した年分の確定申告書を期限内に提出し、その後の年分の確定申告書を連続して提出する必要があります。
「確定申告書(分離課税用)第三表」の特例適用条文を記入する
「確定申告書(分離課税用)第三表」の特例適用条文欄に「措法41条の5の2 1項」と記入します。
特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)を提出する
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譲渡損失の金額を算定する重要な書類です。
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特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書を提出する
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書のサンプルはこちらをクリック
翌年以降に繰り越される損失の金額を計算する書類です。
添付書類を提出する
譲渡した年分
1 譲渡資産の売買契約書の写しまたは登記事項証明書(その他の書類で、譲渡資産の所有期間が5年を超えるものであることを明らかにするもの)
2 譲渡の契約をした日の前日における譲渡資産の住宅借入金等の残高証明書
(3 売却したマイホームの売買契約日の前日においてそのマイホームを売った人の住民票に記載されていた住所とそのマイホームの所在地とが異なる場合には、戸籍の附票の写し、消除された戸籍の附票の写しその他これらに類する書類でそのマイホームを売った人がそのマイホームを居住の用に供していたことを明らかにするもの)
繰り越した損失を控除する年分
◯ 確定申告書第四表(損失申告用)(一)及び(二)
なお、控除する年分は確定申告書第一表の「本年分で差し引く繰越損失額」欄に控除額を記入することになります。
まとめ
この特例で注意する点は、損失を繰り越すためには譲渡した年分の確定申告書を期限内に提出するという点が最大のポイントです。
譲渡した年分だけで損失を控除しきれないというケースはかなり多いと思います。期限内に申告しないと控除しきれなかった損失を繰り越せなくなりますのでこの点はよくよく注意してください。
(参考)
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例チェックシート(国税庁提供 令和元年分)
執筆者 ジャパンネクス株式会社代表 元国税調査官 税理士 海野 耕作
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