譲渡所得はその所有期間により長期と短期に区分され、異なる税率が適用されます。
そのため、この所有期間によって大きく税金が異なるケースも出てくることもありえますので重要なポイントです。
それでは具体的に見ていきましょう。
所有期間とは
譲渡所得計算上の所有期間とは、
で判断します。
具体的に「取得した日」とは、「譲渡した日」とは、いつになるのかを続いて見ていきましょう。
資産の取得の日とは
原則
資産を取得した日をいつにするかは、その資産の取得のしかたによって次のように分かれます。
他から購入した資産
二つから選択することができます。
1 その資産の引渡しを受けた日
例えば、所有権移転登記に必要な書類等の交付の日などが挙げられます。
2 売買契約などの資産の譲渡に関する契約の効力発生の日
ただし、新築マンションの取得のように、建設が完了する前に契約を行った場合は、契約の日を選択することはできません。
自ら建設、製作または製造した資産
建設、製作または製造が完了した日
他に請け負わせて建設、製作または製造した資産
その資産の引渡しを受けた日
ただし、次のような例外があります。
例外
原則的には上記の取り扱いとなりますが、次のケースは例外的な取り扱いがあります。
今回は贈与、相続、遺贈により取得した資産以外は稀なケースで説明が複雑化しますので割愛します。
贈与、相続、遺贈により取得した資産
贈与、相続(限定承認による相続は除く)または遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものは除く)によって取得した資産の「取得の日」は、贈与者、被相続人(亡くなった方)、遺贈者がその資産を取得した日となります。
贈与、相続、遺贈によって取得した日ではないことにご注意ください。
その他の例外
- 時価の2分の1に満たない価額で取得した資産
- 交換、買換え、収用等の特例の適用を受けて取得した資産
- 農地等
- 借地権者が取得した底地
- 財産分与により取得した財産
- 代償分割により取得した資産
資産の譲渡の日とは
次の2つの日から選択することができます
1 資産を引き渡した日
2 譲渡に関する契約の効力発生の日
ただし、譲渡の日は、代金の決済を了した日より後にはならないことに注意してください。
まとめ
資産の取得の日、譲渡の日の決定において、引渡し日と契約の効力発生日が選択できる場合は、取得の日を早めて、譲渡の日を遅くするというのが基本スタンスになります。
なぜなら所有期間が5年超を超えれば譲渡所得では長期に区分され税率が安くなるからです。
所有期間は税額に影響を及ぼすので所有期間が5年周辺の場合は慎重な検討が必要になります。
執筆者 ジャパンネクス株式会社代表 元国税調査官 税理士 海野 耕作
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