何年も会社を経営していると、帳簿や請求書や領収書等の証ひょう類がたまってきて、保管の場所にも困り始め、処分したいなという時がやってくると思います。しかしながら帳簿書類は安易に処分してはいけません。
それでは、実際には帳簿書類はどのくらい保存しなければいけないのか、また保存していないとどうなるのでしょうか。
法人税法と会社法の規定を見ていきたいと思います。
法人税法上の帳簿書類の保存期間
まずは法人税法の規定を見ていきましょう。
法人税法で規定される帳簿書類の保存期間
法人税法で規定されている帳簿書類※の保存期間は以下のとおりです。
その事業年度の確定申告書の提出期限(通常事業年度の末日から2ヶ月後)から7年間
※「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあり、また、「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。
法人税法で規定されている保存すべき帳簿書類については、次の記事で詳しく解説しています。

ただし、青色申告を提出している場合で、平成20年4月1日以後に終了した事業年度に欠損金がある場合には帳簿書類の保存期間は9年間、平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額の繰越期間は10年間とされています。
例を挙げて見てみましょう。
⑴ 7年間保存
平成21年3月期の帳簿書類は平成21年6月から保存を開始して7年後の平成28年6月1日から廃棄が可能になります。
⑵ 9年間保存
青色申告が適用される会社で平成21年3月期が赤字のため欠損金が生じた場合はどうなるでしょうか。
平成21年6月から保存を開始し、その9年後の平成30年5月31日までは保存しなければなりません。
ただし、9年保存するのは平成30年3月期に平成21年3月期に生じた欠損金を使用する場合に限ります。要するに平成28年3月期以降も欠損金を繰り越す場合にはその繰り越す期間分保存期間も伸びるということになります。
したがって、平成28年3月期の時点で平成21年3月期分の欠損金が残っていなければ原則どおり7年間の保存でよいということになります。
つまり、欠損金が実際にあってそれを繰り越すなら繰り越す期間最長9年間保存するということになります。
なお、平成28年度の税制改正により、平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額の繰越期間は10年となりました。したがいまして平成30年4月1日以後に開始する事業年度で欠損だった場合は、10年間帳簿を保存する必要があります。
ただ2019年3月決算の欠損金を最短で10年間繰り越せるのは2029年3月決算になるのでこの規定が適用されるのはまだ当分先ということになります。
帳簿書類を保存しないと法人税法ではどうなるか
それでは、7年間の保存期間を守らなかった場合はどうなるのでしょうか。
7年間帳簿書類を保存していない場合主に2つの問題を挙げることができます。
- 消費税法上の仕入税額控除が認められない
- 青色申告の取り消し
かなり厳しいものとなっています。
消費税法上の問題
消費税法では簡易課税制度を適用しない場合には、仕入税額控除の適用を受ける要件として、課税仕入れ等の事実を記載した帳簿及び請求書等の両方を保存する必要があります。
つまり、帳簿書類を保存していないと税務調査などで仕入れ税額控除を否認されても文句が言えません。
仕入れ税額控除を否認されるとどうなるかを詳しく見てみましょう。
消費税は、課税売上高(売上の消費税)から仕入税額控除(支払いの消費税)を差し引いた金額を税務署に納付します。
下の例で言えば、100ー60=40を税務署に支払います。
| 課税売上高 100 |
| 仕入税額控除 60 |
| 消費税額 40 |
したがって、仕入税額控除を否認されると以下のようになります。
| 課税売上高 100 |
| 仕入税額控除 0 |
| 消費税額 100 |
はっきり言って恐怖です。これが万円単位なら単純に60万円の納付金額が増加することになります。
帳簿書類を保存しなかったときの一番強烈な規定と言えます。
青色申告の場合
帳簿書類の保存は青色申告の要件の1つとなっているため、青色申告が取り消されます。
取り消されれば白色申告になりますので、青色申告の各種特典(下記に例示)が受けられなくなります。
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