この記事は、設立間もない会社や消費税を初めて申告する会社などの一般の方を対象とした記事であり、専門家向けの記事ではありません。
すべての方に向けて説明するのではなく、一般の方が必要な情報について的を絞って書いていきます。
今回、取り上げる「基準期間」は、消費税法の基本を学ぶうえで、大変重要な用語になりますので、当記事を最後までご覧ください。
それでは、誰でもわかる素人のための消費税シリーズの13回目「基準期間」始めていきましょう。
消費税法上の「基準期間」とは
基準期間とは
法人はその事業年度の前々事業年度
例えば、X4年3月期が課税期間の法人の場合、その事業年度の前々事業年度となるX2年3月期が基準期間となります。
個人事業主は、その年の前々年
例えば、X3年分が課税期間の個人事業主の場合、その年の前々年であるX1年分が基準期間となります。
| 区分 | 法人 | 個人事業主 |
| 通 常 | その事業年度の前々事業年度 | その年(判定する年)の前々年 |
| 前々事業年度が1年未満の場合 | その事業年度開始の日の2年前の日の前日から、同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間 |
ただし、法人の場合、決算期の変更などで前々事業年度が1年未満である場合があります。
その場合の基準期間は「その事業年度開始の日の2年前の日の前日から、同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間」となります。
ちょっとややこしいですよね。
ここで例図を出して、説明させていただきます。
基準期間が設立1期目のケース
まず、例図1は、前々事業年度(X1.10.1)に設立した場合の基準期間についてです。
当期がX4年3月期(X3.4.1~X4.3.31)だとした場合、基準期間の対象となる事業年度は、前々事業年度のX2年3月期(X1.10.1~X2.3.31)ですが、X2年3月期は6か月間であり、1年に満たない事業年度になります。
この場合の基準期間は、当期の開始日(X3.4.1)の2年前の日(X1.4.2)の前日(X1.4.1)から、同日(X1.4.1)以後1年を経過する日(X2.3.31)までに開始した各事業年度であるX2年3月期(X1.10.1~X2.3.31)の6か月間となります。
基準期間に決算期を変更しているケース
例図2は、前々事業年度で12月決算の法人が、3月決算に決算期変更をした場合です。
当期がX4年3月期(X3.4.1~X4.3.31)だとした場合、基準期間の対象となる事業年度は、前々事業年度のX2年3月期(X2.1.1~X2.3.31)ですが、X2年3月期は3か月間であり、1年に満たない事業年度になります。
この場合の基準期間は、当期の開始日(X3.4.1)の2年前の日(X1.4.2)の前日(X1.4.1)から、同日(X1.4.1)以後1年を経過する日(X2.3.31)までに開始した各事業年度であるX2年3月期(X2.1.1~X2.3.31)の3か月間となります。
次に例図3は、もともとが9月決算だった法人が、12月決算となり、そのあと3月決算に決算期を変更した場合です。
この例も同じく、当期がX4年3月期(X3.4.1~X4.3.31)だとした場合、基準期間の対象となる事業年度は、前々事業年度のX2年3月期(X2.1.1~X2.3.31)ですが、X2年3月期は3か月間であり、1年に満たない事業年度になります。
この場合の基準期間は、当期の開始日(X3.4.1)の2年前の日(X1.4.2)の前日(X1.4.1)から、同日(X1.4.1)以後1年を経過する日(X2.3.31)までに開始した各事業年度は、X1年12月期(X1.10.1~X1.12.31)とX2年3月期(X2.1.1~X2.3.31)があるため、この二つの事業年度の期間を合わせた6か月間となります。
【重要】基準期間が1年でない法人は「年換算」する
詳しくは後ほどご説明しますが、消費税を申告する必要があるかどうかは、「基準期間の課税売上高が1,000万円を超えるかどうか」で判定します。ここで、基準期間が1年に満たない例図1~3のようなケースには、判定の前にもう一手間が必要になります。
基準期間が1年に満たない場合、その期間の課税売上高をそのまま1,000万円と比べてはいけません。1年分に換算した金額で判定します(消費税法第9条第2項第2号)。
基準期間の課税売上高 ÷ 基準期間に含まれる事業年度の月数 × 12
例えば例図1で、基準期間(6か月)の課税売上高が600万円だったとします。600万円だけを見れば1,000万円以下ですが、年換算すると
600万円 ÷ 6か月 × 12 = 1,200万円 > 1,000万円
となり、課税事業者(消費税を申告する必要がある)と判定されます。この換算を忘れると「申告不要」と勘違いして無申告になってしまうため、決算期を変更した会社や設立から3期目の会社は特に注意してください。
なお、この年換算は法人だけのルールです。個人事業主は、年の途中で開業して前々年が数か月しかなかったとしても、年換算はしません(消費税法第9条第2項第1号)。その数か月分の課税売上高そのままで判定します。ここは法人と個人で扱いが異なる、間違えやすいポイントです。
基準期間は何に使うのか?
消費税法上の「基準期間」とは、どの期間を指すのかは、ご理解頂けたと思います。
しかし、「基準期間」というのは、一体何に使用するものなのでしょうか。
ずばり「基準期間」というのは、判定基準の一つであり、
- あなたが、消費税の申告をする必要があるのかどうか(消費税の納税義務の判定)
- あなたが、簡易課税制度を使えるのかどうか(簡易課税制度の要件)
を判定するときに使う用語になります。
さあ、どのように使用するのか、一つずつ見ていきましょう。
「基準期間」が判定基準となるもの
1.消費税の納税義務の判定での「基準期間」
消費税法において、「基準期間」が登場するのは、あなたが、消費税の申告をする必要があるかどうかを判定する際に以下のように出てきます。
「基準期間」の課税売上高(※1)が1,000万円を超える場合は、その課税期間(※2)は消費税を納める義務があります。
聞きなれない用語が出てきていますので、以下のとおり、内容を簡単にまとめましたのでご覧ください。
※1「課税売上高」…
消費税がかかる売上の合計額 + 輸出取引等の免税となる売上の合計額
このとき、次の2点に注意してください(消費税法第9条第2項)。
- 基準期間中に課税事業者だった場合は「税抜き」の金額で計算します。一方、基準期間中が免税事業者だった場合は「税込み」の金額のままで計算します(免税事業者には預かった消費税という概念がないためです)。
- 返品・値引き・割戻し(売上に係る対価の返還等)があった場合は、その金額を差し引きます。
特に1つ目は、税込1,050万円の売上があった免税事業者が「税抜きなら1,000万円以下だから大丈夫」と誤解しやすいポイントです。免税事業者の期間は税込みで判定するため、この場合は1,000万円を超えていることになります。
もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事で解説していますのでご覧ください。

※2「課税期間」…
消費税額を計算する単位となる期間のことであり、
法人は「事業年度」です。
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