消費税の基準期間とは?~誰でもわかる素人のための消費税13〜

この記事は、設立間もない会社や消費税を始めて申告する会社などの一般の方を対象とした記事であり、専門家向けの記事ではありません。

すべての方のために向けて説明するのではなく、一般の方が必要な情報について的を絞って書いていきます。

今回、取り上げる「基準期間」は、消費税法の基本を学ぶうえで、大変重要な用語になりますので、当記事を最後までご覧ください。

それでは、誰でもわかる素人のための消費税シリーズの13回目「基準期間」始めていきましょう。

この記事を書いた人

元国税調査官(税務署と東京国税局に併せて、14年間勤務)

特に法人調査での経験が長く、機能別調査部門と言われる繁華街担当調査部門、特別調査部門、特命機動調査部門、特別調査情報官部門など多くのセクションで調査事務に従事。また、東京国税局査察部にて査察調査にも従事。

調査事務を経験したことがない方には、わからない情報や手法をお伝えできる範囲で発信して行きたいと思います。

税務はとっつきにくい世界ですが、初心者の方にも解かり易く解説していきます。

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消費税法上の「基準期間」とは

基準期間とは

法人はその事業年度の前々事業年度

例えば、X4年3月期が課税期間の法人の場合、その事業年度の前々年度となるX2年3月期が基準期間となります。

個人事業主は、その年の前々年

例えば、X3年分が課税期間の個人事業主の場合、その年の前々年であるX1年分が基準期間となります。

区分法人個人事業主
通 常その事業年度の前々事業年その年(判定する年)の前々年
前々事業年度が1年未満の場合その事業年度開始の日の2年前の日の前日から、同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間

 

ただし、法人の場合、決算期の変更などで前々事業年度が1年未満である場合があります。

その場合の基準期間は「その事業年度開始の日の2年前の日の前日から、同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間」となります。

ちょっとややこしですよね。

ここで例図を出して、説明させていただきます。

基準期間が設立1期目のケース

まず、例図1は、前々事業年(X1.10.1)に設立した場合の基準期間についてです。

 

当期がX4年3月期(X3.4.1~X4.3.31)だとした場合、基準期間の対象となる事業年は、前々事業年度のX2年3月期(X1.10.1~X2.3.31)ですが、X2年3月期は6か月間であり、1年に満たない事業年度になります。

この場合は基準期間は、当期の開始日(X3.4.1)の2年前の日(X1.4.2)の前日(X1.4.1)から、同日(X1.4.1)以後1年を経過する日(X2.3.31)までに開始した事業年度であるX2年3月期(X1.10.1~X2.3.31)の6か月間となります

基準期間に決算期を変更しているケース

例図2は、前々事業年度で12月決算の法人が、3月決算に決算期変更をした場合です。

当期がX4年3月期(X3.4.1~X4.3.31)だとした場合、基準期間の対象となる事業年度は、前々事業年度のX2年3月期(X2.1.1~X2.3.31)ですが、X2年3月期は3か月間であり、1年に満たない事業年度になります。

この場合の基準期間は、当期の開始日(X3.4.1)の2年前の日(X1.4.2)の前日(X1.4.1)から、同日(X1.4.1)以後1年を経過する日(X2.3.31)までに開始した各事業年度であるX2年3月期(X2.1.1~X2.3.31)の3か月間となります

 

次に例図3は、もともとが9月決算だった法人が、12月決算となり、そのあと3月決算に決算期を変更した場合です。

この例も同じく、当期がX4年3月期(X3.4.1~X4.3.31)だとした場合、基準期間の対象となる事業年度は、前々事業年度のX2年3月期(X2.1.1~X2.3.31)ですが、X2年3月期は3か月間であり、1年に満たない事業年度になります。

この場合の基準期間は、当期の開始日(X3.4.1)の2年前の日(X1.4.2)の前日(X1.4.1)から、同日(X1.4.1)以後1年を経過する日(X2.3.31)までに開始した各事業年度は、X1年12月期(X210.1~X2.12.31)X2年3月期(X2.1.1~X2.3.31)があるため、この二つの事業年の期間を合わせたの6か月間となります。

基準期間は何に使うのか?

消費税法上の「基準期間」とは、どの期間を指すのかは、ご理解頂けたと思います。

しかし、「基準期間」というのは、一体何に使用するものなのでしょうか。

ずばり「基準期間」というのは、判定基準の一つであり、

  1. あなたが、消費税の申告をする必要があるのかどうか(消費税の納税義務の判定)
  2. あなたが、簡易課税制度を使えるのかどうか(簡易課税制度の要件)

を判定するときに使う用語になります。

さあ、どのように使用するのか、一つずつ見ていきましょう。

「基準期間」が判定基準となるもの

1.消費税の納税義務の判定での「基準期間」

消費税法において、「基準期間」が登場するのは、あなたが、消費税の申告をする必要があるかどうかを判定する際に以下のように出てきます。

「基準期間」の課税売上高(※1)が1,000万円を超える場合は、その課税期間(※2)は消費税を納める義務があります。

聞きなれない用語が出てきてますので、以下の通り、内容を簡記してますのでご覧ください。

※1「課税売上高」…

消費税がかかる売上の合計額 + 輸出取引等の免税となる売上の合計額

もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事で解説していますのでご覧ください。

消費税の課税売上高とは|誰でもわかる素人のための消費税12 
消費税を調べていたり、消費税の申告書を作っていると課税売上高という言葉にしばしば出くわすことと思います。時には法人税の申告書を作っているときにも事業概況説明書で出会ったりもします。 課税売上高は消費税を計算する上で超超...

※2「課税期間」…

納付すべき消費税の期間のことであり、

法人は「事業年度」です。 

例えば、令和3年3月が事業年度の場合は、令和2年4月1日~令和3年3月31日が課税期間となります。

個人事業主は「暦年(1月1日から12月31日)」

例えば、令和3年分の課税期間は「令和3年1月1日から令和3年12月31日」となります。

ご覧の通り、「基準期間」はあなたが消費税の申告をする必要があるか、そうでないかを判定する基準の一つであり、大変重要な用語であることがわかると思います。

2.簡易課税制度の要件としての「基準期間 」

次に、「基準期間」が判定基準になっているのは、簡易課税制度を使用して、消費税の申告を行えるかどうかを判定です。

「基準期間」の課税売上高が5,000万円以下の事業者は、簡易課税制度を適用して消費税額を計算することができます。

簡易課税制度の概要(国税庁HP)

簡易課税制度を使うと、消費税の計算がかなり楽になりますし、事業者によっては簡易課税制度を適用して計算した方が納める税額が少なくなる場合もありますので、絶対適用したいという事業者も多数あるかと思います。

その簡易課税の適用の可否を課税売上高によって判定しますので、課税売上高の誤りが税額に直接跳ね返ってくる可能性があります。

まとめ

いかがだったでしょうか?「基準期間」というのは、納税義務の判定や簡易課税制度の要件など消費税の申告を行ううえで、大変重要な用語であることがご理解いただけたと思います。

「基準期間」は原則として、「法人はその事業年度の前々事業年度、個人事業主の場合はその年の前々年」と一度覚えてしまえば、難しいことではありません。しかし、知っているかそうでないかで、消費税を申告する必要があるのに無申告になってしまって加算税を取られてしまうことや、簡単に申告できる制度を使わずに申告してしまうなどのリスクを回避することができます。

税務署は「申告する必要ないですよ。」とか「簡単に申告できる制度があるんですよ。」などは言ってくれませんので、ご自身が税務知識をつけて、損しないようにいきましょう。

これからも、知って損をしない税務知識や税務調査に関する記事を掲載していきますので、どうぞご覧ください。

 

最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。

 

執筆者 ジャパンネクス株式会社 元国税調査官 伊藤 佑馬

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