
いきなりですが、法人税申告書を自分で作るために調べたり聞いたりしていすると、こんな噂を耳にして、不安になったりしていませんか?
法人税の申告書は難しすぎて自分ではとても作れないらしい。
困ったわー創業したてで資金に余裕がないのに税理士に依頼しないといけないのかしらー
あるいは、所得税の確定申告と同じノリで会計ソフトで軽く法人税申告書もできると思っていたが
会計ソフトに法人税の確定申告書の作成機能がないぞー
ないのー!?まじー!?どーしよー
とか、
インターネットで「法人税申告書」のキーワードで検索したところ、
全然有益な情報がない…
法人税の申告書って最低限何を知っていなければならなくて、どうやって作成すればいいのかわからない…
書籍を買ってみても私らのような小規模の会社には何が必要で何が必要でないかすらわからない…
法人税申告書を前にこのようなことで悩んでいる方
安心してください!
この記事を読めば、小規模な中小企業なら法人税申告書を提出するにあたって実務で最低限おさえておくべき知識がわかります!
そして自分でどうやったら法人税の申告書が作成できるようになるかがわかり、実際に法人税の申告書を完成させることができます!
もう法人税の申告書で悩むことはありません!
今回は法人税の申告書について、元国税調査官で税理士の私が初心者向けに自分で申告書を作成したいと考えている方に向けて0からわかりやすく解説していきます。
この記事では、中小規模の法人を対象に解説していきます。
具体的には、資本金(出資金)が1億円以下の一般的な法人向けです。おおむね売上高が1億円以下の小規模な中小企業を対象としています。
これにより中小企業の申告において、実務で知っておくべき事項を重点的にわかりやすく解説することができます。
中小企業が知る必要もない、大企業だけに関係するような難解な解説で頭を悩ませることがないわけですので、構えることなくリラックスして読み進めてもらえればと思います。
最初に断っておきますが、本記事は結構な大作となっています。
読破まで30分はかかるかと思います。
これだけで他の記事とは違うということを理解いただけると思います。
法人税申告書に抜け道はありません。しかし最短の攻略法はお教えできます。ここに紹介している事項は法人の申告にどれも必須の事柄ばかりです。
わかりやすく丁寧に解説していますので、じっくり攻略していってください。
法人が行う確定申告は、国に提出する法人税に関するものと、地方自治体に提出する地方税に関するものの2パターンがありますが、この記事で取り扱うテーマは、法人税の確定申告で提出する法人税の申告書になります。
法人に必須の確定申告の種類
| 提出先 | 税目 |
|---|---|
| 税務署(国) | 法人税 |
| 県税事務所(都道府県) | 道府県民税と事業税 |
| 役所(市町村) | 市町村民税 |
法人税の申告書とはそもそもどういうものか、という概要から始めていきましょう。
目次
1 法人税申告書とは 〜法人税申告書の概要〜

法人の場合は、法人税法で次のように申告書を税務署に提出する規定されています。
法人税法(第74条)
内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。
「事業年度」とは、法人の財産と損益の計算の単位となる期間(=会計期間)をいい、1年以内の期間をいいます。
この規定はつまりこのようなことを言っています。
法人はこのように確定申告が義務付けられています。
例えば、会計年度の終了日が令和4年3月31日の法人の場合は、令和4年5月31日までに税務署に確定申告書を提出する必要があるわけです。
そして確定申告は、原則決められた様式により行うことが法人税法で規定されています。
これが法人税の申告書ということになるのですが、具体的にどのような書類を法人税の申告書として提出しなければならないか。
それを詳しく見ていくことにしましょう。
1-1 法人税申告書の構成
法人税の申告書として提出すべき書類は、どのような構成となっているか、から確認していきましょう。
法人税の申告書は、別表と添付書類で構成されています。
次の図をご覧ください。

※適用額明細書は該当がなければ提出の必要なし。(詳細は後述)
このように法人税の申告書は2つのパートで構成されています。
それに4種類の添付書類を作成して併せて提出することになっている。
そしてこれらの書類をやみくもに作成するというのはコンパスを持たずに大海へ出るようなものです。
これらの書類は、作成する手順が決まっています。
どのような順番で作成していくのが効率的かを説明します。
1-2 法人税申告書と添付書類の作成手順
まず、法人税申告書と添付書類の作成手順をイメージで解説します。

ちなみに消費税の申告が必要な場合は、STEP1の次に消費税の申告書を作成し、納付すべき消費税の金額がわかったら、その金額を未払消費税として仮決算書に反映させてからSTEP2に移ることになります。
- STEP1 確定申告で納付すべき金額以外のすべての取引を経理し終わった仮決算書をまず作成する。
- STEP2 この仮決算書に基づいて法人税の別表を完成させる。(地方税の申告も完成させる)
- STEP3 確定申告で納付すべき金額として確定した法人税、住民税及び事業税の額を決算に反映させて決算書を完成させます。
勘定科目内訳書は、STEP1の段階でそのほとんどを完成させることができますが、STEP2が完了しないと記載できない箇所があります。法人事業概況説明書は、決算書の内容を記載する部分があるため、STEP3で決算書が完成しないと記載できない箇所があります。
最初にこれらの書類を小規模の法人であれば、自分で作成できることを強く言っておきますが、その中でも難易度を個人的に評価してみようと思います。
| 法人税申告書類 | 難易度 |
|---|---|
| 決算書 | 6(会計ソフトを使えば) |
| 別表 | 8 |
| 勘定科目内訳明細書 | 5 |
| 法人事業概況説明書 | 4 |
| 適用額明細書 | 3 |
別表以外は、法人税法の知識が必要な部分はほとんどありませんので、本丸はやはり別表です。
でも攻略するコツがあるので心配いりません。
それでは、各STEPについてもう少し詳しくみていくことにしましょう。
まずは、STEP1の仮決算書の作成からです。
STEP1 仮決算書の作成
STEP1としてあげている仮決算書とは、具体的には次の3つを指しています。
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 販売費及び一般管理費の内訳書
これ以外にも株主資本等変動計算書と個別注記表がありますが、これは後に回してSTEP3の段階で作成するでも構いません。
「仮」といっているのは、今期の確定申告で納付すべき法人税等の金額は、確定申告書(つまり別表)を完成させないと通常はわからないからです。(赤字の場合は、地方税の均等割だけだと経験があるとわかるかもしれませんが。)
最後の確定申告で確定した納付すべき未払法人税等の金額がわからないと損益計算書が完成できず、そうすると他の貸借対照表や株主資本等変動計算書を完成させることができません。そういう意味で、「仮の決算書」をこの段階ではまず完成させます。
仮決算書とは、確定申告で確定する納付すべき未払法人税等の金額以外の仕訳の登録がすべて終わった状態の決算書をいいます。
法人税申告書を完成させるSTEPとして一番最初にしなければならないことがこの仮決算書の作成です。
この仮決算書が完成して初めて法人税の別表の作成に入ることができるのです。
消費税の申告が必要な場合は、STEP1の次に消費税の申告書を作成し、納付すべき消費税の金額がわかったら、その金額を未払消費税として仮決算書に反映させてからSTEP2に移ることになります。
決算書がどういった書類かといった決算書の具体的な解説は後述します。
STEP2 別表の作成
先ほど挙げた法人税法74条で「確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。」とありました。
法人税法(第74条)
内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。
まず法人は決算書を作成し、それに基づいて、この別表を使って所得金額や法人税額等を計算していきます。
別表がどういった書類でどのように作成するかといった詳細な解説は後述します。
このSTEP2と3の間には、地方税の申告書の作成も実はあります。
地方税(道府県民税、事業税と市町村民税)は、法人税の申告書に基づいて作成することになります。今回は法人税の申告書であるため説明は割愛します。
この法人税と地方税の申告書が完成すると今期の確定申告で確定した納付すべき未払法人税等(未払いの「法人税、住民税及び事業税」)の金額が確定します。
これらの金額が確定した段階でSTEP3に移ります。
STEP3 決算書の完成
STEP3までの段階で、今期納付すべき未払法人税等が確定しますので、その決算仕訳を帳簿に登録し、決算に反映することで、決算書が完全にでき上がります。
(決算仕訳例)
| 日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 決算期末日 | 法人税、住民税及び事業税 | 300,000 | 未払法人税等 | 300,000 |
これにより損益計算書で、「法人税、住民税及び事業税」の金額が確定するので、税引後当期純利益が確定します。

税引後当期純利益が確定することにより貸借対照表と株主資本等変動計算書も確定させることができるので、晴れて決算書を確定させることができます。
法人税申告書(別表)と決算書が完成したら、決算書以外の添付書類を完成させます。
添付書類の作成
決算書以外の次の添付書類は、STEP1からSTEP3のどこかで完成させます。
- 勘定科目内訳明細書
- 法人事業概況説明書
- 適用額明細書
どこかというのは、ここと明確に言えないからです。
勘定科目内訳明細書について
勘定科目内訳明細書は仮決算書を作成した段階で作成するのが一般的です。
勘定科目内訳明細書を作成していて決算の誤りに気づいたりすることも往々にしてありますので、誤りがあれば直すという作業を繰り返します。
STEP2で法人税の申告書と地方税の申告書が作成し終わって初めて完成する内訳書も場合によってはありますので、いつ完成するかは、その法人の申告内容や状況によって変わってきます。
法人事業概況説明書について
法人事業概況概況書は、仮決算書ができあがったときにほとんど完成させることができますが、決算書の内容を記載する部分があり、決算が確定していないと埋められない箇所がわずかにありますので、完成はSTEP3の完成を待つことになります。
適用額明細書について
適用額明細書は、法人が税額控除や特別償却等の法人税関係特別措置の適用を受ける場合に、その租税特別措置法の条項、適用額その他の事項を記載して、法人税申告書に添付して提出する書類です。
これらの特別措置の適用がなければ添付の必要はありません。
特別措置の適用がある場合は、STEP2の別表の作成のうち、特別措置の適用がある部分の作成が済んでいる段階でないと完成させることができません。
ここまでで、法人税の申告書がどういった構成となっていて、どういった工程で作成していくものかをなんとなくのイメージいただけたかと思います。
続いて、これまで説明してきた別表と添付書類がどういった書類なのか「??」という方も多数いるかと思いますので、これらを具体的にみていき、理解を深めていきたいと思います。
まずは法人税の申告書である別表からです。
法人税の計算を行う別表とはどのようなものなのでしょうか。
1-3 法人税の別表とは
法人の別表とはどのようなものか?
どのような役割があるのでしょうか。
1-3-1 法人税の別表の役割
別表の役割を一言で表現すると次のように言えるでしょう。
別表の役割
企業会計の当期利益に基づいて法人税の計算を反映させて所得金額を算出し、最終的に法人税額を算出するための計算書
つまり、別表によって種々の計算を行なって最終的には納付すべき法人税額を算出するということです。
どういうことか詳しく見ていきましょう。
冒頭で法人税の別表は1〜18まであるとお伝えしました。
実は、この18種類の中でも、別表6の2(17)というように枝分かれしており、トータルすると300枚以上の別表が存在します。
次の国税庁の法人税の様式を公開しているページに一度アクセスしてもらうとすぐにそのボリュームがどれほどのもかおわかりになるかと思います。
令和4年4月以降に提供した法人税等各種別表関係(令和4年4月1日以後終了事業年度等又は連結事業年度等分)
なぜこんなに別表が存在するのでしょうか?
決算で当期純利益が計算されているのだから、その利益に一定の税率をかけて税額を算出すればいいじゃないか。
例えば、「税引前当期純利益1,000,000円 × 20% = 200,000円」というように。
このようになっていれば簡単ですね。
しかしながらそうはなっていません。
それはなぜか。
それは、企業会計と法人税法はその目的が異なっているからです。
それぞれの目的は次のようになっています。
| 企業会計の主な目的 | 法人税法の主な目的 |
|---|---|
| 正しい経営成績と財産状態の開示 | 課税の公平や適正な税負担 |
法人税法の規定は、課税の公平や適正な税負担等を目的として定められています。
企業会計は正しい経営成績と財産状態を開示することを目的としています。
この両者の違いにより利益を算出する計算式まで異なっているのです。
| 企業会計の利益の計算式 | 法人税法の所得の計算式 |
|---|---|
| 収益 ー 費用 = 利益 | 益金 ー 損金 = 所得金額 |
益金?損金?
所得金額ってなんだ??
納付すべき法人税額の計算は、次のように計算します。
所得金額 × 税率 = 法人税額
まずここでおさえてほしいのは、所得金額に税率をかけると法人税額が算出されるという点です。
つまり、法人税法では税額を計算するために所得金額を算出したい!という点が重要です。
所得金額さえ算出できれば、あとは税率をかければ法人税額が計算できるからです。
では、企業会計の利益と法人税法の所得金額が全然違うものかというとそうではありません。
法人税法の所得金額は、法人税法で特に規定がないかぎり、企業会計に基づいて算出された利益を採用するものと規定されています。
法人税法の規定では益金と損金は「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」によって計算されるものとしています。(法人税法第22条第4項)
税法の表現としては、「当該事業年度の収益の額及び損金の額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。」と規定されています。
要するに、基本的には企業会計の利益を法人税の所得計算のベースにするんだけど、それをそのまま「当期純利益=法人税法の所得金額」にはしないよという作りになっています。
少しわかりづらいと思いますので例を出して考えてみることにしましょう。
ある会社が決算期終了日が近づいてきて企業会計に基づいた利益を試算しました。
利益が大きく出ることが予想されました。
このままでは法人税を多く課せられてしまうと考え、決算期末に役員に賞与を支給して法人税を少なくしようと考えました。
| 当初営業利益 | 10,000,000 |
|---|---|
| 役員賞与 | 6,000,000 |
| 営業利益 | 4,000,000 |
これは企業会計上は何ら問題がありません。しかしながら法人税法では利益を調整して法人税を少なくされることを嫌います。
そのため役員賞与に法人税法で規定を設けて、損金にするのに条件をつけよう、という考え方が出てくるわけです。それはずるい、不公平だ、だから規制しよう!ということです。事前に税務署に賞与の金額を届け出た金額だけ損金に認めようといった規定が実際にあります。
会計上は費用だけど、法人税法上は費用(損金)にはしないぞ、となるわけです。(ズルできないものは、企業会計で計算したものをそのままでいいよ。)
このように企業会計上は費用だけど、法人税法上は損金としないことを「損金に算入しない=損金不算入」と呼びます。
損金不算入とは、会社計算(決算書)上では費用だけど、法人税を計算する場合は、損金にはならないということを意味します。
逆に法人税法上も費用とすることを「損金に算入する=損金算入」と呼びます。
これらの言葉を覚えておくと、法人税法について書かれた記事や書籍を読みやすくなるので後々役立つと思います。ここで覚えてしまいましょう。
反対に企業会計上は収益だけど法人税法上の益金にしないという「益金不算入」といい、企業会計上は収益だではないけど法人税法上の益金にするという「益金算入」といいます。(「益金算入」と「益金不算入」は、「損金算入」と「損金不算入」に比べるとあまり目にする機会は多くありません。)
法人税法のスタンスは、基本的には企業会計で計算した当期純利益を採用するが、税の公平性を確保するために法人税法で損金不算入や益金算入等で調整をいれて所得金額を計算するよというものです。
そして最後に所得金額に税率をかけて法人税額を計算します。
この法人税法で企業会計の当期利益に調整を入れるというところで、別表の登場です。
ここで別表が本領を発揮するわけです。
具体的に別表をつかってどのように調整を入れるかを確認してみましょう。
別表15(交際費等の損金算入に関する明細書)という別表があります。
法人税法では、大まかに資本金1億円以下の法人は年間800万円までは交際費の支出は損金(法人税法上の費用)として認められるという規定になっています。
つまり、年間800万円を超える金額は、企業会計上は費用だけど、法人税法では費用として認めない(=損金不算入)ということになっています。
この計算を別表15で行います。下の図を見てください。

簡略化すると次のような計算を行っています。
| 別表15の欄の名称 | 欄の数字 | 金額 | 欄の意味 |
|---|---|---|---|
| 支出交際費等の額 | ⑴ | 9,000,000 | 企業会計上交際費として経理した金額 |
| 損金算入限度額 | ⑷ | 8,000,000 | 損金に算入してよい金額 |
| 損金不算入額 | ⑸ | 1,000,000 | ⑴ – ⑷(9,000,000 – 8,000,000) |
別表15では、⑴欄に企業会計上「交際費」として経理した金額を記載し、⑷欄で損金に算入してよい金額を計算し、最後の⑸欄で損金とならない金額を計算しています。
この例では1,000,000の金額が損金不算入となっています。例えば、企業会計上の当期純利益が10,000,000であったとします。
所得金額は次のように算出されます。
当期純利益 + 損金不算入額 = 所得金額
今回の例では、「10,000,000(当期純利益) + 1,000,000(損金不算入) = 11,000,000(所得金額)」このように所得金額が求められます。
このようなことから冒頭お伝えしたように別表の役割を次のように表現できるわけです。
別表の役割
企業会計の当期利益に基づいて法人税の計算を反映させて所得金額を算出し、最終的に法人税額を算出するための計算書
1-3-2 代表的な法人税別表
でも300種類もある別表を使って自分で法人税の申告書なんてできるわけなくない?
絶対無理ゲーだよー
そう思いますよね。でもそんなこと全然ないんです。
中小企業に絞ってしまえば、実は必須の別表は5枚で、取引や利益の金額によって数枚増える程度で、ほとんどの中小企業で使用する別表は10枚以下だったりします。あとはほとんど大企業の複雑な計算に必要な別表なので、中小企業にはほぼ無関係なのです。
ここで参考までに中小企業に使用する代表的な別表を少し多めに一覧でお示しします。
中小企業が使用する代表的な法人税別表一覧
| 別表 | 別表名称(リンクは国税庁の様式へジャンプ) |
|---|---|
| 別表1(必須) | 各事業年度の所得に係る申告書 |
| 別表1次葉(必須) | 各事業年度の所得に係る申告書(次葉) |
| 別表2(頻度高) | 同族会社等の判定に関する明細書 |
| 別表4(必須) | 所得の金額の計算に関する明細書(簡易様式) |
| 別表5(1)(必須) | 利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書 |
| 別表5(2)(必須) | 租税公課の納付状況等に関する明細書 |
| 別表6⑴ | 所得税額の控除に関する明細書 |
| 別表7⑴(頻度高) | 欠損金又は災害損失金の損金算入等に関する明細書 |
| 別表8⑴ | 受取配当等の益金不算入に関する明細書 |
| 別表11⑴ | 個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書 |
| 別表11(1-2) | 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書 |
| 別表14⑵ | 寄附金の損金算入に関する明細書 |
| 別表15(頻度高) | 交際費等の損金算入に関する明細書 |
| 別表16⑴ | 旧定額法又は定額法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書 |
| 別表16⑵(頻度高) | 旧定率法又は定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書 |
| 別表16⑹ | 繰延資産の償却額の計算に関する明細書 |
| 別表16⑺(頻度高) | 少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書 |
| 別表16⑻ | 一括償却資産の損金算入に関する明細書 |
中小企業が使用しうる別表をこれでも多めに紹介しています。このうち半分以上の別表を使用しないという会社も数多く存在します。
後でこれらの申告書の中から必要なものを選別する方法やその申告書の書き方をやさしく詳しく解説します。
中小企業の申告書であれば、このとおり書けば、個人の所得税の申告書より少し面倒な程度で誰でも必ず法人税の申告書を作れますよ。
誰でも書けるんだー 安心した!
考えてみれば、誰でも法人税の申告書が書けなければ、税理士を雇えない法人は、誰も申告書を提出できなくなってしまうかー。申告納税制度自体成立しなくなっちゃうよね。
別表の解説の最後に法人税の税率を確認しておきましょう。
1-3-3 法人税の税率
資本金1億円以下の中小企業の税率は原則次のように規定されています。
中小企業の法人税と地方法人税の税率
【法人税率】
| 年800万円以下の所得金額に対して | 15% |
| 年800万円超の所得金額に対して | 23.2% |
【地方法人税率】
法人税額の10.3%
法人が税務署に納める税金には正確には2種類あり、法人税を算出した後にその法人税額に税率をかけて計算する地方法人税というものもあります。
続いては、添付書類として紹介した法人税の申告書に添付しなければならないこととなっている書類について詳しく見ていくことにしましょう。
1-4 法人税の申告書の添付書類とは
中小企業が提出を求められる添付書類は次の4つです。
法人税申告書の添付書類一覧
- 勘定科目内訳明細書
- 法人事業概況説明書
- 決算書
- 適用額明細書(該当がある場合のみ)
一つ一つみていくことにしましょう。
まずは勘定科目内訳明細書から見ていくことにしましょう。
1-4-1 勘定科目内訳明細書とは
勘定科目内訳明細書とは、その名称にあるとおり、決算書にある勘定科目の残高について、その内訳を示すための16種類からなる書類です。
勘定科目内訳明細書の様式はこちら(国税庁提供)
具体例を見ると勘定科目内訳明細書の性質がわかりやすいと思います。
次の書類は、勘定科目内訳明細書の一つ「売掛金(未収入金)の内訳書」の記載例です。

科目ごとに、その残高を取引先ごとにその明細を明らかにしています。
貸借対照表に売掛金7,060,000と載っていたとしても、それが1社の売掛金か10社分の売掛金かわかりません。
勘定科目内訳明細書にすると、取引先ごとに残高が示されるので、どのような会社が得意先なのかもわかります。
税務署や金融機関にとっては、有用な情報となります。
勘定科目内訳明細書には作成の基本というものがあります。
基本的には決算書の内容についてその明細を回答していく形になります。
「売掛金(未収入金)の内訳書」を例に記載方法をみていくことにしましょう。
法人に「売掛金」と「未収入金」に残高がある場合は、それを取引先ごとにその残高の明細を記載します。
貸借対照表を見てみましょう。
売掛金に7,060,000の残高があり、未収入金に332,000の残高があります。
したがって「売掛金(未収入金)の内訳書」を作成する必要があります。
会計帳簿の補助元帳を参照するなどしてこの残高について取引先ごとに集計して、取引先別に1行1行「売掛金(未収入金)の内訳書」に転記していきます。
| 科目 | 相手先 | 期末現在高 |
|---|---|---|
| 売掛金 | あいうえお株式会社 | 6,480,000 |
| 売掛金 | 合同会社ABC | 580,000 |
| (売掛金合計) | 7,060,000 | |
| 未収入金 | 千代田興業株式会社 | 332,000 |
貸借対照表の売掛金の残高7,060,000と未収入金に332,000と一致します。

このように勘定科目内訳明細書によって、貸借対照表や損益計算書の残高を取引先ごとの内訳を示すことで、決算書だけではわからない、その法人の取引先を知ることもでき、その法人の取引内容をより詳しく把握することができます。
勘定科目内訳明細書については、次の記事で詳しく解説しています。書き方の基本や16種類のすべての記載例が掲載されており、税務署がどのようにこの書類を見ているかや効率的に作成する方法等、勘定科目内訳明細書を0から実務で必要なすべてが把握できるようになっています。
勘定科目内訳明細書を書き上げるのに特別必要な難しい知識というものはありませんので、次の記事で書き方と記載例を参照しながら十分自分の力で書き上げることができます!
続いて法人事業概況説明書について解説します。
1-4-2 法人事業概況説明書とは
法人事業概況説明書は、表裏2枚で構成されています。
この書類も文字どおりその法人の事業の概況を説明するもので、事業内容や支店の状況、従業員数、代表者との取引状況や帳簿の備え付けの状況等々について回答する書類です。
まずは、法人事業概況説明書の記載例を見てみることにしましょう。
法人事業概況説明書(表)

法人事業概況説明書の表側の前段では、法人名、法人番号、事業年度、事業内容、支店や子会社について説明、従業員の状況、PC利用状況や経理の状況等その法人の概略についての説明と、代表者の親族がどれくらい法人に関与しているかといった細かいところまで説明を求められています。
後段では、決算の主たる科目の説明がメインで求められており、最後に同族会社特有の代表者との取引についても説明を求められています。
法人事業概況説明書(裏)

法人事業概況説明書の裏面の上段では、事業形態や主な設備等の状況等会社を取り巻く環境や、決済日等の状況や帳簿類の備付状況、税理士の関与状況など税務調査の際に必ず確認する必要のある事項の説明が求められています。
下段では、月別の売上高等の状況の説明が求められ、これも各月で異常値がないかなど、税務調査の際に参考とされる部分です。最後に当期の営業成績の概要の説明が求められています。
法人事業概況説明書の様式と書き方(令和3年4月1日以後終了事業年度分)については、国税庁が公表しているこちらのページから入手できます。
この法人事業概況説明書はOCRとなっていることから容易に予想されるように、記載内容を国税庁は読み込みデータベース化しています。
このデータを活用して、前期との比較、勘定科目の残高に異常値がないか、や同業種との比較などを検討して調査先を決定する資料としています。
また、調査に訪れた際に法人の事業の概況を聞くところから始めるわけですが、この法人事業概況説明書に記載のある事項は聞かなくていいわけですので、確認する事項を一から聞き取る必要がなく、お互いに労力を省略できるという利点もあります。
法人事業概況説明書の具体的な書き方などもっと詳しく知りたい場合は、次の記事をご参照ください。
この法人事業概況説明書も、書き上げるのに特別必要な知識は必要ありません。次の記事で書き方を参照しながらであれば、十分自分の力で書き上げられます!そんなに難しい書類ではありませんので、安心してください。
続いては、決算書について詳しく解説します。
1-4-3 決算書とは
決算書とは、法人の一会計年度の経営成績や財務状態を表した書類のことです。
法人税の申告書に添付の必要な決算書の種類は基本的には次の4つです。
法人税の申告書に添付の必要な決算書
- 貸借対照表
- 損益計算書(販売費及び一般管理費の内訳書を含む)
- 株主資本等変動計算書(若しくは社員資本等変動計算書又は損益金の処分表)
- (個別注記表)
これらの書類を一つ一つみていきましょう。
貸借対照表とは
貸借対照表とは、決算日時点の財政状態を表す書類です。
次のサンプルのように「資産」、「負債」、「純資産」に各勘定科目を分類し、その残高を一覧にしたものです。

(出典:中小企業庁 「中小会計要領」の手引き)
決算日時点でどれくらいの資産があり、どれくらいの負債があり、どれくらいの純資産があるかを一覧で把握することができます。
資産とは、簡単にいうと会社にある財産です。現金、預金などのキャッシュ、そして売掛金などの債権、建物や車両、機械等の固定資産がそれにあたります。
負債とは、買掛金等の支払い債務や借入金などの返済義務のあるものをいいます。
純資産は、「資産 ー 負債 = 純資産」という算式で求めることができます。
つまり、法人が持っている全資産から全債務を引いた残額ということなので、法人に帰属する純額の資産です。
株主からの出資金と利益の貯蓄額で構成されています。
損益計算書とは
損益計算書とは、法人の一会計年度の経営成績を表す書類です。
収益から費用を差し引き最終的な利益を算出します。

(出典:中小企業庁 「中小会計要領」の手引き)
今年度において、どのような収入がどれくらいあって、どれくらいの費用がかかって、最終的にどれくらいの利益または損失が出たかというその要因を確認することができます。
なお、販売費及び一般管理費は、別途内訳書として損益計算書と切り離される場合も往々にしてあります。
株主資本等変動計算書とは
株主資本等変動計算書とは、貸借対照表の純資産の部のうち株主に帰属する株主資本がどのような要因で増えたり減ったりしたのかを報告するための書類です。
(出典:中小企業庁 「中小会計要領」の手引き)
例えば、資本金は当期首(会計年度開始時点)の段階で5,000あったものが、新株発行により1,000増えて、当期末(会計年度末時点)では6,000になっている。というように株主資本がどのような要因で増減したかが株主資本変動計算書により把握することができます。
中小企業では株主資本のうち繰越利益剰余金は当期純利益分変動しますので、必ず変動がある項目ですが、その他の項目の多くは変動することは少ない傾向にあります。
また、株主資本等変動計算書の形式には、このサンプル例のように横の形式のものと、それとは異なった縦の形式のものと2パターンあります。どちらの形式でも構いません。
個別注記表とは
個別注記表は、貸借対照表、損益計算書及び株主資本等変動計算書が表現する会社の財産又は損益の状態を正確に判断するために必要な事項を表明する役割を担っています。
どのような会計基準に則って経理しているかといったことを中心に記載します。
具体例をみてみましょう。

(出典:中小企業庁 「中小会計要領」の手引き)
法人税法には、実は個別注記表を添付書類として提出するように明記されてはいませんが、企業会計では個別注記表は決算書として重要な役割を担っていますので、実務では法人税の申告書に添付して提出される例が多いのが実態です。
元国税調査官の私の経験では税務署の現場で個別注記表がないからといって提出をお願いすることはありませんでしたし、今もしていないでしょう。
しかしながら多くの会社は添付していましたし、国税庁の運用するe-Taxソフトでも添付が可能となっており、会社法でも作成が義務付けられている書類で、決算書を構成している書類であることからも提出するべきだと言えるでしょう。
次に、これらの決算書をどのように作成するのかという点に着目して解説していきます。
決算書の作成方法
⑴ 会計ソフトを利用しよう
貸借対照表、損益計算書そして株主資本等変動計算書については、日々の仕訳帳に登録された内容を勘定科目ごとに集計して完成するものであり、それぞれの書類が連動しているため、これを会計の知識が乏しい方が自力で集計して作成するというのは至難の業だと思われます。エクセルを利用してもかなり難しいと言えるでしょう。
自力で作成したいという方は、会計ソフトを利用することをおすすめします。
会計ソフトを使用せずに法人の決算書を作成するというのは、かなりの苦行を強いられると思いますので、ある程度のコストはかかりますが、それに見合ったものを手にできるかと思います。
⑵ フォーマット等を利用して自分で作成しよう
個別注記表については、会計ソフトを利用しても自動で計算されるものではないので、一定の知識が必要になります。
実は、文言はおおむね決まっており、自社に関係あるものに関する定型文をコピペすれば、そんなに難しくなく作成できます。
その素材を見つければいいというのが唯一の解決策と言えるでしょう。
次の記事に書き方が丁寧にわかりやすく記載されており、フォーマットも用意されていますので、容易に作成できると思います。是非ご活用ください。
それでは、添付書類の最後、適用額明細書について詳しくみていきましょう。
1-4-4 適用額明細書とは
法人税の税額や、所得金額を少なくする租税特別措置の特例を適用する場合には、必ず適用額明細書を作成し、添付しなければならないと決められています。
適用額明細書には、法人税額や所得金額を少なくする特例(法人税関係特別措置)を適用した場合に、その法人が適用した特例を一覧にして明示するという役割があります。
適用額明細書の記載例をみてみましょう。

どの特別措置法を適用して、いくら分が適用されているかというのを一覧で表示します。
適用額明細書の添付が必要な特例の中で、中小企業が実務で適用する代表的なものは以下の2つです。
- 中小企業者等の法人税率の特例
- 少額減価償却資産の取得価格の損金算入の特例
この2つの特例で中小企業が適用する特別措置の90%以上を占めるといっても過言ではないほど頻出します。
「中小企業者等の法人税率の特例」とは、中小企業者等の法人税率は、年800万円以下の所得金額について19%に軽減されていますが、租税特別措置で更に15%まで軽減されています。
黒字の場合は、必ずこの15%で計算するので、必ず適用することになり、適用額明細書に記載する必要があります。
一見難しそうですが、中小企業で適用される特別措置は大体決まっていて、さらに書き方のルールが決まっているので、この書類も次の記事で書き方を確認してもらえれば難なく完成させることができます。
ほとんどの中小企業が多くて2つといったところです。
ここまでの解説で、法人税申告書(別表)とその添付書類というのはどのようなものを提出しなければならないかを理解いただけたと思います。
続いては、実務でそれらの書類を作成して提出する段階で知っておくべきことを解説します。
1-5 法人税申告書の提出
法人税の申告書を提出する段階で知っておくべきことを解説していきます。
まずは法人税申告書の提出先から確認していきましょう。
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