
データで受け取った領収書が紙で保存できなくなるって知ってる?
電子帳簿保存法ってやつが改正されて、事業をやってる人はみんな対象らしいよ。
あ、それ最近聞いた。よく知らないけど。
でも私は、請求書は紙で郵送してるし、私には関係ないと思うんだけど…
備品をAmazonで購入したりしてない?
あれも領収書をダウンロードするから、該当するらしいよ。
コピー用紙買ったり、書籍買ったりしてるわ。
Amazonも入るんだー
Amazonの領収書が紙での保存がダメならどうすればいいのかしら?
それは、タイムスタンプを押したり、金額なんかで検索できるようにしたりしなきゃいけなくて…
それで…削除できないシステムが…う…あ…
実は俺もわかんない。
電子帳簿保存法が改正されて、2022年1月から領収書等の電子取引データを電子的にやり取りした場合は、すべての事業者が、例外なく電子データのまま保存することが義務化されました。
詳細はこちらをご覧ください。
そして表面的な話ではなく、実務に即してわかりやすく解説していきます。
領収書等の電子取引データをやり取りした場合は、紙ではなくそのまま電子的に保存することが義務化されたということはだいぶ認知されてきているように思います。
事業を営んでいる法人や個人事業主がすべて対象ということで、世の中に与える影響はかなり大きいと言えます。
Amazonは、備品、事務用品や書籍の調達でかなり多くの方が利用していますので、この電子帳簿保存法の改正でそれだけ多くの人が関わってくるものだと思い、Amazonの領収書を電子保存するところを切り口にこの制度がどういうもので、どのように対処すべきかまで掘り下げて解説していきたいと思います。
では、この記事の主題であるAmazonからダウンロードできる領収書は、そもそもこの電子帳簿保存法で義務化される電子保存の対象データなのかというところから始めていきましょう。
目次
1 Amazonの領収書は義務化された電子保存の対象か
Amazonの注文履歴から出力できる領収書は電子帳簿保存法で電子保存が義務化された対象なのでしょうか?
結論から言うと、「Yes!」です。
Amazonからダウンロードできる領収書は、義務化された電子取引データの電子保存の対象です。
それを理解する上で、まず、この電子帳簿保存法による電子取引データの電子保存の義務化というものがどういうものかを確認しておきましょう。
電子取引データの電子保存の義務化とは?
① 事業を営んでいる個人事業主、法人は、例外なく
② 2022年1月(やむを得ない場合は、2024年1月)から
③ 領収書や請求書等をメールやシステムで電子的に受領(交付)した場合は、
④ そのまま電子的に保存しなければならない。(紙で出力して保存は)
⑤ そして保存の仕方に一定の要件がある。
概略はこのようになっています。
③の「領収書や請求書等をメールやシステムで電子的に受領(交付)した場合」の中にAmazonや楽天といったASPからモノを購入し、そのサイトから領収書等をダウンロードするケースが該当します。
したがってAmazonの領収書等の電子取引データは、④電子的に保存しなければならない対象となっています。
そしてそれは、⑤にあるととおり、電子帳簿保存法に規定された一定の要件の下で、電子保存する必要があります。
この「電子帳簿保存法に規定された一定の要件の下で」保存する。
これがみなさんが解決していかなければならない最大の課題です。
それでは、Amazonの領収書はどのように電子保存すればいいかをわかりやすく解説していきます。
2 Amazonの領収書をどのように電子保存すればいいのか
それでは、電子帳簿保存法にしたがってAmazonの領収書はどのように電子保存すれば良いのでしょうか?
結論を言うと次のように表現できます。
電子帳簿保存法で義務化された電子取引データの電子保存を理解すると、このような結論に至ります。
なぜこのような結論になるかを順を追って確認していきましょう。
この経緯を辿ることで、Amazonの領収書の電子保存だけでなく、義務化された電子取引データの電子保存のすべてを理解することができます。
少し長くなりますが、丁寧に解説していきます。
電子帳簿保存法では、義務化された領収書等の電子取引データを電子保存するために、次の3つの要件を満たすことを求めています。
- コンピュータ、ディスプレイとプリンタの備え付け
- 不正な改ざん防止策を講じる
- 検索機能の確保
1つ目の「コンピュータ、ディスプレイとプリンタの備え付け」は、税務調査のときに調査官が電子保存された電子取引データを確認する必要があるために、これらの備え付けが求められています。
これは、単にこれらのデバイスを用意すればいいので、問題ないと思います。
なければ購入するしかありませんが、購入すればこの要件は満たすことになります。
2つ目の「不正な改ざん防止策を講じる」については、PDFの領収書などの電子取引データは改ざんが容易で、しかも改ざんが行われたものかどうかの判断が難しいため、改ざんを防止する対策を講じることが求められています。
3つ目の「検索機能の確保」については、ある電子取引データを確認したいとなったときにそれを例えば取引先名や金額、日付で検索してすぐに見つけられるようにすることが求められます。
これは、税務調査の際に、確認が必要な請求書や領収書等の電子取引データを容易に検索でき、すぐに確認できるようにすることが目的です。
Amazonサイトからダウンロードできる領収書等についても、この3つの要件を満たす必要があります。
それでは、1つ目の要件は説明するまでもありませんので、まず2つ目の「不正な改ざん防止策を講じる」という要件について、詳しく見ていくことにしましょう。
2-1 どのような改ざん防止策を講じればいいのか
Amazonからダウンロードできる領収書データをどのような改ざん防止策を講じつつ保存すればいいのか。
主に次の2つのいずれかの方法により改ざん防止策を講じることをおすすめします。
- データの訂正削除を行った場合にその記録が残る又は訂正削除ができないシステムを利用して電子取引データをやりとりする
- 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け
なぜなら、この2つの方法を採用することが、実務では合理的と考えられるからです。
電子帳簿保存法では、次の4つの改ざん防止策のいずれかを講じることを求めているのですが、
- データの訂正削除を行った場合にその記録が残る又は訂正削除ができないシステムを利用して電子取引データをやりとりする
- 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け
- タイムスタンプが付与された後に電子取引データをやりとりする
- 7営業日以内に(又は最長2ヶ月+7営業日以内に)タイムスタンプを付す ※ 括弧書の取扱いは、取引情報の授受からタイムスタンプを付すまでの各事務の処理に関する規程を定めている場合に限る。(超難関)
1つ1つ具体的に1つ目、2つ目の要件を採用するに至る理由も含めて詳しく見ていきましょう。
1つ目の「データの訂正削除を行った場合にその記録が残る又は訂正削除ができないシステムを利用して電子取引データをやりとりする」については、2つの方法が存在します。
- Amazonのシステム自体がこれに該当するので何もする必要がない
- クラウド会計と連携する方法
まず1つ目の「Amazonのシステム自体がこれに該当するので何もする必要がない」について、解説します。
Amazonの領収書は購買記録であるため、ユーザーがAmazonの「注文履歴」に表示されている内容を削除したり、訂正したりできません。
したがって、訂正削除ができないシステムであるAmazon内で領収書等の電子取引データがやりとりされているので、Amazonを使っているだけで電子帳簿保存法の要件を満たします。
Amazonサイトにデータが保存されているだけで要件を満たすので、何もする必要がないのです。
2つ目の「クラウド会計と連携する方法」については、クラウド会計ソフトなどに代表される銀行口座やクレジットカードの明細等のデータを取り込むことができるサービスがありますが、そのシステムが「訂正削除を行った場合にその記録が残る又は訂正削除ができないシステム」になっていれば、これもこの方法の代表例となります。
したがってAmazonの取引を、訂正削除を行った場合にその記録が残る又は訂正削除ができないシステムであるクラウド会計ソフトに連携できれば、その会計ソフトに保存されていれば、OKということになります。
この方法であればクラウド会計で取引を取り込んで帳簿付けをしている日々の作業をしていれば、それで電子帳簿保存法の改ざん防止策を講じる要件を満たすので、こちらも手間いらずと言えます。
2つ目の「訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け」、他の3つの要件を満たしていないケースで利用できるもので、これが誰でも必ず対応することができる要件となっています。
事業者の全員が対応しなければならないにもかかわらず、その対応が難しかったら大混乱ですよね。
そのため、税務当局は誰でもできる方法を用意しているのです。
それがこの2つ目の要件です。
誰でもできると言っている理由は、実は、国税庁がこの事務処理規程のサンプルを用意しているので、それをダウンロードして会社名などの変更が必要なところだけ変更すれば、それで完了だからです。
あとはその事務処理規程どおりに実際に運用していけばOKです。
では国税庁が公表しているサンプルを紹介します。
個人事業主用と法人用で2つ用意されています。
❶ 個人事業主用 事務処理規程サンプル
電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程
この規程は、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法の特例に関する法律第7条に定められた電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務を適正に履行するために必要な事項を定め、これに基づき保存することとする。
(訂正削除の原則禁止)
保存する取引関係情報の内容について、訂正及び削除をすることは原則禁止とする。
(訂正削除を行う場合)
業務処理上やむを得ない理由(正当な理由がある場合に限る。)によって保存する取引関係情報を訂正又は削除する場合は、「取引情報訂正・削除申請書」に以下の内容を記載の上、事後に訂正・削除履歴の確認作業が行えるよう整然とした形で、当該取引関係情報の保存期間に合わせて保存することをもって当該取引情報の訂正及び削除を行う。
一 申請日
二 取引伝票番号
三 取引件名
四 取引先名
五 訂正・削除日付
六 訂正・削除内容
七 訂正・削除理由
八 処理担当者名
この規程は、令和○年○月○日から施行する。
❷ 法人用 事務処理規程サンプル
電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程
第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法の特例に関する法律第7条に定められた電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務を履行するため、○○において行った電子取引の取引情報に係る電磁的記録を適正に保存するために必要な事項を定め、これに基づき保存することを目的とする。
(適用範囲)
第2条 この規程は、○○の全ての役員及び従業員(契約社員、パートタイマー及び派遣社員を含む。以下同じ。)に対して適用する。
(管理責任者)
第3条 この規程の管理責任者は、●●とする。
第2章 電子取引データの取扱い
(電子取引の範囲)
第4条 当社における電子取引の範囲は以下に掲げる取引とする。
一 EDI取引
二 電子メールを利用した請求書等の授受
三 ■■(クラウドサービス)を利用した請求書等の授受
四 ・・・・・・
記載に当たってはその範囲を具体的に記載してください
(取引データの保存)
第5条 取引先から受領した取引関係情報及び取引相手に提供した取引関係情報のうち、第6条に定めるデータについては、保存サーバ内に△△年間保存する。
(対象となるデータ)
第6条 保存する取引関係情報は以下のとおりとする。
一 見積依頼情報
二 見積回答情報
三 確定注文情報
四 注文請け情報
五 納品情報
六 支払情報
七 ▲▲
(運用体制)
第7条 保存する取引関係情報の管理責任者及び処理責任者は以下のとおりとする。
一 管理責任者 ○○部△△課 課長 XXXX
二 処理責任者 ○○部△△課 係長 XXXX
(訂正削除の原則禁止)
第8条 保存する取引関係情報の内容について、訂正及び削除をすることは原則禁止とする。
(訂正削除を行う場合)
第9条 業務処理上やむを得ない理由によって保存する取引関係情報を訂正または削除する場合は、処理責任者は「取引情報訂正・削除申請書」に以下の内容を記載の上、管理責任者へ提出すること。
一 申請日
二 取引伝票番号
三 取引件名
四 取引先名
五 訂正・削除日付
六 訂正・削除内容
七 訂正・削除理由
八 処理担当者名
2 管理責任者は、「取引情報訂正・削除申請書」の提出を受けた場合は、正当な理由があると認める場合のみ承認する。
3 管理責任者は、前項において承認した場合は、処理責任者に対して取引関係情報の訂正及び削除を指示する。
4 処理責任者は、取引関係情報の訂正及び削除を行った場合は、当該取引関係情報に訂正・削除履歴がある旨の情報を付すとともに「取引情報訂正・削除完了報告書」を作成し、当該報告書を管理責任者に提出する。
5 「取引情報訂正・削除申請書」及び「取引情報訂正・削除完了報告書」は、事後に訂正・削除履歴の確認作業が行えるよう整然とした形で、訂正・削除の対象となった取引データの保存期間が満了するまで保存する。
附則
(施行)
第10条 この規程は、令和○年○月○日から施行する。
国税庁の次のページからこれらのサンプルをダウンロードできます。
参考資料(各種規程等のサンプル)
この事務処理規程のポイントは、削除・訂正は、原則禁止であり、削除・訂正する場合は、「取引情報訂正・削除申請書」を作成し、削除訂正内容を記録として残すという点です。
訂正・削除内容を事後に確認できる体制を整えることによって信頼性を担保しようとしています。
具体的には、次の内容を含む規程とする必要があります。
- データの訂正削除を原則禁止
- 業務処理上の都合により、データを訂正又は削除する場合の事務処理手続(訂正削除日、訂正削除理由、訂正削除内容、処理担当者の氏名の記録及び保存)
- データ管理責任者及び処理責任者の明確化
なお、「取引情報訂正・削除申請書」は、事務処理規程に記載が求められている事項が記載されていれば、その様式は適宜のものでよいでしょう。
そして、それなりの規模の法人の場合は、管理責任者をおいて、2名以上で削除・訂正を監視し、内部牽制機能を持たせるという点も重要です。
すべての法人が、法人のサンプルのように実行しなければならないかというと単純にそういうことではないでしょう。
まず、経理処理を2人以上でやっていないとこの法人用の事務処理規程どおりに実行することはできません。
したがって、経理処理を2人以上でやっているかどうかが一つの基準となるでしょう。
経理処理を2人以上でやっていれば、法人用のサンプルを使用し、一方そもそも一人で事業を営んでいるマイクロ法人や、複数従業員がいても社長一人が経理をしている場合などは個人用のサンプルを使用すればよいでしょう。
また必ずこのサンプルを使用しなければならないわけではなく、このサンプルを参考にしながら前述の「取引情報訂正・削除申請書」を作成し、削除訂正内容を記録として残すだったり、2人以上で削除・訂正を管理するという趣旨から外れない範囲で自社向けの事務処理規定を作成することも全然ありです。
ここまでが、Amazonの領収書を電子保存するために必要な改ざん防止策を講じる要件でおすすめできる2つの方法の解説です。
この他の有効とは言えない2つの方法も紹介しておきます。
なぜ利用できないか、またはおすすめできないかを含めて解説していきます。
3つ目の「タイムスタンプが付与された後の授受」については、Amazonからダウンロードできる領収書には公式から以下の記載があり、タイムスタンプがついていませんので、この要件は満たしません。
尚、Amazonが発行する請求書等の電子データについて、タイムスタンプの付与はありません。
4つ目の「7営業日以内に(又は最長2ヶ月+7営業日以内に)タイムスタンプを付す
※ ( )書の取扱いは、取引情報の授受からタイムスタンプを付すまでの全事務処理の工程に関する規程を定めている場合に限る。(超難関)」について解説します。
タイムスタンプを付与するメリットとデメリットを比較しましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
タイムスタンプを押すだけなので手続きが簡単 |
|
タイムスタンプを押して要件を満たす方法のメリットは、電子取引データの交付または受領日から7営業日以内にタイムスタンプを押すのであれば手続きが簡単であることです。
Amazonから領収書データをダウンロードして、なんらかのサービスにアップロードして、その時にタイムスタンプを付与するケースが多く、これだけで要件を満たすことができます。
しかしながら、タイムスタンプにはコスト面のデメリットと付与しなければならない期限が決まっているデメリットなど多くのデメリットがあるため、多くの中小規模の事業者が導入するのは得策とは言えないというのが現状です。
例えばAmazonで備品を購入してから、3ヶ月経った後にこの電子帳簿保存法の要件に気づいたとしたらその時点で期限が過ぎてしまっているので、絶対にタイムスタンプでは要件を満たすことができないといった、現時点の制度では使い勝手に難ありと判断せざるをえない状況です。
そもそもタイムスタンプ付与期限を2ヶ月延ばすためには、全社的に経理サイクルを洗い出し、タイムスタンプを付与するための経理サイクルを再構築して、それを事務処理規程として明文化して、全社的に実行する必要があります。
しかしながら、その事務処理規程をどのように作ればいいか参考になるサンプル等が全くない状況です。
したがって実務では2ヶ月に延ばすためにこの甚大な労力を費やす人は相当少ないと予想されます。
つまりタイムスタンプ要件を採用した場合、7営業日以内にタイムスタンプを付与しなければならないことになります。
どんな規模の事業者でも経理実務の中では1年間に少なくとも1回は必ず期限を過ぎるケースが出てくるでしょう。
そうした場合結局その過ぎた電子データについては、別の方法で要件を満たす必要があります。
それなら最初から他の方法で要件を満たしておいて方がいいと考えるのが合理的です。
したがってタイムスタンプだけで要件を満たすことはおすすめできないですし、合理的な判断をする多くの事業者の方はこの方法を選ばないでしょう。
巷では電子取引データの電子保存にはタイムスタンプが必須だなどと言われたりしているようですが、実態は次の通りです。
タイムスタンプはむしろデメリットだらけで、使い勝手の観点から改ざん防止策では次の2つの方法にかなわない。
タイムスタンプ系はこのような理由で採用できないまたは採用しない方がよいこととなります。
以上、結論としては、Amazonを利用した場合の改ざん防止策を講じる方法としては、次の2つが候補として挙がることになります。
- データの訂正削除を行った場合にその記録が残る又は訂正削除ができないシステムを利用して電子取引データをやりとりする
- 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け
ここで、1つ疑問に思うかもしれません。
1つ目の「データの訂正削除を行った場合にその記録が残る又は訂正削除ができないシステムを利用して電子取引データをやりとり」していればOKで、Amazonのシステムがこの要件を満たしているので、これだけでいいのではないか?
Amazonだけしか電子取引データのやり取りがなければいいのですが、メールで請求書や領収書を受領したり、検索要件(後述)をみたさないクラウドサービスを利用しているその領収書のダウンロード等、Amazon以外にも電子取引データのやり取りする機会があった場合、この2つ目の「訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け」が必ず必要になってきます。
したがって、Amazon以外の電子取引がある以上、電子帳簿保存法の規定をクリアするには、この「訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け」が必ず必要になってきますので、必須の知識として知っておく必要があります。
また、Amazonサイト自体が注文履歴を何年保存するかが不明ということもあり(後述)、領収書をダウンロードして別途保管する方法を選択することもありえます。
個人事業主の場合は、個人的な支出も注文履歴の中に一緒になっていることもありえます。
その場合、税務調査官に個人的な支出を見られたくないという場合は、やはり、領収書をダウンロードして別途保管する方法を選択することもありえます。
このような時には、Amazonを使わずに領収書をダウンロードして保管することになるので「訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け」が必須となるのです。
続いて3つ目の要件である「検索機能の確保」です。
改ざん防止策を講じればOKではなく、これを満たした上でさらに、検索機能の確保もしなければなりません。
2-2 検索機能の確保をどのようにすればいいのか
電子帳簿保存法で、検索要件の確保が求められるのは、税務調査の際に、確認が必要な請求書や領収書等の電子取引データを容易に検索でき、すぐに確認できるようにすることが目的です。
この「検索機能の確保」要件に関しては、実は緩和措置があり、検索機能の確保を丸々しなくてもいい事業者がいます。
先にどのような事業者が検索要件を確保しなくてもいいかを確認しておきましょう。
その緩和措置に該当するのは次のケースです。
基準期間とは
個人事業主 | 前々年の1月1日から12月31日までの期間 |
---|---|
法 人 | 前々事業年度 |
例を使って検索要件が必要かどうかを判定してみましょう。
令和3年度に検索要件が必要かどうかを判定してみます。
令和元年度 (2年前) | 令和2年度 (1年前) | 令和3年度 (判定期間) |
---|---|---|
売上8,000,000 <基準期間> | 売上12,000,000 | <令和3年度の判定> 令和元年度売上1000万円以下 検索要件不要 |
この例では、2年前(法人の場合は、2事業年度前)の売上高が800万円なので、令和3年度は検索要件は不要となります。
このように検索要件の有無を判定します。
基準期間での売上高を判断する上で次の点に注意しましょう。
【基準期間の売上高判定の注意点】
⑴ 設立初年度など、基準期間に事業をしていない(基準期間がない)場合 検索要件不要
⑵ 基準期間が12ヶ月ない場合
- 個人事業主 そのままの売上高で判定
- 法人 1年に換算して判定※
※1年換算の具体例
①基準期間が2020.2.15〜2020.12.31
②売上高12,000,000
基準期間の月数 10ヶ月と15日→11月(端数切り上げ)
12,000,000 × 11/12 = 11,000,000
(3) 基準期間の売上高は消費税込みか消費税抜きか
① 基準期間が消費税の納税義務者の場合
・税抜経理方式 税抜の売上高
・税込経理方式 税込の売上高
② 基準期間が消費税の納税義務者でない場合 税込の売上高
検索が不要なケースを理解いただいたところで、検索機能の確保について、次の2つに場合分して解説していきます。
- 検索要件が不要な場合
- 検索要件が必要な場合
2-2-1 検索要件が不要な場合(基準期間の売上高が1,000万円以下)
基準期間の売上高が1,000万円以下の事業者は、Amazonに関しては、
何もする必要がありません。
つまり、基準期間の売上高が1,000万円以下の事業者は検索要件がなくなりますので、Amazonの領収書等を電子保存するには、次の要件を満たすだけで良いことになります。
- コンピュータ、ディスプレイとプリンタの備え付け
- 不正な改ざん防止策を講じる
Amazonの注文履歴は削除することができないので、改ざん防止策を講じる要件の「データの訂正削除を行った場合にその記録が残る又は訂正削除ができないシステムを利用して電子取引データをやりとりする」に該当するということは既に説明しました。
Amazonはそれ自体のシステムが要件を満たしているので、Amazonを利用することが改ざん防止策を講じていることとなり、特別何もする必要はありませんでした。
そしてAmazonを使っている時点でコンピュータとディスプレイはあるわけなので、もしプリンタがなければ、買い揃えればそれでOKです。
税務調査がもしあったとして、税務調査館から「このAmazonの領収書を見せてほしい」と言われたら、Amazonのサイトを開いて「注文履歴」画面で、商品名などで検索して該当のものの領収書を表示するという対応になろうかと思います。
(Amazon注文履歴画面)
(Amazon領収書サンプル)
なお、Amazonの領収書は「注文履歴」画面で「領収書等」ボタンを押して「請求書」と「領収書/購入明細書」の両方が表示された場合は、領収書の方を出力しましょう。
請求書の方には、ポイントを使った場合でもそのポイントのマイナスが表示されないため、実際のお金の動きと一致しないこととなります。
保存期間の問題
ただAmazonサイトでだけ領収書を管理するには、実はリスクが存在します。
それは、Amazonの注文履歴が何年間保持されるかが公言されていないことです。
帳簿書類の保存期間は次のように所得税法と法人税法で決められています。
帳簿書類の保存期間:個人事業主では最長7年、法人では最長10年
Amazonの注文履歴が消えないのではないかというのが多くの意見のようですが、確証はありません。
Amazon Businessでは10年と言っていますが、通常のAmazonはわからない状況です。
Amazonサイトで注文履歴が帳簿の保存期間に渡って保存される確証がないので、保存期間前に注文履歴が削除され、その間の証拠書類が失われるというリスクがあることを理解しておく必要があります。
したがってAmazonのサイトのみで電子帳簿保存を行う場合は、帳簿書類の保存期間を満たさないリスクがあることを理解した上でこの方法を選択する必要があります。
それが不安な場合は、Amazon Businessを利用することで対応を図ることになるでしょう。
2-2-2 検索要件が必要な場合(基準期間の売上高が1,000万円超)
電子帳簿保存法は、基準期間の売上高が1,000万円を超える場合は、検索機能を確保する必要があります。
電子帳簿保存法では、次の検索要件を備えるよう求めています。
- 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索できる
- 日付又は金額については、その範囲を指定して検索できる(緩和措置あり)
- 2以上の任意の項目を組み合わせて検索できる(緩和措置あり)
Amazonサイトの注文履歴画面に検索機能がありますが、この検索機能は、この要件を満たすものではありません。
- 取引日をピンポイントで検索することができない。
- 日付、金額での範囲指定できない。
- 2以上の任意の項目を組み合わせて検索できない。
Amazonサイトの検索機能では、この検索要件を満たすことができません。
したがって、別の方法で検索要件を満たす必要があります。
Amazonの領収書等に関してこの検索要件を満たすには、次の3つの方法が考えられます。
Amazonの領収書等に関して検索要件を満たす方法
- 電子帳簿保存法の電子取引データに対応したソフトを利用する
- 表計算ソフトのフィルタ機能で検索要件を満たす方法
- ファイル名に検索項目を規則的に入れ込む+税務調査でダウンロードの求めに応じる方法
この3つの方法については、それぞれ次のようなメリットとデメリットがあります。
対応策の種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ソフトを使う |
| ランニングコストがかかる |
表計算ソフトを使う |
|
|
ファイル名を工夫する |
|
|
Amazonの領収書を検索するという意味では、事業者の状況に応じて次の方法のいずれかの方法を取るのが得策です。
- クラウド会計ソフトと連携し、ソフトの検索機能を使う
- 一元管理ソフトにアップロードしてソフトの検索機能を使う
- Amazon BusinessでCSV出力し、表計算ソフトのフィルタ機能で検索
それでは、Amazonも含め、電子取引データを保存した場合に、電子帳簿保存法に即してどのように検索機能を確保していく方法があるか、その方法を一つ一つ確認していきましょう。
【方法1】クラウドソフトと連携し、ソフトの検索機能を使う
クラウド会計ソフトに連携した場合は、連携した取引の一覧を表示できる機能があると思いますので、その画面を表示して、検索していきます。
MFクラウド会計では、次のような画面になっており、やはり3つの検索機能の確保がされています。
電子取引データの電子保存に対応しているクラウド会計ソフトにデータを連携できれば、改ざん防止策を講じる要件と検索機能の確保要件を両方満たし、日々の記帳作業をしていれば自動的に行われるという点で最も効率的な方法です。
この方法を採用できるなら、この方法を採用すべきでしょう。
方法1の「クラウドソフトと連携し、ソフトの検索機能を使う」ができない場合は、次の方法を検討してください。
【方法2】一元管理ソフトにアップロードしてソフトの検索機能を使う
面倒な電子取引データの電子保存を一元管理してくれるクラウドソフトを利用する方法を解説します。
これに該当するサービスとして現在次のようなソフトが挙げられます。
ソフト名 | 提供元 | 改ざん防止策 |
---|---|---|
全力電子帳簿 | ジャパンネクス | 「訂正削除の防止に関する事務処理規程」自動作成 |
Climber Cloud | NTTデータ | タイムスタンプ付与 |
クラウドBox | マネーフォワード | タイムスタンプ付与 |
バクラク電子帳簿保存 | LayerX | タイムスタンプ付与 |
この中でおすすめが、手前味噌ですが「全力電子帳簿」です。
なぜなら唯一「訂正削除の防止に関する事務処理規程」システム化し、事務処理規程の自動作成や削除の際の申請・承認システムや削除履歴の保存等を自動的に事務処理規程に即して処理できるようになっています。
すでに解説したところですが、タイムスタンプの付与だけで改ざん防止策を講じるのは付与期限があることから実質不可能で、結局「訂正削除の防止に関する事務処理規程の備え付け」で対応することになります。
付与期限を過ぎてしまってから、「どうすればいい」とか「訂正削除の防止に関する事務処理規程を作らなければ」とか「削除訂正の申請ってなんだ」とか騒ぐことになるのは目に見えています。
「訂正削除の防止に関する事務処理規程」を作っていれば、そもそもタイムスタンプ自体不要なのですから「訂正削除の防止に関する事務処理規程」を備え付けて、それがシステムで運用されている「全力電子帳簿」を選択するのは合理的判断と言えるかと思います。
全力電子帳簿を例にどのように検索要件を満たすかを解説していきます。
「全力電子帳簿」は、何も考えずに画面の案内どおりに進めていくと、電子帳簿保存法の要件どおりに電子取引データを電子保存できるシステムです。
全力電子帳簿は、次の検索機能確保要件の3つを満たします。
- 取引年月日、取引金額及び取引先を検索できる
- 日付又は金額については、その範囲を指定して検索できる
- 2以上の任意の項目を組み合わせて検索できる
まず、領収書等のデータをアップロードし、必要事項を入力して保存します。
【電子取引データのアップロード】
保存した内容を一覧で確認できます。
【受領書類一覧】
この画面で検索が可能です。
検索要件が満たされているかどうかを確認してみましょう。
❶ 取引年月日の検索
❷ 取引金額
❸ 取引先
❹ 取引年月日の範囲指定
❺ 金額の範囲指定
❻ 2以上の任意の項目を組み合わせて検索
このように電子帳簿保存法が求めている検索要件をすべて満たしています。
メリットとしては、次のとおり他の2つの検索方法のデメリットをすべて解決してしまいます。
- 索引簿を用意する必要がない
- 保存用のフォルダ等を用意する必要がない
- 検索がスムーズ(フィルタ機能を使ったり、PCの検索機能を使う必要がない)
- 検索要件を満たすので、税務職員からのダウンロードに応じることが必須でない
この「全力電子帳簿」は、検索要件を満たすだけではなく、電子取引の電子保存に簡単にスマートに対応できる機能が備わっていますので、紹介したいと思います。
特徴1 クラウドソフト
全力電子帳簿はクラウドソフトなので、インターネットに繋がってさえいれば、お使いのブラウザ上で動きます。
アカウントを作成し、ログインする必要があります。
ブラウザ上で動くので、インターネットに繋がる環境であれば、どこからでも自社の電子保存したデータにアクセスできます。
どのフォルダに保存したっけ??ということに煩わされることもありません。
全力電子帳簿にログインすればそこにすべてのデータがあります。
特徴2 事務処理規程を自動作成
不正な改ざん防止策を講じる要件が4つある中で、一番使い勝手の良い「訂正削除の防止に関する事務処理規程の備え付け」という要件がありました。
「全力電子帳簿」では、この「訂正削除の防止に関する事務処理規程」を汎用的な様式で、次のように利用者の基本情報と、管理責任者を決定するだけで自動で作成します。
全力電子帳簿では、訂正は行わず、訂正が必要な場合は、一旦削除してから訂正後のデータを新規にアップロードするシステムになっています。
削除されたデータもすべて保存されているので、どのような訂正が行われたかをすべて把握することができます。
(国税庁のサンプルで保存が求められている「取引情報訂正・削除申請書」と「取引情報訂正・削除完了報告書」の役割を果たします。)
事務処理規程はダウンロード可能です。
(電子取引データの削除の防止に関する事務処理規程サンプル)
特徴4 取引情報削除申請・保存機能
国税庁が公表している「訂正削除の防止に関する事務処理規程」のサンプルには、訂正削除を行う場合として次のような規程を用意しています。
第9条 業務処理上やむを得ない理由によって保存する取引関係情報を訂正または削除する場合は、処理責任者は「取引情報訂正・削除申請書」に以下の内容を記載の上、管理責任者へ提出すること。
一 申請日
二 取引伝票番号
三 取引件名
四 取引先名
五 訂正・削除日付
六 訂正・削除内容
七 訂正・削除理由
八 処理担当者名
2 管理責任者は、「取引情報訂正・削除申請書」の提出を受けた場合は、正当な理由があると認める場合のみ承認する。
3 管理責任者は、前項において承認した場合は、処理責任者に対して取引関係情報の訂正及び削除を指示する。
4 処理責任者は、取引関係情報の訂正及び削除を行った場合は、当該取引関係情報に訂正・削除履歴がある旨の情報を付すとともに「取引情報訂正・削除完了報告書」を作成し、当該報告書を管理責任者に提出する。
5 「取引情報訂正・削除申請書」及び「取引情報訂正・削除完了報告書」は、事後に訂正・削除履歴の確認作業が行えるよう整然とした形で、訂正・削除の対象となった取引データの保存期間が満了するまで保存する。
要するに、主に次の3つを行うことが求められています。
- 訂正・削除を行う場合は、「取引情報訂正・削除申請書」を作成すること
- 訂正・削除を行なった場合は、その内容を「取引情報訂正・削除完了報告書」に記録すること
- 「取引情報訂正・削除申請書」と「取引情報訂正・削除完了報告書」を保存すること
これを自社で様式を決めて運用するのは面倒だと思います。全力電子帳簿では、これをシステム上でスムーズに行います。
いちいち「取引情報訂正・削除申請書」と「取引情報訂正・削除完了報告書」を作成して、保存する必要がありません。
一度保存した電子取引データに削除には、次のように対応しています。
【処理担当者の操作】
❶ 削除したいデータに対応する行をクリックする。
❷ 「削除」ボタンをクリックする。
❸ 「削除申請フォーム」に「削除内容」と「削除理由」を入力して「削除申請を送る」をクリックする。
管理責任者側に削除申請が通知される。
【管理責任者の操作】
管理責任者は、処理担当者から行われた削除申請を「削除申請リスト」から確認できる。
処理したい申請の行をクリックすると明細が開く。
これが国税庁のサンプルでいうところの「取引情報訂正・削除申請書」にあたります。
削除内容や削除理由を確認し、よければ承認をし、問題があれば差し戻す。
削除の承認がされると、「削除申請履歴」に電子取引データと共に今回やり取りした内容が保存される。
国税庁のサンプルに記載のあった削除申請書に記載すべきとされている事項も記載されています。
「削除申請書」は、全力電子帳簿に保存されています。
「削除申請履歴」の明細が「取引情報訂正・削除完了報告書」の役割を果たし、「削除申請履歴」が10年間保存されることにより、事後に訂正・削除履歴の確認を行えるようにもなっています。
このように全力電子帳簿を使えば、国税庁が電子帳簿保存法で求めている次のすべての事項を行うことができるでしょう。
- 事務処理規程の作成(改ざん防止策を講じる要件)
- 電子取引データの電子保存
- 電子取引データの検索
- 削除申請を行なって管理者から承認を受ける
- 削除履歴の保存
そしてあらゆる電子取引データを一元的に同様のやり方でスマートに管理できるという優れものです。
しかも投げ銭感覚のワンコインで始められます。(10ファイルまでは無料で利用できます。)
全力電子帳簿の料金システム
月10枚まで | 月100枚まで | 月200枚まで |
---|---|---|
月額100円 | 月額500円 | 月額1,000円 |
電子取引データ10枚までの電子保存は無料でお試しできます。
※金額は税抜
Amazonの領収書以外にも必ず電子取引データのやり取りを行うことになるかと思いますので、このようなソフトを使ってスマートに対応するという方法も、この面倒な電子保存に対応する賢い選択かと思います。
この方法を取ることでAmazonに限らずあらゆる電子取引データを効率的に一元化管理できることになりますが、コスト面でこの方法を採用しないという選択をした場合、次の方法を取ることが効率的でしょう。
【方法3】Amazon BusinessでCSV出力し、表計算ソフトのフィルタ機能で検索
この方法は、Amazon Businessで注文履歴をCSV形式で出力し、それをエクセル等の表計算ソフトのフィルタ機能を使って検索機能の確保を行うというものです。
なぜ、Amazon Businessなのかというと、注文履歴をCSV形式で出力できるのがAmazon Businessだけだからです。
そうでない通常のAmazonでは、注文履歴をCSV形式で出力することができません。
Amazon Businessは、法人と個人事業主が無料で始められるので、電子帳簿保存法に効率的に対応するためにAmazonで注文しているものをAmazon Businessに切り替えるのが得策だと思われます。
なぜなら、Amazonの注文履歴をエクセルにベタうちしたいと思いますか?
手間いらずでCSVにしてもらってそれを検索する方が圧倒的に楽ですよね?
それでは、Amazon businessを使ってどのように検索機能を確保していくかを解説していきます。
Amazon businessは、ビジネス用のAmazonサービスです。
(参考)Amazon Businessがよくわからないという方は公式が次の記事を出しています。
Amazonビジネスでの購買は、個人向けのAmazon.co.jpと何が違うのか?
Amazon BusinessでどのようにCSV出力するかを見ていきましょう。
【手順1】Amazon Businessにログインします。
【手順2】メニューからアカウントサービスをクリックします。
【手順3】購買データを選択する。
【手順4】注文履歴データを選択する。
【手順5】CSVデータをダウンロードする。
【手順6】CSVデータを加工する。
税務で必要となる列だけ残してそれ以外は削除すると見やすくなるでしょう。
必須の列:「日付」、「注文番号」、「経理した金額と一致する金額が載っている列」、「出品者名」
< CSV方式での検索方法 >
検索の際は、表計算ソフトのフィルタ機能を使って検索します。
ここではエクセルを使った例を紹介します。
(商品の金額で検索した例)
検索してヒットした行の「注文番号」をコピーし、注文履歴画面の検索窓にペーストして「注文を検索」ボタンを押して検索。
ヒットした注文履歴の「領収書等」から領収書等を出力する。
このようにAmazon Businessでcsv出力すれば難なく検索が可能です。
表計算ソフトの検索機能を使って、電子帳簿保存法の以下の3つの検索機能の確保要件を満たすかの詳細を解説していきます。
- 取引年月日、取引金額及び取引先を検索できる
- 日付又は金額については、その範囲を指定して検索できる
- 2以上の任意の項目を組み合わせて検索できる
表計算ソフトのフィルター機能を用いる方法には次の2つの方法があります。
- 国税庁が公表している索引簿を作成する方法(索引簿方式)
- 何らかの方法でAmazonの購入履歴をcsv形式で出力する方法(csv出力方式)
種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
索引簿方式 | 国税庁が示す索引簿を作成できる | 取引の都度必要なデータを入力するのが手間 |
csv出力方式 | 必要なデータがすでにファイルに入力されているので楽 | 自身の環境により使えるcsvデータが手に入らない可能性がある |
まずは、国税庁が公表している電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】の問12、問33で解説している方法(索引簿方式)を紹介します。
索引簿方式
表計算ソフトで次のような索引簿を作成して、表計算ソフトのフィルタ機能で検索する方法です。
この索引簿のサンプルは国税庁の「参考資料(各種規程等のサンプル)」ページの「索引簿の作成例」からダウンロードできます。
索引簿をどのように作成していくかをAmazonに当てはめて解説します。
< 索引簿作成方法 >
この方法にもAmazonの領収書を処理するにあたって2通りのやり方があります。
- 領収書データをダウンロードして、フォルダを1つ用意してそこにすべて保存する方法
- 領収書データは必要な都度Amazonサイトからダウンロードする方法。
1つ目を採用する理由としては、先ほど挙げたように、個人的な購入がある場合に、第三者に見られたくない場合や、保存期間が心配な場合です。
1つ目の領収書データをダウンロードして、フォルダを1つ用意してそこにすべて保存する方法から解説していきます。
この方法は、Amazonに限らず、メールで領収書を受領した場合等、電子取引データをやり取りした場合には、すべて使える方法なので、この方法は覚えておく必要があります。
ケース1 データをフォルダに保存するやり方
【手順1】
電子取引データを保存するフォルダを作成します。
【手順2】
Amazonサイトから領収書をダウンロードし、ファイル名を1から順に連番を振っていきます。
ファイル名を変更したら、【手順1】で作成したフォルダに保存します。
※ファイル名は単純に「1」とすると検索の際に見つけづらいので、「001」としています。
ファイル名を複雑にすればするほど見つけやすくなりますが、それに反比例して入力が面倒になりますので、見つけやすいくらいの独自性がありつつ簡単めなファイル名にしましょう。
【手順3】
ファイル名(番号)と一致する索引簿の「連番」の行に対象の電子取引データから必要なデータを転記します。
今回の例では、ファイル名を「001」にしていますので、索引簿の「連番」の①の行に対象の請求書データに記載されている「日付」「金額」「取引先」を入力します。
なお、取引先は、すべてアマゾンジャパン合同会社からとは限りません。
Amazonへの出店者の可能性もありますので、領収書に記載された取引先名を入力しましょう。
次の電子取引データは、ファイル名を「002」にして【手順1】で作成したフォルダに保存し、索引簿の「連番」②の行に必要な情報を入力する。
これをこの後の電子取引データに対しても繰り返していきます。
次にこのようにして作成した索引簿でどのように必要な電子取引データを検索するかを解説します。
< 索引簿検索方法 >
電子帳簿保存法の検索要件は次の3つでした。
- 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索できる
- 日付又は金額については、その範囲を指定して検索できる
- 2以上の任意の項目を組み合わせて検索できる
エクセルを例に、この要件をどう満たしていくかを解説します。
まず次のように、タイトルを選択し、フィルタをクリックして、フィルタ機能を追加します。
これにより色々な種類の検索が可能になります。
⑴ 一つ目の検索要件「取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索できる」については、次のように満たすことができます。
① 日付の検索
【手順1】エクセルファイルの「日付」タイトルのセルにある「▼」をクリックすると「日付」というフォームが出てくる。
【手順2】フォームの検索窓に検索したい日付を入力する。
検索の例は、Amazonのものではなく、簡略化したもので説明します。
この例では「20220228」(2022年2月28日)を検索し、6行目がヒットしています。
② 金額の検索
【手順1】エクセルファイルの「金額」タイトルのセルにある「▼」をクリックすると「金額」というフォームが出てくる。
【手順2】フォームの検索窓に検索したい金額を入力する。
今回の例では、「55000」を検索し、7行目がヒットしています。
③ 取引先の検索
【手順1】エクセルファイルの「取引先」タイトルのセルにある「▼」をクリックすると「取引先」というフォームが出てくる。
【手順2】フォームの検索窓に検索したい取引先を入力する。
今回の例では、「いろはに電気」を検索し、8行目がヒットしています。
これで1つ目の要件はクリアです。
⑵ 続いて2つ目の要件「日付又は金額については、その範囲を指定して検索できる」をどのように満たすか見ていきましょう。
① 日付の範囲指定の方法
日付の範囲指定から説明します。
【手順1】エクセルファイルの「日付」タイトルのセルにある「▼」をクリックすると「日付」というフォームが出てくる。
【手順2】「フィルター」の選択肢から、「指定の値以上」を選択し、範囲の開始の日付を入力する。
今回の例では、2022年2月1日からの範囲指定で、「20220201」と入力しています。
【手順3】指定の値以下を入力する。
手順2の入力が終わるともう一つ選択肢が表示されるので、「および」を選択し、さらに選択肢から「指定の値以下」を選択し、範囲の終わりの日付を入力します。
今回の例では、2022年2月28日までを検索したいので、「20220228」を入力しています。
このように20220201〜20220228(2022年2月1〜2022年2月28日)の範囲のデータのみが表示されます。
② 金額の範囲指定の方法
①と同様のやり方で金額の範囲指定を行なっていきます。
400,000〜600,000で範囲指定をする例で説明します。
エクセルファイルの「金額」タイトルのセルにある「▼」をクリックするとフォームが出てきます。
「フィルター」の選択肢から、「指定の値以上」を選択し、「150000」と入力し、「および」と「指定の値以下」を選択し、「300000」を入力し、「enter」を押すと、その範囲の金額の行のみが表示されます。
⑶ 次は3つ目の要件「2以上の任意の項目を組み合わせて検索できる」を満たす方法です。
例として、日付「2022年2月10日」と取引先「アマゾンジャパン」を同時に満たすの領収書を検索してみます。
【手順1】
取引先のフィルターの検索窓に「アマゾンジャパン」と入力し、「enter」を押します。
【手順2】
日付のフィルターの検索窓に「20220210」と入力し、「enter」を押します。
すると↑の画像のようにこの2つの検索条件に合致する行のみが表示されることがわかります。
フィルターの検索機能で、3つの検索要件をすべて満たすことが確認できました。
Amazon Businsessのcsv出力機能を使えば、このような表計算ソフトのフィルター機能を使うことにより検索要件を満たすことができます。
Amazon Businessでないとcsv出力できないと言いました。でもAmazon Businessを使いたくないという方は、使い勝手は良くはありませんが、Chromeの拡張機能を使ってcsv出力できなくもありません。
この2つの方法を比較してみます。
CSV出力の仕方 | メリット | デメリット |
---|---|---|
Amazon Businessで出力 |
| Amazon Businessを使用していないと使えない |
ブラウザの拡張機能で出力 | Amazon Businessに限らず、Amazonで購入した履歴を出力できる |
|
Amazon Businessを使っていない方がcsv出力により検索機能の確保をしたいという場合は、現状こちらの方法で対応するしか調べた限りないようです。
次のサイトで紹介している方法を駆使します。
ブラウザに拡張機能を追加するだけで、簡単にAmazonの注文履歴をCSV形式で出力可能です。
【アマゾン注文履歴フィルタ】確定申告にも便利かも?! アマゾン(Amazon.co.jp)の領収書をまとめて表示する拡張機能/アドオン/ユーザースクリプト
しかしながら、この方法には、大きな問題があります。
このサイトでは、次のようなお知らせが載っています。
■お知らせ
2020年12月下旬より、アマゾン注文履歴フィルタが突然使えなくなったというご報告をいただいており、調査したところ、今後使用できないユーザーの方が増えていく可能性が高いです。
Amazonの領収書の仕様が段階的に変わっているらしく、その新しい仕様の場合、対応できない。(今後も無理のよう)これが問題です。
実際私が試したところ、できる場合とできない場合がありましたので、使い勝手的にはあまり良くないと言わざるをえません。
また、公式のプログラムではないので、確実に正確に注文履歴を取ってこれるとは言い切れません。
うまくいくとこのようなデータがcsv形式で出力されてきます。
これを「⑴ Amzon Businessのcsv出力機能を利用する」で解説した必要な列を抽出して、フィルターをかける方法で加工します。
うまくいかないと次のように1つの注文が1行におさまらず何行にもわたって表示されます。
このままフィルタをかけて、検索できなくもないので要件を満たすとは思われますが、整然としておらず使い勝手が悪く釈然としない気持ちになります。
両者を比較するとやはり、Amazon Businessの方が様々な面で使い勝手が断然に良いです。
Amazon Businessでは、CSVを出力する際にいつからいつのデータを出力するかの指定も容易にできます。
公式のサービスだけあって使い勝手が断然良いです。
Amazonでは、注文履歴データを何年間保存されるか明言されてませんが、Amazon Businessでは10年保存することが明言されているという利点も大きいでしょう。
Amazon Businessを使わないという方は、現状ではcsv出力するには、この拡張機能で対応するしかありません。
個人的には、Amazon Businessの場合は、注文履歴を10年保管することを明言していることも考えて、事業用に使うのであればこれを機にAmazon Businessを利用しておくのが無難かと思います。
Amazon Businessの公式の「【2022年1月版】電子帳簿保存法の改定内容とは?領収書はデータで管理できる時代に」という記事で、電子帳簿保存法に対して言及していますし、次のような対応状況である旨説明しています。
Amazonビジネスおける対応状況
- Amazonが発行する請求書は、税法に準拠しています。
Amazon及びその他御社のお取引先に係る帳票全てについて、整然かつ明瞭な状態で、速やかに出力することができるように管理してください。
- Amazonが発行する請求書などの各種帳票の保存期間は10年間です。
10年を超える保存が必要な帳票については、別途適切な保存方法をご検討ください。
- 電子帳簿保存法の改正趣旨及び改正内容の詳細は、顧問税理士にお尋ねください。
- 尚、Amazonが発行する請求書等の電子データについて、タイムスタンプの付与はありません。
あまり有用な情報があるわけではありませんが、電子帳簿保存法に対する対応を明言していることから、今後電子帳簿保存法に則して、使い勝手を改善する可能性もあります。
Amazon Businessを利用することによるデメリットはないですし、csv形式での出力をしない場合でもこの機会に利用を検討してもよいのではないかと思います。
ここまでで、Amazonの領収書データについて効率的な検索機能の確保の方法を3つ紹介してきました。
この方法での対応が難しいという場合は、手間ですが、コスト0で検索機能の確保をする方法があります。
詳しくは次の記事でご確認ください。
ここで、全体をまとめて、Amazonの領収書の電子保存に対応する最善の策は?と聞かれたら、これまでも何度かお伝えしてきましたが、その事業者の環境によって3つの回答の仕方があります。
【回答1】
手間が一番かからない最良の策はこの方法です。
電子帳簿保存法の電子取引データの電子保存に対応してクラウド会計ソフトを利用していれば、この方法がベストです。
日々行っていることをしているだけで、自動的に電子帳簿保存法に対応するので、最も効率的です。
ただし、このようなクラウド会計ソフトを利用していない場合は、年間2万円以上のコストをかけることになるので、この方法がベストな方法とは言い難くなります。
【回答2】
とにかくコストをかけない中で簡単に対応する方法は、次の方法でしょう。
Amazonサイトは、注文履歴を訂正・削除できないシステムなので、改ざん防止策の要件を満たしているので、Amazonの利用だけ考えれば上記の方法が、コストをかけずに行う方法としては一番合理的と考えられます。
確かに、領収書等の電子取引データのやりとりがAmazonだけである場合は、この方法が合理的だと考えられます。
しかしながら、Amazonだけしか電子取引データのやり取りがないというのは少ないのではないでしょうか。
例えばクラウドサービスやネット上のサービスを利用していて、その利用料の支払いに関する領収書はそのサイトからダウンロードするとなった場合に、領収書をダウンロードさせるだけなので、普通は検索要件を満たしません。
そうなった場合に、領収書をダウンロードして保存する必要が出てきます。
すると不正な改ざん防止策として、(タイムスタンプは使い勝手が悪いので)「訂正削除の防止に関する事務処理規程の備え付け」が必要になってきますし、基準期間の売上高が1,000万円超の場合は、索引簿も必要になります。
そうした時に、利用しているサービスによってケース別に対応するのが面倒とか、どういうときにどういう改ざん防止策をするのかいちいち検討するのが面倒といったように、トータルでこの電子帳簿保存法に対応するときにもっといい方法がないかなと思うのではないでしょうか。
このように実務の中であらゆるケースを想定した使い勝手を考えると次のような回答になります。
【回答3】
タイムスタンプしかフォローしていないソフトは
なお、コストをかけずにAmazonに限らずあらゆる電子取引データの電子保存に対応する方法は次のとおりです。
コストをかけずにあらゆる電子取引データの電子保存に対応する方法
- 改ざん防止策は、「訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け」で対応
- 検索要件は、「1つのフォルダに保存する索引簿方式」または「ファイル名を工夫する方法」で対応(方法はこちらの記事で紹介)
この方法で、Amazonに限らずすべての電子取引データの電子保存に対応できます。
ここまでAmazonの領収書をどのように保存するかという問題を切り口にこの制度にどのように対応していけばいいかということを解説してきました。
最後に2022年1月から電子取引データの電子保存が全事業者に強制的に適用される中で、注意すべき事項を挙げていきたいと思います。
3 Amazonの領収書を電子保存するにあたって注意すべき事項
これまで請求書や領収書が紙ではなく、電子的に受領したり、交付した場合に、紙に出力して保存するのではなく、電子的に保存しなければならなくなるという話をしてきました。
この制度について、保存の仕方以外に知っておくべき事項をチェックしておきましょう。
2022年1月から開始とは聞くけど、正確にはいつからなのかしら?
3-1 いつから開始か?
電子取引データの電子保存の義務化は次のように開始になります。
2022年(令和4年)1月1日以後に行う取引で、請求書や領収書等を電子データでやりとりした場合には、新しい電子帳簿保存法の保存要件で電子的に保存しなければなりません。
ただし、税務署が、電子帳簿保存法の要件にしたがって電子保存をしていなかったことについて、やむを得ない事情を認めた場合は、2023年12月31日までは紙での保存でもOKです。
2022年1月以降でやりとりした電子取引データが対象になりますので、決算期は関係ありません。
例えば決算期が2022年4月1日から2023年3月31日の場合でも、2022年4月1日から開始ではなく、その前の決算期の2022年1月1日以降やりとりした電子取引データが対象になります。
この電子帳簿保存法が問題になるのは実際にはどんな場面なのかな?
3-2 実際に問題になるのはどの場面か?
2022年1月1日以降やりとりした電子取引データから電子保存が開始になりますが、実際に問題になるのは、税務調査のときです。
例えば税務調査官が、支払いの請求書を確認したいので、「電子保存したものを見せてください。(紙の請求書綴りを確認するよりも、電子データを確認する方が楽なので)」と言われた時に、「え?うちはやってません」なんて答えたら、税務調査官は「まじで!?(心の声)」ってなります。
したがって直ちに対応が必要というわけではありません。
2022年1月以降終了する決算期が終わるまでには、最低対応が必要です。
ちなみにタイムスタンプで改ざん防止策を講じる場合は、電子取引データの受領や交付から最長2ヶ月+7営業日以内にタイムスタンプを押す必要がありますし、タイムスタンプを押す用の事務処理規程を作成する必要もあり、2022年1月早々に対応が必要になります。
電子帳簿保存法のとおりに電子保存しなかったらどうなるのかしら?
これまでどおり紙で保存したり。
3-3 電子帳簿保存法に違反した場合の罰則は?
罰則といえるものは、次の2つです。
- 青色申告の取り消し
- 重加算税の加重措置
青色申告の要件として、法定の帳簿の備え付けと一定期間の帳簿書類の保存が必要になりますが、それが法令どおりに行われていないことになりますので、要件に違反しており、取消しの理由になりえます。
しかしながら、国税調査官の経験からよほど悪質でないとこの青色申告の取り消しはありません。
悪質な不正計算をしていてもそれ一発で青色申告が取り消されることは実務ではありません。
国税庁としては電子保存を推進したいだけなので、電子保存取引データが電子保存できていないことを持って直ちに青色申告が取り消しになることはないでしょう。
国税庁の公式な見解で電子帳簿保存法による青色申告取り消しについて次のように述べられています。
電子データの一部を保存せずに書面を保存していた場合には、その事実をもって青色申告の承認が取り消され、税務調査においても経費として認められないことになるのではないかとの問合せがあります。
これらの取扱いについては、従来と同様に、例えば、その取引が正しく記帳されて申告にも反映されており、保存すべき取引情報の内容が書面を含む電子データ以外から確認できるような場合には、それ以外の特段の事由が無いにも関わらず、直ちに青色申告の承認が取り消されたり、金銭の支出がなかったものと判断されたりするものではありません。
ただし、法律上は、青色申告の承認を取り消し自由に該当しますので、その可能性がまったくないわけではありません。
重加算税の加重措置については、請求書や領収書等の電子取引データを削除、改ざんするなどして、売上除外や経費の水増し、架空取引による経費計上が行われた場合は、通常の重加算税(原則35%)に10%が加重されるという規定です。
従来の紙での保存よりもデータを改ざんされるリスクが比較的高いということで、それを防止するために電子取引データを隠匿したり、改ざんしたりした場合は、重加算税が増えるという措置が講じられました。
これは、実際に不正計算をしなければ問題ありませんので、神経質になるような規定ではないかと思います。
4 まとめ
電子帳簿保存法が改正され、2022年1月からAmazonサイトからダウンロードできる領収書は、紙で保存はできなくなり、電子保存することになります。
例外なくすべての事業者が対応を迫られるため、Amazonを利用している事業者は必ずこの電子帳簿保存法に対応する必要があります。
電子保存するための要件が3つありました。
- コンピュータ、ディスプレイとプリンタの備え付け
- 不正な改ざん防止策を講じる
- 検索機能の確保
1つ目のコンピュータ、ディスプレイとプリンタの備え付けは、そもそも電子取引データをやり取りするのには、コンピュータとディスプレイは必須であるため、あとはプリンタがなければ用意しようというものでした。
2つ目の不正な改ざん防止策を講じるは、Amazonサイト自体が注文履歴を訂正・削除できないシステムであるため要件を満たしているのでOKでした。
ただし、個人的な支出を見られたくないとかAmazon以外にも電子取引データのやりとりがある場合は、「訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け」という要件を満たす必要がありました。
3つ目の検索機能の確保については、基準期間の売上高が1,000万円以下の場合は、検索機能の確保は不要でした。
そして基準期間の売上高が1,000万円を超える事業者は検索要件を満たす必要があり、その検索要件を満たす方法としてオススメの方法が3つありました。
- クラウド会計ソフトと連携し、ソフトの検索機能を使う
- 一元管理ソフトにアップロードしてソフトの検索機能を使う
- Amazon BusinessでCSV出力し、表計算ソフトのフィルタ機能で検索
総合的に勘案して、Amazonの領収書の電子保存だけを考えれば次の2つの方法が合理的な方法だということも説明しました。
電子取引の電子保存に対応したクラウド会計ソフトを利用している場合は、Amazonの取引を連携して取り込む
このようなクラウド会計ソフトを利用していない場合は、
しかしながら、電子取引データのやりとりがAmazonだけということはないでしょうから、その場合に効率的に対応する方法は次の2つを行うことでした。
- 改ざん防止策は、「訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け」で対応
- 検索要件は、「全力電子帳簿」のような一元管理ソフトで満たす
「全力電子帳簿」という電子帳簿保存ソフトを使うと、電子帳簿保存法の知識なしに必要な処理を行ってくれて、Amazon以外の取引データもすべて一元管理することができて便利でした。
面倒な電子帳簿保存法に対応する上で、このようなツールを使うことも選択肢の一つとなるでしょうという話もしました。
Amazonの領収書等の電子保存のやり方が一つでないために、色々なやり方を解説したことにより、記事のボリューム自体は大きくなりましたが、 Amazonの領収書の電子保存自体は、決して難しいものではないということがわかっていただけたと思います。
難しいのではなく、面倒なのです。それをどのように効率的に処理していくかがポイントなのです。
Amazonの領収書の電子保存をどうやればいいのかという問題を解決する過程で、電子帳簿保存法が改正されて2022年1月から開始される電子取引データを紙で保存するのではなく、そのまま電子保存するということがどういうことで、どうすればいいかということも理解できたと思います。
この記事で、Amazonの領収書を保存する最良な方法は提示しました。
しかしAmazonの領収書だけが電子取引データのすべてではありませんので、その他の電子取引データを含めてどのように電子保存していくのがいいか、みなさんの会社にあった効率的なやり方を見つけてもらえればと思います。
この記事が電子取引データの電子保存の義務化への対応でみなさんのお役に立てば幸いです。
Amazonの領収書データの電子保存に限らず、義務化されたあらゆる電子取引データの電子保存をどのように対処すればいいかという制度全体に対応する方法にフォーカスした記事がありますので、合わせて読むと理解が深まり、この電子保存の義務化についてはほぼマスターできるかと思います。
繰り返しますが、決して理解するのが難しい制度ではありません。ただ面倒なのです。
新しい制度であるためよく理解している人が少ないために良い解説が少ないだけです。
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