事業概況説明書の書き方を0から解説【記載例あり】元国税調査官が解説

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自分で法人税の申告書を作成するときに、やたらと記入項目が多い事業概況説明書はできるかぎり効率的に作成したいものです。

そこで、どの程度のものを作れば良いかが大きな関心事になると思います。完璧なものを目指せばそれだけ時間がかかりますが、この程度でいいということがわかっていればメリハリをつけて対処できます。ここでは、その関心に応えるため事業概況書の書き方、記載例そして実際に作成するときにどのように作成したら最も効率的かといった内容を元国税調査官の立場から解説していきたいと思います。

なお、このブログは小規模の法人で自分で申告書を作成したいと考えている方向けに書かれています。

事業概況説明書とは

事業概況説明書は法人税法施行規則第35条の4号で確定申告書に添付して提出しなければならない書類の一つとして規定されていますので、提出が義務付けられています。

ではなぜ、この書類の提出が義務となっているのでしょうか。

事業概況説明書を提出する理由

税務署で法人税の調査に携わってきた立場から言えば、その第一義的な理由は、調査先を決める材料として効率的に法人の情報を収集したいというものです。また調査に実際に訪れたときに確認する事項を一から聞き取る必要がなく、お互いに省略できるという利点もあるでしょう。

実際に税務署では提出された事業概況説明書をOCRで読み込み、データベース化します。そしてそのデータを解析し、調査候補を抽出しています。調査先の多くはその候補とされたデータから決定されることになります。

繰り返しますが、この記事は小規模で自分で申告書を作る方に向けています。そこで別の視点から見てみましょう。

調査対象とならない法人とは

おおまかにですが、調査対象とならない法人を以下に挙げてみます。

  • 売上が年間3,000万円に満たない小規模
  • 赤字
  • 設立から2年以下

この条件を同時に2つ満たせばかなりの確率で調査を受けることはないでしょう。(元国税調査官の経験です。)

事業概況説目書の内容はほどほどでいい?

つまり、自分で申告書を作成しようという方はかなりこの上記条件に当てはまってくるのではないでしょうか。

もし当てはまっているとすれば事業概況説明書は調査選定の材料に過ぎないのですからいい意味での”適当”なものでいいと言ってよいのではないでしょうか。

つまり肩肘張って取り組むようなものではないということです。はっきり言ってしまえば気楽に作ればいいのです。内容に誤りがあったところで罰金を支払うような性質のものではありません。間違っていたって、、、これ以上は私の口からは言わないようにしますがご想像ください。

なお、調査を受ける規模の会社さんは前期と今期を比較して大きな変化のある勘定科目があれば、「18当期の営業成績の概要」にその理由を記しておくようにするとあらぬ疑いをかけられることを防げるかもしれませんので、会社さんの状況によっては手を抜いてばかりではいられないかもしれません。

事業概況説明書の書き方

さて、事業概況説明書との付き合い方がわかったところで注意すべき書き方の解説に移りたいと思います。

詳しい書き方については国税庁から示されているので詳細まで確認したい方は「法人事業概況説明書の書き方」をご覧ください。

平成30年4月1日以降終了事業年度分から様式の改定がありました。(国税庁)

旧様式はこちら(国税庁)

共通事項

単位に注意しましょう

金額を記入する欄には必ず単位が示されているので、それに従って記入するようにしましょう。金額を記入する欄のほとんどは千円単位になっていますので注意しましょう。

個別事項

個別に注意が必要な点を下記表にまとめました。

事業内容 日本標準産業分類の中分類の3桁の数字の次に記載されている業種を参考に決定するとよいでしょう。(例:ソフトウェア業)
期末従業員の状況 職種の記載例:工員、事務員、技術者、エンジニア、販売員、労務者、料理人、ホステス等
販売チャンネル 「電子商取引」欄で「有・売上」に○印を表示した場合、販売に使用しているホームページについて、回答します。
当期課税売上高 ここは完璧に説明すると話が長くなるので簡単に説明すると、消費税抜きの収入金額(輸出の金額は加え、その他の消費税がかからない収入は除きます。)の総計です。また、当期が消費税の申告を必要としなければ税抜きにする必要がありません。
社内監査 経理についての社内監査の実施の有無について、回答します。

社内監査にチェックシート等を活用している場合には、( )内にそのチェックシートの名称を記載します。

兼業の状況 建設業をやりながら不動産賃貸もしているなどの兼業がなければ空欄でよいでしょう。
事業内容の特異性 国税庁の書き方では「同業種の法人と比較してその事業内容が相違している事項を記載してください。 」ということでかなり抽象的な書き方になっています。よほど書きたいことがなければ空欄で問題ないでしょう。
主な設備等の状況 国税庁の書き方では「事業の用に供している主な設備等の状況について、名称・用途・型・大きさ・台数・ 面積・部屋数等について以下を参照し、記載してください。 なお、申告書の内訳明細書等に記載がある事項については省略して差し支えありません。

(例)

  • ○機械装置の状況には、名称・用途・大きさ・型・台数等について記載してください。
  • 車両等の状況には、名称・用途・台数等について記載してください。
  • 店舗等の状況には、店舗名・住所・延床面積・テーブル数・収容人員等について 記載してください。
  • 倉庫等の利用状況には、住所・延床面積・自社所有・賃貸等について記載してく ださい。
  • 客室等の状況には、広さ(畳)・部屋数・収容人員等について記載してください。

(注) 機械装置の用途は、製造(又は作業)の工程と関連させて記載してください。 」とあります。

固定資産については固定資産台帳を添付していれば大方記載は省略できます。その他の例に挙がっている事項については余力があれば記載する程度の認識でよいでしょう。

 帳簿類の備付状況 (記載例) 受注簿、発注簿、作業(生産)指示簿、作業(生産)日報、原材料受払簿、商品受払 簿、レジシート、売上日計表、工事日報、工事台帳、出面帳、運転日報、注文書、外交 員日報、客別売上明細表、出前帳、予約帳、部屋割表、取引台帳、営業日誌等。
 当期の営業成績の概要  経営状況の変化によって特に影響のあった事項、経営方針の変更によって影響のあった事項などについて具体的に記載してください。

実務では空欄で提出されることが多いです。

ただし、前述のとおり調査を受ける可能性のある規模の法人については前期と今期を比較して大きな変化のある勘定科目があれば、その理由を記しておくようにするとあらぬ疑いをかけられることを防げるかもしれません。

事業概況説明書の記入例

事業概況説明書の記載例を載せておきます。

空欄部分も多いですが、税務署に提出される事業概況説明書はこのレベルのものが一般的です。

「12主な設備等の状況」は、申告書に添付した固定資産台帳で網羅できていれば省略できますし、「11事業形態」の「事業内容の特異性」はなければ記載はなしになりますし、あれば簡単に記載すればよいといったレベルです。

表面

事業概況説明書表面

裏面

事業概況説明書裏

事業概況説明書を効率的に作成するには

無料で作成できるソフトはあるのか

まず、手書きは絶対にやめましょう。なぜなら、事業概況説明書の取引金額を記入する欄や説明を要する欄以外は毎年ほとんど変わらないので、毎年多くの欄に同じ語句を記入し続けることになります。これはかなりの時間的ロスと精神的ダメージをあなたに与えてくるでしょう。

事業概況説明書だけを作成するだけなら無料でサクッとできるソフトを利用したいものです。

そんな好都合なソフトがあるのでしょうか。

JDLや達人シリーズなどの大手の税務ソフトだと勘定科目内訳書作成機能もついてですか1万円を下りません。エクセルでも無料で作成できるものを私は探せませんでした。

しかし、諦めないでください。1つだけあります。

全力法人税です。

法人税の知識がなくてもかんたんに法人税の申告書が作成できるというものをコンセプトとしたソフトです。かなりの高機能にもかかわらず無料で利用できます。これほど高機能で無料で利用できるものを他に知りません。

全力法人税での作成方法については下記記事で詳しく解説していますのでそちらをご覧の上ご利用ください。

事業概況説明書を無料で作成する最良の方法

まとめ

いかがだったでしょうか。元国税調査官の立場から言えば、小規模企業の事業概況説明書はここで触れた内容を理解していれば十分です。法人税の申告書の作成にお金も時間もかけられない会社さんはいかに効率的に申告書類を作るかがポイントとなります。今回の記事で触れた申告ソフトなどを使って効率的に申告書を作っていきましょう。

執筆者 ジャパンネクス株式会社代表 元国税調査官 税理士 海野 耕作

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