
税務署から法定調書を提出するように案内が届いたぞ。
はて?これはなんだろう?
私に関係あるのかな??
思いっきり関係あります!
給与を支払っている場合は「源泉徴収票」、税理士などに報酬を支払った場合や事務所の賃借料を支払った場合などにはそれぞれ「支払調書」を作成して税務署に提出する必要があります。
また、「給与支払報告書」というものを、給与を支払った社員等が住む自治体に提出する必要もありますよ。
えっ!?そうなんですね。
役員報酬を支払っているので、私にも関係あるということですか。
それって結構難しいですか?
私にもできますか?
源泉徴収票や支払調書などの法定調書の作成と提出は、決して難しい作業ではありません。
一度、流れを理解できれば、次からは難なく法定調書の作成、提出作業をできるようになるでしょう。
そうなんですね。
是非、法定調書について教えてください!
わかりました!
それでは、今回は法定調書の作成と提出について解説していきたいと思います。
よろしくお願いします!
今回の記事の内容を動画でも解説していますので、動画がお好みの方はこちらをどうぞ。
目次
1 法定調書の概要
そもそも、法定調書ってどんなものなのでしょうか?
それでは、まず、法定調書とはどのようなものなのか、中小企業が主に使用する法定調書を紹介していきたいと思います。
1-1 法定調書とは何か法定調書とは何か
まず、法定調書というものはどのようなものなのかについて解説していきます。
法定調書とは、所得税法や相続税法などで税務署に提出が義務付けられている書類をいいます。
執筆時点では63種類の法定調書があります。
63種類の詳細は国税庁のHPでご確認ください。
当記事では、中小企業が作成するケースが多くなる以下の4種類に絞って解説していきます。
中小企業が使用する主な法定調書
- 給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書)
- 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
- 不動産の使用料等の支払調書
- 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
中小企業ではこの4つの法定調書でほとんど網羅するといっても過言ではありません。
法定調書は、税務署に提出するのですが、源泉徴収票とまったく同じ様式で給与支払報告書という名称だけ違う書類があって、こちらを給与を受け取った社員等の住む市区町村に提出する必要があります。この給与支払報告書についても併せて解説していきますね。
63種類と聞いて焦りましたが、中小企業だったらこの4つをおさえておけばOKなのですね!
ところで、給与所得の源泉徴収票は聞いたことがありますが、「支払調書」とはどんなものなのでしょう?
支払調書とは何か?
支払調書というのは、法定調書の一種で特定の報酬や料金の支払いをした企業や個人事業主が「だれに、どのような内容で、年間いくら支払ったか」を税務署に報告するための書類。
支払調書は法律に定められた特定の支払いをした際に、税務署に報告する書類であり、原則として対象となる支払いをした年の翌年の1月31日までに税務署に提出する必要があります!
ふむふむ、、でも、なぜ税務署に支払調書を提出する必要があるんでしょうか?
税務署が支払いの内容を知っても特に意味がない気がしますが、、
支払調書に提出義務がある理由は、税務署が納税者の支払い状況を把握して、納税者が正しく税金を申告しているのかどうか確認するためのものです。
税務署は、支払いをした者から支払調書の提出を受けることで、誰が誰にどのようなお金を支払ったかという金銭の流れを把握することができます。
支払調書の内容と申告内容を確認することで支払いを受けた側、支払いをした側、両者の申告が正しいかどうかをある程度の確認を行う出来るというわけです。
なるほど、、、A社がB社にお金を支払ったといっているのに、B社がその受け取ったお金を売上に計上していなかったら脱税している!とこうなるわけか。
この支払調書を税務署が確認したら、金銭の流れが把握できて、変な申告をしていないかわかるということですね。
1-2 主な法定調書の種類と内容
中小企業でおさえておくべき4種類の法定調書について、その内容と提出が必要な事業者について解説していきます。
- 給与所得の源泉徴収票
- 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
- 不動産の使用料等の支払調書
- 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
1-2-1 給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書)とは
給与所得の源泉徴収票とは
「給与所得の源泉徴収票」の様式は以下のとおりです。
参照:国税庁HP F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)
給与所得の源泉徴収票が必要な事業者は、令和6年中に俸給、給料、賃金、歳費、賞与などの給与の性質を有する支払いを行った者が作成する必要があります。
給与を支払ったら提出が必要!?
社員が多い会社は、すごい数になりそうですね、、
全員分、提出する必要があるということですか?
実はそういうわけではありません。
給与等の支払金額によって提出範囲が変わってきます。
提出の範囲は下表のとおりです。
支払った給与の金額や年末調整の有無でも変わるんですね。
記載する内容としては、給与等の支払った金額、徴収した源泉所得税額、各種控除金額、扶養の状況等を記載することになります。
詳しい記載の方法は後ほど解説します。
給与支払報告書とは
「給与支払報告書」の様式は以下のとおりです。
(総務省HPより)
源泉徴収票とまったく同じに見えますね。
はい、様式は同じです。
提出先が違います。源泉徴収票は税務署に、給与支払報告書は給与の支払いを受ける従業員が住む市区町村に提出します。
提出範囲も違ってきます。給与支払報告書は基本的には全従業員が対象になります。
給与支払報告書とは
給与を支払う事業主は、従業員の給与支払報告書を、翌年の1月1日時点で従業員が住む市区町村へ翌年の1月31日までに給与支払報告書を提出する義務があります。
【提出義務者】
その年の1月1日から12月31日までに給与を支払った事業主(法人・個人を問わない)
【提出範囲】
その年中に給与の支払いを受けた従業員すべて。
パート、アルバイト、役員など退職者を含むすべての従業員が対象です。
【提出先】
給与の支払いを受けている従業員の今年の1月1日現在の住所所在地の市区町村に提出します。
前年の途中に従業員が引っ越した場合は、今年の1月1日現在住んでいる市町村に提出することになります。
従業員が複数いて、複数の市町村に住んでいるとすれば、その複数の市町村すべてに提出しなければなりません。
1-2-2 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
参照:国税庁HP F1-3 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書(同合計表)
内容としては、報酬の支払金額や源泉徴収税額、支払いを受ける者や支払者の住所、氏名などを記載することになります。
ふむふむ、、なるほど、
この報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書についても全員に出す必要はないってことででしょうか?
おっしゃるとおり、報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書の提出範囲も定められています。
提出範囲は下表のとおりです。
こちらも、給与所得の源泉徴収票と同じで支払った金額によって提出の有無が変わるということですね。
えーと、、外交員やキャバレー等のホステスの報酬については記載がありますが、私たちが良く使う税理士や弁護士への報酬の支払いは、どれに当たるんでしょうか?
(7)に該当します。
(7)については、弁護士・税理士等への報酬、作家への原稿料、画家への画料、講演料等についての支払いについての内容になります。
なお、これらの報酬は同一の者への年間の支払金額が5万円以下の場合には提出不要となります。
1-2-3 不動産の使用料等の支払調書
参照:国税庁HP F1-4 不動産の使用料等の支払調書(同合計表)
記載する内容としては、不動産の区分、所在地、支払額の計算方法、支払金額、あっせん、仲介をした者がいればその詳細、使用料の支払者・支払いを受ける者の住所及び氏名などを記載することになります。
こちらも提出範囲があるのでしょうか?
提出範囲がありますが、こちらは同一の方に対する令和6年中の支払金額の合計が 15 万円を超える場合に提出が必要となります。
ただし、不動産事業者である個人で、主に建物の賃貸借の代理や仲介を目的とした事業を行っている場合には提出義務はありません。
❶不動産事業者である個人で、主に建物の賃貸借の代理や仲介を目的とした事業を行っている場合には提出義務はなし。
❷法人に支払う不動産の使用料等については、賃借料を除く、権利金、更新料等のみを提出。
なるほど、、これは毎年提出が求められそうですね。
私も不動産会社に対して賃借料を支払っているので、必要ってことですね。
そうですね。
ただ、法人に対して支払う不動産の使用料等については、賃借料を除く、権利金、更新料等のみを提出すればよく、家賃や賃貸料のみ支払っている場合は支払調書の提出義務はありません。
そうだったんですね。
私みたいに賃借料のみの支払いした年度については提出が不要で、
次に更新料を支払ったときに提出するってことですね。
ただし、不動産の管理会社を通じて、個人事業主の不動産屋さんに対し不動産の使用料等の支払をする場合は、個人に支払う不動産の使用料等として、支払調書が必要になることに注意です。
1-2-4 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
参照:国税庁HP F1-6 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書(同合計表)
記載する内容としては、区分、支払確定年月日・支払金額と、あっせんに係る不動産等の物件の種類・物件の所在地・数量・取引金額、支払者及び支払いを受ける者の住所及び氏名を記載することになります。
提出の範囲は同一の方に対する令和6年中の支払金額の合計が 15 万円を超える場合に必要となります。
不動産の使用料等の支払調書と同様に、不動産業者である個人の方のうち、主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいる方の場合は提出の義務がありません。
なるほど、、でも、不動産の使用料等の支払調書にもあっせん手数料を記載する欄がありましたよね。
不動産の使用料等の支払調書と同じ内容を記載して提出することになるんでしょうか?
「不動産の使用料等の支払調書」や「不動産等の譲り受けの対価の支払調書」のあっせん手数料に関する欄に必要な記入がされている場合、提出を省略して問題ありません。
ただ、名目が紹介料、業務委託料、コンサルタント料等であっても、実質的にあっせん手数料と同等の性質を有している場合については、この調書の提出が必要となりますので注意が必要です。
1-3 支払先への支払調書の提出について
源泉徴収票は、給与を支払った従業員に渡すと思うんですけど、支払調書は支払先に渡した方が良いんでしょうか?
おっしゃるとおり、源泉徴収票については、給与等を支払った従業員に対して必ず源泉徴収票の原本を交付することになりますが。
ただ、支払調書については、その控えを支払い先に交付する義務はありません。
そうなんですね。
でも友人は支払先に控えを渡すべきだと言っていたんですが、これは誤りということでしょうか?
誤りと言うことではありませんが、確かに、多くの実務で支払調書の控えを支払先に交付するという行われているのは事実です。
でも、これは、あくまで「慣習」的なものであり、支払先に支払調書を交付しなかったとしても罰則はありません。
そうだったんですね!
よく分かりました!
2 主な法定調書の書き方と記載例
先ほど紹介してもらった4種類の法定調書の書き方を知りたいんですが、教えてもらえますか?
それでは、中小企業が提出する主な法定調書の書き方を記載例を用いて解説していきます。
解説していく法定調書は先ほど紹介した以下の4つの法定調書となります。
中小企業が使用する主な法定調書
- 給与所得の源泉徴収票
- 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
- 不動産の使用料等の支払調書
- 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
それでは、一つずつ、法定調書の記載方法を解説していきます。
給与所得の源泉徴収票の書き方
まずは、「給与所得の源泉徴収票」の書き方から説明していきます。
源泉徴収票の様式は以下のとおりです。
「給与所得の源泉徴収票」記載例
引用元:国税庁ホームページ 給与所得の源泉徴収票等の 法定調書の作成と提出の手引
給与所得の源泉徴収票を作成するには、以下の2つの書類が必要になります。
- 給与所得者の源泉徴収簿
- 給与所得者の保険料控除申告書
「給与所得者の源泉徴収簿」と「給与所得者の保険料控除申告書」??
なんか聞いたことがありますね。
私も作ったことがありましたか?
これは年末調整の際に作成が必要な書類です。
厳密には、「給与所得者の源泉徴収簿」は事業者側が作成し、「給与所得者の保険料控除申告書」は従業員が作成し、事業者に提出している書類となります。
様式は以下のようなものになります。
「給与所得者の源泉徴収簿」の様式
「給与所得者の保険料控除申告書」の様式
確かにこの書類は年末調整のときに作っていますね。
この2つの書面を見ながら源泉徴収票を作成するということですね。
そういうことになります。
場合によっては、この2つの書面だけでは作成できない源泉徴収票もあります。
その場合は、国税庁ホームページの「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引 」で複数のパターンの源泉徴収票の書き方が紹介されているので、そちらをご覧ください。
それでは、解説を行っていきます。
源泉徴収票の作成は基本的に「給与所得者の源泉徴収簿」などの書類からの転記を行いながら作成していきます。
それでは、実際に記載例を見ながら確認していきましょう。
❶ 支払年度を記載する
支払調書の上部に支払いを行った年度を記載します。
この記載例では、令和6年1月1日から12月31日までの期間で支払った給与等の内容を記載することになります。
❷ 「支払を受ける者」欄を記載する
この欄には、給与等を受け取った者に関する内容を記載します。
記載する項目としては、支払いを受けた者の住所または所在地、氏名または名称、そして個人番号または法人番号を記載することになります。
❸ 「支払金額」欄などの金額を源泉徴収簿から転記する
ここでは、年末調整において作成した「給与所得者の源泉徴収簿」から源泉徴収票に転記します。
詳しい内容を割愛しますが、画像の通り、源泉徴収簿の⒜から⒩までを源泉徴収票の該当する箇所に記載してください。
❹ 「生命保険料の金額の内訳」欄などの金額を保険料控除申告書から転記する
ここでは、年末調整において作成した「給与所得者の保険料控除申告書」から源泉徴収票に転記します。
詳しい内容を割愛しますが、画像のとおり、源泉徴収簿のAからEまでを源泉徴収票の該当する箇所に記載してください。
❺ 「支払者」欄を記載する
この欄には、給与等を支払った個人や法人の情報を記載します。
記載する項目としては、給与等を支払った者の住所または所在地、氏名または名称、個人番号または法人番号を記載することになります。
以上が「所得者の源泉徴収票」の書き方になります。
源泉徴収票は、年末調整を行って従業員に交付するものでもあるので、年末調整を終えた後に法定調書の提出という流れを考えると、給与ソフトを利用している場合は、システムが自動で作成してすでにできているというケースも多いと思います。
ここでの解説は上記のことを考慮して各記載欄の詳しい内容等については割愛しております。
書き方を詳しく知りたい方は国税庁ホームページの「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引 をご覧ください。
給与支払報告書も、源泉徴収票と同じ書き方で作成できます。
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書の書き方
次に、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の書き方を確認していきましょう。
「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の主な内容は、報酬の支払金額や源泉徴収税額、支払いを受ける者、支払者の住所、氏名などを記載することになります。
「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」記載例
引用元:国税庁ホームページ 給与所得の源泉徴収票等の 法定調書の作成と提出の手引
では、記載欄を一つずつ確認していきましょう。
❶ 支払年度を記載する
支払調書の上部に支払いを行った年度を記載します。
この記載例では、令和6年1月1日から12月31日までの期間で支払った報酬の内容を記載することになります。
❷ 「支払を受ける者」欄を記載する
この欄には、報酬や料金を受け取った者に関する内容を記載します。
記載する項目としては、報酬を受け取った者の住所または所在地、氏名または名称、個人番号または法人番号を記載することになります。
❸ 「区分」欄を記載する
この欄には、どのような内容の報酬、料金なのかを記載することになります。
記載する「区分」については、どのような支払いかがわかるように以下のような内容を記載してください。
「区分」欄に記載する内容
- 仕業への報酬:弁護士報酬、税理士報酬、診療報酬
- 作品関連:作曲料、書おろし印税、著作権、脚本料
- フリーランス関連:原稿料、翻訳料、契約金
- 講演関連:講演料、教授料
- その他:俳優の報酬、外交員報酬、ホステス報酬、広告宣伝を目的とした賞金など
❹ 「細目」欄を記載する
この欄には、区分に関連する報酬、料金の内容をより詳しく記載する欄となります。
具体的には以下のような内容を記載します。
「細目」欄に記載する内容の例
- 弁護士報酬の場合、弁護士が関与した事件の名称等を記載する
- 印税については、その印税が生じる書籍名などを記載する
- 公演等の報酬の場合、その公演等の名称を記載する
- 俳優等の出演料の場合、その出演した映画、演劇の題名を記載する
❺ 「支払金額」欄を記載する
この欄には、その年度の1月1日から12月31日の1年の間に支払いが確定した金額を記載します。
記載する内容としては、実際に支払いを行った報酬金額だけではなく、未払いの報酬や控除額以下で源泉徴収されなかった金額も含めます。
未払の報酬がある場合は、記載欄の上段に未払金額を内書きし、下段に年度内に支払の確定した支払金額合計(消費税込)を記載することになります。
❻ 「源泉徴収税額」欄を記載する
この欄には、その年度の1月1日から12月31日の1年の間に支払った報酬から源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の合計額を記載します。
支払金額が未払いのため源泉徴収もできていない場合は、未徴収の源泉徴収税額を内書します。内書の方法は、支払金額の欄と同様です。源泉徴収税額の欄を二段に分け、上段に未徴収分の金額、下段に源泉徴収税額の合計を記入します。
ただし、支払を受ける者が災害による被害で報酬等に関わる源泉徴収税などの猶予を受けた場合は、猶予分の税額は含めません。
❼ 「摘要」欄を記載する
摘要欄には、以下のような特定の事由がある場合に記載を行います。
「摘要」欄に記載する内容の例
- 診察報酬のうち、家族診療分がある場合、「家族」と記載し、家族診療分の金額を記載します。
- 支払を受ける者が災害による被害で報酬等に関わる源泉徴収税などの猶予を受けた場合に、その税額を記載するとともに、金額の頭部に「災」を〇で囲み記載します。
- 支払者が広告宣伝を目的に金銭以外の賞金を支払った場合に、その旨とその種類等の明細を記載します。
- 支払を受ける者が源泉徴収の免除証明書を提出している場合に、その他法律上源泉徴収を要しない方である場合には、その旨を記載します。
❽ 「支払者」欄を記載する
この欄には、報酬等を支払った個人や法人の情報を記載します。
記載する項目としては、支払った者の住所または所在地、氏名または名称、個人番号または法人番号を記載することになります。
不動産の使用料等の支払調書の書き方
次に、「不動産の使用料等の支払調書」の書き方を確認していきましょう。
「不動産の使用料等の支払調書」記載例
引用元:国税庁ホームページ 給与所得の源泉徴収票等の 法定調書の作成と提出の手引
では、記載欄を一つずつ確認していきましょう。
❶ 支払年度を記載する
支払調書の上部に支払いを行った年度を記載します。
この記載例では、令和6年の1月1日から12月31日までの期間で支払った不動産等の使用料の内容を記載することになります。
❷ 「支払を受ける者」欄を記載する
この欄には、不動産の使用料等を受け取った者に関する内容を記載します。
記載する項目としては、不動産の使用料等を受け取った者の住所または所在地、氏名または名称、個人番号または法人番号(左端を空白にして、右詰め)を記載することになります。
なお、支払いを受ける者に支払調書の写しを交付する際は、マイナンバーの記載は行わないようにしましょう。
❸ 「区分」欄を記載する
この欄には、どのような内容の報酬、料金なのかを記載することになります。
記載する「区分」については、どのような支払いかがわかるように「地代」、「家賃」、「権利金」などを記載してください。
主なものとしては以下の通りです。
「区分」欄に記載する内容
- 地代
- 家賃
- 権利金
- 更新料
- 承諾料
- 名義書換料
- 船舶の使用料
❹ 「物件の所在地」欄を記載する
この欄には、その地代、家賃等の支払いの基礎となった物件の所在地を記載します。
❺ 「細目」欄を記載する
この欄には、土地の種類(宅地、田畑、山林等)、建物の構造(木造、鉄骨造など)の内容を記載する欄となります。
❻ 「計算の基礎」欄を記入する
この欄には、対象の年の貸借期間、単位(月、週、日、㎡等)当たりの賃借料、戸数、面積等の不動産の使用料等の計算の基礎となる内容を記載します。
❼ 「支払金額」欄を記載する
この欄には、対象の年の1月1日から12月31日の1年の間に支払いが確定した金額を「区分」欄の支払内容ごとに記載します。
❽ 「摘要」欄を記載する
摘要欄には、地上権、賃借権等で設定した権利の存続期間やあっせん手数料を支払った場合にその内容を記載する欄となります。
記載方法は以下のようになります。
⑴ その権利の存続期間を記載する
この欄には、不動産の使用料等が地上権、賃借権、その他土地の上に存する権利の設定による対価である場合には、その設定した権利の存続期間(自~至)を記載します。
⑵ あっせん手数料の内容を記載する
この欄には、不動産等の賃借や売買の契約の際に、対象の年中にあっせん手数料を支払った方が、次に解説する「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」の作成・提出を省略する場合に使用する欄となります。
記載する内容は「あっせんをした者」欄にあっせんをした方の住所(居所)、本店又は主たる事務所の所在地、氏名又は名称、マイナンバー又は法人番号(左端を空白で、右詰めで記載)、あっせん手数料の「支払確定年月日」、「支払金額」を記載することになります。。
なお、支払いを受ける者に支払調書の写しを交付する際は、マイナンバーの記載は行わないようにしましょう。
❽ 「支払者」欄を記載する
この欄には、不動産の使用料等を支払った個人や法人の情報を記載します。
記載する項目としては、不動産の使用料等を支払った者の住所または所在地、氏名または名称、個人番号または法人番号を記載することになります。
不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書の書き方
次に、「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」の書き方を確認していきましょう。
「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」記載例
引用元:国税庁ホームページ 給与所得の源泉徴収票等の 法定調書の作成と提出の手引
では、記載欄を一つずつ確認していきましょう。
❶ 支払年度を記載する
支払調書の上部に支払調書の提出対象の年分を記載します。
この記載例では、令和6年1月1日から12月31日までの期間で支払った不動産のあっせん手数料の内容を記載することになります。
❷ 「支払を受ける者」欄を記載する
この欄には、不動産のあっせん手数料を受け取った者に関する内容を記載します。
記載する項目としては、あっせん手数料を受け取った者の住所または所在地、氏名または名称、個人番号または法人番号(左端を空白にして、右詰め)を記載することになります。
なお、支払いを受ける者に支払調書の写しを交付する際は、マイナンバーの記載は行わないようにしましょう。
❸ 「区分」欄を記載する
この欄には、どのような内容の取引に関するあっせんであったのかを記載することになります。
記載する「区分」については、どのような支払いかがわかるように「譲渡」、「譲受け」、「貸付け」、「借受け」から記載してください。
❹ 「支払確定年月日」欄を記載する
この欄には、あっせん手数料の支払いが確定した年月日を記載します。
❺ 「支払金額」欄を記載する
この欄には、その年度の1月1日から12月31日の1年の間に支払いが確定した金額を「区分」欄の支払内容ごとに記載します。
❻ 「物件の種類」欄を記入する
この欄には、どのような物件に関わるあっせん手数料なのかがわかるように「土地」、「借地権」、「地役権」、「建物」等と記載してください。
❼ 「物件の所在地」欄を記載する
この欄には、あっせん手数料に係る物件の所在地を記載します。
❽ 「数量」欄を記載する
この欄には、その年度中の土地の面積、建物の戸数、延べ面積等のあっせん手数料の計算の基礎となる内容を記載します。
❾ 「取引金額」欄を記載する
この欄には、あっせんに係る物件の売買や貸付けの対価の額を記載します。
なお、賃貸借の場合には、単位(月、週、日、㎡等)当たりの賃貸借料を記載します。
❿ 「支払者」欄を記載する
この欄には、不動産売買等のあっせん手数料を支払った個人や法人の情報に関する内容を記載します。
記載する項目としては、不動産売買等のあっせん手数料を支払った者の住所または所在地、氏名または名称、個人番号または法人番号を記載することになります。
3 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の書き方
法定調書の書き方も理解できたので、どうやって税務署や市区町村に法定調書を提出するのかを教えてください!
そうですね。
その前に、もう一つ書類を作成する必要があります。
それは、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」です。
この、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」というのは、提出する源泉徴収票や支払調書の内容をまとめ、法定調書と一緒に税務署に提出する書類となります。
提出した法定調書の内容が書かれた表紙のようなものです。
様式としては画像のとおりとなります。
「給与所得の源泉徴収票等の法定調書」の様式
なるほど、これが法定調書合計表なんですね。
これは、必ず提出が必要なんでしょうか?
従業員を雇用している企業や、支払調書の発行が必要な取引をしている企業は必ず提出が必要となります。
法定調書合計表に記載が必要となる法定調書は以下の6種類の法定調書となります。
- 給与所得の源泉徴収票
- 退職所得の源泉徴収票
- 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
- 不動産の使用料等の支払調書
- 不動産等の譲受けの対価の支払調書
- 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
この法定調書を作った場合に提出が必要ってことですね。
書き方についても教えてください!
それでは、また記載例の内容を基に「法定調書合計表」の書き方を確認していくことにしましょう。
「給与所得の源泉徴収票等の法定調書」記載例
では、記載欄を一つずつ確認していきましょう。
❶ 支払年度を記載する
支払調書の上部に提出対象の年分を記載します。
この記載例では、令和6年1月1日から12月31日までの期間で支払った報酬の内容を記載することになります。
❷ 「提出者」関係の記載欄を記載する
この欄には、提出者に関する内容を記載します。
記載する項目としては、提出者の住所または所在地、氏名または名称、個人番号または法人番号、代表者の氏名を記載することになります。
❸ その他の記載欄を記載する
この欄には、提出者に関するその他の必要な事項を記載する欄となります。
記載する内容としては、事業種目、整理番号、調書の提出区分、提出媒体、作成担当者、税理士に関する内容となります。
分かりにくい箇所の解説は以下と通りとなります。
⑴ 「調書の提出区分」欄を記載する
提出する法定調書合計表の提出区分を記載する欄となります。
記載する提出区分は以下のような内容となります。
「調書の提出区分」欄に記載する内容
- 新規に法定調書を提出する場合: 「1」を記載する (新規)
- 法定調書を追加で提出する場合: 「2」を記載する (追加)
- 提出した法定調書を訂正する場合: 「3」を記載する (訂正)
- 提出した法定調書を無効にする場合:「4」を記載する (無効)
法定調書は、追加で提出するケースや訂正するケースがあるということなんですね。
⑵ 「提出媒体」欄を記載する
この欄には、法定調書の提出する方法に関する内容を記載します。
提出する媒体には、2桁のコードがそれぞれ振られています。
その内容を法定調書ごとにコードを記載してください。
「提出媒体」のコード内容
- 電子申告で提出した場合:「14」を記載する
- FDで提出する場合: 「15」を記載する
- MOで提出する場合: 「16」を記載する
- CDで提出する場合: 「17」を記載する
- DVDで提出する場合:「18」を記載する
- 書面で提出する場合:「30」を記載する
- その他の方法での提出:「99」を記載する
❹ 「給与所得の源泉徴収票合計表」に関する記載欄を記載する
この欄には、提出する「給与所得の源泉徴収票」に関連する内容を記載することになります。
具体的には以下のように記載します。
⑴ 「(A)俸給、給与、賞与等の総額」欄を記載する
この欄には、左から1年間で給与等を支払った人数の合計、そのうちで源泉徴収をしない方の数、年間で支払った給与等の総額、源泉徴収税額の合計額を順次記載します。
なお、法定調書を税務署に提出するか否かに係わらず、全ての受給者について記載することになります。
⑵ 「(A)のうち丙欄適用の日雇労務者の賃金」の欄を記載する
この欄には、給与所得の源泉徴収票を作成する者のうち税額表の「丙欄」を適用した給与等の状況を記載します。
⑶ 「源泉徴収票を提出するもの」の欄を記載する
この欄には、給与所得の源泉徴収票を提出する対象者の人数と支払金額、源泉徴収税額の合計を記載します。
⑷ 「災害減免法により徴収猶予したもの」の欄を記載する
この欄には、給与所得の源泉徴収票の提出対象者のうち、災害免除法で猶予を受けている方がいれば記載します。
❺ 「退職所得の源泉徴収票合計表」に関する記載欄を記載する
この欄には、提出する「退職所得の源泉徴収票」に関連する内容を記載することになります。
「(A)退職手当等の総額」欄には、1年間で退職手当を支給した人数、支払い金額、源泉徴収税額を記載します。
「(B)(A)のうち、源泉徴収票を提出するもの」欄には、上記のうち、源泉徴収票の提出対象となる役員の人数と、支払った額の合計、源泉徴収税額の合計を記載します。
❻ 「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」に関する記載欄を記載する
この欄には、提出する「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」に関連する内容を記載することになります。
記載する内容は以下のようになります。
⑴ 「所得税法第204条に規定する報酬又は料金等」の欄を記載する
この欄には、支払い区分ごとに、すべての報酬、料金等の合計額を記載し、人員の項目は「個人」と「個人以外」で分けて記載します。
「計」欄に、支払い区分ごとに記載した報酬、料金等の合計額、人員数の合計をそれぞれ記載します。
⑵ 「(A)のうち、支払調書を提出するもの」の欄を記載する
この欄には、上記のうち、支払調書の提出を行うものの合計をそれぞれ記載します。
⑵ 「Ⓐのうち、所得税法第 174 条第 10 号に規定する内国法人に対する賞金」」の欄について
この欄には、馬主が受ける競馬の賞金の支払い金額等を記載する記載欄であるため、通常使用しません。
❼ 「不動産の使用料等の支払調書」に関する記載欄を記載する
この欄には、提出する「不動産の使用料等の支払調書」に関連する内容を記載することになります。
なお、支払調書の提出を要しないものを含みます。
「(A)使用料等の総額」欄には、その年中に支払いが確定した不動産の使用料等の合計額と、支払先の数を記載します。
「(B)(A)のうち、支払調書を提出するもの」欄には、上記のうち、支払調書の提出を行うものの合計をそれぞれ記載します。
❽ 「不動産の譲受けの対価の支払調書」に関する記載欄を記載する
この欄には、提出する「不動産の譲受けの対価の支払調書」に関連する内容を記載することになります。
なお、支払調書の提出を要しないものを含みます。
「(A)使用料等の総額」欄には、その年中に支払いが確定した不動産の譲受けの対価や、資産の移転に伴い生じた各種の損失の補償金について、支払先の数と支払金額の合計を記載します。
なお、支払金額の中に補償金が含まれている場合は、摘要欄に「内補償金◯◯円」と記載します。
「(B)(A)のうち、支払調書を提出するもの」欄には、上記のうち、支払調書の提出を行うものの合計をそれぞれ記載します。
❾ 「不動産の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」に関する記載欄を記載する
この欄には、提出する「不動産の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」に関連する内容を記載することになります。
なお、支払調書の提出を要しないものを含みます。
「(A)あっせん手数料の総額」欄には、その年中に支払いが確定したすべての不動産等の売買または貸付けのあっせん料について、支払先の数と支払金額の合計を記載します。
なお、支払金額の中に補償金が含まれている場合は、摘要欄に「内補償金◯◯円」と記載します。
「(B)(A)のうち、支払調書を提出するもの」欄には、上記のうち、支払調書の提出を行うものの合計をそれぞれ記載します。
なお、「不動産の使用料等の支払調書」及び「不動産等の譲受けの対価の支払調書」の「(摘要)」欄にあっせん手数料に関する事項を記載して提出するため、この支払調書の作成・提出を省略したものについては、その支払先の人員と支払金額の合計を「(摘要)」欄に記載してください。
4 給与支払報告書の総括表の書き方
税務署に法定調書を提出するときに、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」という鏡をつけたのと同様に、市区町村に給与支払報告書を提出する場合には、「総括表」という鏡をつけて提出することになります。
給与支払報告書(総括表)記載例
ここに挙げた総括表は総務省が公表している様式になります。
自治体によって様式が違いますので、書面で提出する場合は、自治体の案内やHP等で総括表の書き方を参照してください。
電子申告(eLTAX)で提出する場合は、総括表は自動作成されますので気にする必要はありません。
例えば鎌倉市の総括表の記載例は次のようになっています。
総括表の書き方で注意するところは、「受給者総人員」欄は会社の人員すべての人数を記載します。
「報告人員」は、その自治体に住んでいる従業員の数になります。
5 法定調書(給与支払報告書)の提出の仕方2選
法定調書合計表や総括表も出来上がりました。
法定調書や給与支払報告書は、どのように税務署や役所に提出するのでしょうか?
それでは、次は法定調書や給与支払報告書の提出方法について解説していきたいと思います。
5-1 法定調書の提出先と提出期限
法定調書の提出先は、すべて税務署ですか?
法定調書及び法定調書合計表の提出先は、原則として納税地を所轄する税務署です。
給与支払報告書については、給与を受け取った者の居住する各市区町村に提出します。
納税地を所轄する税務署
・給与支払報告書・特別徴収票
給与を受け取った者の居住する各市区町村の役所
理解しました!
あと、法定調書の提出期限はいつまででしょう?
法定調書及び法定調書合計表の提出期限は、原則支払いが確定した年の翌年1月31日です。
5-2 法定調書の提出方法
法定調書や合計表の作り方まで教えてもらいましたが、これらはどうやって提出したらいいのでしょう?
提出の方法は以下の4通りあります。
提出方法 | 提出の仕方 |
---|---|
電子申告 | e-TaxやeLTAXを使用して提出。 |
書面 | 紙で作成して提出 |
クラウド等 | 認定クラウド等の提出領域に法定調書のデータを記録し、税務署長にアクセス権限を付与して提出。 |
光ディスク等 | 法定調書を CSV 形式で作成し、CD・DVD などにデータを格納して提出 |
中小企業が手軽に提出することを考えると次の2つに絞られるでしょう。
- 電子申告
- 書面
おすすめの方法はどちらでしょう?
おすすめは、電子申告です。
一番提出枚数が多くなってくる源泉徴収票と給与支払報告書をeLTAXを使うと一度に税務署と各市区町村に提出することができるのでとても効率的です!
提出する自治体が多くなってくると、自治体別に分けるのも提出するのも面倒になってきます。
それは便利そうですね!
それでは、法定調書を電子申告する方法と
書面での提出方法も念のため教えてください!
ただし、eLTAXで給与支払報告書を提出するためのPCdesk(ダウンロード版)はMacでは動きませんので、Windowsが必ず必要になります。
あと、これまで電子申告をしたことがないという方は、PCdeskやe-Taxソフトを使うための事前準備である環境設定が結構なハードルとなっていますので、それが難しいようなら書面で提出でご対応ください。
使えるようにしておくと、確定申告書の提出でも便利になりますので、チャレンジする価値はあると思います。
5-2-1 法定調書と給与支払報告書を電子申告する方法
まずは、法定調書と給与支払報告書を電子申告で提出する方法を解説します。
給与支払報告書を電子申告する場合は、eLTAXというシステムをPCdesk(ダウンロード版)という無料ソフトを使って電子送信することになります。
そしてeLTAXを使うと源泉徴収票も同時に税務署に電子申告することができます。
e-Taxソフトを使って源泉徴収票を提出することができますが、これまで解説したとおり、源泉徴収票と給与支払報告書は同じ様式です。これをソフトに手打ちする場合は、2度同じ内容のデータを打ち込むということになってしまいます。
これをeLTAXで先に給与支払報告書を提出すると、同時に税務署に源泉徴収票を提出してくれるので入力が1度で済みます。提出枚数が多いほど作業が軽減されます。
eLTAXで給与支払報告書と源泉徴収票を同時に電子申告するには、PCdesk(ダウンロード版)が必要になり、これはWindowsでしか動作しませんのでMacユーザーの方はこの方法が使用できないことにご注意ください!
なお、e-Tax(web版)で、源泉徴収票とその他法定調書についてはMacでも電子申告できます。
PCdesk(ダウンロード版)を利用できるWindowsユーザーの方は次の段取りで電子申告するのが一番効率的な方法になります。
では、具体的にどのように進めていくかを解説していきます。
PCdesk(ダウンロード版)を使って、給与支払報告書と源泉徴収票を電子申告する方法
PCdesk(ダウンロード版)を使って、給与支払報告書と源泉徴収票を電子申告する方法は次の記事で詳しく解説していますので、こちらをご覧ください。
源泉徴収票以外の法定調書の提出が必要ない場合は、これで提出が必要な源泉徴収票と給与支払報告書の提出が済んでいるのでこの時点で手続き完了です。
例えば、地代家賃を法人に支払っていて、不動産の仲介料や更新料がなく、税理士等に報酬を支払っていないケースはこの時点で法定調書の提出は完了です!
e-Taxソフトを使ってその他の法定調書を電子申告する方法
ここからは、源泉徴収票以外の法定調書を電子申告する場合の対応方法を解説します。
e-Taxソフトを使用して電子申告することになりますが、e-Taxソフトはダウンロード版とWeb版があり、ダウンロード版はWindowsしか動かず、Web版はブラウザで動くので、MacとWindowsに関わらず利用可能となっています。
e-Taxソフト(ダウンロード版) | e-Taxソフト(Web版) |
---|---|
Windowsのみ | WindowsとMacどちらもOK |
ダウンロード版とWeb版どちらでも法定調書を電子申告できますので、ここでは、Macでも動くWeb版での電子申告の方法を解説します。
e-Taxソフト(web版)の利用には環境設定が必要です。
まだ環境設定が済んでいない場合は、次のページを参照して事前にこの設定を済ませてください。
それではここからe-Taxソフト(Web版)を使って、源泉徴収票以外の法定調書を電子申告する方法を解説していきます。
【1】まずはe-Taxソフト(web版)にログインします。
【2】最初にeLTAXで電子申告した受信通知を確認し、受付番号と受付年月日を控えます。
「メッセージボックス」を確認し、eLTAXで源泉徴収票と合計表を電子申告したその内容を確認します。
目的は、すでに源泉徴収票と合計表を一度提出していて、今回の操作は法定調書を追加で提出する作業となるので、その最初に提出した受付番号と提出日の情報が必要になるからです。
受信通知で受付番号と受付年月日を控えます。
【3】「申請・納付手続きを行う」をクリックします。
「給与所得の源泉徴収票等の法定調書(及び同合計表)の提出【提出枚数100枚以内】」をクリックします。
【4】「提出先税務署等の入力」画面で必要事項を入力します。
❶提出区分の入力:「追加文を提出される方」を選択
❷年分:法定調書に記載している支払った年分を入力
❸前回受付番号:この前に法定調書を電子申告したときに付番された番号(【2】で確認した番号)を入力
❹前回受付年月日:この前に法定調書を電子申告した日付(【2】で確認した年月日)を入力
❺その他必要事項を入力して「次へ」ボタンを押します。
【5】「申告書等の作成 1/2」画面で提出が必要な法定調書を作成する
「源泉徴収票、各支払調書の作成」で源泉徴収票以外の法定調書の内容を手打ちして作成していきます。
今回は、「不動産の使用料等の支払調書」を例に解説していきます。
作成したい法定調書の「作成」ボタンをクリックします。
Macユーザーの方は、この画面で「給与所得の源泉徴収票」の「作成」ボタンをクリックして、源泉徴収票を電子申告することは可能です。
この場合は、給与支払報告書は電子申告できませんので、別途書面で市区町村に提出する必要があります。
法定調書の内容を入力する画面に遷移するので、必要事項を入力します。
入力が済んだら「作成完了」ボタンを押します。
すると法定調書合計表へ転記しますか?と聞かれるので「はい」を選択します。
これで入力した内容を自動で合計表へ反映してくれます。
この要領で他の法定調書もすべて入力します。
ここでは源泉徴収票の入力は不要です。すでに提出していますので、ここではくれぐれも源泉徴収票は入力しないように注意しましょう!
必要なすべての法定調書の入力が全て終わったら「申告書等の作成 1/2」画面で「次へ」ボタンをクリックします。
【6】法定調書合計表を作成する。
「申告書等の作成 2/2」画面で法定調書合計表作成のために「作成」ボタンを押します。
法定調書合計表が表示されるので、内容を確認し、よければ「作成完了」をクリックします。
「申告書等の作成 2/2」画面で「次へ」ボタンをクリックします。
【7】提出が必要なすべての法定調書が作成されているかを確認します。
「入力内容の確認・訂正」画面で源泉徴収票以外の提出が必要なすべての法定調書が作成されているかを確認し、よければ「次へ」をクリックします。
【8】電子署名を付与して送信します。
【9】メッセージボックスの受信通知を確認して、電子申告がされていることを確認します。
これで、e-Tax(Web版)を使っての法定調書の電子申告は完了です!
5-2-2 法定調書と給与支払報告書を書面で提出する方法
続いて電子申告ができない方やこれまで書面で提出した方が楽だという方に向けて法定調書と給与支払報告書を書面で提出する方法を解説します。
法定調書を税務署に提出
法定調書を書面で提出する場合は、法定調書を手書き、又は給与ソフト等から出力して印刷し、法定調書合計表とともに税務署等に提出します。
源泉徴収票、支払調書については、以下の書面を所轄する税務署に期限内に送付してください。
- 作成した法定調書
- 法定調書合計表
提出方法としては、「窓口持参」、「郵送等での送付」の2つの方法があります。
なお、令和7年1月から税務署に提出した申告書等に収受印の押なつがされなくなります。
今まで法定調書合計表の控えが提出を行った証明となっていましたが、令和7年1月からは控えを提出の証明とすることができなくなります。
対応方法として、提出を証明するリーフレットの発行がされることになるため、提出の証明が欲しい場合は、提出の際に返信封筒の同封は忘れないようにしましょう。
税務署の収受印押なつの廃止について詳しく解説記事がありますので、詳しく知りたい方はご覧下さい。
給与支払報告書を各市区町村に提出
給与支払報告書を書面で提出する場合は、以下の書類を給与を受け取った者が居住する市区町村に提出します。
- 作成した給与支払報告書
- 総括表
作成した給与支払報告書と総括表を提出する方法については、統一したフォーマットはなく、市区町村によって様式が異なります。
そのため、提出の際には、各市区町村のホームページでのダウンロード等で総括表の様式を各自で用意する必要があります。
例えば横浜市もケースは次のように案内にしています。
(横浜市HPより引用)
提出方法としては、税務署への法定調書提出方法と同様で、「窓口持参」、「郵送等での送付」の2つの方法があります。
中小企業の多くは電子申告または書面での提出で足りるかと思いますが、光ディスクでの提出方法についても解説しておきます。
5-2-3 光ディスク等で提出する方法
税制改正によって、2021年分の申告からは、法定調書が種類ごとに100枚以上ある場合は電子申告が義務化されました。義務化の要件にあてはまる場合は、e-Taxまたは光ディスク等での提出が必須になります。光ディスク等で提出する場合は、税務署へ事前に申請して承認を受ける必要があるため注意しましょう。
光ディスクで提出するという具体的な方法
前々年の提出すべきであった当該調書の枚数が100枚以上である調書については、令和3年1月1日以降、e-Taxまたは光ディスク等による提出が必要となります。
光ディスク等により提出する法定調書は、一定のデータ形式(CSV形式:カンマ区切りデータ)により作成します。
CSV形式で作成した光ディスク等内の法定調書1枚をメモ帳で開いた場合のイメージは以下の通りです。

提出する媒体には、以下の事項の明示が必要です。
【記載事項】
提出者名
提出者住所
個人番号又は法人番号(※1)
局署番号(※2)及び整理番号(※3)
法定資料の名称
提出件数
提出年月日
正本・副本の区別
総枚数及び一連番号
記載する内容の記載例は以下の通りです。
光ディスク等で法定調書を提出する際には、以下の書類及び媒体(正本、副本)とともに税務署に提出します。
- 提出媒体(正本、副本の計2部提出)
- 光ディスク等提出チェックシート(法定)(Excelファイル/31KB)
- 法定調書合計表
- 支払調書等合計表付表(光ディスク等提出分)(docxファイル/21KB)
以上参考まで光ディスク等で提出する方法を解説しました。
6 法定調書(給与支払報告書)のポイント
ここまでの法定調書と給与支払報告書とは?から提出の方法までのところで簡単にポイントをピックアップして振り返ります。
中小企業が使用する主な法定調書
- 給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書)
- 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
- 不動産の使用料等の支払調書
- 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
❷ 支払調書とは、法定調書の一種で特定の報酬や料金の支払いをした企業や個人事業主が「だれに、どのような内容で、年間いくら支払ったか」を税務署に報告するための書類である。
❸ 給与支払報告書とは、給与を支払う事業主は、従業員の給与支払報告書を、翌年の1月1日時点で従業員が住む市区町村へ翌年の1月31日までに提出する義務のある書類で、源泉徴収票と同じ様式である。
❹ 上記4つの法定調書の解説と書き方を解説
❺ 源泉徴収票はeLTAXを使用すると給与支払報告書と同時に電子申告することができて便利(ただしeLTAXを使用するためのPCdesk(ダウンロード版)というソフトはWindowsでしか動かないので注意)。また他の法定調書は、e-Taxソフト(Web版)で電子申告可能(MacユーザーもOK)
今回解説した方法で法定調書を作成して、提出までの流れを自分なりに作ってしまえば、あとは毎年同じ流れで処理することができます。
毎年繰り返す中でより効率的な方法を見つけられるとよいと思います。
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