
法人税の申告書の色々な別表を見てみると、小難しい用語が書いてあり、何を用意して、どこに何を書くのか難しく感じてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここで、はっきり申し上げますと、別表7(1)「欠損金又は災害損失金の損金算入に関する明細書」はポイントやパターンさえ理解できれば、数ある別表の中でも簡単に書ける別表の一つなのです。
この記事を見れば、誰でも別表7(1)を作成できるようになっていますので、ぜひ、当記事を参考にしていただき、自分の会社の申告をご自身で作成してみてください。
なお、お急ぎの場合や、とにかく正しい別表7(1)が完成すればよい、というような書き方を知らずとも最速で別表7(1)を完成させたいという方は、無料の税務ソフトを使って最速に別表7(1)を完成させる方法を第2章で紹介していますので、そちらに飛んでもらえればと思います。
目次
- 1 別表7(1)(欠損金又は災害損失金の損金算入に関する明細書)の書き方
- 2 別表7(1)の記載例と記載方法
- 3 もっと早く正確に別表7(1)を作成する方法
- 4 まとめ
1 別表7(1)(欠損金又は災害損失金の損金算入に関する明細書)の書き方
別表7(1)は、次のことを行うために作成する別表です。
- 青色申告書を提出した事業年度に欠損金がある場合にその欠損金を翌期へ繰越す(赤字の繰越し)
- 前期以前に発生した繰越欠損金があり、当期が所得金額があった場合に、所得金額から繰越欠損金額を控除する(黒字から前期以前の赤字を差し引く)
この青色繰越欠損金控除の制度についてよくわからないという場合は、以下の記事で詳しく説明していますので、そちらをご参照ください。
この別表7(1)の書き方について解説を行っていきます。
1-1 別表7(1)を書く必要があるかどうかを確認する
青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越しを行う場合において、別表7(1)を書く必要がある法人は下記の通りとなります。
- 当期において、欠損金額が生じた青色申告法人
- 青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額のうち、当期首前9年以内に開始した事業年度において生じたもの欠損金がある法人
1-2 別表7(1)を書くのに必要な書類を準備する。
別表7(1)を書くのに必要な書類は、以下の通りになります。
「控除未済欠損金額(前期から繰り越した欠損金)」がない場合の必要書類
- 当期の「別表4(所得の金額の計算に関する明細書)」
「控除未済欠損金額(前期から繰り越した欠損金)」がある場合の必要書類
- 当期の「別表4(所得の金額の計算に関する明細書)」
- 前期の「別表7(1)(欠損金又は災害損失金の損金算入に関する明細書)」
を用意していただく必要があります。
別表7(1)を作成するのに必要な書類
1-3 別表7(1)の構成と記載の流れを把握する。
それでは、別表7(1)を実際に書いていきたいと思いますが、まずは別表7(1)の構成について実物を見ていきながら、解説していきます。
1-3-1 別表7(1)の構成
別表7(1)の構成は、以下の3つに分かれています。
- A枠:「控除限度額の計算」
- B枠:「前期以前に発生した当期に繰越された欠損金に関する明細」
- C枠:「当期に発生した欠損金に関する欄」
- D枠:「災害により生じた損失の額の計算」
1-3-2 別表7(1)の記載の流れ
続いて別表7(1)の大まかな記載の流れを確認していきます。
まず、A枠で控除限度額の計算を行います。
次に、B枠で以下の記入を行います。
- 前期以前に発生した当期に繰越された欠損金を記入する。
- 当期において控除した欠損金額を記入する。
- 翌期に繰越される欠損金額を記入する。
最後にC枠に当期に発生した欠損金額と翌期へ繰り越される欠損金の合計額の記入を行います。
因みにD枠「災害損失欠損金の繰越し」に関する明細は、必要になるケースは白色申告で災害が生じた場合というたいへんまれであるため、説明は割愛します。
1-4 別表7(1)に記入する。
ここからは、例題に沿って別表7(1)の具体的な書き方を説明していきます。
次の二つの事例で進めていきます。
- ケース1 黒字法人(所得金額がある場合)
- ケース2 赤字法人(欠損金額がある場合)
1-4-1 ケース1 所得金額が発生した場合の別表7(1)の書き方-SETP式-
以下の法人を前提として別表7(1)を書いていきます。
基本的な法人の情報と当事業年度及び当期首前9年前事業年度の所得金額及び欠損金額の推移は以下の通りです。
基本情報
- 法人名 株式会社 一色ジャパン
- 決算期 12月31日決算
- 作成対象の決算期 令和3年12月31日期
- 青色申告法人
- 当期所得金額 5,000,000円
- 控除未済欠損金額
平成27年12月期 1,000,000円
平成28年12月期 3,000,000円
平成29年12月期 3,000,000円
STEP1 A枠「控除限度額の計算」の記入する。
まずA枠「控除限度額の計算」を書いていきます。
(1) 控除前所得金額(1欄)に、当事業年度の別表4の差引計(39欄)の金額を転記します。
※1欄には別表7(2)も参照するようになっていますが、連結欠損金等の損金算入に関する明細書で中小企業には、ほとんど関係ありませんの無視します。
(2) 所得金額控除限度額(2欄)に、1欄と同額を転記します。
※当期が中小法人等事業年度に該当しない事業年度がある場合は、1欄に50%を掛けた金額を2欄に記入する必要がありますが、「中小法人等事業年度に該当しない」というのは、資本金が1億超の法人のことです。中小企業には関係ありません。したがって中小企業の場合は、2欄は常に[ 1欄×100/100 ]と計算します。
STEP2 B枠「前期以前に発生した当期に繰越された欠損金に関する明細」の記入
以下の手順でB枠を埋めていきます。
(1) 事業年度欄下段から書き始めます。前期から9事業年度前の事業年度までを上に向かって記載していきます。
(2) 青色繰越欠損金がある年度の「区分」欄の青色欠損に○をつけます。
「控除未済欠損金額」欄左側にある「区分」欄のうち、控除未済欠損金額が入っている事業年度の欄の「青色欠損」に○がついていることになります。
記載の注意点
- 注意1 最下段を空けて、下から2段目より前事業年度から順番に記載し、上段に行く程古い事業年度となるように遡って記載していきます。
- 注意2 最下段は、現在は使用しません。(※2028年3月31日以前開始の決算期までは欠損金を繰り越せるのは9年間であり、使用できる行は9行であるため)
(3)前期の別表7(1)の「翌期繰越額 5」欄の金額を、作成中の当期の別表7(1)の「控除未済欠損金額 3」欄に各事業年度ごとに転記していきます。
前期から当期への転記は、前期の行から1行上にずれて当期に転記されるイメージです。
(4)2欄の金額を、控除未済欠損金額(4欄)の古い事業年度分から差し引いていきます。
差し引ききれなかった金額を「翌期繰越額」欄に記入します。
(5)3の列から5の列のそれぞれの縦の合計を「計」欄に記入します。
STEP3 C枠「当期に発生した欠損金に関する欄」の記入
以下の手順でC枠を書いていきます。
(1) 5の列の「計」欄に記載されている金額と同額を、「合計」の5に転記します。
例題1 別表7(1)記載例まとめ
1-4-2 ケース2 欠損金額が発生した場合の別表7(1)の書き方-SETP式-
以下の法人を前提に別表7(1)を書いていきます。
基本的な法人の情報と当事業年度及び当期首前9年前事業年度の所得金額及び欠損金額の推移は以下の通りです。
基本情報
- 法人名 株式会社 一色ジャパン
- 決算期 12月31日決算
- 作成決算期 令和3年12月31日期
- 青色申告法人
- 当期欠損金額 3,000,000円
- 控除未済欠損金額
平成27年12月期 1,000,000円
平成28年12月期 3,000,000円
平成29年12月期 3,000,000円
所得金額及び所得金額の推移
STEP1 A枠「控除限度額の計算」の記入
以下の手順でA枠「控除限度額の計算」を書いていきます。
(1)控除前所得金額(1欄)に、当事業年度の別表4の39の①に記載のある金額を転記します。
(2)所得金額控除限度額(2欄)に、1欄と同額を転記しますが、1欄が0以下の場合は、「0」を記入します。
STEP2 B枠「前期以前に発生した当期に繰越された欠損金に関する明細」の記入
以下の手順でB枠を書いていきます。
(1) 事業年度欄下段から、前期から9事業年度前の事業年度までを上に向かって記載していきます
(2) 青色繰越欠損金がある年度の「区分」欄の青色欠損に○をつけます。
「控除未済欠損金額」欄左側にある「区分」欄のうち、控除未済欠損金額が入っている事業年度の欄の「青色欠損」に○がついていることになります。
記載注意点
- 注意1 最下段を空けて、下から2段目より前事業年度から順番に記載し、上段に行く程古い事業年度となるように遡って記載していきます。
- 注意2 最下段は、現在は使用しません。(※2028年3月31日以前開始の決算期までは欠損金を繰り越せるのは9年間であり、使用できる行は9行であるため)
(3)前期の別表7(1)の「翌期繰越額 5」欄の金額を、作成中の当期の別表7(1)の「控除未済欠損金額 3」欄に各事業年度ごとに転記していきます。
前期から当期への転記は、前期の行から1行上にずれて当期に転記されるイメージです。
(4)3欄列から5欄列のそれぞれの合計を「計」欄に記入します。
STEP3 C枠「当期に発生した欠損金に関する欄」の記入
以下の手順でC枠を書いていきます。
(1)「当期分」の「欠損金額」欄に、当期別表4「48の①」欄の金額を転記します。
(2)「当期分」「欠損金額」欄と同額を「青色欠損金」欄、左端と右端にそれぞれ下の図のように転記します。
(3)5列の「計」(7,000,000)と5列の「青色欠損金」(3,000,000)を合計した金額を最下段の「合計」欄にを記入します。
例題2 別表7(1)記載例まとめ
ここまでで別表7(1)を2つのパターン別に作成方法解説してきました。
この書き方どおりに記載していただければ難なく別表7(1)が書き上がると思います。
ただ別表7(1)は書き上がったけど、これで合ってるか始めて作った場合は不安に思うこともあるかと思います。
そこで、別表7(1)で色々なパターンの記載例を用意しました。
同じケースがあれば、数字を変えればそのまま使えるので、間違っているのでは?という不安を払拭できると思います。
是非ご活用いただければと思います。
2 別表7(1)の記載例と記載方法
それでは、実務でありうるであろう様々な別表7(1)の記載例を挙げていきます。
2-1 初めて欠損金が出た場合
初めて欠損金が出た場合の別表7(1)の記載方法です。
例題法人の所得金額及び欠損金額の推移は以下の表のとおりです。
2-1-1 別表7(1)の記載例
C枠「当期に発生した欠損金に関する欄」だけの記載となります。
そのため、前期の別表7(1)は記載において用意する必要はありません。
別表7(1)(抜粋)
2-1-2 例題における、別表1と別表4の記載例
別表4(抜粋)
別表1(抜粋)
3-2 2事業年度、連続で欠損金が出た場合(翌期への繰越しあり)
2事業年度、連続で欠損金が出た場合の別表7(1)の記載方法です。
例題法人の所得金額及び欠損金額の推移は以下の表のとおりです。
2-2-1 別表7(1)の記載例
前期の別表7(1)を参考に「控除未済欠損金額」を転記して、当期に発生した欠損金額を別表4から別表7(1)に転記する、「翌期繰越額」の金額を計算を行い、記載することで完成します。
別表7(1)(抜粋)
2-2-2 例題における、別表1と別表4の記載例
別表4(抜粋)
別表1(抜粋)
2-3 前期が赤字、当期が黒字の場合(翌期の繰越あり)
前期に欠損金があり、当期で所得が発生し、欠損金控除を行った場合の別表7(1)の記載方法です。
なお、今回のパターンでは、翌期に繰越される欠損金はすべて控除されず、一部残ることとします。
例題の法人の所得金額及び欠損金額の推移は以下の表のとおりです。
2-3-1 別表7(1)の記載例
前期の別表7(1)を参考に「控除未済欠損金額」を転記し、当期に発生した所得金額を古い期の「控除未済欠損金額」欄のとなりの「当期控除額」欄に記入し、控除しきれなかった金額を「翌期繰越額」に記載します。
別表7(1)(抜粋)
2-3-2 例題における、別表1と別表4の記載例
別表4(抜粋)
別表1(抜粋)
2-4 前期赤字、当期黒字の場合(翌期への繰越しなし)
前期に欠損金があり、当期で所得が発生し、欠損金控除を行った場合の別表7(1)の記載方法です。
なお、前回とは違い、翌期に繰越される欠損金はすべて控除され、翌期へ繰り越される欠損金はないこととします。
例題の法人の所得金額及び欠損金額の推移は以下の表のとおりです。
2-4-1 別表7(1)の記載例
控除未済欠損金額をすべて、控除したため、翌期繰越額がなくなっています。
このため、翌期において、欠損金が発生しない限り、別表7(1)の作成は不要です。
別表7(抜粋)
2-4-2 例題における、別表1と別表4の記載例
控除しきれなかった所得金額である「500,000円」に税率を掛けて、法人税額を算出しています。
別表4(抜粋)
別表4「40」欄で、控除しきれなかった所得は、別表1において税額計算されることになります。
別表1(抜粋)
2-5 前々期が赤字、前期で黒字、当期が赤字の場合
前々期において、欠損金があり、前期で所得が発生し、当期において、再度欠損金が出た場合の別表7(1)の記載方法です。
例題法人の所得金額及び欠損金額の推移は以下の表のとおりです。
2-5-1 別表7(1)の記載例
別表7(1)抜粋
2-5-2 例題における、別表1と別表4の記載例
別表4(抜粋)
別表1(抜粋)
2-6 前々期が赤字、前期及び当期が黒字の場合
前々期において、欠損金があり、前期及び当期で所得が発生した場合の別表7(1)の記載方法です。
例題の法人の所得金額及び欠損金額の推移は以下の表のとおりです。
2-6-1 別表7(1)の記載例
別表7(1)抜粋
2-6-2 例題における、別表1と別表4の記載例
控除しきれなかった所得金額である「1,000,000円」に税率を掛けて、法人税額を算出しています。
別表1(抜粋)
別表4(抜粋)
3 もっと早く正確に別表7(1)を作成する方法
ここまで、別表7(1)の書き方を具体例や記載例を用いて解説してきましたが、別表4から転記したり、過去の事業年度を多い場合は9行書かなければならなかったりと難しくはないけれど少し面倒な点が多いです。
また記載例がないケースなどでは記載漏れや転記漏れがないかなど不安になることもあるかもしれません。
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❷ トップ画面で「申告書を作成する」を選択する
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❹ 「申告情報」を入力後「保存」して「次へ」を選択する
作成を行う申告書の情報を入力してください。所要時間5分程度
❺ 「決算情報」の会計データのインポートもしくは、入力を行う。
全力法人税で申告書の作成を行うには、「決算情報」を会計ソフトから出力した会計データをインポートするか、または入力する必要があります。
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またその他の会計ソフトの場合は会計データを全力法人税に取り込める形に整形することでインポートすることも可能です。
全力法人税へインポートするマニュアルを参考までに以下に挙げておきます。
弥生会計からデータをインポートする方法
Freee(フリー)の会計データをインポートする方法
マネーフォワードの会計データをインポートする方法
弥生会計オンラインの会計データをインポートする方法
会計王の会計データをインポートする方法
あらゆる会計ソフトの会計データをインポートする方法
今回はイメージがしやすい会計ソフトのデータを読み込まずに申告書を作成する方法をご紹介します。
その場合は、次の画面で「その他の方法で作成する」を選択します。
手入力が増えますが、それでも簡単に申告書を作成することができます。
法人税の申告書を作成するのに必要な決算情報を入力します。
このデータだけで法人税の確定申告に必要な別表を簡単に作成できます。
各フォームにフォーカスすると吹き出しが出てくるのでその部分は良く読んで入力します。
入力が終わったら「登録」ボタンを押します。
❻ 「別表7(1)」の入力を行う
「申告書」タブの「別表7」をクリックすると、別表7(1)の入力画面が表示されます。
別表7(1)入力画面
記載が面倒な事業年度は自動で表示されます。
「控除未済欠損金額」がある場合は入力を行います。
「当期控除額」は、当期で所得金額がある場合、自動で入力されます。
また、「翌期繰越額」も同様に自動計算されます。
当期分の青色欠損金の計算も、ソフトが計算を行い、自動的に必要な個所に入力されます。
❼ 別表7(1)を出力する
無料版でも別表7(1)の計算結果を画面上で確認できますので、それをe-Taxソフトに入力したり、手書きで申告書に写すという方法でコストをかけず効率的に別表7(1)を作成することも可能です。
有料版の場合は、PDF出力とeTaxソフトに組み込めるファイルを出力することが可能です。
メニューバー「印刷」をクリックすると、「申告書出力コントローラー」画面が表示されます。
別表7のボックスにチェックを入れて、「PDF出力」をクリックすると、作成した別表7(1)が出力されます。
次のように印刷されます。
別表7(1)「欠損金又は災害損失金の損金算入に関する明細書」記載例
以上で別表7(1)が完成しました。
記事を作成するために別表7(1)を全力法人税で作成しましたが、簡単すぎて説明するところが本当に少ないです。
このように全力法人税を使用して法人税の別表を作成するとかなり効率的にそして転記漏れもありませんので正確に作成できます。
無料版で出力できない申告書も画面で確認できる場合がありますので、全力法人税で作成したものをe-Taxソフトに入力したり、申告書に手書きで写す方法でも何もないところから申告書を作るよりずっと効率的に作成できます。
是非効率的に申告書を作成したいという方はこの法人税の申告書作成支援ソフト「全力法人税」を試して損はないと思います。
4 まとめ
本記事では、別表7(1)の具体的な書き方について、パターン別の記載例などを使って詳しく解説してきました。
最後に改めて別表7(1)の書き方をおさらいしていきましょう。(青色繰越欠損金控除の場合)
- A枠で「控除限度額の計算」の記入を行う。
- 前期の申告書等より繰越を行うことが出来る欠損金額「控除未済欠損金額」を整理する。
- 「控除未済欠損金額」から「当期控除額」を差し引き「翌期繰越額」を算出する。
- B枠で「前期以前に発生した当期に繰越された欠損金に関する明細」の記入を行う。
- 当期に発生した欠損金又は所得金額を確認する。
- C枠「当期に発生した欠損金に関する欄」の記入
また、今回の記事では、敢えて説明を割愛しましたが、法人が別表7(1)を作成する理由には以下の二つもあります。
- 青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越しを行う場合
- 欠損金の繰戻しによる還付を受ける場合
なぜ、今回の記事で青色繰越欠損金控除の場合の書き方だけを説明したかと言うと、単純に青色繰越欠損金控除をするために別表7(1)を書くことが多いためです。
そのため、今回の記事では「災害損失欠損金の繰越し」と「欠損金の繰戻し還付請求」の説明は割愛させていただきました。
なお、
「災害損失欠損金の繰越し」とは、青色申告書を提出していない法人でも、災害により生じた損失に係る欠損金及び会社更生等による債務免除があった場合の欠損金額について、その金額を損金に算入できる制度です。
「欠損金の繰戻し還付請求」とは、簡単にいうと、法人税を納めた次の年度が赤字だったらその赤字額に対応した前期に納めた金額が還付されるという制度です。
欠損金の繰戻し還付請求について簡単に説明します。
前期は黒字で納税したけど、今期は赤字だった。悪いから前期の税金お返しします。というイメージです。
下の表をご覧ください。わかりやすいように大雑把な計算を例に説明します。
会計年度 | 第1期 | 第2期 |
---|---|---|
所得金額 | 100 | △80 |
納める税金 | 20 | |
還付税金 | 16 |
第1期に100の利益が出て20の税金を納め、翌年度は80の赤字だった場合
20 × 80/100 = 16
ざっとこのような計算式で還付金を求め、第1期、第2期ともに青色申告の場合に税務署に還付を請求することができる制度です。
詳しい解説はこの記事では省略させていただきました。
事業を始めたばかりの経営者の皆さんの中で「赤字の場合、法人税は掛からないから、申告しなくていいかな?」なんて考えていた方が、もしかしたらいたかもしれませんが、そんなことしたら、本当にもったいないということが分かったのではないでしょうか。
法人が赤字を出してしまった場合、別表7(1)を書いて「青色繰越欠損金」の制度を利用することこそ、効果絶大の節税方法です。
別表7(1)は、当期の所得金額または、欠損金額がわかる別表4と前期の別表7(1)があれば、簡単に作成できることが理解できたと思います。
青色欠損金の控除は、初心者でも簡単に節税できるため、しっかり理解して、自分自身で申告書を書いてみましょう。