別表5(2)の書き方を初心者にわかりやすく国税OB税理士が解説

別表5(2)の書き方|初心者向けに国税OB税理士が0から解説

この記事では、法人税の別表5(2)「租税公課の納付状況等に関する明細書」について、別表5(2)とはどういう性質の書類なのか、という基本的なところから必ず書き上げられる書き方まで0から初心者向けに税務署に勤めていた税理士がわかりやすく解説していきます。

確定申告する時期になり、税務署から申告書類一式が送られてきて、初めてそれらを見たときは愕然としますよね。
別表5(2)についても、何を書けばいいかわからない、そんな申告書類のうちの一つだと思います。

悩む会社員 新米社長

別表5(2)?なんだこれは!?
何を書けばいいかさっぱりわからない!
充当金取り崩し?納税充当金の計算?仮払税金消却?うーん….

そうなりますよね。
でも安心してください。多くの企業ではすべての欄を使うことはありません。書く必要のある欄はほぼ決まっていて書き方も決まっていますので、一度書き方が分かってしまえば楽勝の別表のうちの一つです。
元国税調査官で税理士の私が、ポイントを絞ってわかりやすく解説していきます。初心者の方でも必ず完成させられます!

弁護士 税理士

 

この記事の特徴(難解な法人税の申告書が誰でも書ける秘訣)


中小企業向けに初めて法人税の申告書を作成する初心者の方でも、申告書類の書き方がわかるように解説します。

別表5(2)について、大企業が作成することを考慮した留意点まで解説すると複雑な処理の解説も必要になりますが、中小企業が別表5(2)を間違いなく完成させることに的を絞れば、その解説は相当シンプルなものになります。
中小企業にとっては、別表5(2)を完成させることは、比較的簡単に作成できる書類の一つですので、安心してください。
数多くの税務調査を国税調査官として行ってきた経験を持つ私が、重要ポイントは押さえながらメリハリをつけてわかりやすく解説します。

繰り返しますが、この記事は中小規模の会社の法人税の申告を自力で行う方向けの記事です。

別表5(2)の書き方に入る前に最初に別表5(2)の書類がどういう性質のものなのか、そして全体の構成を大まかに捉えることでそんなに難しいものでないことを理解したいと思います。


1 別表5(2)とは

法人税申告書 別表5(2)とは

別表5(2)は法人税の確定申告をする上でなんのために必要なのでしょうか。
まずは法人税の確定申告書の中の別表5(2)のポジションを理解してしまいましょう。

1-1 別表5(2)の役割

別表5(2)はその名称が「租税公課の納付状況等に関する明細書」であることからも推測できるとおり、この別表が表現しようとしていることを一言でいうとすると次のように言えます。

別表5(2)とは
別表5(2)は、租税公課を納付したときに、どのように会社が経理処理したかを表現するもの
悩む会社員 新米社長

なんで納付状況を知りたいのかな?

法人税や道府県民税、市町村民税などの租税公課の多くが法人税法上は損金に算入されないため、その計算が正しく行われているかを確認する役割を別表5(2)が担っていると考えてもらえればと思います。

損金という専門用語が出てきましたが、法人税の申告書を作成する上で避けては通れないこれだけは身につける必要のある用語ですので、これを知らない場合は、次の記事で必ず確認してからまたこの記事に戻ってきてください。

弁護士 税理士

法人税では、租税公課はその税目によって損金に算入されたり、損金に算入されなかったりします。
租税効果は、損金に算入されない金額の方が圧倒的に多くなります。
この計算が正しく行われていないと法人税の税額計算も正しく行われません。そのため租税公課の処理が正しく行われているかを確認する必要が出てきます。これを別表5(2)で確認するしくみになっています。

ここまでのところを整理しましょう。

法人税等の税金の多くは損金に算入されず、税金の税務処理が正しく行われていないと法人税額計算に多大な影響を与えるため、税金の納付状況とその税務処理を確認するための書類として別表5(2)はある。

1-2 別表5(2)の特徴

別表5(2)の特徴としておさえてほしい点があります。それは、

別表5(2)の特徴
別表5(2)は、法人税の確定申告では必ず作成する必要がある書類

この点をおさえておきましょう。
法人であれば、地方税の均等割は赤字でも支払うので必ず税金の支払いがあります。租税公課の支払いは必ずあるので、必ず別表5(2)は作成する必要があります。
他の別表は、該当するものがなければ原則作成する必要がありません。
例えば、税務上の交際費等の支出がなければ別表15は不要です。また欠損金の繰越しがなければ別表7(1)を作成する必要がありません。
一方、別表5(2)は必ず作成する必要がありますので、提出漏れのないよう注意しましょう。

次は別表5(2)の記載例を実際に確認し、その構成等を確認することで全体像を理解していきましょう。

1-3 別表5(2)の全体像

別表5(2)の全体像を理解するために最初に記載例から確認してみましょう。

次の記載例は、設立初年度で赤字である法人の例です。

別表5(2)記載例

法人税 別表5(2) 記載例 設立初年度赤字のケース

会社員 新米社長

え?たったこれだけ?

設立初年度が赤字の法人が別表5(2)を書くとほとんどこのような内容になります。
難しくないですよね。
使う欄はかなり限られていることを知っていただけたらと思います。

弁護士 税理士

別表5(2)が簡単そうだというイメージを持っていただけたところで、次に別表5(2)の大まかな構成を確認していきましょう。
この部分は「そんなもんかぁ」くらいにさらっとイメージを掴む程度に流して見てもらえればと思います。

まず、別表5(2)は、次のように上段下段と2つのパートに大別されています。

法人税 別表5(2)の構成1

上段:法人税等の租税公課をどのように納付し、それをどのように経理したかを記載するパート。
下段:納税充当金※をどのように経理処理したかを記載するパート。
※納税充当金については後述しますので、ここでは2つに別れているんだということがわかってもらえれば十分です。

続いて上段の「租税公課の納付状況」部分に焦点を当ててさらに詳しい構成を確認します。

まず別表5(2)の冒頭部分を確認し、その構成を確認していきましょう。

法人税 別表5(2) 題目意味

左からその税目が年度始めにいくらあって当期いくら発生して今期どのように納めて今期納めていない金額がいくらなのか把握していくイメージです。

それを別表5(2)全体に当てはめると次のようなイメージです。

法人税 別表5(2) 題租税公課の納付状況のイメージ

大まかなイメージを掴んでもらえればOKです。
別表5(2)について、概ね次のようなイメージを持ってもらえればと思います。

様々な税金について、年度の始めにいくら納めていない金額があって、当期中にいくら発生して、どういう経理処理で納付して、年度末にいくら残っているかを記録する。

それでは、最も大切な点、別表5(2)の書き方を見ていくことにしましょう。

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2 別表5(2)の書き方

法人税申告書 別表5(2)の書き方

ここからは別表5(2)をどのように書いていくかをわかりやすく順序立てて解説していきます。

別表5(2)を作成する前に知っておかなければならない点を説明します。法人税の申告書を作成する上での全般に関することです。

法人税の確定申告書(別表)は、作成する順番があります。

別表5(2)は実は2回登場します。
つまり、別表5(2)は一度に書き上げることができないのです。

中小企業で登場する可能性の高い別表を挙げ、それを作成順に並べてみます。

別表の作成順一覧

順番別表別表名称
別表2同族会社等の判定に関する明細書
別表11⑴個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書
別表11(1-2)一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書
別表15交際費等の損金算入に関する明細書
別表16⑴旧定額法又は定額法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書
別表16⑵旧定率法又は定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書
別表16⑹繰延資産の償却額の計算に関する明細書
別表16⑺少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書
別表16⑻一括償却資産の損金算入に関する明細書
10別表6⑴所得税額の控除に関する明細書
11別表5⑵①租税公課の納付状況等に関する明細書
12別表5⑴①利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書
13別表4①所得の金額の計算に関する明細書
14別表14⑵寄附金の損金算入に関する明細書
15別表7⑴※1欠損金又は災害損失金の損金算入に関する明細書
16別表4②前述のとおり
17別表7⑴※2前述のとおり
18別表1次葉各事業年度の所得に係る申告書-内国法人の分(次葉)
19別表1各事業年度の所得に係る申告書-内国法人の分
20別表5⑵②前述のとおり
21別表5⑴②前述のとおり
22別表4③前述のとおり
23適用額明細書適用額明細書

作成する必要のない別表は飛ばして次に移っていきます。

上記の表では、別表5(2)は11番目と20番目に出てきています。

悩む会社員 新米社長

なんだか難しそうー
諦めたくなるー

ここでは、別表5(2)は一度に書け上げられるものではなく、1度書いたら別の申告書類を作ってまた戻ってくるということを理解してもらえれば十分です。
それでは、実際に別表5(2)を作りながら理解していきましょう!

弁護士 税理士

それでは早速実際に別表5(2)を書いていきましょう。
1回目の別表5(2)の書き方です。
ケース別に解説していきます。
どのようなケースかというと、次の3つのケースに分けて解説していきます。この3つの書き方のパターンを知っていれば、中小企業のほとんどのケースで別表5(2)を完成させることができます。

ケースケースの内容
ケース1設立1期目赤字
ケース2設立1期目黒字
ケース3設立2期目以降

最初は3つのケースに共通する事項を説明し、その後3つのケースに分けて解説していきます。
それでは早速始めていきます。

まずは共通事項の書き方から2つの項目について解説していきます。

  1. 事業年度と法人名
  2. 「その他」欄

冒頭の「事業年度」欄と「法人名」欄から記載します。

法人税別表5(2) 事業年度と法人名欄 書き方

【事業年度】は会計年度の意味です。
例えば令和3年1月1日から令和3年12月31日の会計期間であれば、上の記載例のように書きます。「令和3.1.1」でも「R3.1.1」でも構いません。

【法人名】は文字どおり法人名を記載しましょう。

続いては、次のとおり「その他」の20欄〜29欄からスタートします。

法人税別表5(2)の書き方 その他欄

「その他」欄は、何について記載するかというと

「その他」欄は、法人税+地方法人税・道府県民税・事業税+特別法人事業税・市町村民税 以外の租税公課を支払った場合に処理する欄

です。

次の表を参照して、表の租税公課を支払った場合は、損金算入のものと損金不算入のものに分けて「その他」欄に記載します。

租税公課分類表

租税公課種類備考
損金算入のもの利子税(国)申告納付期限延長した場合の延滞税
延滞金(地方)申告納付期限延長した場合の延滞金
源泉所得税税額控除を適用しない場合
固定資産税
不動産取得税
自動車税
印紙税
登録免許税
消費税税込経理のみ
損金不算入のもの延滞税・延滞金延滞税は国、延滞金は地方
過少申告加算税・過少申告加算金加算税は国、加算金は地方
無申告加算税・無申告加算金加算税は国、加算金は地方
重加算税・重加算金加算税は国、加算金は地方
不納付加算税源泉所得税を期限内に納めなかった場合
過怠税印紙税を適切に納めなかった場合
源泉所得税税額控除を適用する場合
交通反則金

いきなり税目がズラーと並んでも面食らってしまうと思いますので、STEP式に一つ一つ判断していきましょう。

【STEP1】 上の「租税公課分類表」に書かれた租税公課の支払いが今年度中にありましたか?

なかったあった
「その他」欄はすべて空欄。この欄は終了。「その他」欄に記載必要。【STEP2】へ 

「租税公課分類表」のいずれも支払いがない場合は、空欄になります。
ただし、金融機関から預金利息を受け取っている場合は、源泉所得税が天引きされているので、別表6(1)を作成して所得税額控除を適用する場合は、「損金不算入のもの」の方に記載し、所得税額控除を適用しない場合は、「損金算入のもの」の方に書く必要があることに注意しましょう。(STEP2の処理が必要になります。)

【STEP2】 上の「租税公課分類表」に書かれた租税公課の支払いがあった※場合

※「支払いがあった」には、消費税を確定申告してその確定税額を未払い計上する場合のように、すでに発生している未払いのものも含みます。

次のような例を用いて書き方を見ていきましょう。
これらの租税公課はすべて当期発生したものとします。

租税公課の種類金額損金算入or不算入
❶源泉所得税1,200損金算入(税額控除適用×)
❷源泉所得税200,000損金不算入(税額控除適用○)
❸消費税990,000損金算入
❹印紙税10,000損金算入
❺交通反則金10,000損金不算入

上の表「租税公課分類表」を確認して、それぞれの租税公課をまず損金に算入されるものか算入されないものかに分けます。

損金に算入される❶源泉所得税を例に実際に書いてみます。

「損金算入のもの」欄の空欄となっている22の行に記載していきます。

⑴「税目」欄
税目の欄に「源泉所得税」と書く。

別表5(2)書き方 その他欄 税目

⑵「期首現在未納税額①」欄
会計年度の始めにその税目(このケースは「源泉所得税」)が未払いとなっている金額があれば記載します。

別表5(2)書き方 その他欄 期首

このケースは当期に発生しているとなっているためここは空欄になります。(源泉所得税を考えれば天引きされるので、未払いとなるケースはありません。→空欄になります。)

⑶「当期発生税額②」欄
当期中(今期中)に発生した金額を書きます。

別表5(2)書き方 その他欄 当期発生

今回の例では、1,200円手引きされたということですので、この欄に1,200と記載します。

⑷「当期中の納付税額」欄
③〜⑤欄は、「期首現在未納税額①」欄と「当期発生税額②」欄に記載された支払うべき金額をどのように支払ったかを記載する欄です。
具体的には、仕訳帳にどのように経理したかによって決まります。

当期中の納付方法会計処理方法
❶納税充当金取崩しによる納付③未払法人税等 1,200 / 現金預金 1,200
❷仮払経理による納付④仮払金 1,200 / 現金預金 1,200
❸損金経理による納付⑤法人税、住民税及び事業税 1,200 / 現金預金 1,200

別表5(2)書き方 その他欄 納付

❶「納税充当金取崩しによる納付③」とは

納税充当金※とは、勘定科目でいうと「未払法人税等」と同じ意味で使います。
したがって「納税充当金取崩しによる納付」欄に記載すべき金額は次のように仕訳したものになります。

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
未払法人税等1,200現金預金1,200

納税充当金について、詳しくは次の記事で解説しています。

❷「仮払経理による納付④」とは

次のように該当の税目を支払ったときに仮払金を使って経理している場合は、この欄にその経理した金額を書きます。

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
仮払金1,200現金預金1,200

❸「損金経理による納付⑤」とは

損金経理とは、費用計上することでしたね。
したがって、該当の税目を支払ったときに費用科目で経理した場合は、この欄にその経理した金額を書きます。

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
法人税、住民税及び事業税
(または租税公課)
1,200現金預金1,200

【難解な法人税の申告書を単純に作成するポイント】
ここで「その他」の行の「当期中の納付税額③〜⑤」欄を処理するポイントです!

可能な限り費用計上して「損金経理による納付」欄に記載する
つまり、前期以前に発生していた加算税を納められずに未払いになっていて今期やっと払ったというように本当に前期以前から未払いの税金を今期支払ったケースを除いて、「その他」に該当する租税公課を支払った場合は、可能な限り「法人税、住民税及び事業税」または「租税公課」という科目を使って費用に計上するということです。
「仮払金」を使わないということが重要です。仮払金を使った場合は、別表4で加算減算処理が発生するケースがあり、処理を複雑にするだけでいいことがありません。
この原則を守ってシンプルに処理するようにしましょう!
弁護士 税理士

この原則にしたがって今回のケースも次のように経理して損金経理による納付⑤」欄に1,200円を記載します。

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
法人税、住民税及び事業税
1,200現金預金1,200

別表5(2)書き方 その他欄 損金経理による納付

⑸「期末現在未納税額⑥」欄
決算期末に納めるべき金額のうちいくら納めていない金額を書きます。
「① + ② – ③ – ④ – ⑤」で計算します。

別表5(2)書き方 その他欄 期末

今回の例では次のように計算して「0」になりますので、⑥欄に「0」と書きます。
(0)  + ② (1,200) – ③(0) – ④(0) – ⑤(1,200)= 0

このような書き方でその他の税目についても記載した例をお示しします。

租税公課の種類金額損金算入or不算入
❶源泉所得税1,200損金算入(税額控除適用×)
❷源泉所得税200,000損金不算入(税額控除適用○)
❸消費税990,000損金算入
❹印紙税10,000損金算入
❺交通反則金10,000損金不算入

別表5(2)その他欄記載例

今回は「損金算入のもの」が3つ(源泉所得税 1,200円、印紙税 10,000円、消費税 990,000円)ありました。
別表5(2)には「損金算入のもの」の行が2つしかありませんので、その場合は、次のようにまとめてしまって構いません。(損金不算入の税目が3つ以上あった場合も同様です。)

さて、別表5(2)の「その他」欄の書き方がわかりました。
この「その他」欄は実は重要な部分は限られています。
重要なのは「損金不算入のもの」の行です。

法人税別表5(2)その他欄記載例

上の表で「損金不算入のもの」に分類されている税目の支払いがある場合は、絶対に漏らさないようにする!この点に尽きます。
損金不算入は税額計算に影響するので、ここを漏らすと税額計算が誤りますので、注意です!(裏を返せば「損金算入のもの」の方は記載漏れがあっても税額計算に影響がないので、特に問題となりません。)

弁護士 税理士

共通事項の解説はここまでです。

ここからはそれぞれのケース別に書き方を見ていきます。
3つのケースをもう一度確認しておきましょう。

ケースケースの内容
ケース1設立1期目赤字
ケース2設立1期目黒字
ケース3設立2期目以降

それではまずはケース1、設立1期目赤字の書き方から始めていきます。
ここからはご自身の会社のケースに当てはめて、そのケースの解説を読むもよし。すべてのケースについて学ぶもよしです。

【ケース1】 設立1期目赤字

新規に事業を始めた場合は、設立事業年度は赤字スタートになるケースが多いと思います。
その場合は、ほとんどこの書き方そのままで書けるので簡単に書き上げられると思います。

【ケース1】1回目の別表5(2)の法人税、道府県民税、市町村民税、事業税の書き方

なし。

設立1期目で赤字の場合は、実は1回目の段階で書くことはありません。
この章の冒頭で解説した別表の作成順序にしたがって別表5(1)別表4…別表1・第6号様式(道府県民税・事業税等の申告)・第20号様式(市町村民税の申告)が完成するのを待ちます。
そして2回目です。

【ケース1】2回目の別表5(2)の法人税、道府県民税、市町村民税、事業税の書き方

法人税、地方税すべての税額が確定したところで別表5(2)に戻ってきて2回目の書き方です。

税額は次の表を前提に書いていきます。

税目金額
法人税・地方法人税0
道府県民税18,300
市町村民税45,800
事業税・特別法人事業税0
合計64,100

赤字なので道府県民税と市町村民税の均等割額のみになります。
(この例では会計期間を11ヶ月として道府県民税は20,000×11/12で計算し、市町村民税は50,000×11/12で計算しています。)

さて、下の画像をご覧ください。
設立1期目は前期以前の税金も当期分の中間税額もありませんので、「当期分」の「確定」の行のみに記載することになります。
法人税・地方法人税と事業税・特別事業税はともに当期の確定分の税額0なので記載する箇所はありません。

別表5(2)書き方 赤字 記載不要箇所

⑴ 当期発生税額を書く
①道府県民税の当期確定分18,300円を「当期発生税額②」欄に記載します。
②市町村民税の当期確定分45,800円を「当期発生税額②」欄に記載します。

別表5(2)書き方 赤字 当期発生税額

当期発生税額②の列の縦の合計をしてそれぞれ「計」の行(10欄と15欄)に記載します。

別表5(2)書き方 赤字 計

 

今回は中間(8欄と13欄)が空欄なので、そのままの数字18,300(9欄)と45,800(14欄)が10欄と15欄にそれぞれ下りてきます。

⑵ 「期末未納税額」欄を書く

「道府県民税」と「市町村民税」の枠のそれぞれの行について、次の計算式に当てはめて計算して「期末現在未納税額⑥」欄の値を求めて記載します。
「① + ② – ③ – ④ – ⑤」

別表5(2)書き方 赤字 期末現在未納税額

それぞれの行は②しか値がありませんので、その値がそのまま同じ行の⑥欄に入ります。

これで、法人税、道府県民税、市町村民税、事業税の欄は終了です。
続いて下段の「納税充当金の計算」の枠に入ります。

【ケース1】「納税充当金の計算」欄を書く

最後に「納税充当金の計算」の枠を完成させます。

「納税充当金」は、「未払法人税等」と同じ意味であることはすでに触れました。
「納税充当金の計算」の枠で使われている用語について、まずは確認していきましょう。

別表5(2)書き方 赤字 納税充当金の計算欄 それぞれの意味

用語意味
❶期首納税充当金期首未払法人税等(決算期首時点の未払法人税等の開始残高)
❷(納税充当金)繰入額未払法人税等が増えた金額※1
❸(納税充当金)取崩額未払法人税等が減った金額※2
❹期末納税充当金期末未払法人税等(決算期末時点の未払法人税等の残高)

※1:未払法人税等が増えた金額とは、次のように貸方に未払法人税等の金額が仕訳された金額の合計

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
法人税、住民税及び事業税64,100未払法人税等64,100

※2:未払法人税等が減った金額とは、次のように貸方に未払法人税等の金額が仕訳された金額の合計

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
未払法人税等64,100現金預金64,100

それでは実際に今回のケースの別表5(2)の「納税充当金の計算」部分を書いていきましょう。

【難解な法人税の申告書を単純に作成するポイント】

別表1と第6号様式、第20号様式で求めた当期分の税額は必ず未払法人税等として決算に反映させよう!
当期分の税額の税務処理方法は複数ありますが、複数のやり方を学ぶ意味は薄いので、処理を単純化する意味でこのように処理しましょう。
今回の例でいうと次のように仕訳帳に登録するということです。
弁護士 税理士
借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
法人税、住民税及び事業税64,100未払法人税等64,100

この仕訳は次のことを意味します。未払法人税等が貸方に経理されて増えましたので、「繰入額」を意味します。つまり、納税充当金の繰入額が64,100円です。
そして相手科目が「法人税、住民税及び事業税」で費用計上されていますので、この記事の冒頭の方で説明した「損金経理」を意味します。
つまりこの仕訳は「損金経理をした納税充当金」として繰入れられた額を意味しますので、「繰入額」>「損金経理をした納税充当金(31)」欄に記載します。

⑴ 損金経理をした納税充当金(31)欄

別表5(2)書き方 赤字 損金経理をした納税充当金

⑵ 繰入額の「計(33)」欄
「繰入額」>「計」欄は、(31)+(32)で求めます。
(32)は空欄ですので、今回のケースでは64,100が(33)に入ります。

別表5(2)書き方 赤字 繰入額計

⑶「取崩額」欄(34)〜(39)
取崩額は前述のとおり次の仕訳がある場合に記載しますが、設立1期目では通常出てくることはありませんので、今回のケースでは空欄になります。

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
未払法人税等〇〇〇〇現金預金〇〇〇〇

別表5(2)書き方 赤字 取崩額

⑷「期末納税充当金(41)」欄
(30)+(33)-(40)で計算します。
今回のケースでは「0 (30)+64,100(33) – 0(40) = 64,100」となります。

別表5(2)書き方 赤字 期末納税充当金

これで設立1期目の別表5(2)が完成しました。
最後に全体の記載例を確認しておきましょう。

設立初年度赤字の別表5(2) 記載例

別表5(2)記載例 設立1期目赤字

設立1期目が赤字の場合の別表5(2)の書き方、かなり簡単だと思われたのではないでしょうか。
11箇所に数字を入れただけです。

さあ続いて2つ目のケース「設立1期目黒字」の場合の書き方をみていきましょう。

【ケース2】 設立1期目黒字

法人成りして1期目から黒字であったというように、設立初年度から黒字であった場合の書き方を解説していきます。
設立初年度ということで、前期以前に支払った税金がないことから比較的簡単に書き上げることができます。

【ケース2】1回目の別表5(2)の法人税、道府県民税、市町村民税、事業税の書き方

なし。

設立1期目の場合は、実は1回目の段階で書くことはありません。
この章の冒頭で解説した別表の作成順序にしたがって別表5(1)別表4…別表1・第6号様式(道府県民税・事業税等の申告)・第20号様式(市町村民税の申告)が完成するのを待ちます。
そして2回目です。

【ケース2】2回目の別表5(2)の法人税、道府県民税、市町村民税、事業税の書き方

法人税、地方税すべての税額が確定したところで別表5(2)に戻ってきて2回目の書き方です。

税額は次の表を前提に書いていきます。

税目金額
法人税・地方法人税1,158,100
道府県民税28,800
市町村民税108,800
事業税・特別法人事業税409,600
合計1,705,300

さて、下の画像をご覧ください。
設立1期目は前期以前の税金も当期分の中間税額もありませんので、「当期分」の「確定」の行のみに記載することになります

別表5(2)書き方 設立1期目黒字

それでは、それぞれの税目の「当期分」>「確定」行の書き方を解説していきます。

事業税及び特別法人事業税は、原則申告書を提出した事業年度(つまり翌年度)で損金に算入することになっているので、「当期分」>「確定」行がありません。
「当期分」>「確定」行を書く必要があるのは、「法人税・地方法人税」「道府県民税」「市町村民税」の3つです。

弁護士 税理士

⑴ 「当期発生税額②」欄を書く

①法人税・地方法人税の当期確定分

法人税・地方法人税の当期確定分1,158,100を「法人税・地方法人税」の「当期発生税額②」欄に記載します。

別表5(2)書き方 設立初年度黒字のケース 当期分の法人税

②道府県民税の当期確定分

②道府県民税の当期確定分28,800円を「道府県民税」の「当期発生税額②」欄に記載します。

別表5(2)書き方 設立初年度黒字のケース 当期分の道府県民税

③市町村民税の当期確定分

市町村民税の当期確定分108,800円を「市町村民税」の「当期発生税額②」欄に記載します。

別表5(2)書き方 設立初年度黒字のケース 当期分の市町村民税

続いて当期発生税額②の列の縦の合計をしてそれぞれ「計」の行(10欄と15欄)に記載します。

別表5(2)書き方 設立1期目黒字 当期発生税額 計

今回は中間(3欄、8欄と13欄)が空欄なので、そのままの数字1,158,800(4欄)、28,800(9欄)と108,800(14欄)が5欄、10欄と15欄にそれぞれ下りてきます。

⑵ 「期末未納税額⑥」欄を書く

「法人税及び地方法人税」、「道府県民税」と「市町村民税」の枠のそれぞれの行について、次の計算式に当てはめて計算して「期末現在未納税額⑥」欄の値を求めて記載します。
「① + ② – ③ – ④ – ⑤」

別表5(2)書き方 設立1期目黒字 期末未納税額

それぞれの行は②の列にしか値がありませんので、その値がそのまま同じ行の⑥欄に入ります。

これで、法人税、道府県民税、市町村民税、事業税の欄は終了です。
続いて下段の「納税充当金の計算」の枠に入ります。

【ケース2】「納税充当金の計算」欄を書く

最後に「納税充当金の計算」の枠を完成させます。

「納税充当金」は、「未払法人税等」と同じ意味であることはすでに触れました。
「納税充当金の計算」の枠で使われている用語について、まずは確認していきましょう。

別表5(2)書き方 赤字 納税充当金の計算欄 それぞれの意味

用語意味
❶期首納税充当金期首未払法人税等(決算期首時点の未払法人税等の開始残高)
❷(納税充当金)繰入額未払法人税等が増えた金額※1
❸(納税充当金)取崩額未払法人税等が減った金額※2
❹期末納税充当金期末未払法人税等(決算期末時点の未払法人税等の残高)

※1:未払法人税等が増えた金額とは、次のように貸方に未払法人税等の金額が仕訳された金額の合計

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
法人税、住民税及び事業税64,100未払法人税等64,100

※2:未払法人税等が減った金額とは、次のように貸方に未払法人税等の金額が仕訳された金額の合計

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
未払法人税等64,100現金預金64,100

それでは実際に今回のケースの別表5(2)の「納税充当金の計算」部分を書いていきましょう。

【難解な法人税の申告書を単純に作成するポイント】

別表1と第6号様式、第20号様式で求めた当期分の税額は必ず未払法人税等として決算に反映させよう!
当期分の税額の税務処理方法は複数ありますが、複数のやり方を学ぶ意味は薄いので、処理を単純化する意味でこのように処理しましょう。
今回の例でいうと次のように仕訳帳に登録するということです。
弁護士税理士
借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
法人税、住民税及び事業税1,705,300未払法人税等1,705,300

今回のケースでは、確定分の税額の合計が1,705,300円になるでこのように仕訳します。
この仕訳は次のことを意味します。
未払法人税等が貸方に経理されて増えましたので、「繰入額」を意味します。つまり、納税充当金の繰入額が1,705,300円です。
そして相手科目が「法人税、住民税及び事業税」で費用計上されていますので、この記事の冒頭の方で説明した「損金経理」を意味します。
つまりこの仕訳は「損金経理をした納税充当金」として繰入れられた額を意味しますので、「繰入額」>「損金経理をした納税充当金(31)」欄に記載します。

⑴ 損金経理をした納税充当金(31)欄

別表5(2)書き方 設立1期目黒字 損金経理をした納税充当金

⑵ 繰入額の「計(33)」欄
「繰入額」の「計」欄は、(31)+(32)で求めます。
(32)は空欄ですので、今回のケースでは1,705,300が(33)に入ります。

別表5(2)書き方 設立1期目黒字 繰入額 計

⑶「取崩額」欄(34)〜(39)
取崩額は前述のとおり次の仕訳がある場合に記載しますが、設立1期目では通常出てくることはありませんので、今回のケースでは空欄になります。

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
未払法人税等〇〇〇〇現金預金〇〇〇〇

別表5(2)書き方 設立1期目黒字 取崩額

⑷「期末納税充当金(41)」欄
(30)+(33)-(40)で計算します。
今回のケースでは「0 (30)+1,705,300(33) – 0(40) = 1,705,300」となります。

別表5(2)書き方 設立1期目黒字 期末納税充当金

これで設立1期目の黒字のときの別表5(2)が完成しました。
最後に全体の記載例を確認しておきましょう。

設立初年度黒字の別表5(2) 記載例

別表5(2)記載例 設立1期目黒字

ここまでで設立1期目の赤字と黒字のケースの別表5(2)の書き方を解説し終わりました。
続いて設立2期目以降の別表5(2)の書き方に移りたいと思います。

【ケース3】設立2期目以降

設立2期目以降の別表5(2)の書き方を解説していきます。
設立2期目は設立初年度に比べて記載箇所が増えますが、この記事では初心者用にパターン化して誰でも書けるように解説していきますので、安心してください。絶対に書き上げることができます。

令和4年1月1日から令和4年12月31日決算の法人を例に解説します。

【ケース3】1回目の別表5(2)の法人税、道府県民税、市町村民税、事業税の書き方

1回目の別表5(2)で書く事項は、前期以前の未払いとなっていた税額の処理について記載していくことになります。
図解の記載例を見ながら視覚的に理解しましょう。

(1) 法人税及び地方法人税の前期の未納税額を転記する

法人税及び地方法人税の期首時点の未納税額を、前期の法人税の申告書別表1から転記します。

前期が赤字で法人税及び地方法人税を納めていない場合は、記載することがないので、次の(2)「道府県民税の前期の未納税額を転記する」の解説に移ってください。

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コメント

「別表5(2)の書き方を初心者にわかりやすく国税OB税理士が解説」に対する1件のコメント

  1. はじめまして。

    ものすごくわかり易かったです。
    先生のおかげで、法人税申告等に関する色々な疑問が溶けました。
    実は、第1期目の法人確定申告の準備をしていたのですが、頭から煙が出るような状態が続き、急遽決算を税理士さんにお願いする寸前でした。

    大変ありがとうございました。感謝に耐えません。

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