電子帳簿保存法には、以下の3つの種類があります。
- 【電子帳簿】会計ソフトで作成した帳簿書類の電子保存(任意)
 - 【スキャナ保存】紙で受領した書類や交付した書類の控えを画像化して電子保存(任意)
 - 【電子取引】オンラインでやりとりした帳簿書類データの電子保存(強制)
 
ここでは、電子帳簿保存法の中のスキャナ保存で分類されている「重要書類」と「一般書類」とは何かをわかりやすく解説します。
スキャナ保存とは、領収書などの取引の証拠書類を紙で受領した場合、または領収書などの取引の証拠書類を発行した場合のその控えをスマホやスキャナで画像データにして、それを一定の条件でデータとして保存することで、紙で保存することに代えようとする制度です。
スキャナ保存の中には、事業者が保存しなければならない取引の証拠書類を「重要書類」と「一般書類」に分類しています。
電子帳簿保存法という法律の中でこれを規定しています。
スキャナ保存では、なぜ取引の証拠書類を重量書類と一般書類とに分けているのかから確認していきましょう。
1 重要書類と一般書類を分ける理由
重要書類と一般書類分ける理由は3つあります。
- スキャナ保存しなければならない期限が異なっている
 - 帳簿との関連性確保が必要かどうかが異なっている
 - カラーでの保存か白黒での保存かが異なっている
 
1つずつ確認しましょう。
1-1 入力期限に差がある
スキャナ保存では、画像化して電子保存することで、紙の保存に代えて良いとする条件の1つとして、画像化して一定のシステムで電子保存するまでに期限を設けています。
これが重量書類と一般書類で保存期限が異なっているのです。
両者の保存期限は次のように決められています。
| 重要書類 | 一般書類 | 
| ❶おおむね7営業日以内 ❷その業務の処理に通常要する期間(最長2ヶ月)を経過した後、おおむね7営業日以内  | 
❶おおむね7営業日以内 ❷その業務の処理に通常要する期間(最長2ヶ月)を経過した後、おおむね7営業日以内 ❸適宜(入力期間制限なし)(注)  | 
注:事務の手続(責任者、入力の順序や方法など)を明らかにした書類を備え付けている場合に限り適宜入力が可能。この規程については、国税庁が公表しており、次のリンク先の「国税関係書類に係る電子計算機処理に関する事務の手続を明らかにした書類」がそれに該当。
1-2 帳簿との関連性が必要かどうかに差がある
重要書類には、その書類と帳簿との間に相互に関連性がある必要があります。一般書類には必要ありません。
| 重要書類 | 一般書類 | 
| 帳簿との相互関連性 | 帳簿との相互関連性 | 
帳簿との相互関連性とは、例えば、相互に関連する書類及び帳簿の双方に伝票番号、取引案件番号、工事番号等を付し、その番号を指定することで、書類又は国税関 係帳簿の記録事項がいずれも確認できるようにする方法等によって、帳簿と取引書類との関連性を確認することができることをいう。(引用:取扱通達の4-31)
複式簿記であれば、仕訳日記帳の伝票番号と取引書類が紐づいていれば相互関連性があると言えるでしょう。
1-3 カラーでないといけないか白黒OKかに差がある
| 重要書類 | 一般書類 | 
| 赤・緑・青それぞれ256階調以上のカラー画像 | グレースケールでOK(注) | 
注:事務の手続(責任者、入力の順序や方法など)を明らかにした書類を備え付けている場合に限り適宜入力が可能。(1-1の注と同じ)
2 重要書類とは
資金の流れに直結する書類(重要書類)の例として領収書が挙げられます。
「お金を受領」→「領収書を交付」という流れがあります。
お金が動かなければ領収書が発行されることはないので資金の流れに直結していると言えます。
また納品書は、商品を納品する際に発行され、相手方に交付されるので、物の流れに直結していると言えます。
重要書類の例えば次のような書類が挙げられます。
- 契約書
 - 領収書
 - 預り証
 - 借用証書
 - 預金通帳
 - 小切手
 - 約束手形
 - 有価証券受渡計算書
 - 社債申込書
 - 契約の申込書(定型的約款なし)
 - 請求書
 - 納品書
 - 送り状
 - 輸出証明書これらの書類を発行する側はこれらの控え
 
3 一般書類とは
一般書類は、重要書類以外の書類なので、つまり、資金や物の流れに直結しない書類です。
一般書類の具体例を確認しましょう。
- 検収書
 - 入庫報告書
 - 貸物受領証
 - 見積書
 - 注文書
 - 契約の申込書(定型的約款あり)これらの書類を発行する側はこれらの控え
 
見積書は、見積もりをしているだけなので、実際に取引が行われないものも多くあります。そうすると、資金の流れに直結していないといえます。
  
  
  
  


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