0からわかる報酬・料金等の源泉徴収5つのポイント

源泉徴収

フリーランスに支払う報酬や講師への謝金、弁護士や司法書士のようないわゆる士業の方に支払う報酬などに源泉所得税を天引きするのかどうなのか。

そもそもどんな人への支払いに源泉所得税を天引く必要があるのかわからないといったことは事業をやっていればぶつかる疑問だと思います。

また反対にフリーランスとして仕事をして、お金をもらう側で源泉所得税を差し引いて請求すべきかどうなのか、実はよくわからないなんてこともよくあることだと思います。

源泉所得税を天引く場面で生じうる疑問に答えていきたいと思います。

 源泉徴収とは

源泉徴収とは、と改まって聞かれると「はて?」と思うかもしれませんが、社会人の方であれば経験があると思いますし、アルバイトをしたことがあれば経験があります。

お給料をもらうときに、「所得税」という項目で一定のお金が天引きされていましたよね。代表的な源泉徴収がこれです。従業員やアルバイトとして会社に雇用されて働くと額面すべてをもらえず手取りでいくらだなんて話をしたこともあると思います。

源泉徴収とは、ある一定の支払いをするときに対価のすべてを支払わず、一定の金額を差し引き、その差し引いた金額を国や自治体に収める制度

天引きした金額を源泉所得税と呼びます。

 なぜ源泉徴収をするのか

理由は主に2つです。

お給料をもらっている人たちは大勢いる

会社に所属してお給与をもらっている方は大勢います。サラリーマン、社長、パート、アルバイト、派遣社員みんなそうです。この方たちが毎年1回確定申告をわざわざ自分ですることを想像してみてください。する側も面倒ですし、税務署も一度に大勢が押し寄せたら対応できません。

先に取っておいて返す方が取りもれない

会社勤めではない、フリーランスの方や士業を営む方や野球選手などなど決まった方に報酬を支払うときも源泉徴収をします。なぜするかといえば、全員が全員申告するかわかりませんよね。だから先に多めに取っておいて、確定申告をして精算してください、というスタンスなわけです。始めに多く取っておけば全員確定申告するだろうと、しなくても多めに取っているし国としては取りっぱくれない。

とこのように源泉徴収とは良くできた効率的な制度なのです。

⒈ 源泉徴収義務がある人はどんな人?

源泉徴収をしなければいけない人たちとはどんな人たちなのでしょうか。

  • 法人(官公庁も含む)
  • 個人(ただし次に当てはまる個人を除く)

源泉徴収義務者から除かれる人たちは次のとおりです。

  1. 常時2人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている人
  2. 給与や退職金の支払がなく、弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている人

つまり、

源泉徴収をしなくてよい人は人を雇っていない人か、雇っていても2人以下の家事使用人しか雇っていない人だけ

ということです。

例えばサラリーマンが弁護士に依頼をして報酬を支払ってもそのサラリーマンはもちろん報酬から所得税を天引きしなくてよいわけです。

 請求書を出すときは相手先をよく確認してから

フリーランスの方や弁護士等の士業を営む個人の方などが請求書を出すときには相手が個人事業主で誰も人を雇っていない場合には源泉所得税を引く必要はないということです。

請求書で源泉所得税を天引くかどうかは相手先が源泉徴収義務者であるかどうかをよく確認してからにしましょう。

⒉ 源泉徴収の対象となる報酬・料金とは

源泉徴収の対象となる報酬・料金等を受け取る人たちをフリーランスや士業を営む方という表現をしていましたが、ここで源泉徴収の対象となる報酬・料金等を確認しておきましょう。

ここで挙げる報酬・料金等を支払う場合は、その支払者が所得税を天引きしなければいけないということです。

  • 原稿料、講演料、デザイン料
  • 弁護士、税理士、司法書士などに支払う報酬
  • プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬
  • 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬
  • 接待等を行うことを目的とするホステスに支払う報酬
  • プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することで発生する契約金

以上かんたんにまとめてみましたが、詳しくは国税庁提供の源泉徴収のあらましをご覧ください。

⒊ 源泉徴収をする際の注意点

  1. 謝礼、研究費、取材費、車代などの名目で支払われていても、その実態が上記の報酬・料金等と同じであれば源泉徴収の対象になります。
  2. 旅費や宿泊費などの支払も原則的には報酬・料金等に含まれます。
  3. 報酬・料金の額の中に消費税の額が含まれているときは、原則として、消費税等の額を含めた金額が源泉徴収の対象となります。ただし、請求書で報酬・料金と消費税の額が明確に区分されている場合には、消費税を除いた報酬・料金の額のみ源泉徴収の対象とすることができます。

⒋ 源泉徴収の計算方法

報酬・料金の額×10.21%

ただし、同一人 に対し1回に支払 われる金額が100 万円を超える場合 には、その超える 部分については、 20.42%

例えば弁護士報酬の支払総額が130万円だとすると源泉徴収税額は次のとおりです。

① 100万円 × 10.21% =102,100円

② 30万円 × 20.42% = 61,260円

① + ② = 163,360円

※1円未満の端数は切り捨てます

例外もありますので詳しくは前述の国税庁提供の源泉徴収のあらましをご覧ください。

⒌ 源泉徴収税額の納付方法

原則として支払った月の翌月10日までに税務署に納めなければなりません。

ただし、納期の特例を適用している源泉徴収義務者は次の支払い限って、1月から6月までに支払った給与等に対する源泉所得税を7月10日まで、7月から12月に支払った分に対する源泉所得税を、翌年の1月20日までにおさめればよいこととされています。

  • 給与、退職手当
  • 弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者ものの業務に関する報酬又は料金

逆を言えば上記のもの以外は必ず支払った月の翌月10日までに納めなければ金額によってペナルティがかかることになります。

※納期の特例を適用できる者・・・給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者で、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出している者

 まとめ

報酬・料金等を支払う際の源泉徴収で押さえるべき基本ポイントを5つあげました。この5つのポイントをまずはしっかり押さえ、後は源泉徴収が必要そうな支払いが出てきたら個別にこの記事でも触れた源泉徴収のあらましなどで詳しく調べて対処していきましょう。

執筆者 ジャパンネクス株式会社代表 元国税調査官 税理士 海野 耕作

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