一瞬で理解できる「納税充当金」とは?元国税・税理士が解説

 

 

わかった人

法人税の申告書を作成していると別表5⑴や別表5⑵に出てくる「納税充当金」の文言は、簿記や会計には出てこない用語で、「??」と思われるとかもしれません。

この記事を書いた人

税理士(元国税調査官)

税務署に12年間勤務。主に法人税の調査に従事。

現在は、クラウド税務ソフト「全力法人税」、「全力消費税」や「全力電子帳簿」等を提供するジャパンネクス株式会社の代表を務める。

税務署側の視点を交えながら、主に法人税・消費税について一般の方に向けて実務に直結した税務情報を分かりやすく解説します。

ジャパンネクス株式会社

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納税充当金とは

簡単に言ってしまいましょう。

納税充当金 = 未払法人税等

そうです。会計用語でいうところの勘定科目の「未払法人税等」と同じ意味です。

ですから法人税で「納税充当金」と出てきたら頭の中で「未払法人税等」と置き換えましょう。

納税充当金を繰り入れるとは

別表5⑵に繰入額と取崩額という欄があります。

損金経理により納税充当金に繰り入れるとは、会計的に言い換えると「法人税等を、相手勘定科目を未払法人税等として計上する」ということになります。

仕訳すると

法人税・住民税及び事業税 ××× / 未払法人税等 ×××

納税充当金が未払法人税等であることがわかると別表4の納税充当金に関する部分を理解できます。

別表4で「損金経理をした納税充当金」欄が加算項目にありますが、法人税等は原則損金不算入なので一旦未払法人税等で処理した金額は加算します。

事業税は損金に算入されるので、加算した金額から別表4の減算項目「納税充当金から支出した事業税等の金額」欄で減算するという仕組みになっています。

損金や損金不算入がわからないという方は次の記事を参考にしてください。

損金の意味とは?損金不算入だけ注意すれば実務はほぼOK【元国税税理士が図解解説】
法人税法の独特の用語に「損金」という言葉があります。これがなぜ重要かというと法人税法には損金不算入という規定があるからです。実務で最も注意が必要なのも損金不算入です。法人税の申告をする上で不可欠な知識「損金不算入」をこの記事でマスターしましょう。

納税充当金を取り崩すとは

納税充当金を取り崩しにより納付するとは、会計的に言い換えると「未払法人税等を反対(借方)に仕訳して法人税等を納付する」ということになります。

仕訳で表すと

未払法人税等 ××× / 現金 ×××

まとめ

いかがでしょう。未払法人税等に置き換えるだけで、簿記を知っている方なら謎が解けた気分ではないかと思います。

期首納税充当金は期首の未払法人税等の残高ですし、期末納税充当金は期末の未払法人税等の残高になります。

最後に納税充当金を繰り入れてなければ、納税充当金を取り崩して納付することはできません。(未払法人税等の残高がないのに、未払法人税等を借方に切って法人税等を納付するという仕訳はありえない。)

このことから別表5⑵で「当期中の納付税額」欄の「充当金取崩しによる納付」欄には納税充当金を繰り入れていなければ(未払法人税等の残高がなければ)値は記入されないということをご理解いただけるのではないかと思います。

 

執筆者 ジャパンネクス株式会社代表 元国税調査官 税理士 海野 耕作

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