初めての法人の確定申告で法人事業概況説明書を初めて手にした方、コロナウィルス感染症に関する補助金や給付金の手続きに法人事業概況説明書が必要だということで初めて知った方、法人事業概況説明書について知りたいという理由は様々かと思います。
「法人事業概況説明書」とは、なんでしょう?
インターネットで検索・・・
うわ!記入欄多すぎだろ!これ全部書き上げるとなると、どれだけの時間がかかるんだろう…
まぁアンケートみたいなもので、提出しなくてもよかったりしないかな…
インターネットで「法人事業概況説明書」調べたら、法人はすべて税務署に出さなきゃいけない書類っぽいよ!
見た感じ、すごく記載する欄が多くて、大変そうだね。
え!?みんな、作成しなくちゃいけない書類なの!?
うーん…確かに内容は難しくはなさそうだけど、これ全部書かなきゃいけないのか?…
これを正確にすべて書くのは大変そうだな…
法人事業概況説明書を作成するのは、義務となっており、原則、すべての会社が所轄税務署に提出する必要があります。
しかし、一見記入欄が多く、難しそうな法人事業概況説明書ですが、実は多くの会社で、すべての欄を埋めなくてはいけないということはまずありません。意外に空欄が多かったりします。そして、税務初心者でも作成できる、そんなに難しい知識が必要のない、むしろ簡単な書類のうちの一つなのです。
法人事業概況説明書とは、どのような書類なのかや法人事業概況説明書の書き方や書く上での注意点、そして、法人事業概況説明書を無料で簡単、最速で作成する方法の紹介など実務に直結する解説を解かり易くしていきますので、法人事業概況説明書を今回初めて見た方でも、必ず書き上げることが出来ます。
この記事の特徴
初めて法人税の申告書を作成する初心者の方でも申告書類の書き方がわかるように中小企業に絞って解説します。
中小企業にとっては、法人事業概況説明書は決して難しいものではありません。誰でも簡単に作成できるので安心してください。
数多くの税務調査を国税調査官として行ってきた経験を持つ私が、実務で重要となるポイントを押さえながらメリハリをつけてわかりやすく解説します。
繰り返しますが、この記事は中小規模の会社の法人税の申告を自力で行う方向けの記事です。
まずは、法人事業概況説明書とは、どのようなものなのかを確認していきましょう。
目次
1 法人事業概況説明書とは
「法人事業概況説明書」とは、
法人事業概況説明書には、事業内容、従業員数、経理の状況や決算の内容等、その会社の事業概況を把握するために必要な内容を記載するものとなっています。
法人事業概況説明書とは、具体的にどのようなものか、まずはその様式を確認しておきましょう。
法人事業概況説明書 表面(1枚目)
法人事業概況説明書 裏面(2枚目)
この法人事業概況説明書の様式のダウンロードは、次のリンクから可能です。
法人事業概況説明書とはこのような書式となっており、税務署で用紙をもらってくると表と裏で1枚の書類となっています。PDF形式のものを両面で印刷しない場合は、2枚となります。
一般的に1枚目と2枚目と呼ばずに「表面、裏面」と呼ぶことが多いです。
法人事業概況説明書は、必ず提出しなくてはいけないのでしょうか。
法人事業概況説明書の提出は義務です。
必ず提出する必要があります。
法人事業概況説明書はなぜ提出しなければならないのか、その理由について解説します。
1-1 法人事業概況説明書を提出する理由とは
法人事業概況説明書を提出しなければならない理由は、次のとおりです。
原則として、すべての法人が確定申告を行う際に、法人事業概況説明書は提出しなければいけません。
法人事業概況説明書は法人税法施行規則第35条の5号で確定申告書に添付して提出しなければならない書類の一つとして規定されていますので、提出が義務付けられています。
しかしながら、提出していないからといって罰金を課せられることはなく、その他の不利益を被るような罰則もありません。
ただし、提出していなければ、税務署の担当者から提出するよう催促の連絡が来る可能性が非常に高いので、確定申告書と同時に提出するようにしましょう。
法人事業概況説明書ってどうやって提出するのかなー?
提出期限があるのかな?
次に、「法人事業概況説明書」をどのように提出すればよいかを確認していきましょう。
1-2 提出方法について
法人事業概況説明書の提出方法などについて、確認しましょう。
法人事業概況説明書の提出方法、提出場所そして提出期限を整理します。
提出方法 | 法人の確定申告書と一緒に提出する。 |
提出場所 | 所轄税務署に提出する。 |
提出期限 | 提出期限に関する定めはないが、基本的に確定申告書の提出期限と同じ |
法人事業概況説明書の提出にあたって注意事項があります。
提出にあたっての注意事項
- OCR用紙となっているため、ホチキス等は使用せずに、申告書に挟み込んで提出する
- 控えが必要な場合、提出用、控え用の2枚用意する。(税務署が控え用を用意することはありません。郵送する場合は、必ず控え用と切手を貼った自社宛の返信用封筒を同封する。電子申告の場合は、受信通知が控え代わり。)
法人事業概況説明書を提出する理由は、義務だからという説明をしてきました。
次は、当局にとってなぜこの書類が必要なのかという視点から見ていきたいと思います。
税務当局がなぜ法人事業概況説明書が必要なのか?
相手のことを知っていると対応の方法もわかってきますので、この理由についてもここで確認しておきましょう。
1-3 なぜ、法人事業概況説明書が必要なのか
提出が義務である法人事業概況説明書ですが、一体なぜ、税務署は提出を求めるのでしょうか。
端的に言うとその理由は次の2つです。
- 税務調査をすべき法人を選定するため
- 税務職員が法人と接触する際に、その法人の概況を把握するため
この2つの理由を元国税調査官の視点で解説していきます。
税務調査をすべき法人の選定
提出されてきた法人事業概況説明書はOCRになっていることからもわかるように、機械に読み込ませてデータベース化しています。そして、国税当局の独自のシステムで過去数年分の決算書上の勘定科目の残高の推移や同業他社の決算内容との比較等を行い、調査すべき法人を抽出し、それを税務職員が見て税務調査先を決める判断材料としています。
税務職員が法人と接触する際に、その法人の概況を把握するため
税務署の職員が、何らかの確認事項があり、法人と接触する際に、その法人事業概況説明書を目を通し、どのような法人なのかを確認します。税務指導や税務調査などを円滑に行うための参考としてるのです。
例えば、税務署の担当者は、電話で済むような問い合わせの場合、事前に法人事業概況説明書を確認し、事業内容の確認や、売上や従業員数から会社の規模を予想して対応の方法決めたり、源泉所得税の指導のときには、期末従業員数や月別の源泉所得税額などを参考にします。
税務調査であれば、法人事業概況説明書に記載してある内容であれば、事前に調査官が目を通しているので、調査先の法人に質問する必要がなくなり、調査時間の短縮にも繋がります。
なるほど、税務職員が対象とする法人を端的に理解するための書類と言うことなんですね。
逆に、提出する側からすると、それだけの理由で提出させられているんですか!?
なんのメリットもないような…
実は、とても言いにくいのですが、そうなんです…
税務署が提出してほしい最大の理由は、調査先の選定と指導、調査対象者の事業概況を把握するためのものなのです。
ということは、私のような設立間もない、大赤字の会社は調査もされないでしょうから、私の会社の法人事業概況説明書は、税務署にとっては、ほとんど圏外ということでしょうか?
。。。。。。
それではここで、法人事業概況説明書を受け取る側から見た法人事業概況説明書の重要度を考えてみましょう。
次のようになります。
法人の状況 | 提出を受ける側から見た重要度 |
調査の対象※とならない法人 | 低い |
調査の対象※となる法人 | 普通 |
補助金、給付金がほしい法人 | 高い(後述) |
※調査の対象となる法人、ならない法人の基準
次の条件を同時に2つ満たせばかなりの確率で調査を受けることはありません。(元国税調査官の経験です。)
- 売上が年間3,000万円に満たない小規模
- 赤字
- 設立から2年以下
逆に、上の条件のうち、3つとも満たさなければ、調査を受ける可能性は高くなります。
調査の対象とならないような法人が提出する法人事業概況説明書は、基本的には、税務署側からは重視されていないということですよね?
つまり、そのような法人は、かなり気軽に書けますね。
・・・・・・
ただし、調査対象となる法人の場合は、一概に法人事業概況説明書を軽視していると痛い目に合う場合もあります。
なぜ困るケースがあるかというと、税務署側が法人事業概況説明書の中で、決算内容に異常値がある場合や、税務職員がよく見ている記載箇所の内容に大きな誤りがあった場合、税務署側にあらぬ疑いを掛けられ、調査対象者に選ばれてしまうと言った可能性も出てきます。
コラム「税務署が良く確認している記載欄とは」
今、法人事業概況説明書は、税務調査対象の選定で参考にしていると説明しましたが、具体的に税務調査官はどの欄を確認しているのかを元国税調査官の経験から解説したいとおもいます。
もちろん、税務調査を行うことになった場合、記載されている内容はすべて目に通しますが、その中でも、よく確認している欄があります。
その欄は以下の通りになります。
欄 | 確認している内容 |
4 期末従業員等の状況 | 記載されている内容と納付された源泉所得税との間で差異がないかどうか。 |
8 経理の状況 | 特に現金取引が主な業種の場合、現金、通帳の管理者は誰なのかを精査します。 |
11 代表者に対する報酬等の金額 | 代表者と会社との金銭のやり取りについては、事前によく確認します。 |
12 事業形態 | 申告書やホームページなどを確認しても事業内容が不明なときは、この欄をよく確認します。 |
18 月別の売上高等の状況 | 繁忙期や閑散期について、確認します。 |
19 当期の営業成績の概要 | 記載がある場合は、必ず確認します。 ここまでのところで、気になる事項があったとした場合、その理由が書かれている場合があるからです。 そういう意味では、例えば前期と今期を比較して外注費に大きな変化があったとして、その理由が記載されていればあらぬ疑いをかけられることを防げるかもしれません。 |
ざっと記載しましたが、税務調査を行う際は、どんな新人の調査官でも表に記載した内容は、確認していますので、記載の際は気をつけてください。
法人事業概況説明書は、このような性質を持っていることから、自社の状況によってその重要度が変わってきます。
つまり、調査対象とならないような法人は、提出して法人事業概況説明書を見られることが少なく、調査対象となるような法人だと見られることが多くなります。そしてコロナウィルス感染症対策の給付金等の資料となる場合は、この記載内容について、整合性が取れないと厳しく質問されるということも起きてきます。
また、税務調査等のために提出を求められる書類であるため、記載内容に誤りがあったとしても税務署から内容の訂正を求められる書類ではありません。
なんか、最初よりも気持ちが楽になりました。
私のできる範囲でベストを尽くして作成したいと思います。
次は、法人事業概況説明書がコロナウィルス感染症対策の補助金や給付金等の申請の添付書類となるケースが増えてきていますので、それに関係する内容について解説していきたいと思います。
1-4 補助金及び給付金の添付書類としての法人事業概況説明書
法人事業概況説明書は、コロナウィルス感染症対策として支給される持続化給付金、持続化補助金及び事業復活支援金などの添付書類として採用されるようになりました。
現在では、コロナウィルス感染症対策に関する補助金や給付金等は、少なくなってきていますが、事業再構築補助金などの申請をはじめ、他の給付金等の申請についても継続して法人事業概況説明書の提出要件とされています。(執筆時現在)
そこで、法人事業概況説明書が、上記の補助金や給付金等を申請のための添付書類となっている場合に想定される疑問点や記載にあたって注意が必要な点について確認していきましょう。
1-4-1 補助金や給付金の申請における想定される疑問
まず、法人事業概況説明書がコロナ対策に関する補助金や給付金等を申請のための添付書類とされた場合に、想定される疑問点は以下のとおりです。
- 法人事業概況説明書の控えがない場合は、どうしたらいいのか
- 法人事業概況説明書を税務署に提出後、誤りに気付いた場合どうしたらいいのか
それでは、一つずつ確認していきましょう。
1 法人事業概況説明書の控えがない場合は、どうしたらいいのか
法人事業概況説明書の控えがない場合については、元々提出していない場合は、法人事業概況説明書を提出し、控えを取得します。
提出したが紛失した場合または提出したかどうかわからない場合は、所轄の税務署に連絡し、コロナウィルス感染症に関連する補助金等で控えが必要であるが、手元にないため提出してもいいかを確認し、おそらく拒否されることはないでしょうから、法人事業概況説明書を提出し、控えを取得します。
2 法人事業概況説明書を税務署に提出後、誤りに気付いた場合どうしたらよいのか。
次に法人事業概況説明書を税務署に提出した後、誤りに気付いた時の対応について解説します。
その対応は、以下の二つになります。
- 税務署に連絡し、対応を仰ぐ。
- 法人事業概況説明書を税務署に再提出する。
それでは、詳しく解説します。
まず、税務署に連絡し、法人事業概況説明書の記載内容に誤りがあった旨を伝えます。
担当の税務署職員の指示を仰ぎます。
私の経験ですが、税務署の法人課税部門に勤務していた際、控えを持参するよう伝え、正本と控えを同時に修正する方法をとっていました。なお、対応は所轄税務署により異なります。また、現在このような対応をしているかはわかりません。
次に法人事業概況説明書を税務署に再提出する方法です。
この方法は、法人事業概況説明書を再度、税務署に提出し誤った分と差し替えてもらう方法です。
基本的には税務署に何も伝えずに提出しても良いのですが、税務署に連絡したうえ、付箋等で「訂正分」と記載し、法人事業概況説明書に貼付し再提出するとスムーズに処理してくれるかと思います。
なお、法人事業概況説明書を郵送で再提出する際は、必ず法人事業概況説明書の控え用と返信用封筒を同封してください。税務署は基本的にどんな書類についても、控え用と返信用封筒が揃ってなければ、控えを送り返すことはありません。
以上が補助金や給付金の申請時に想定される疑問点の対応方法となります。
次は補助金や給付金の申請にあたって注意が必要な記載箇所について、解説します。
1-4-2 補助金や給付金の申請にあたって注意が必要な記載箇所
ここでは、コロナ対策に関する補助金や給付金等を申請するにあたって法人事業概況説明書を使用することが想定される場合の注意が必要な記載箇所について解説していきます。
注意が必要な記載箇所は、以下の4つとなります。
- 「法人番号」欄
- 「事業年度」欄
- 「18 月別の売上高等の状況」>「売上(収入)金額」>「計」欄と「10 主要科目」>「売上(収入)高」欄
- 「18 月別の売上高等の状況」>「売上(収入)金額」>「計」欄と別表1の「税務署処理欄」>「売上金額」欄
それでは、それぞれについて詳しく解説していきます。
「法人番号」欄
法人番号欄の記載漏れや記載誤りで、補助金や給付金の担当者から提出資料の不備として、再提出を求められるケースがあるようなので注意が必要です。
※法人番号とは、法人と一部の団体に対し、国税庁が指定する13桁の識別番号のことを言います。
法人番号は、国税庁運営サイトで検索することができるので、法人番号がわからない方は、下記のサイトから検索してください。
「事業年度」欄
事業年度の誤りも多いようです。
数年分まとめ作成する際や、税務署に再提出した際など、特に気をつけてください。
「18 月別の売上高等の状況」>「売上(収入)金額」>「計」欄と「10 主要科目」>「売上(収入)高」欄
コロナウィルス感染症対策に関連する補助金や給付金等を申請する際に、法人事業概況説明書の記載内容で注意すべき記載欄は、間違いなく「18 月別の売上高等の状況」欄です。
これは、上記の補助金や給付金等の受給は、売上(収入)の減少が要件になっており、補助金や給付金等の担当省庁が、申請してきた会社の過去の月別の売上高の推移を法人事業概況説明書の控えで確認しているのがその理由です。
そのため、「18 月別の売上高等の状況」の「売上(収入)金額」欄の記載ついては、正確に記載する必要があります。
特に、補助金や給付金等の担当省庁が気にしているのは、【裏面の「18 月別の売上高等の状況」>「売上(収入)金額」の「計」欄】と【表面の「10 主要科目」欄>「売上(収入)高」欄】が一致しているかどうかです。
この点について、指摘されたという方は多数います。
これまでの内容は、これから提出する場合は、気をつけたほうが良い点です。
次に既に提出している場合について考えてみましょう。ここに問題があります。
実は、この二つの欄の金額は、国税庁が公表する「法人事業概況説明書の書き方」に準拠して記載した場合、必ずしも一致するものではないのです。補助金等を申請する際にこのことが問題となってきます。
なぜ両者が一致しないかというと、例えば複数の売上(収入)がある場合には、「18 月別の売上高等の状況」の「売上(収入)金額」欄の記載は、その主なもの2つについて、記載することとなっています。
法人事業概況説明書を提出する会社が3種類以上の売上(収入)がある場合、「18 月別の売上高等の状況」の「売上(収入)金額」欄には、3種類目以降の売上(収入)金額は記載することができず、「10 主要科目」の「売上(収入)高」の金額とは、一致しないことになります。
また、「18 月別の売上高等の状況」の「売上(収入)金額」欄の、月別の売上金額は1,000円未満切り捨てた金額を記載し、「計」欄には、文字通り解釈すれば、その1,000円未満切り捨てた月別売上の金額を合計するものと考えられる。そのため、売上の種類が1又は2種類の場合は月別売上の端数を切り捨てた分、決算書から直接転記した「10 主要科目」の「売上(収入)高」の金額とは、端数分ズレてしまうからです。
国税庁の書き方には、「計」欄に関して端数を切り捨てたものを合計するのか、端数を切り捨てないものを合計するのかについて、言及がありません。したがってどちらも許容していることが想定されます。
このように、この2つの欄の金額は、一致しないことが往々にしてあります。
この2つの欄の金額が合わない場合、担当省庁から法人事業概況説明書の不備を訂正するよう連絡がくる場合があります。
そのような場合に、解決できた例を以下の通りまとめましたので、参考にしてみてください。
担当省庁から不備の連絡が来た場合の解決法
- 「18 月別の売上高等の状況」の「売上(収入)金額」の「計」欄の金額を、「10 主要科目」の「売上(収入)高」の金額に合うよう修正して再提出する。
- 端数のズレなど法人事業概況説明書の性質上、金額が合わないものであることを説明する。
上記1については、前述の1-4-1の「2 法人事業概況説明書を税務署に提出後、誤りに気付いた場合どうしたらよいのか。」のとおりに記載した方法で両者が一致した法人事業概況説明書を用意して再提出します。
上記2については、前述のとおり法人事業概況説明書は、必ずしも両者が一致するように作られているものではありませんので、端数のズレ等で両者が一致していない場合は、その旨を法人事業概況説明書の書き方の該当部分を示す等の方法で根拠をもって一致していない理由を説明します。
なお、持続化給付金が始まった当初は、税理士に事業収入証明書を発行して提出したり、法人事業概況説明書を改めて作成して再提出する等の方法で解説していた傾向があるようですが、最近は2つの欄の金額が合わない理由を担当省庁に根拠をもって説明することで解決できた例が多くなっているようです。
「18 月別の売上高等の状況」>「売上(収入)金額」>「計」欄と別表1の「税務署処理欄」>「売上金額」欄
次の注意するべき記載箇所も、上記に引き続き「18 月別の売上高等の状況」欄です。
その指摘される内容と言うのは、
上の画像の2つの記載欄が一致していないと補助金や給付金等の担当省庁から指摘されるということになります。
しかし、上記の画像を見ていただくとわかるように、右の法人事業概況説明書(抜粋)の「売上(収入)金額」の「計」欄の金額は「44,905(千円)」で、左の法人確定申告書 別表1(抜粋)の「税務署処理欄」の中の「売上金額」欄の金額は「45(百万円)」となっており、一致していません。
これは、この例題が誤っているわけではなく、法人事業概況説明書を国税庁が発行している「法人事業概況説明書の書き方」に準拠して記載し、法人確定申告書の別表1を国税庁が発行している「法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引」に準拠して記載するとほとんどの場合、一致しないことになります。
なぜ両者が一致しないかというと、法人事業概況説明書の「売上(収入)金額」の「計」欄の金額は売上(収入)金額を1,000未満切り捨てた金額を記載するのに対して、法人確定申告書 別表1の「税務署処理欄」の中の「売上金額」欄の金額は、売上(収入)の金額を百万円未満の端数を切り上げた金額を記載するからです。
例を出すと以下のようになります。
決算書上の売上金額 | 事業概況説明書 「売上(収入)金額」の「計」欄 | 別表1「税務署処理欄」の「売上金額」欄 | 結果 |
100,000,001円 | 100,000(千円) | 101(百万円) | 一致しない |
999,999円 | 999(千円) | 1(百万円) | 一致しない |
5,000,000円 | 5,000(千円) | 5(百万円) | 一致する |
ご覧のとおり、この二つの欄が一致するためには、100万円未満の端数がない場合のみという超レアケースとなります。
しかしながら、この2つの欄の金額が合わない場合、担当省庁から法人事業概況説明書の不備を訂正するよう連絡がくる場合があるようです。
そこで、このような場合どのように解決できたかを以下にまとめます。
この2つの欄の金額が一致しないことで担当省庁から連絡が来た場合の解決方法
担当省庁の担当者に、この2つの欄の金額が一致しない理由(上記で解説した内容)を説明する。
両者はそもそも、ほとんどのケースで一致しないものなので、その理由を説明するほかに方法はありません。
これにより問題が解決しない場合は、担当者の指示を仰ぐことになるでしょう。
ここまでで、コロナウィルス感染症対策に関連する補助金や給付金等を申請時に必要とされる法人事業概況説明書の記載にあたって注意が必要な箇所についての解説は以上となります。
次の章からは、法人事業概況説明書の書き方について解説していきたいと思います。
2 法人事業概況説明書の書き方
初心者の方でもこの記事の解説にしたがって書き進めていけば、法人事業概況説明書が必ず書きあげられるようにわかりやすく解説していきます。
法人事業概況説明書は、記載する欄が多いため、難しいと感じる方が多くいると思います。
しかし、法人事業概況説明書の本来の役割は、前述のとおり、税務署が調査や指導の際に参考にするためのものであるため、もちろん正確であることが求められてはいますが、誤りがあったからといって修正を求められたり、罰則が課せられたりするものではないので、完璧を求めるような書類ではなく、肩の力を抜いて作成できる書類であることを理解して臨んでもらえればと思います。
※ただし、補助金や給付金の添付書類として利用することが前提となっている場合は、決算書や帳簿の内容を転記する部分については、正確性を期す必要があります。
法人事業概況説明書が法人税の申告書(別表)に比べれば重要度は下がるので、肩の力を抜いてという点に加えて、
法人税の専門的な知識がなければ書けないような欄は一つもありませんので、そういう意味でも決して難しい書類ではありません。
税務初心者の方でも各欄において何を書くべきかは大方わかると思いますし、わからない場合は、この記事で書き方を解説しますので、それを参照してもらえれば必ず書き上げられるレベルの書類ですので、安心してください。
ではここで、改めて法人事業概況説明書の様式を記入例で確認していきましょう。
2-1 法人事業概況説明書の記入例
法人事業概況説明書 表面
法人事業概況説明書 裏面
いかかでしょうか。
ざっと見て、単純に欄が多いため「面倒そうだな」という感想は持たれたかもしれませんが、意味のわからない用語があってわけがわからないということはなかったかと思います。
法人事業概況説明書は手間の問題であって、決して難しい書類ではないのです。
それに一度作成してしまえば、翌年の半分くらいはそのまま同じ記載内容が使えますので、2年目以降はさらに作成が容易になります。
次に法人事業概況説明書は、確定申告書種類を作成する際、どのタイミングで作成するのかを確認していきたいと思います。
2-2 法人事業概況説明書を作成するタイミング
法人事業概況説明書は、決算内容を記載する箇所(「10主要科目」「18月別の売上高等の状況」)以外は、決算期末が過ぎた段階で記載することが可能です。
決算書の内容を記載する部分については、決算が確定していないと埋められない箇所がわずかにありますので、決算書が完成した後に作成するというのが正しい手順になります。
法人税の確定申告書と添付書類の作成手順を図解すると次のようになります。
法人事業概況説明書は、STEP1の仮決算書の段階で、決算内容(「10主要科目」「18月別の売上高等の状況」)を除いた部分を完成させることができます。
STEP3で決算書が完成するので、その後決算内容部分を記載して完成になります。
それでは、ここから一つ一つ記入例を見ながら確認していく方法で「法人事業概況説明書の書き方」について、詳しく解説していきたいと思います。
まずは、法人事業概況説明書を書くために、必要な書類から確認していきたいと思います。
2-3 法人事業概況説明書を記載するために必要なもの
それでは、法人事業概況説明書を記載するために、必要なものから確認していきましょう。
必要なものは、以下の書類となります。
- 自社の決算書(貸借対照表及び損益計算書)
- 総勘定元帳
- 月別の売上高、仕入高を確認できるもの(売上帳、仕入帳、会計ソフト等)
この3つは、法人事業概況説明書を書いていく中で、一番苦労すると思われる、「10 主要科目(単位:千円)」欄と「18 具期別の売上高等の状況」欄を記載するために必要となる書類となります。
「その他の欄は何をみて作成するの?」と思われるかもしれませんが、その他の欄については、社長や経理担当者の記憶している範囲で埋めることが出来るような情報ばかりです。
調べる必要のあるものがあるとすれば、例えば、「自社のホームページアドレス」、「法人番号」、「関与税理士の情報」、「加入組合の情報」くらいかと思います。
次は、実際に記入例を確認しながら、各項目の記載方法について解説していきたいと思います。
2-4 法人事業概況説明書の各欄の書き方
法人事業概況説明書というのは、表面と裏面で構成された書類で、表面に「1欄から11欄」、裏面に「12欄から19欄」という形になっています。
では、まずは表面「1欄から11欄」の記載から解説していきたいと思います。
2-4-1 法人事業概況説明書の表面の書き方
表面の書き方から解説していきたいと思います。
法人事業概況説明書 表面
表面は「1欄から11欄」からなり、記載内容とそのおおよその記載時間をまとめてみました。
手順NO | 記載欄名 | 記載に掛かる時間 |
1 | 事業内容 | 数十秒 |
2 | 支店・子会社の状況 | 数十秒 |
3 | 海外取引状況 | 数十秒 |
4 | 期末従業員等の状況 | 2~3分程度 |
5 | PC利用状況 | 2~3分程度 |
6 | 販売形態 | 数十秒 |
7 | 株主又は株式所有移動の有無 | 数秒 |
8 | 経理の状況 | 5分程度 |
9 | 役員又は役員報酬額の異動の有無 | 数秒 |
10 | 主要科目 | 15分程度 |
11 | 代表者に対する報酬等の金額 | 5分程度 |
合計所要時間 | 30分程度 |
それでは各項目を一つ一つ確認していくことにしましょう。
「法人名、電話番号」欄及び「法人番号」欄を記載する
法人名 | 一番上の「屋号( )」内に会社の店舗等の屋号を記載する |
---|---|
法人番号 | 法人番号(13桁)※を記載する |
※法人番号とは、法人と一部の団体に対し、国税庁が指定する13桁の識別番号のことを言います。
法人番号は、国税庁運営サイトで検索することができるので、法人番号がわからない方は、下記のサイトから検索してください。
「事業年度」欄及び「自社ホームページの有無」欄を記載する
事業年度 | 上段に事業年度の開始年月日を記載する 下段に会計年度の終了年月日を記載する 例)自:令和5年1月1日 / 至:令和5年12月31日 |
---|---|
税務署処理欄 | 記載不要 |
自社ホームページの有無 | 自社ホームページがある場合は、「有」に〇を付け、ない場合は「無」に〇を付ける 「有」の場合 自社ホームページのアドレスを記載する |
【1】「事業内容」欄を記載する
( )業 | 「建設業」や「小売業」などいわゆる事業種目※を記載する |
---|---|
その他の欄 | 事業内容について具体的に簡記する |
※事業種目は、次の「事業種目・業種番号一覧表」から自社の営む業種に近いものを選んで記載する方法でも構いません。
単体法人における適用額明細書の記載の手引(令和3年4月1日以後終了事業年度分) 事業種目・業種番号一覧表(国税庁)
また、その下に事業内容を簡記する欄は、例題のように簡単に書いても、全く問題ありません。
例えば、「コンビニエンスストアの経営」、「洋食店の経営」、「不動産売買業の経営」、「事業者向けのソフトウェア及びアプリケーションの開発販売」など。
【2】「支店・子会社の状況」を記載する
国内及び海外にある支店、店舗等の情報を記載します。
⑴ 支店 | 国内及び海外にある支店又は店舗数をそれぞれ記載する。 海外にある支店の場合、主要な支店や店舗から2つ選び、その所在地国名と従業員数を記載する。 |
---|---|
⑵ 子会社 | 国内及び海外にある子会社数をそれぞれ記載する。 海外の子会社については、主要なものから2つ「子会社名称」とその「出資割合」をそれぞれ記載する。 |
例題では、支店及び子会社はないため、空欄となっています。
【3】「海外取引状況」欄を記載する
自社が行っている海外取引についての情報を記載します。
(1)取引種類 | 輸入取引がある場合は「輸入」欄に「〇」を付け、輸出取引がある場合は「輸出」欄に「〇」を付け、いずれの取引もない場合は「無」に〇を付ける。 中段と下段の「輸入」欄と「輸出」欄には、自社が行っている輸出入取引の「相手国」、「主な商品」及び「取引金額(百万円単位)」をそれぞれ記載する。 |
---|---|
(2)輸出入以外の海外取引 | 輸出入以外の海外取引がある場合は、「有」欄に「〇」を付け、ない場合は「無」に〇を付ける。 「有」の場合は、次の7つのもののうち該当のものに○を付ける。
掲記の取引以外の取引がある場合には、「その他」に○を付け、( )内に取引内容を記載する。 |
【4】「期末従業員等の状況」欄を記載する
期末時点の従業員等の状況を記載します。
(1)期末従事員の状況 | ・「常勤役員」欄に、期末時点の常勤役員数を記載する。 ・「常勤役員」欄の以下の空欄に、次の記載例を参考に職種を記載し、それぞれの人数を記載する。 ・「計」欄に、常勤役員、従業員等の人数の合計人数を記載する。 ・「計のうち代表者家族等」欄に、常勤役員、従業員等の中に代表者の親族がいる場合にその人数を記載する。 ・「計のうちアルバイト数」欄に、常勤役員、従業員等の「計」の中にアルバイトがいる場合にその人数を記載する。 |
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(2)賃金の定め方 | 固定給のみ採用している場合は、「A固定給」に〇を付け、歩合給のみ採用している場合、「B歩合給」に〇を付ける。 固定給、歩合給を併用している場合は、「AB併用」に〇を付ける。 |
(3)社宅・寮の有無 | 社宅等がある場合は「有」に〇を付け、ない場合は「無」に〇を付ける。 |
【5】「PC利用状況」欄を記載する
自社の業務におけるパソコンの利用状況について記載していきます。
(1)PCの利用 | 業務でPC※を利用している場合、「有」に〇を付け、利用していない場合は「無」に〇を付ける。 |
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(2)PCのOS | 自社が使用しているパソコンのOSに該当するものを、「Windows」、「Mac」、「Linux」、「その他」から選択し〇を付ける。 |
(3)PCの利用形態 | 自社が使用しているパソコンは、主にどのような業務に使用しているか、「財務管理」、「給与管理」、「在庫・販売管理」、「生産管理」の中から、選択(複数可能)し、該当するものに〇を付ける。 |
(4)会計ソフトの利用等 | 会計ソフトを利用している場合は、「有」に〇を付け、利用していない場合は「無」に〇を付ける。 |
(5)会計ソフト名 | 会社で使用している会計ソフトの名称を記載する。 記入例:「弥生会計」、「会計王」、「MFクラウド会計」等 ※ 過少申告加算税の軽減措置の適用要件を満たす場合には、会計ソフトの名称の末尾に「(軽減)」と記載してください。 |
(6)メールソフト名 | 主に利用しているメールソフトの名称を記載する。 記入例:「Outlook」、「Gmail」、「Yahoo!メール」等 |
(7)データの保存先 | 自社で使用しているデータ等の主な保存先を「クラウド」、「外部記録媒体」、「PCサーバ」から該当するものを選択して、〇を付ける。 |
【6】「販売形態」欄を記載する
自社の販売形態において、「電子商取引」及び「販売チャネル」に関する事項を記載します。
(1)電子商取引 | 自社の販売形態において、電子商取引がある場合は、「有・売上」「有・仕入」「有・経費」から該当するものに〇を付け(複数可)、利用していない場合は「無」に〇を付ける。 |
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(2)販売チャネル | ⑴の電子商取引が「有・売上」に◯を付けた場合に回答を要する。 |
【7】「株主又は、株式所有移動の有無」欄を記載する
当事業年度中に、自社の株主の異動や株主間の持株数などの異動の有無について、表示します。
株主又は株式所有異動 の有無(うち株式交付) | 自社の株主の異動や株主間の持株数などの異動がある場合は、「有」に〇を付けて、異動等がない場合は、「無」に〇を付ける。 |
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【8】「経理の状況」欄を記載する
自社の経理の状況に関する事項を記載します。
(1)管理者 | 自社の現金及び預金通帳を管理している者の氏名と、その者と自社の代表者との関係を「親族」、「他人」から選択し、〇を付ける。 |
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(2)試算表の作成状況 | 自社の経理において、試算表をどの程度の頻度で作成してるかを「毎月」、「おおむね[ ]月ごと」、「決算時のみ」から自社に最も近い状況を選択し、〇を付ける。 |
(3)源泉徴収対象所得 | 当事業年度において、源泉徴収した対象所得を「給与」、「報酬・料金」、「利子等」、「配当」、「非居住者」、「退職」から該当するものに〇を付ける。(複数回答) |
(4)消費税 | 1「当期課税売上高(単位:千円)」:当期の課税売上高の金額を千円単位(千円未満切り捨て)で記載する。 課税売上高:消費税がかかる売上の合計額に、輸出取引等の免税となる売上の合計額を足した金額。 課税売上高の詳細を知りたい場合はこちらをクリックして確認してください。 2「経理方式」欄に、自社が採用している経理方式を表示する。 自社が税抜経理を採用している場合、「税抜経理方式」に〇を付けて、税込経理を採用している場合、「税込経理方式」に〇を付ける。 |
(5)社内監査 | 社内監査を行っている場合は、「有」に〇を付け、社内監査を行っていない場合は「無」に〇を付ける。 |
【9】「役員又は役員報酬額の異動の有無」欄を記載する
当事業年度中に、自社の役員又は役員報酬額の異動、変更の有無について、表示します。
役員又は役員報酬額の異動の有無 | 当事業年度中に、自社の役員又は役員報酬額の異動があった場合は「有」に〇を付け、異動等がない場合は「無」に〇を付ける。 |
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【10】「主要科目(単位・千円)」欄を記載する
当会計年度の決算書等により、残高のある勘定科目の残高金額を千円単位(千円未満切り捨て)で転記していきます。
千円単位と言うのは、言わば、「下3桁 」を書かないということです。
例として、「123,456,789円」の千単位は「123,456(千円)」となります。
給付金の添付資料とする場合は、この部分はよく見られる箇所ですので、確実に記載していきましょう。
決算書というのは、基本的に「損益計算書(販売費及び一般管理費の内訳書を含む)」と「貸借対照表」の二つのことを指します。
どの決算書を、どの箇所に転記するかの分布図は以下の通りです。
「10 主要科目」欄 転記箇所
この欄は、基本的に「損益計算書」及び「貸借対照表」からそれぞれ転記することで、完成させることができます。
※以下の事項があったときだけは決算書の値とは異なる値を記載します。
- 減価償却超過額
- 役員報酬(役員賞与)の損金不算入
中小企業の申告でこのような申告調整が入ることはあまりないと思いますが、もしあった場合は、申告調整後の金額を記載します。つまり
- 減価償却超過額 減価償却超過額を差し引いた金額
- 役員報酬(役員賞与)の損金不算入 損金不算入額を差し引いた金額
それでは、「損益計算書」から転記する際の注意点から紹介します。
Ⅰ 損益計算書から転記する際の注意点
勘定科目 | 注意点 |
「売上(収入)高」、「売上(収入)原価」、「外注費」 | 値引きや割戻し等がある場合は、それらの金額を控除した金額を記載する。 |
「役員報酬」 | 損金不算入となる金額を除いた金額を記載する。 |
「労務費」 | 福利厚生費を除いた金額を記載する。 |
「人件費に関する勘定科目」 | 退職金は、掲記の人件費に関する各科目には含めない。 |
「交際費」 | 「申告調整前」の金額を記載する。(別表15の支出交際費等の金額) |
「減価償却費」 | 「減価償却費超過額」を除いた金額を記載する。 |
「地代家賃」 | 支払地代家賃の金額を記載する。 |
「売上(収入)総利益」、「営業損益」、「税引前当期損益」 | マイナスとなる場合は、「△」表記で記載する。 |
Ⅱ 貸借対照表から転記する際の注意点
勘定科目 | 注意点 |
「資産の部合計」、「負債の部合計」、「純資産の部合計」 | 「資産の部合計」欄の金額と「負債の部合計」欄の金額に「純資産の部合計」欄の金額を足した金額は、一致する。 |
「受取手形」、「売掛金」 | 貸倒引当金の控除前の額を記載する。 |
「受取手形」 | 融通手形の額を含めないない金額を記載する。 |
「建物」「機械装置」「車両・船舶」 | 減価償却累計額控除後の金額を記載する。 |
「土地」 | 借地権等の額を含めた金額を記載する。 |
「買掛金」 | 原価性を有する未払金等を含めた金額を記載する。 |
「個人借入金」 | 銀行・信用金庫・信用組合からの借入金以外の借入金の合計額を記載する。 |
「その他借入金」 | 「個人借入金」欄に記載した以外の借入金の合計額を記載する。 |
【11】「代表者に対する報酬等の金額」欄を記載する
同族会社である場合に限って、代表者に対する報酬等の金額を11欄に記載します。
代表者に対する報酬等の金額 | 次の取引がある場合は、その額を千円単位で記載する。
|
以上で、表面は完成です。
続いて、裏面の書き方の解説をしていきます。
2-4-2 法人事業概況説明書の裏面の書き方
それでは続いて裏面の書き方を解説していきます。
裏面は次のとおり12欄から19欄で構成されています。
法人事業概況説明書 裏面
各欄の記載にかかる時間は概ね次のとおりです。
手順NO | 記載欄名 | 記載に掛かる時間 |
12 | 事業形態 | 5分程度 |
13 | 主な設備等の状況 | 2~3分程度 |
14 | 決済日の状況 | 2~3分程度 |
15 | 帳簿類の備付状況 | 5分程度 |
16 | 税理士の関与状況 | 2~3分程度 |
17 | 加入組合等の状況 | 2~3分程度 |
18 | 月別の売上高等の状況 | 15分から30分 |
19 | 当期の営業成績の概要 | 2~3分程度 |
合計所要時間 | 30分〜1時間程度 |
それでは一つ一つ書き方を確認していきましょう。
【12】「事業形態」欄を記載する
自社が行っている事業内容等について、記載します。
(1)兼業の状況 | 主たる事業のほかに事業を行っている場合、兼業の事業種目、主たる事業と兼業の売上げの割合、住たる事業の方の事業内容を詳しく記載する。 |
---|---|
(2)事業内容の特異性 | 同業種と比較して、自社が行っている事業内容に相違がある場合、その違いを記載する。 |
(3)売上区分 | 自社が行っている事業の収入を「現金売上(銀行振込を含む)」と「掛売上」に分け、その割合記載する。 |
【13】「主な設備等の状況」欄を記載する
自社の事業で使用している設備等の内容を記載してください。
事業の用に供している主な設備等の状況について、名称・用途・型・大きさ・台数・ 面積・部屋数等について以下を参照し、記載する。
なお、申告書の内訳明細書や固定資産台帳等に記載がある事項については空欄でも差し支えありません。
固定資産については固定資産台帳に必要事項が通常は記載されますので、固定資産台帳を添付していれば大方の記載は省略できます。
実務でも固定資産台帳が添付されている場合、空欄で提出されていることが多くなっています。
国税庁の書き方では、以下のような例が示されています。
「主な設備等の状況」記載例
- 機械装置の状況には、名称・用途・大きさ・型・台数等について記載してください。
- 車両等の状況には、名称・用途・台数等について記載してください。
- 店舗等の状況には、店舗名・住所・延床面積・テーブル数・収容人員等について 記載してください。
- 倉庫等の利用状況には、住所・延床面積・自社所有・賃貸等について記載してく ださい。
- 客室等の状況には、広さ(畳)・部屋数・収容人員等について記載してください。
【14】「決算日等の状況」欄を記載する
決済日等の状況 | 「売上」「仕入」「外注費」「給料」の締切日と決済日または支給日を記載する。 取引先によって、締切日、決済日が異なる場合は、取引額が多いものを記載します。 |
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【15】「帳簿類の備付状況」欄を記載する
どのような帳簿類を記載すべきかと言うと、国税庁の書き方では、以下の帳簿類が例として挙げられていますので、参考にしてください。
国税庁が挙げる帳簿類の例
総勘定元帳〇、仕訳帳〇、固定資産台帳〇、経費帳〇、売掛帳〇、買掛帳〇、受注簿、 発注簿、作業(生産)指示簿、作業(生産)日報、原材料受払簿、商品受払簿、レジシ ート、売上日計表、工事日報、工事台帳、出面帳、運転日報、注文書、外交員日報、客別売上明細表、出前帳、予約帳、部屋割表、取引台帳、営業日誌等
※ 令和4年1月1日の電子帳簿保存法の改正により、優良な電子帳簿の要件を満たして保存等を行っている帳簿には、末尾に「○」と記載することになりました。
なお、「過少申告加算税の軽減措置」については、こちらのリンクからご確認ください。
改正の前までは、「総勘定元帳〇、仕訳帳〇、固定資産台帳〇、経費帳〇、売掛帳〇、買掛帳〇」これらの一般的な帳簿書類は例に挙げられていませんでした。
この部分はあまり神経質にならず、優良な電子帳簿の要件を満たして保存等を行っている帳簿は記載し、◯をつけ、あとは取引金額を把握するために作成している自社に特有の帳簿類を記載すると考えておけばいいかと思います。
法人が保存すべき帳簿書類とは、国税関係帳簿書類のことを指しています。
そもそも法人が保存すべき国税関係帳簿がわからないという場合は、次の記事で確認しておきましょう。
https://japanex.jp/book/?p=3940
【16】「税理士の関与状況」欄を記載する
関与税理士の情報を記載します。
税理士の関与がなければ空欄になります。
関与税理士の氏名、事務所の所在地、電話番号を記載し、関与状況の該当する欄に〇を付けてください。
なお、複数の税理士の関与がある場合は、代表する一名の情報を記載してください。
【17】「加入組合等の状況」欄を記載する
加入組合の状況(役職名) | 上段に加入している組合等があればその名称を記載する。 下段に役職についている場合は、その役職名を記載する。 |
---|---|
営業時間 | 店舗があれば、店舗の開店時間と閉店時間を記載する。 |
定休日 | 定休日を毎週何曜日または不定期の場合は毎月何日間という形で記載する。 |
自社が加入している主な組合、団体等及び役職名等を記載し、加入組合等の営業時間及び定休日を記載します。
【18】「月別の売上高等の状況」欄を記載する
この欄では、「売上(収入)金額、「仕入金額」、「外注費」、「人件費」、「源泉徴収税額」、「従業員数」の月別の状況を記載することになります。
「18 月別の売上高等の状況」欄を記載するのに必要な書類は、以下のとおりです。
- 自社の決算書(貸借対照表及び損益計算書)
- 総勘定元帳
- 月別の売上高、仕入高を集計したもの(売上帳、仕入帳 等)
- 前期の法人事業概況説明書
一応、「総勘定元帳」さえあれば、記載することは可能ですが、月別の売上高、仕入高等を別の帳簿で管理しているのであれば、それを見ながら作成する方が楽です。
そんな帳簿作ってないな、、、って方でも、多くの会計ソフトで簡単に出せる「試算表」や「推移表」と言う帳票を見れば、月別の売上高、仕入高等について簡単に数字を拾うことが出来ます。
「試算表」、「推移表」ってどんな帳票かと言うと以下のようなものになります。
(出典:ツカエル会計)
こちらの「試算表(年間推移)」はツカエル会計を使って出したものですが、ほとんどの会計ソフトで同じような機能があります。
ご覧の通り、売上高やその他の科目の月別の金額が一目瞭然ですよね。この数字を書き写していけば効率的にに完成させることが出来ますので、会計ソフトを使っている場合は、推移表機能を活用してみてください。
❶ 「月別」の記載方法
まずは、「月別」と記載された列を記載します。
こちらは「事業年度」の開始月を一番上に記載し、次の月をその下の欄に記載していき、「事業年度」の終わりの月まで順番に記載してきます。
例えば、3月決算の法人であれば、「4月」が一番上の欄に記載し、「3月」が一番下の欄に来るように順番に記載していくことになります。
例題では、12月決算であるため、「1月」が一番上、「12月」が一番下の欄に来るように順番に記載されています。
❷ 「売上(収入)金額」「仕入金額」「外注費」「人件費」の記載方法
次に、「売上(収入)金額」、「仕入金額」、「外注費」、「人件費」と記載された列の欄を記載します。
こちらの欄には、月別の売上高(収入)、仕入高(原価)及び外注費並びに人件費を記載します。
「総勘定元帳」や「売上帳」、「仕入帳」等を確認しながら、月別に千円単位で記載して、その合計金額を「計」欄に記載してください。
「計」は単純に上の列の値を合計すると、千円単位で記載されていることから、通常は決算書の値とズレてきます。
税務署側ではなんら問題ないのですが、給付金の申請の場合は、例えばこの売上の「計」欄と表面の「10主要科目」の「売上(収入)高」とが一致していないと申請が通らないということがあったようですので、そのような場合は、相手が求めるものを考慮して両者を一致させて対応する必要があるでしょう。
なお、兼業している場合は、主たる売上(仕入)と従たる売上(仕入)を2列に記載します。
また、「人件費」欄は、その月の俸給・給与及び賞与の支給総額を記載します。役員の報酬もこの金額に入ります。
❸「源泉所得税額」「従事員数」の記載方法
次に、「源泉所得税額」、「従事員数」と記載されている列の欄を記載します。
こちら欄も、上記と同様に月別の源泉所得税額を総勘定元帳等を確認しながら記載します。
ただ、源泉所得税額の記載の単位は、千円単位ではなく、円単位です。他の欄は千円単位ですが、源泉所得税の欄だけ円単位となりますので、注意が必要です。
従事員数は、役員、従事員の月別の人数を合計した人数を記載します。
また、「源泉所得税額」と記載されている列の右隣に、空欄の列については、掲記以外の主要の科目の状況を記載します。
実務において、この欄に記載することは、稀ですので、特段記載したい勘定科目がなければ、空欄でも構いません。
❹ 前期の実績を記載する
最後に、表の最下段の「前期の実績」欄を記載します。
この欄の記載は、前期の売上金額、仕入金額、外注費、人件費、源泉徴収税額、従事員数を記載する欄となっています。
前期の法人事業概況説明書を前期の「計」欄を転記するとよいでしょう。
【19】「当期の営業成績の概要」欄を記載する
当事業年度の営業成績、経営状況に影響があった事項等があった場合に、記載してください。
国税庁の書き方では次のように書かれています。
経営状況の変化によって特に影響のあった事項、経営方針の変更によって影響のあった事項などについて具体的に記載してください。
(注) 同様の内容を記載した別途の書類を作成している場合には、その書類を添付することにより、この欄の記載を省略して差し支えありません。
「前期と比較して利益が減った(増えた)主たる理由」や「事業年度の途中から売上高が増えた理由」など、当期の営業利益に影響があった事項があった場合にその主な要因をするような事項を記載すると良いでしょう。
記入例では、「当期は新型コロナウィルスの影響が改善しつつあることから、売上高については、増加したが、国際情勢の煽りで、仕入高及び経費が高騰し、利益増加につながらなかった。」と記載しています。
特に経営状況の変化によって特に影響のあった事項や経営方針の変更によって影響のあった事項がなければ、空欄にするというケースも税務署に提出される申告書では見受けられました。
コラム「意外と調査官は参考にする欄です。」
税務署側もよく見ていて、税務調査で参考にすることが多い欄です。
調査官が「なぜ、売上高がこんなに上がったんだろうか?」、「なぜ、今期だけ利益が少ないのだろう?」と疑問を持ったことから、税務調査を行うことも多々あります。
しかし、この欄にて、調査官が思い浮かべた疑問がある程度解決できれば、今年の税務調査の対象にならないという可能性があるということも言えます。
あくまで、可能性ですので、絶対とは言い切れませんが、実際、自分が調査官だった頃は、参考にすることがありました。
したがって、実務では空欄で提出されることも往々にしたある箇所ですが、前述のとおり調査を受ける可能性のある規模の法人については前期と今期を比較して大きな変化のある勘定科目があれば、その理由を記しておくようにするとあらぬ疑いをかけられることを防げるかもしれません。
以上が法人事業概況説明書の書き方についての解説です。
各欄の書き方については、決して難しくはなかったと思います。ただ面倒ということが言えると思います。
「10 主要項目」「11 代表者に対する報酬等の金額」や特に「18 月別の売上高等の状況」欄は、帳簿を見ながら転記するというのはかなり面倒だと思います。
これを手書きするというのは、苦行に近いのではないでしょうか。
そこで、法人事業概況説明書を効率的にかつ無料で作成できるおすすめな方法について次章で解説したいと思います。
3 無料で法人事業概況説明書を作成するオススメの方法
ここまで法人事業概況説明書の書き方について解説してきましたが、法人事業概況説明書って1~19欄まで記載する欄があって、手書きで書くとかなり大変ですよね。
簡単、効率的に作成したいと考えると、会計ソフトや税務ソフトを頼りたくなりますが、どれも有料のものばかりです。
そこで、無料で法人事業概況説明書を作成したいと考えている方に簡単、効率的に作成できるおすすめな方法について、解説していきたいと思います。
まず、法人事業概況説明書を無料で作成する方法というのは、大きく分けて4つあります。
- 手書きで作成する。
- 使用している会計ソフトで作成する
- Excel等の表計算ソフトで入力して作成
- 無料で全力法人税を使って作成する。
では、この4つの方法の中で、どの方法が効率がよく、簡単な方法なのでしょうか。
先程、挙げた4つの法人事業概況説明書を無料で作成する方法の中から、おすすめな順に紹介していきたいと思います。
おすすめの方法と言っても、すべての会社が同じ方法が良いというわけではなく、その会社が使用している「会計ソフト」によっておすすめする作成方法が変わります。
以下のフローチャートで判定します。
3-1 弥生会計プロフェッショナル、フリー申告を使って作成する
弥生会計のプロフェッショナル以上を使っている方とフリー申告を購入されている方は、どちらの会計ソフトについても「法人事業概況説明書」を作成する機能があります。
そのため、会計ソフトを使用して作成するのが、一番簡単かつ効率的ですので、迷わずそちらを使いましょう。
3-2 全力法人税で会計ソフトと連携させて作成する
次に使用している会計ソフトが以下のものである場合、税務ソフト「全力法人税」を利用することをおすすめします。
- 弥生会計(スタンダード)
- MFクラウド
- 弥生オンライン
- 会計王
- 会計フリー
なぜ、上記の会計ソフトを使用している場合、「全力法人税」で作成することをおすすめするのかと言うと、
上記に挙げた会計ソフトで作成した仕訳データを「全力法人税」にインポートすることで、法人事業概況説明書で一番手間のかかる「10 主要項目」「18 月別の売上高等の状況」が秒で完成するからです。
しかも、法人事業概況説明書を作成するだけなら、なんと無料です。興味のある方は絶対に使うべきです。
ここで、税務ソフト「全力法人税」について、すこし説明したいと思います。
3-2-1 全力法人税とは
全力法人税は、法人税の知識がなくても誰でもかんたんに法人税の申告書が作成できるをコンセプトとしたソフトです。
法人税の申告書を作成し、印刷する場合は有料となりますが、法人事業概況説明書や勘定科目内訳明細書などの作成、印刷は無料です。
そして先にお伝えしておきますが、実は税務ソフト「全力法人税」は弊社が提供しているサービスです。
「おいおい、ここにきてセールスかよ」と思われた方もいると思いますが、あえて紹介させてください。
なぜなら、この日本の中で、無料で法人事業概況説明書を簡単に作成できる税務ソフトは、全力法人税以外存在しないからです。(当社調べ)
インターネットで検索しても、これほど高機能で無料で利用できるものを他にありません。
自社ソフトの紹介の場合、「ほんとかー?」と思うのが正直なところかと思いますので、レビューを紹介したいと思います。
全力法人税では、事実法人税の知識なしで万単位のユーザが自分での法人税の申告書の作成に成功しています。
実績は、これまでアカウントの登録数は19,000を超えています。
元国税調査官・税理士が監修しており、お客様レビューでの高評価数700件越えで信用できます。是非全力法人税のレビューページを参照していただければと思います。
次に全力法人税を使った法人事業概況説明書の作成の流れを具体的に解説します。
3-2-2 全力法人税を使って法人事業概況説明書を作成する方法
全力法人税は、インターネットを通じてブラウザで動くソフトとなり、利用するためには、新規アカウント登録をする必要があります。
アカウント登録は、一部の申告書類の出力を除いてすべての機能を無料で利用することができますのでご安心ください。
❶ 全力法人税にログインする
全力法人税のユーザーは、次の画面から全力法人税にログインします。
❷トップ画面で「申告書を作成する」を選択する
❸ 基本情報を入力後「保存」して「次へ」を選択する
法人事業概況説明書に必要となる、法人名、法人番号、電話番号やホームページ等の情報を情報を入力します。
❹ メニュー「基本情報登録」>「申告情報」画面を入力後「保存」して「次へ」を選択する
会計期間等、各年度の申告に必要な情報を入力します。
❺ 「決算情報」に関し会計データのインポート
全力法人税で申告書の作成を行うには、「決算情報」を会計ソフトから出力した会計データをインポートするか、または入力する必要があります。
① 会計データをインポートする方法
弥生会計(弥生オンライン含む)、MFクラウド会計、freee、会計王の会計データを全力法人税に取り込むことができます。
またその他の会計ソフトの場合は会計データを全力法人税に取り込める形に整形することでインポートすることも可能です。
全力法人税へ会計データをインポートするマニュアルは次のとおりです。
このマニュアルにより会計ソフトから会計データをインポートします。
「申告書作成方法選択」画面で「①弥生会計・MFクラウド会計・会計王・その他会計ソフトのデータを取り込む」をクリックします。
メニューバー「インポート」>「会計データ読込」画面に遷移します。
ここでは、MFクラウド会計を使った例で解説します。
前述のマニュアルを参照し、MFクラウド会計から勘定科目データをエクスポートし、その勘定科目データを全力法人税にインポートします。(勘定科目データのインポートは省略も可能です。)
続いてMFクラウド会計から仕訳帳データをマニュアルにしたがってエクスポートし、全力法人税にインポートします。
MFクラウド会計の場合は、これで会計データのインポートは完了です。
他の会計ソフトの場合は、これに加えて開始残高データのインポートが必要になります。
② 会計データをインポートしない方法
法人事業概況説明書を作成するだけの場合は、この❺の過程では、何もする必要はありません。
❻ 事業概況説明書登録
メニューバーの「申告書」の「事業概況説明書1」を選択する。
事業概況説明書の入力フォームは下記画像の緑のタグにあるように「基本情報」と「事業の状況」、「決算の状況等」の3つに分かれています。「基本情報」を入力し、保存後「次へ」ボタンを押すと「事業の状況」画面へ遷移します。そのように3つの画面上のフォームに必要事項を入力し、保存します。
会計データをインポートしている場合は、「会計データ読込」ボタンを押せば、あの面倒な法人事業概況説明書の「10 主要科目」「18月別の売上高等の状況」があっという間に自動で出来上がり!
「10 主要科目」該当部分
「18月別の売上高等の状況」該当部分
インポート作業は少し手間ですが、決算書から転記したり、12ヶ月分の売上や仕入等を集計する必要も、元帳をみて源泉所得税を集計する必要もなし!
仕入高って何を集計するんだと悩む必要もなし!
集計ミスや転記誤りもなし!
楽ちんです。一度やったらやめられないでしょう。
この部分は、会計データをインポートしていない場合は、「法人事業概況説明書のの書き方」の章で解説したとおり決算書や会計ソフトの月別推移表や補助元帳などから転記します。
すべて入力が終わったら事業概況説明書作成画面の一番下にある「PDF出力」ボタンを押せばPDFで法人事業概況説明書が出力され、完成です。
今回作成したデータは次の事業年度に繰越しを行うことで毎年ほとんど変更の必要のないデータは自動で繰り越されますので次年度以降の作成コストは大幅に削減されサクッと作ることができます。この点もこのソフトを使うメリットです。
以上が全力法人税での法人事業概況説明書の作成方法になります。
このように全力法人税を使用して法人事業概況説明書などの申告必要書類を作成するとかなり効率的に作成でき、そして転記漏れもありませんので正確に作成できます。
また、法人事業概況説明書をはじめ、勘定科目内訳明細書や一部の別表無料で出力できる書類も多く、無料で出力できなくても別表4や別表5(1)、別表7など画面で確認できるものも多くありますので、全力法人税で作成したものをe-Taxソフトに入力したり、申告書に手書きで写す方法でも何もないところから申告書を作るよりずっと効率的に無料で作成することも可能です。
- 法人事業概況説明書が作成できる(会計データで自動計算機能あり)
- 勘定科目内訳明細書が作成できる(会計データで自動計算機能あり)
- 固定資産台帳が作成できる
- 別表2、別表15、別表16(1)、別表16(2)が作成できる
- 別表4、別表5(1)、別表5(2)(一部除く)、別表7、別表14(2)の内容が見れる
全力法人税で有料または無料で作成できる申告書類の一覧は次のリンクをご覧ください。
全力法人税では、無料でなんと、これだけのことができてしまいます。
効率的に自分で申告書を作成したいという方はこの法人税の申告書作成支援ソフト「全力法人税」を試して損はないと思います。
3-3 Excel又は、全力法人税で作成する
次に前述の会計ソフト以外のものを使っている場合、または会計ソフトを使っていない場合について説明していきます。
「前述の会計ソフト」というのは、以下のとおりです。
・ 会計ソフトで法人事業概況説明書を作成するのがおすすめな会計ソフト
- 弥生会計(プロフェッショナル以上)
- freee申告
・ 全力法人税に会計データをインポートして、法人事業概況説明書を作成することがおすすめな会計ソフト
- 弥生会計(スタンダード)
- MFクラウド
- 弥生オンライン
- 会計王
- freee(freee申告を購入していない)
上記の会計ソフト以外の会計ソフトを使用している場合、Excel又は、全力法人税の様式に手入力して作成するのがおすすめです。
なぜかと言うと、手書きで作成するより、Excelの様式や全力法人税の様式に手入力した方が、早く作成でき、訂正も簡単で、かつ綺麗な出来栄えになるからです。
全力法人税で法人事業概況説明書を作成する方法は、前述の「全力法人税を使って法人事業概況説明書を作成する方法」をご覧ください。
なお、全力法人税では、先程挙げた会計ソフト以外の仕訳データ等をインポートすることはできますが、データの整形に時間がかかるため、法人事業概況説明書だけを作るという場合は、手入力の方が早くなる傾向にありますので、上記以外の会計ソフトをお使いの場合は、手入力(会計データをインポートしない方法)をおすすめします。(法人事業概況説明書以外にも勘定科目内訳明細書や別表を作成するという場合は、インポートした方が早い傾向にあります。)
Excelで法人事業概況説明書を作成する方法については、インターネットで「法人事業概況説明書 Excel 無料」などで検索すると、無料のフォーマットを提供しているサイトが見つかるかと思います。
Excelで作成する方法と全力法人税の様式に手入力で作成する方法(会計データをインポートしない方法)のうち、どちらがおすすめかというと、二つの方法には、それぞれメリットとデメリットがあり使う方の状況によって変わってくるかと思いますので、状況により判断してください。
二つの方法のそれぞれのメリットとデメリットは下表のとおりまとめましたので選択の参考にしてください。
全力法人税を使用した場合(フォームに直接入力)のメリット及びデメリット
メリット | デメリット |
クラウドデータであるため、データの紛失の恐れがない。 | クラウドソフトであるためアカウントを作成する手間がある。 |
無料で作成可能 | 入力画面が様式そのものの形になっていないので、ソフトの操作に慣れる必要がある。 |
元税務職員&税理士が手掛けており、登録ユーザも約2万社あり、信頼性が高い。 | 法人事業概況説明書に直接関係ない入力が多少ある |
操作方法に関するものであれば、問い合わせ可能 | |
入力する画面上に、書き方に迷うところや用語に注釈が付いているので書き方等を参照しなくて済む | |
クラウドなので常に最新の様式に対応している。 | |
勘定科目内訳明細書や一部の別表も無料で作成可能という拡張性がある。 |
Excelの様式で作成するメリット及びデメリット
メリット | デメリット |
手軽に使える | データを紛失するリスクがある。(翌年また1から作り直しリスク) |
無料で作成可能 | エクセルがないと使えない。 |
様式そのものの形で入力することができるため、操作に迷うことがない。 | 問い合わせできない。 |
フォーマットの作成元が特定できないケースが多く信頼性に難あり | |
最新の様式に対応しているかどうかを自分で確認しなくてはいけない。 |
どうちらを使うかの判断材料として法人事業概況説明書だけ作れればいいという場合は、エクセルを選択してもよいかもしれません。
ただ全力法人税は次のことが無料でできますので、法人事業概況説明書の他にも別表や勘定科目内訳明細書も自分で作成したいという場合は、全力法人税一択になろうかと思います。
- 法人事業概況説明書が作成できる(会計データで自動計算機能あり)
- 勘定科目内訳明細書が作成できる(会計データで自動計算機能あり)
- 固定資産台帳が作成できる(減価償却費が計算できる)
- 別表2、別表15、別表16(1)、別表16(2)が作成できる
- 別表4、別表5(1)、別表5(2)(一部除く)、別表7、別表14(2)の内容が見れる
3-4 手書きで作成する
最後にこれまで述べてきた方法をいずれも使用できない場合、または使用したくない場合は、手書きで作成する方法で対応することになります。
手書きの場合は、次のようなデメリットが挙げられますので、できれば前述の方法のいずれかで作成したいものです。
法人事業概況説明書を手書きするデメリット
- 書き間違えた場合の訂正が手間
- 来年度もまた一から作成し直し(データがあれば前年のものを使いまわせる)
- 控えとして2枚作成する場合の手間
- 綺麗に書く手間
手書きで作成する場合は、先程、解説した「2 法人事業概況説明書の書き方」を参考に書き進めてください。
なお、法人事業概況説明書の様式はこちらからダウンロードできます。
以上が、無料で法人事業概況説明書を作成する方法でした。
ここで、最後の復習として、法人事業概況説明書のまとめを見ていきましょう。
4 まとめ
いかがでしたでしょうか?
ここまで、法人事業概況説明書とはどのような書類か、そして法人事業概況説明書の作成の仕方についても解説してきました。
最初は法人事業概況説明書を見ると、難しそうという感じていた方も、今では「思ったより全然簡単」と思えたのではないのでしょうか。
それでは、ここまで解説してきたことを簡単に振り返りたいとおもいます。
- 法人事業概況説明書とは、法人が申告を行う際に、確定申告書と一緒に提出を求めれられる書類の一つで、自社の業務、業績などの状況を税務署側に簡単に伝えて、税務調査や税務指導等をスムーズに行えるようにするための書類でした。
- 法人事業概況説明書の提出は義務であり、基本的にすべての法人が提出する必要がある書類でした。
- 提出する際は、法人確定申告書と一緒に所轄税務署に提出します。
- 法人事業概況説明書の作成において、正確であることが求められてはいますが、誤りがあったからといって修正を求められたり、罰則が課せられたりするものではないので、絶対に間違いは許されないというような書類ではありません。
- ただし、補助金や給付金の添付書類として利用することが前提となっている場合は、決算書や帳簿の内容を転記する部分については、正確性を期す必要があります。
- 申告ソフト等を使うと正確かつ短時間で適用額明細書が自動で作成することができました。
法人事業概況説明書のように、一度書き方を理解することが出来れば、高い専門知識などなくても十分自力申告が可能であることがわかっていただけたと思います。
そして申告ソフト等をうまく使えば、手間いらずで作成できてしまいます。
全力経理部の法人税の書き方の記事を読みながら、最短距離で自力申告をやり遂げてもらえると、たいへん嬉しく思います。
他にも法人税の別表の説明や書き方の解説をわかりやすく行なっていますので、よろしければそちらもご覧いただけたらと思います。
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