法人事業概況説明書とは?元国税調査官が0から書き方まで徹底解説

初めての法人の確定申告で法人事業概況説明書を初めて手にした方、コロナウィルス感染症に関する補助金や給付金の手続きに法人事業概況説明書が必要だということで初めて知った方、法人事業概況説明書について知りたいという理由は様々かと思います。

説明する会社員 新米社長A

「法人事業概況説明書」とは、なんでしょう?

インターネットで検索・・・

うわ!記入欄多すぎだろ!これ全部書き上げるとなると、どれだけの時間がかかるんだろう…
まぁアンケートみたいなもので、提出しなくてもよかったりしないかな…

 

インターネットで「法人事業概況説明書」調べたら、法人はすべて税務署に出さなきゃいけない書類っぽいよ!
見た感じ、すごく記載する欄が多くて、大変そうだね。

女性 社長妻
悩む会社員 名前

え!?みんな、作成しなくちゃいけない書類なの!?
うーん…確かに内容は難しくはなさそうだけど、これ全部書かなきゃいけないのか?…

これを正確にすべて書くのは大変そうだな…

法人事業概況説明書を作成するのは、義務となっており、原則、すべての会社が所轄税務署に提出する必要があります。

しかし、一見記入欄が多く、難しそうな法人事業概況説明書ですが、実は多くの会社で、すべての欄を埋めなくてはいけないということはまずありません。意外に空欄が多かったりします。そして、税務初心者でも作成できる、そんなに難しい知識が必要のない、むしろ簡単な書類のうちの一つなのです。

法人事業概況説明書とは、どのような書類なのかや法人事業概況説明書の書き方や書く上での注意点、そして、法人事業概況説明書を無料で簡単、最速で作成する方法の紹介など実務に直結する解説を解かり易くしていきますので、法人事業概況説明書を今回初めて見た方でも、必ず書き上げることが出来ます。

弁護士 元国税調査官

 

この記事の特徴

初めて法人税の申告書を作成する初心者の方でも申告書類の書き方がわかるように中小企業に絞って解説します。

中小企業にとっては、法人事業概況説明書は決して難しいものではありません。誰でも簡単に作成できるので安心してください。
数多くの税務調査を国税調査官として行ってきた経験を持つ私が、実務で重要となるポイントを押さえながらメリハリをつけてわかりやすく解説します。

繰り返しますが、この記事は中小規模の会社の法人税の申告を自力で行う方向けの記事です

まずは、法人事業概況説明書とは、どのようなものなのかを確認していきましょう。


目次

1 法人事業概況説明書とは

法人事業概況説明書とは イメージ図

「法人事業概況説明書」とは、

法人事業概況説明書とは
法人が確定申告を行う際に、確定申告書と一緒に提出を求めれられる書類の一つ。
つまり、確定申告書の添付書類の一つ。

法人事業概況説明書には、事業内容、従業員数、経理の状況や決算の内容等、その会社の事業概況を把握するために必要な内容を記載するものとなっています。

法人事業概況説明書とは、具体的にどのようなものか、まずはその様式を確認しておきましょう。

法人事業概況説明書 表面(1枚目)

法人事業概況説明書 裏面(2枚目)

この法人事業概況説明書の様式のダウンロードは、次のリンクから可能です。

「法人事業概況説明書」様式 国税庁HP

法人事業概況説明書とはこのような書式となっており、税務署で用紙をもらってくると表と裏で1枚の書類となっています。PDF形式のものを両面で印刷しない場合は、2枚となります。

一般的に1枚目と2枚目と呼ばずに「表面、裏面」と呼ぶことが多いです。

 

悩む会社員 新米社長

法人事業概況説明書は、必ず提出しなくてはいけないのでしょうか。

法人事業概況説明書の提出は義務です。
必ず提出する必要があります。

弁護士 元国税調査官

法人事業概況説明書はなぜ提出しなければならないのか、その理由について解説します。

1-1 法人事業概況説明書を提出する理由とは

法人事業概況説明書を提出しなければならない理由は、次のとおりです。

法人事業概況説明書を提出する理由
提出することが義務だから(法人税法で規定されているから)

原則として、すべての法人が確定申告を行う際に、法人事業概況説明書は提出しなければいけません。

法人事業概況説明書は法人税法施行規則第35条の5号で確定申告書に添付して提出しなければならない書類の一つとして規定されていますので、提出が義務付けられています。

しかしながら、提出していないからといって罰金を課せられることはなく、その他の不利益を被るような罰則もありません。

ただし、提出していなければ、税務署の担当者から提出するよう催促の連絡が来る可能性が非常に高いので、確定申告書と同時に提出するようにしましょう。

 

悩む会社員 新米社長

法人事業概況説明書ってどうやって提出するのかなー?
提出期限があるのかな?

次に、「法人事業概況説明書」をどのように提出すればよいかを確認していきましょう。

1-2 提出方法について

法人事業概況説明書の提出方法などについて、確認しましょう。

法人事業概況説明書の提出方法
法人事業概況説明書は、法人税確定申告の添付書類とされているため、法人税の確定申告書と一緒に本社が所在する住所地の所轄税務署に提出する。

法人事業概況説明書の提出方法、提出場所そして提出期限を整理します。

提出方法法人の確定申告書と一緒に提出する。
提出場所所轄税務署に提出する。
提出期限

提出期限に関する定めはないが、基本的に確定申告書の提出期限と同じ
確定申告書の提出期限は、原則、会計年度終了から2カ月以内
(例 3月31日決算の場合、5月31日が申告期限)

法人事業概況説明書の提出にあたって注意事項があります。

弁護士 元国税調査官

提出にあたっての注意事項

  • OCR用紙となっているため、ホチキス等は使用せずに、申告書に挟み込んで提出する
  • 控えが必要な場合、提出用、控え用の2枚用意する。(税務署が控え用を用意することはありません。郵送する場合は、必ず控え用と切手を貼った自社宛の返信用封筒を同封する。電子申告の場合は、受信通知が控え代わり。)

法人事業概況説明書を提出する理由は、義務だからという説明をしてきました。
次は、当局にとってなぜこの書類が必要なのかという視点から見ていきたいと思います。

税務当局がなぜ法人事業概況説明書が必要なのか?
相手のことを知っていると対応の方法もわかってきますので、この理由についてもここで確認しておきましょう。

弁護士 元国税調査官

1-3 なぜ、法人事業概況説明書が必要なのか

提出が義務である法人事業概況説明書ですが、一体なぜ、税務署は提出を求めるのでしょうか。
端的に言うとその理由は次の2つです。

税務署が法人事業概況説明書が必要な2つの理由
  • 税務調査をすべき法人を選定するため
  • 税務職員が法人と接触する際に、その法人の概況を把握するため

この2つの理由を元国税調査官の視点で解説していきます。

税務調査をすべき法人の選定

提出されてきた法人事業概況説明書はOCRになっていることからもわかるように、機械に読み込ませてデータベース化しています。そして、国税当局の独自のシステムで過去数年分の決算書上の勘定科目の残高の推移や同業他社の決算内容との比較等を行い、調査すべき法人を抽出し、それを税務職員が見て税務調査先を決める判断材料としています。

税務職員が法人と接触する際に、その法人の概況を把握するため

税務署の職員が、何らかの確認事項があり、法人と接触する際に、その法人事業概況説明書を目を通し、どのような法人なのかを確認します。税務指導や税務調査などを円滑に行うための参考としてるのです。

例えば、税務署の担当者は、電話で済むような問い合わせの場合、事前に法人事業概況説明書を確認し、事業内容の確認や、売上や従業員数から会社の規模を予想して対応の方法決めたり、源泉所得税の指導のときには、期末従業員数や月別の源泉所得税額などを参考にします。
税務調査であれば、法人事業概況説明書に記載してある内容であれば、事前に調査官が目を通しているので、調査先の法人に質問する必要がなくなり、調査時間の短縮にも繋がります。

悩む会社員 新米社長

なるほど、税務職員が対象とする法人を端的に理解するための書類と言うことなんですね。

逆に、提出する側からすると、それだけの理由で提出させられているんですか!?
なんのメリットもないような…

実は、とても言いにくいのですが、そうなんです…

税務署が提出してほしい最大の理由は、調査先の選定と指導、調査対象者の事業概況を把握するためのものなのです。

弁護士 元国税調査官
説明する会社員 新米社長

ということは、私のような設立間もない、大赤字の会社は調査もされないでしょうから、私の会社の法人事業概況説明書は、税務署にとっては、ほとんど圏外ということでしょうか?

。。。。。。

弁護士 元国税調査官

それではここで、法人事業概況説明書を受け取る側から見た法人事業概況説明書の重要度を考えてみましょう。
次のようになります。

法人の状況提出を受ける側から見た重要度
調査の対象※とならない法人低い
調査の対象※となる法人普通
補助金、給付金がほしい法人高い(後述)

※調査の対象となる法人、ならない法人の基準

次の条件を同時に2つ満たせばかなりの確率で調査を受けることはありません。(元国税調査官の経験です。)

  • 売上が年間3,000万円に満たない小規模
  • 赤字
  • 設立から2年以下

逆に、上の条件のうち、3つとも満たさなければ、調査を受ける可能性は高くなります。

説明する会社員 新米社長

調査の対象とならないような法人が提出する法人事業概況説明書は、基本的には、税務署側からは重視されていないということですよね?

つまり、そのような法人は、かなり気軽に書けますね。

・・・・・・

ただし、調査対象となる法人の場合は、一概に法人事業概況説明書を軽視していると痛い目に合う場合もあります。

弁護士 元国税調査官

 

なぜ困るケースがあるかというと、税務署側が法人事業概況説明書の中で、決算内容に異常値がある場合や、税務職員がよく見ている記載箇所の内容に大きな誤りがあった場合、税務署側にあらぬ疑いを掛けられ、調査対象者に選ばれてしまうと言った可能性も出てきます。

コラム「税務署が良く確認している記載欄とは」

今、法人事業概況説明書は、税務調査対象の選定で参考にしていると説明しましたが、具体的に税務調査官はどの欄を確認しているのかを元国税調査官の経験から解説したいとおもいます。

もちろん、税務調査を行うことになった場合、記載されている内容はすべて目に通しますが、その中でも、よく確認している欄があります。

その欄は以下の通りになります。

確認している内容
4 期末従業員等の状況記載されている内容と納付された源泉所得税との間で差異がないかどうか。
8 経理の状況

特に現金取引が主な業種の場合、現金、通帳の管理者は誰なのかを精査します。

11 代表者に対する報酬等の金額

代表者と会社との金銭のやり取りについては、事前によく確認します。
特に、借入金、貸付金、仮勘定は、調査において内容は絶対に確認します。
(借入金は本来は売上とすべき金額を還流させているのでは?貸付金は利息を取っているか等)

12 事業形態

申告書やホームページなどを確認しても事業内容が不明なときは、この欄をよく確認します。
同業種と比較して利益率などに差異がある場合、この欄を確認して、提出法人との事業内容の特異性について検討します。
また、現金売上は、性質上、隠蔽など不正な取引として利用されることが多いため、現金売上割合についても確認します。

18 月別の売上高等の状況

繁忙期や閑散期について、確認します。
また、売上から仕入、外注費の金額を割り返して、月別の売上総利益率を算出し、異常な数値がないかを確認す。
記載されている月別の人件費、源泉徴収税額と納付された源泉所得税との間で差異がないかを確認する。

19 当期の営業成績の概要記載がある場合は、必ず確認します。
ここまでのところで、気になる事項があったとした場合、その理由が書かれている場合があるからです。
そういう意味では、例えば前期と今期を比較して外注費に大きな変化があったとして、その理由が記載されていればあらぬ疑いをかけられることを防げるかもしれません。

ざっと記載しましたが、税務調査を行う際は、どんな新人の調査官でも表に記載した内容は、確認していますので、記載の際は気をつけてください。

 

法人事業概況説明書は、このような性質を持っていることから、自社の状況によってその重要度が変わってきます。

つまり、調査対象とならないような法人は、提出して法人事業概況説明書を見られることが少なく、調査対象となるような法人だと見られることが多くなります。そしてコロナウィルス感染症対策の給付金等の資料となる場合は、この記載内容について、整合性が取れないと厳しく質問されるということも起きてきます。

また、税務調査等のために提出を求められる書類であるため、記載内容に誤りがあったとしても税務署から内容の訂正を求められる書類ではありません。

会社員 新米社長

なんか、最初よりも気持ちが楽になりました。

私のできる範囲でベストを尽くして作成したいと思います。

 

次は、法人事業概況説明書がコロナウィルス感染症対策の補助金や給付金等の申請の添付書類となるケースが増えてきていますので、それに関係する内容について解説していきたいと思います。

1-4 補助金及び給付金の添付書類としての法人事業概況説明書

法人事業概況説明書は、コロナウィルス感染症対策として支給される持続化給付金、持続化補助金及び事業復活支援金などの添付書類として採用されるようになりました。

現在では、コロナウィルス感染症対策に関する補助金や給付金等は、少なくなってきていますが、事業再構築補助金などの申請をはじめ、他の給付金等の申請についても継続して法人事業概況説明書の提出要件とされています。(執筆時現在)

そこで、法人事業概況説明書が、上記の補助金や給付金等を申請のための添付書類となっている場合に想定される疑問点や記載にあたって注意が必要な点について確認していきましょう。

1-4-1 補助金や給付金の申請における想定される疑問

まず、法人事業概況説明書がコロナ対策に関する補助金や給付金等を申請のための添付書類とされた場合に、想定される疑問点は以下のとおりです。

  • 法人事業概況説明書の控えがない場合は、どうしたらいいのか
  • 法人事業概況説明書を税務署に提出後、誤りに気付いた場合どうしたらいいのか

それでは、一つずつ確認していきましょう。

1 法人事業概況説明書の控えがない場合は、どうしたらいいのか
     

法人事業概況説明書の控えがない場合については、元々提出していない場合は、法人事業概況説明書を提出し、控えを取得します。

提出したが紛失した場合または提出したかどうかわからない場合は、所轄の税務署に連絡し、コロナウィルス感染症に関連する補助金等で控えが必要であるが、手元にないため提出してもいいかを確認し、おそらく拒否されることはないでしょうから、法人事業概況説明書を提出し、控えを取得します。

2 法人事業概況説明書を税務署に提出後、誤りに気付いた場合どうしたらよいのか。

次に法人事業概況説明書を税務署に提出した後、誤りに気付いた時の対応について解説します。

その対応は、以下の二つになります。

  • 税務署に連絡し、対応を仰ぐ。
  • 法人事業概況説明書を税務署に再提出する。

それでは、詳しく解説します。

まず、税務署に連絡し、法人事業概況説明書の記載内容に誤りがあった旨を伝えます。
担当の税務署職員の指示を仰ぎます。

私の経験ですが、税務署の法人課税部門に勤務していた際、控えを持参するよう伝え、正本と控えを同時に修正する方法をとっていました。なお、対応は所轄税務署により異なります。また、現在このような対応をしているかはわかりません。

次に法人事業概況説明書を税務署に再提出する方法です。
この方法は、法人事業概況説明書を再度、税務署に提出し誤った分と差し替えてもらう方法です。
基本的には税務署に何も伝えずに提出しても良いのですが、税務署に連絡したうえ、付箋等で「訂正分」と記載し、法人事業概況説明書に貼付し再提出するとスムーズに処理してくれるかと思います。

なお、法人事業概況説明書を郵送で再提出する際は、必ず法人事業概況説明書の控え用と返信用封筒を同封してください。税務署は基本的にどんな書類についても、控え用と返信用封筒が揃ってなければ、控えを送り返すことはありません。

以上が補助金や給付金の申請時に想定される疑問点の対応方法となります。

次は補助金や給付金の申請にあたって注意が必要な記載箇所について、解説します。

1-4-2 補助金や給付金の申請にあたって注意が必要な記載箇所

ここでは、コロナ対策に関する補助金や給付金等を申請するにあたって法人事業概況説明書を使用することが想定される場合の注意が必要な記載箇所について解説していきます。

注意が必要な記載箇所は、以下の4つとなります。

  • 「法人番号」欄
  • 「事業年度」欄
  • 「18 月別の売上高等の状況」>「売上(収入)金額」>「計」欄と「10 主要科目」>「売上(収入)高」欄
  • 「18 月別の売上高等の状況」>「売上(収入)金額」>「計」欄と別表1の「税務署処理欄」>「売上金額」欄

    それでは、それぞれについて詳しく解説していきます。

    「法人番号」欄

    法人番号欄の記載漏れや記載誤りで、補助金や給付金の担当者から提出資料の不備として、再提出を求められるケースがあるようなので注意が必要です。

    ※法人番号とは、法人と一部の団体に対し、国税庁が指定する13桁の識別番号のことを言います。
    法人番号は、国税庁運営サイトで検索することができるので、法人番号がわからない方は、下記のサイトから検索してください。

    国税庁法人番号公表サイト (nta.go.jp)

    「事業年度」欄

    事業年度の誤りも多いようです。

    数年分まとめ作成する際や、税務署に再提出した際など、特に気をつけてください。

    「18 月別の売上高等の状況」>「売上(収入)金額」>「計」欄と「10 主要科目」>「売上(収入)高」欄

    コロナウィルス感染症対策に関連する補助金や給付金等を申請する際に、法人事業概況説明書の記載内容で注意すべき記載欄は、間違いなく「18 月別の売上高等の状況」欄です。

    法人事業概況説明書 補助金 給付金 注意事項 月別の売上高等の状況

    これは、上記の補助金や給付金等の受給は、売上(収入)の減少が要件になっており、補助金や給付金等の担当省庁が、申請してきた会社の過去の月別の売上高の推移を法人事業概況説明書の控えで確認しているのがその理由です。

    そのため、「18 月別の売上高等の状況」の「売上(収入)金額」欄の記載ついては、正確に記載する必要があります。

    特に、補助金や給付金等の担当省庁が気にしているのは、【裏面の「18 月別の売上高等の状況」>「売上(収入)金額」の「計」欄】と【表面の「10 主要科目」欄>「売上(収入)高」欄】が一致しているかどうかです。

    法人事業概況説明書 補助金 給付金 注意事項 主要科目 月別売上 計 欄

    この点について、指摘されたという方は多数います。

    これから法人事業概況説明書を提出する場合は、裏面の「18 月別の売上高等の状況」の「売上(収入)金額」の「計」欄の金額と、表面の「10 主要科目」欄の「売上(収入)高」に記載されている金額は、一致させることが可能であれば、一致させておくべきでしょう。

    これまでの内容は、これから提出する場合は、気をつけたほうが良い点です。

    次に既に提出している場合について考えてみましょう。ここに問題があります。

    実は、この二つの欄の金額は、国税庁が公表する「法人事業概況説明書の書き方」に準拠して記載した場合、必ずしも一致するものではないのです。補助金等を申請する際にこのことが問題となってきます。

    なぜ両者が一致しないかというと、例えば複数の売上(収入)がある場合には、「18 月別の売上高等の状況」の「売上(収入)金額」欄の記載は、その主なもの2つについて、記載することとなっています。
    法人事業概況説明書を提出する会社が3種類以上の売上(収入)がある場合、「18 月別の売上高等の状況」の「売上(収入)金額」欄には、3種類目以降の売上(収入)金額は記載することができず、「10 主要科目」の「売上(収入)高」の金額とは、一致しないことになります。

    また、「18 月別の売上高等の状況」の「売上(収入)金額」欄の、月別の売上金額は1,000円未満切り捨てた金額を記載し、「計」欄には、文字通り解釈すれば、その1,000円未満切り捨てた月別売上の金額を合計するものと考えられる。そのため、売上の種類が1又は2種類の場合は月別売上の端数を切り捨てた分、決算書から直接転記した「10 主要科目」の「売上(収入)高」の金額とは、端数分ズレてしまうからです。
    国税庁の書き方には、「計」欄に関して端数を切り捨てたものを合計するのか、端数を切り捨てないものを合計するのかについて、言及がありません。したがってどちらも許容していることが想定されます。

    このように、この2つの欄の金額は、一致しないことが往々にしてあります。

    この2つの欄の金額が合わない場合、担当省庁から法人事業概況説明書の不備を訂正するよう連絡がくる場合があります。
    そのような場合に、解決できた例を以下の通りまとめましたので、参考にしてみてください。

    担当省庁から不備の連絡が来た場合の解決法

    1. 「18 月別の売上高等の状況」の「売上(収入)金額」の「計」欄の金額を、「10 主要科目」の「売上(収入)高」の金額に合うよう修正して再提出する。
    2. 端数のズレなど法人事業概況説明書の性質上、金額が合わないものであることを説明する。

    上記1については、前述の1-4-1の「2 法人事業概況説明書を税務署に提出後、誤りに気付いた場合どうしたらよいのか。」のとおりに記載した方法で両者が一致した法人事業概況説明書を用意して再提出します。

    上記2については、前述のとおり法人事業概況説明書は、必ずしも両者が一致するように作られているものではありませんので、端数のズレ等で両者が一致していない場合は、その旨を法人事業概況説明書の書き方の該当部分を示す等の方法で根拠をもって一致していない理由を説明します。

    なお、持続化給付金が始まった当初は、税理士に事業収入証明書を発行して提出したり、法人事業概況説明書を改めて作成して再提出する等の方法で解説していた傾向があるようですが、最近は2つの欄の金額が合わない理由を担当省庁に根拠をもって説明することで解決できた例が多くなっているようです。

    「18 月別の売上高等の状況」>「売上(収入)金額」>「計」欄と別表1の「税務署処理欄」>「売上金額」欄

    次の注意するべき記載箇所も、上記に引き続き「18 月別の売上高等の状況」欄です。

    法人事業概況説明書 補助金 給付金 書き方 注意するべき 記載箇所 月別の売上高等の状況

    その指摘される内容と言うのは、

    「売上(収入)金額」の「計」欄の金額と、別表1の「税務署処理欄」の中の「売上金額」欄の金額が一致しているかどうかです。

    法人事業概況説明書 補助金 給付金 注意事項 別表1 売上金額 月別売上 計 欄

    上の画像の2つの記載欄が一致していないと補助金や給付金等の担当省庁から指摘されるということになります。

    しかし、上記の画像を見ていただくとわかるように、右の法人事業概況説明書(抜粋)の「売上(収入)金額」の「計」欄の金額は「44,905(千円)」で、左の法人確定申告書 別表1(抜粋)の「税務署処理欄」の中の「売上金額」欄の金額は「45(百万円)」となっており、一致していません。

    これは、この例題が誤っているわけではなく、法人事業概況説明書を国税庁が発行している「法人事業概況説明書の書き方」に準拠して記載し、法人確定申告書の別表1を国税庁が発行している「法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引」に準拠して記載するとほとんどの場合、一致しないことになります。

    なぜ両者が一致しないかというと、法人事業概況説明書の「売上(収入)金額」の「計」欄の金額は売上(収入)金額を1,000未満切り捨てた金額を記載するのに対して、法人確定申告書 別表1の「税務署処理欄」の中の「売上金額」欄の金額は、売上(収入)の金額を百万円未満の端数を切り上げた金額を記載するからです。

    例を出すと以下のようになります。

    決算書上の売上金額事業概況説明書 「売上(収入)金額」の「計」欄別表1「税務署処理欄」の「売上金額」欄結果
    100,000,001円100,000(千円)101(百万円)一致しない
    999,999円999(千円)1(百万円)一致しない
    5,000,000円5,000(千円)5(百万円)一致する

    ご覧のとおり、この二つの欄が一致するためには、100万円未満の端数がない場合のみという超レアケースとなります。

    しかしながら、この2つの欄の金額が合わない場合、担当省庁から法人事業概況説明書の不備を訂正するよう連絡がくる場合があるようです。
    そこで、このような場合どのように解決できたかを以下にまとめます。

    この2つの欄の金額が一致しないことで担当省庁から連絡が来た場合の解決方法

    担当省庁の担当者に、この2つの欄の金額が一致しない理由(上記で解説した内容)を説明する。

    両者はそもそも、ほとんどのケースで一致しないものなので、その理由を説明するほかに方法はありません。

    これにより問題が解決しない場合は、担当者の指示を仰ぐことになるでしょう。

    ここまでで、コロナウィルス感染症対策に関連する補助金や給付金等を申請時に必要とされる法人事業概況説明書の記載にあたって注意が必要な箇所についての解説は以上となります。

     

    次の章からは、法人事業概況説明書の書き方について解説していきたいと思います。

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    2 法人事業概況説明書の書き方

    法人事業概況説明書の書き方 イメージ図

    初心者の方でもこの記事の解説にしたがって書き進めていけば、法人事業概況説明書が必ず書きあげられるようにわかりやすく解説していきます。

    法人事業概況説明書は、記載する欄が多いため、難しいと感じる方が多くいると思います。

    しかし、法人事業概況説明書の本来の役割は、前述のとおり、税務署が調査や指導の際に参考にするためのものであるため、もちろん正確であることが求められてはいますが、誤りがあったからといって修正を求められたり、罰則が課せられたりするものではないので、完璧を求めるような書類ではなく、肩の力を抜いて作成できる書類であることを理解して臨んでもらえればと思います。

    ※ただし、補助金や給付金の添付書類として利用することが前提となっている場合は、決算書や帳簿の内容を転記する部分については、正確性を期す必要があります。

    法人事業概況説明書が法人税の申告書(別表)に比べれば重要度は下がるので、肩の力を抜いてという点に加えて、
    法人税の専門的な知識がなければ書けないような欄は一つもありませんので、そういう意味でも決して難しい書類ではありません。
    税務初心者の方でも各欄において何を書くべきかは大方わかると思いますし、わからない場合は、この記事で書き方を解説しますので、それを参照してもらえれば必ず書き上げられるレベルの書類ですので、安心してください。

    弁護士 元国税調査官

    ではここで、改めて法人事業概況説明書の様式を記入例で確認していきましょう。

    2-1 法人事業概況説明書の記入例

     

    法人事業概況説明書 表面

    法人事業概況説明書 裏面

    いかかでしょうか。

    ざっと見て、単純に欄が多いため「面倒そうだな」という感想は持たれたかもしれませんが、意味のわからない用語があってわけがわからないということはなかったかと思います。

    法人事業概況説明書は手間の問題であって、決して難しい書類ではないのです。

    それに一度作成してしまえば、翌年の半分くらいはそのまま同じ記載内容が使えますので、2年目以降はさらに作成が容易になります。

    次に法人事業概況説明書は、確定申告書種類を作成する際、どのタイミングで作成するのかを確認していきたいと思います。

    2-2 法人事業概況説明書を作成するタイミング

    法人事業概況説明書は、決算内容を記載する箇所(「10主要科目」「18月別の売上高等の状況」)以外は、決算期末が過ぎた段階で記載することが可能です。
    決算書の内容を記載する部分については、決算が確定していないと埋められない箇所がわずかにありますので、決算書が完成した後に作成するというのが正しい手順になります。

    法人税の確定申告書と添付書類の作成手順を図解すると次のようになります。

    法人税申告書と添付書類の作成手順

    法人事業概況説明書は、STEP1の仮決算書の段階で、決算内容(「10主要科目」「18月別の売上高等の状況」)を除いた部分を完成させることができます。
    STEP3で決算書が完成するので、その後決算内容部分を記載して完成になります。

    それでは、ここから一つ一つ記入例を見ながら確認していく方法で「法人事業概況説明書の書き方」について、詳しく解説していきたいと思います。

    まずは、法人事業概況説明書を書くために、必要な書類から確認していきたいと思います。

    2-3 法人事業概況説明書を記載するために必要なもの

    それでは、法人事業概況説明書を記載するために、必要なものから確認していきましょう。

    必要なものは、以下の書類となります。

    • 自社の決算書(貸借対照表及び損益計算書)
    • 総勘定元帳
    • 月別の売上高、仕入高を確認できるもの(売上帳、仕入帳、会計ソフト等)

    この3つは、法人事業概況説明書を書いていく中で、一番苦労すると思われる、「10 主要科目(単位:千円)」欄と「18 具期別の売上高等の状況」欄を記載するために必要となる書類となります。

    「その他の欄は何をみて作成するの?」と思われるかもしれませんが、その他の欄については、社長や経理担当者の記憶している範囲で埋めることが出来るような情報ばかりです。

    調べる必要のあるものがあるとすれば、例えば、「自社のホームページアドレス」、「法人番号」、「関与税理士の情報」、「加入組合の情報」くらいかと思います。

    次は、実際に記入例を確認しながら、各項目の記載方法について解説していきたいと思います。

    2-4 法人事業概況説明書の各欄の書き方

    法人事業概況説明書というのは、表面と裏面で構成された書類で、表面に「1欄から11欄」裏面に「12欄から19欄」という形になっています。

    では、まずは表面「1欄から11欄」の記載から解説していきたいと思います。

    2-4-1 法人事業概況説明書の表面の書き方

    表面の書き方から解説していきたいと思います。

    法人事業概況説明書 表面

    表面は「1欄から11欄」からなり、記載内容とそのおおよその記載時間をまとめてみました。

    手順NO記載欄名記載に掛かる時間
    1事業内容数十秒
    2支店・子会社の状況数十秒
    3海外取引状況数十秒
    4期末従業員等の状況2~3分程度
    5PC利用状況2~3分程度
    6販売形態数十秒
    7株主又は株式所有移動の有無数秒
    8経理の状況5分程度
    9役員又は役員報酬額の異動の有無数秒
    10主要科目15分程度
    11代表者に対する報酬等の金額5分程度
    合計所要時間30分程度

    それでは各項目を一つ一つ確認していくことにしましょう。

    「法人名、電話番号」欄及び「法人番号」欄を記載する

     

    法人名

    一番上の「屋号(   )」内に会社の店舗等の屋号を記載する
    法人事業概況説明書を提出する法人の名称を記載する
    その下に「電話番号」を記載する

    法人番号法人番号(13桁)※を記載する

    ※法人番号とは、法人と一部の団体に対し、国税庁が指定する13桁の識別番号のことを言います。
    法人番号は、国税庁運営サイトで検索することができるので、法人番号がわからない方は、下記のサイトから検索してください。

    国税庁法人番号公表サイト (nta.go.jp)

    「事業年度」欄及び「自社ホームページの有無」欄を記載する

     

    事業年度上段に事業年度の開始年月日を記載する
    下段に会計年度の終了年月日を記載する
    例)自:令和5年1月1日 / 至:令和5年12月31日
    税務署処理欄記載不要
    自社ホームページの有無自社ホームページがある場合は、「有」に〇を付け、ない場合は「無」に〇を付ける
    「有」の場合 自社ホームページのアドレスを記載する
    【1】「事業内容」欄を記載する

     

    法人事業概況説明書 書き方 記載例 事業内容

    ( )業「建設業」や「小売業」などいわゆる事業種目※を記載する
    その他の欄事業内容について具体的に簡記する

    ※事業種目は、次の「事業種目・業種番号一覧表」から自社の営む業種に近いものを選んで記載する方法でも構いません。

    単体法人における適用額明細書の記載の手引(令和3年4月1日以後終了事業年度分) 事業種目・業種番号一覧表(国税庁)

    また、その下に事業内容を簡記する欄は、例題のように簡単に書いても、全く問題ありません。

    例えば、「コンビニエンスストアの経営」、「洋食店の経営」、「不動産売買業の経営」、「事業者向けのソフトウェア及びアプリケーションの開発販売」など。

    【2】「支店・子会社の状況」を記載する

     

    法人事業概況説明書 書き方 記載例 支店・子会社の状況

    国内及び海外にある支店、店舗等の情報を記載します。

    ⑴ 支店

    国内及び海外にある支店又は店舗数をそれぞれ記載する。

    海外にある支店の場合、主要な支店や店舗から2つ選び、その所在地国名と従業員数を記載する。

    ⑵ 子会社

    国内及び海外にある子会社数をそれぞれ記載する。
    海外の子会社の場合は、出資割合が50%以上のものがあればその数を記載する。

    海外の子会社については、主要なものから2つ「子会社名称」とその「出資割合」をそれぞれ記載する。

    例題では、支店及び子会社はないため、空欄となっています。

    【3】「海外取引状況」欄を記載する

     

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