
会社を設立して1年目のある日、、、県税事務所から封筒が届き、中身を確認すると「第6号様式」という書類があった。
県税事務所から「第6号様式」が届いた…
法人道府県民税の申告期限が近いということかな?
手引きを見てみると「第6号様式」は法人道府県民税以外にも、法人事業税、特別法人事業税の申告書も兼ねているのか…
法人道府県民税は何となく知っているけど、法人事業税、特別法人事業税ってなんだろう。
自分の会社に申告書が届いたってことは、法人道府県民税や法人事業税、特別法人事業税を納める必要があるってことなのかな?
さらっと様式を見たけど書く欄が多くて、こんなの一人で完成させられるのか…
おっしゃるとおり、県税事務所から送られてきた第6号様式は、法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税を申告するための書類です。
法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税は、ほとんどの会社が関係する税金です。
あなたの会社も例外ではありません。
そうなんですね。法人の開業に関する手続きも自分でしたので、第6号様式も是非、自分で作成してみたいです。
「第6号様式」って自分で書くことができる申告書なのでしょうか?
一見すると記載する欄が多い「第6号様式」ですが、中小企業の作成する「第6号様式」であれば、あまり時間も掛けずに完成させられるでしょう。
この記事では、基本的な法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の内容や実務で必要となる法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の申告書である「第6号様式」の提出する方法、「第6号様式」の書き方など、税務初心者でも必ず理解できるようわかりやすく解説していきます。
あなたが、この記事を読み終わった頃には、法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税について実務で必要となる知識を身につけ、第6号様式も自分で書けるようになっていますよ。
そうなんですね。
自信が出てきました!
それでは、第6号様式の書き方の解説、よろしくお願いします!
この記事の特徴
初めて法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の申告書である「第6号様式」を作成する初心者の方でも申告書類の書き方がわかるように中小企業※1に絞って解説します。
※1 この記事で中小企業という場合は、資本金(出資金)1億円以下の普通法人(資本金または出資金の額が5億円以上の法人等の100%子法人と適用除外事業者※2に該当する法人を除く)を指します。
※2 適用除外事業者とは、過去3年間の平均の所得金額が15億円超の法人をいいます。適用除外事業者については、「法人税法上の適用除外事業者の判定の仕方」で詳しく解説しています。
法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の申告書やその申告書である第6号様式について、大企業が適用するものまで含めて解説すると大変な分量を解説することになります。そこを中小企業に絞ることで知らなければならない事項が激減します。
中小企業にとっては、法人道府県民税、法人事業税、特別法人事業税の申告書である第6号様式は決して難しいものではありません。誰でも作成できるものですので安心してください。
重要ポイントは押さえながらメリハリをつけてわかりやすく解説します。
繰り返しますが、この記事は中小規模の会社の法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の申告を自力で行う方向けの記事です。
まずは、そもそも第6号様式がどのような書類なのかを解説していきたいと思います。
目次
- 1 第6号様式とは
- 2 第6号様式の書き方
- 3 もっと早く正確に第6号様式を作成する方法
- 4 法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の納付書の書き方
- 5 まとめ
1 第6号様式とは
第6号様式とは、どのような書類なのかを解説していきます。
1-1 第6号様式とは
第6号様式は、法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の3つの税目が一つとなった申告書です。
なるほど。では、第6号様式を作成すると法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の3つの申告書が完成したことになるってことですね。
でも、法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税ってそれぞれどんな税金なのでしょうか。簡単に教えてください。
そうですね。まずは簡単に各税目の解説を行います。
1-2-1 法人道府県民税の概要
法人道府県民税(都民税)とは、法人が、その法人の事業所のある都道府県に対して納める税金です。
納税義務者は、原則としてすべての法人が該当します。事務所等を設けている都道府県に納税義務が発生します。
法人道府県民税(都民税)は、法人税割と均等割の二つによって構成されており、この2つの税金は、それぞれ算出方法が異なり、二つの税金を算出し、足したものが法人道府県民税(都民税)の税額となっています。
法人税割と均等割は、それぞれ算出方法に違いがあり、次のように説明できます。
- 法人税割は、法人税の金額を基に算出される税金
- 均等割は、黒字赤字に関係なく、その都道府県に事業所等を持っていることで一定額が課される税金
このため、法人税割は赤字法人である場合、税額は発生しませんが、均等割については、儲け(利益)に関係なく税金を算出することになり、赤字でもかかるという特徴があります。
続いては、法人事業税について、解説します。
1-2-2 法人事業税の概要
法人事業税とは、都道府県民税と同様に、法人が都道府県に対して納める税金です。
納税義務者は、法人道府県民税と同様に、その都道府県に事務所等を設けて事業を行っている法人となっています。
法人事業税は、所得割、付加価値割、資本割、収入割の4つの税金によって構成されており、この4つの税金は、それぞれ算出方法が異なり、4つの税金を算出し、足したものが法人事業税の税額となっています。
なお、多くの法人は所得割のみを算出することになります。
法人事業税を構成するのは4つの税金ですが、多くの法人は所得割のみを算出することになります。
所得割は、法人税と同様に「所得」を基に税額を算出する税金です。
そのため、赤字法人である場合は、税額は発生しないことになります。
コラム「付加価値割」「資本割」「収入割」は、なぜ多くの中小企業が算出しないのか
「所得割」以外の「付加価値割」「資本割」「収入割」はいずれも、ほどんどの中小企業は算出することはありません。
なぜなら、「付加価値割」「資本割」は、事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が1億円を超えている法人が計算する税金であり、「収入割」は、特殊な業種(送配電事業、ガス供給業、生命保険業、損害保険業、少額短期保険業及び貿易保険業)の法人のみが計算を行う税金だからです。
そのため、この3つの税金である「付加価値割」「資本割」「収入割」の解説は、当記事では割愛しています。
次の特別法人事業税について解説します。
1-2-3 特別法人事業税の概要
特別法人事業税とは、法人事業税の一部を分離して導入された税金です。
納税義務者は法人事業税の申告納税義務のある法人となります。
特別法人事業税の算出方法は、事業税額に一定の税率を掛けた金額で算出することができます。
以上、第6号様式で申告することになる3つの税目の概要でした。
詳しい算出方法や税率の確認の仕方等は、後ほど「第6号様式の書き方」の解説の際に詳しく解説していきたいと思います。
では、実際に6号様式を書いたみた場合、どのようなものになるかを確認していきましょう。
1-2 第6号様式の全体像
第6号様式の全体像を理解するために最初に記載例から確認します。
次の記載例は、黒字の(所得が発生している)法人の例となります。
【第6号様式記載例】
これが第6号様式の記載例ですか…
どこに何が書かれているか、ぱっと見ただけではわかりにくいですね。
第6号様式は、法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の3つの税目が一つの申告書となっていると説明しましたが、実際にどの税目が6号様式のどこに記載されるのか、そしてどこに納付すべき税額が書かれているのかといった第6号様式の構成について確認しましょう。
1-2-1 第6号様式の構成
第6号様式の構成は下の画像のとおり、5つの記載箇所に分かれています。
詳しい記載欄については、後ほど解説いたしますが、ここでは、この部分はこの税金に関する記載欄というくらいに、さらっとイメージを掴む程度に流して見てもらえればと思います。
1-2-2 第6号様式の見方(納付額と還付額の確認方法)
第6号様式の見方について、解説していきたいと思います。
納付すべき各税金の税額を確認できる欄
完成した第6号様式を見るときに一番確認したい欄は納付すべき税額ではないでしょうか。
第6号様式は、3つの税金の申告書であるため、納付すべき税額を確認する欄は各税目ごとにあります。
納付すべき税額が分かる欄
税目 | 納付すべき税額が分かる欄 |
---|---|
法人道府県民税(都民税) | 23欄(差引) |
法人事業税 | 52欄(差引) |
特別法人事業税 | 62欄(差引) |
還付される金額が分かる欄
次に、還付申告になるときに、その還付金額(戻ってくる金額)がいくらになるのか、気になるところですよね。
そもそも、初めて第6号様式を見た方は、還付申告なのかも解からないはずです。
還付となる金額は、次の箇所を確認することで把握できます。
還付となる金額が分かる欄
その他の記載欄の「還付請求・中間納付額」欄
1-3 作成に必要な書類
この章では、第6号様式を作成する上で必要な書類について、解説していきたいと思います。
第6号様式を作成するには、法人税の申告書の別表1の作成まで終わっている必要があります。
それは、法人道府県民税の「法人税割」に算出に必要な課税標準が「法人税額」ということ、また法人事業税の「所得割」の算出に必要な課税標準が「所得」であるからです。
第6号様式を作成するには、次の2つの書類が必要になります。
第6号様式を作成するために必要な書類
- 法人税の申告書の別表1「各事業年度の所得に係る申告書」
- 法人税の申告書の別表4「所得の金額の計算に関する明細書」
法人税の申告書の別表1「各事業年度の所得に係る申告書」と別表4「所得の金額の計算に関する明細書」とは以下の画像のような書類となります。
法人税の申告書の別表1「各事業年度の所得に係る申告書」の様式
(国税庁HP 別表1様式)
法人税の申告書の別表4「所得の金額の計算に関する明細書」
(国税庁HP 別表4 様式)
続いては、第6号様式が完成したら、それをどのように申告するのか?そして、納税の場合どのように納税するのか?について確認していきましょう。
1-4 申告方法及び申告・納付期限
法人道府県民税、法人事業税、特別法人事業税の申告書(第6号様式)の申告及び納付に関する内容を解説していきます。
1-2-1 法人道府県民税、法人事業税、特別法人事業税の申告方法
第6号様式の入手方法とその送付先について、確認していきます。
第6号様式の入手方法
私は、第6号様式が県税事務所から届きましたが、これって毎年送られてくるものなんですか。
様式をなくしてしまった場合などは、どうやって手に入れるのでしょうか。
第6号様式は、基本的に申告期限の1・2ヶ月前に県税事務所から送付されてきますが、県税事務所に直接取りに行く方法もありますし、申告を提出する予定の都道府県のホームページからも出力することが可能です。
また、電子申告により提出することも可能です。
完成した第6号様式の提出先
では第6号様式が完成したら、どちらに提出することになるのでしょうか。
申告書の提出先は、法人の事務所等の所在地を管轄する都道府県税事務所に提出することになります。
各都道府県のホームページに申告書の提出先が掲載されていますので、そちらをご確認いただくか、申告書類が郵送されてくる場合は、宛先を見ると記載があるはずです。
なお、控用が必要な場合、同じ内容の申告書を2部提出すると1部を控えとして受付印を押して返してくれます。郵送の場合は、返信用封筒(切手貼付)を同封しておくと返送してくれます。
提出先はあくまで県税事務所であり、税務署ではありませんので、ご注意ください。
第6号様式の提出方法
第6号様式の提出の仕方は、県税事務所に持参すればいいのでしょうか。
確定申告書類は、次の3つの方法により提出できます。
- 窓口持参
- 郵送
- 電子申告
それぞれの提出方法のメリットデメリット
提出方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
窓口持参 | 窓口で不備があれば指摘してくれる場合がある | 交通費と労力をかけて提出場所に行くコスト |
郵送 | 窓口まで行かなくていい |
|
電子申告 |
|
|
これらの中から自社に適した提出方法を選択してください。
ここで電子申告について、もう少し詳しく見ていきましょう。
システム | eLTAX(エルタックス) |
---|---|
必要ソフト | PCdesk |
OS | Windowsのみ |
第6号様式等の申告書類を電子申告により提出する場合は、eLTAXというシステムを使い、PCdeskソフト(ダウンロード版)を利用して申告書を作成して送信します。
PCdeskソフト(ダウンロード版)は、Windowsでしか動作しません。Macでは電子申告用の申告書を作成することはできません。PCdesk(Web版)はMacも利用可能ですが、申告書を作成する機能がありません。
PCdeskは申告書のファイルを読み込ますこともできませんので、現状Macで電子申告することは公的にはできないことになっています。
電子申告する場合は、電子署名が必要になることから、電子証明書が必要になることにも注意が必要です。
(参考) 法人が利用可能な電子証明書には何がありますか。(国税庁HP)
PCdeskソフトは環境設定が面倒で、使い勝手もあまり評判が良くないので、電子申告のハードルは高めです。
ただ一度設定ができれば、やはり便利ですので、時間があればチャレンジする価値はあります。
1-2-2 法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の納付の方法
法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税ってどうやって納付すればいいのでしょうか?
法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の納付は、納付書を使用して納付を行います。
3つの税金はすべて同じ、納付書を使用して納付を行うことになります。
納付書は下の画像のような書類となります。
法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の納付書様式例
納付書は、第6号様式と一緒に送ってくれる県税事務所が多いと思います。
申告書と同様に、県税事務所に直接取りに行く方法もありますし、納付予定の各都道府県のホームページからも出力することが可能です。
納付書の書き方については、4章「法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の納付書の書き方」で解説します。
法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税は、どこで納付することができるのでしょうか。
法人道府県民税、法人事業税、特別法人事業税は以下の場所で納付することができます。
法人道府県民税、法人事業税、特別法人事業税の納付可能な場所の一覧
- 県税事務所
- 金融機関
- 郵便局
法人道府県民税、法人事業税、特別法人事業税は、原則としてコンビニエンスストアでの納付及びスマートフォンアプリによる納付(スマホ決済)はできません。
またクレジットカードでの支払いは、Yahoo!公金払いでの支払いが、現在はできなくなっていることから、各自治体によります。納付先の自治体のHP等で確認してみてください。(執筆時現在)
ちなみに東京都の場合は、都税クレジットカードお支払サイトがあります。
他にも納付の方法はありませんか?
パソコンで納付できるといいのですが。
電子申告で提出している場合は、その流れで納税までできる電子納税という方法があります。
こちらの記事に詳しい方法が書かれています。
1-2-3 都道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の申告期限と納付期限
次に申告書の提出期限と納付期限について、確認していきます。
申告書はいつまでに提出しなくてはならないのでしょうか。
また、納付はいつまでの行えばいいのでしょうか。
都道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の申告と納税は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。
申告期限と納付期限は同じ日ですので、申告書は提出したけれど、納付を忘れたなんてことがないように注意しましょう。
この申告期限は、法人税の申告書と同様となりますので、同じタイミングで提出すると良いでしょう。
なお、申告書を提出する際に郵送で提出した場合、郵便消印日付が提出日となります。
ただし、宅急便などで送付した場合、所轄の県税事務所に到着した日が提出された日になってしまうため、ご注意ください。
また、確定申告以外の申告の期限も含めて一覧で確認しておきましょう。
主な申告の種類 | 一般的な申告、納付期限 |
---|---|
1.中間申告(仮決算による申告) | 各事業年度開始の日から6か月を経過した日から2か月以内 |
2.予定申告(前事業年度の申告に基づく申告) | 各事業年度開始の日から6か月を経過した日から2か月以内 |
3.確定申告 | 各事業年度終了の日の翌日から2か月以内 |
申告、納付の方法はわかりましたが、第6号様式を私一人で書けるか不安です。
第6号様式は一人で作成できるものなのでしょうか?
中小企業が作成する第6号様式は、実はそんなに難しくありません。
使用しない欄もたくさんありますので、慣れてしまえば簡単と言える部類に入る書類だと思います。
もちろん、一人で作成することは全然可能です!
次の章では、第6号様式の書き方の解説をしていきたいと思います。
2 第6号様式の書き方
ここからは、第6号様式の書き方を記載例を使って解説していきます。
今から紹介する例題は、「黒字の法人である場合」と「赤字であり、中間還付が発生する場合」という2つの代表的なケースを例に解説していきます。
中小企業が提出する第6号様式のうち、この2つが多くの場合90%以上を占めると言っても過言ではありません。
しかしながら、二つのケースでは、少し書き方が違いがありますので、ケース別で解説していきます。初めから通しで読んでもらっても、必要なケースのみ参照していただいても構いません。
先ほども第6号様式の全体像を見ていただきましたが、改めて第6号様式の記載例をご確認ください。
多くの中小企業が第6号様式を作成したときにどのようなものになるか、ここで今一度記載例を見てイメージを持っておきましょう。
なお、この記載例のケースは「黒字の法人である場合 」のものとなります。
【法人道府県民税、法人事業税、特別法人事業税申告書(第6号様式)の記載例】
先ほど見ましたが、やっぱりなんか、記載する欄が多くて大変そうですね。
本当に自分で書くことできるかな…
第6号様式は、決して難しくない書類です。
しかしながら各都道府県の税率を調べたり、普段事業を行っていて滅多に耳にすることがないような記載欄があったりと、初めての場合は、やや面食らうところがあるでしょう。
しかしながら第6号様式の作成が、決して難しくない理由として、実は、中小企業では記載する必要がない欄が多いのです。
どれくらい使用しない欄があるかをみるために、多くの中小企業が6号様式を作成した際に使用しない欄を黒塗りにしてみます。
あれ?意外と書くところがないんですね。
これなら、自分でも書けそうな気がしてきました。
ご覧の通り、税額の算出欄の約4割は、中小企業ではほとんど使用しない欄となります。
第6号様式の作成は、この黒塗りの部分が難しいところであり、それ以外のところはほとんどが転記か簡単な計算で記入できる欄となります。
それでは、本題の第6号様式の書き方を解説していきます。
ケース別の記載を始める前に、まずは、二つのケースで第6号様式を書く上で、共通の記載箇所である「法人名、納税地などの法人の基本情報」についての書き方から解説していきます。
2-1 共通の記載箇所の作成
この欄は、共通の記載箇所となります。
内容としては、提出する法人の基本的な情報を記載する欄となります。
❶ 提出する都道府県税事務所の長を記載する
提出する県税事務所長を記載します。
例題では、横浜県税事務所への提出となるので、「横浜県税事務所長」と記載しています。
❷ 「法人番号」を記載する
法人番号とは、法人と一部の団体に対し、国税庁が指定する13桁の識別番号のことを言います。
法人番号は、国税庁運営サイトで検索することが出来ます。
法人番号がわからない方は、下記のサイトから検索してください。
❸ 「所在地、電話番号・法人名・代表者名・経理責任者氏名」欄を記載する
「所在地(+ふりがな)」「電話番号」「法人名」「代表者の氏名(+ふりがな)」「経理責任者氏名(+ふりがな)」を記載します。
なお、提出する都道府県以外が本店の場合は、提出する都道府県内にある主たる支店等の所在地を併記してください。
➍ 「この申告の基礎」欄を記載する
この欄は、提出する申告が「修正申告」、「更生」、「決定」の場合によるものの場合に使用する欄となります。
確定申告の場合は、空欄になります。
修正申告書の提出日または、更正、決定の日をそれぞれの欄に記載します。
例題では、確定申告であるため、空欄になっています。
➎ 「事業種目」欄を記載する
自社の営む事業種目を記載します。
事業種目は、「建設業」や「小売業」等、簡単に書いても問題ありません。
次の「事業種目・業種番号一覧表」から自社の営む業種に近いものを選んで記載する方法でも構いません。
単体法人における適用額明細書の記載の手引(令和3年4月1日以後終了事業年度分) 事業種目・業種番号一覧表(国税庁)
❻ 「期末現在の資本金の額又は出資金の額」欄を記載する
「期末現在の資本金の額又は出資金の額」欄に、資本金又は出資金の金額を記載します。
なお、出資金というのは、会社が事業を行なうために必要な金額に対して、出資者が提供した資金のことです。
株式会社や有限会社の場合は、期末現在の資本金の額を、それ以外の法人(例 合同会社、合資会社や社団法人など)で、出資のある場合は、期末現在の出資の金額を記載します。
❼ 「同上が1億円以下の普通法人のうち中小法人等に該当しないもの」欄を記載する
当期末における資本金の額又は出資金の額が 1 億円以下である普通法人のうち、次のいずれかの法人に該当する場合には、「非中小法人等」を○で囲んでください。
- 大法人による完全支配関係がある法人
- 当該普通法人との間に完全支配関係がある全ての大法人が有する株式及び出資の全部をいずれか一つの大法人が有するものとみなしたときにその一つの大法人による完全支配関係があることとなる法人
なお、「大法人」とは以下の条件に当てはまる法人のことを言います。
- 資本金の額又は出資金の額が 5 億円以上である法人
- 法人税法第 4 条の7に規定する受託法人
- 相互会社(外国相互会社を含みます。)
➑ 「期末現在の資本金の額及び資本準備金の額の合算額」欄を記載する
「期末現在の資本金の額及び資本準備金の額の合算額」欄に、資本金と資本準備金の金額を合算したものを記載します。
❾ 「期末現在の資本金等の額」欄を記載する
「期末現在の資本金等の額」欄に、資本金に無償増減資の金額を合算したものを記載します。
❿ 事業年度を記載する
この欄には、法人の事業年度及び申告の種類を記載します。
事業年度とは、会計期間(通常は1年間)のことです。決算期とも呼びます。
会計年度の開始年月日と終了年月日を記載します。
申告の種類については、確定申告であれば、「確定」、修正申告であれば、「修正」と記載してください。
ここからは、先ほどお話ししたように、第6号様式は申告内容によって書き方が多少変わっていきますので、ケース別に次の2つに分けて解説していきます。
- ケース1 「黒字の法人である場合」
- ケース2 「赤字であり、中間還付が発生する場合」
ケース1と2、いずれの解説についても、共通の記載箇所以降の解説となりますのでご注意ください。
またケース1とケース2を通読した際に、多少重複した解説がありますので、その場合は、飛ばしてもらえるよう記載がありますので、飛ばして読んでいただければと思います。
まず第一に「決算が黒字で、納付税額が発生する」ケースの別表1の書き方から始めていきます。
2-2 【ケース1】「黒字の法人である場合」の第6号様式の書き方
まず、最初のケースは、黒字法人(所得が発生している法人)で、かつ、納付すべき税額が発生している第6号様式の記載方法を解説していきます。
説例の内容は以下のとおりになります。
ケース1 設例の前提条件
決算期:令和4年6月1日から令和4年12月31日
資本金等の金額:資本金 2,000,000円
所得金額:10,000,000円
法人税額:1,664,000円
完成した申告書は以下のとおりです。
最初に記載するのは、道府県民税の算出に関する記載欄となります。
2-2-1「道府県民税」の算出に関する記載欄を記入する
この欄では、主に道府県民税に関する内容を記載します。
上記の画像のとおり、道府県民税を算出するに関する記載箇所は、第6号様式の右側となっています。
なお、第6号様式は、中小企業が使用することがほとんどない欄があります。
そのため、当記事では、中小企業が記載する頻度が少ない欄については、章の末尾でまとめて説明する形をとっています。
まずは、法人税割額の計算に関する欄からの解説となります。
「法人税割額」の算出に関する記載欄を記入する
この欄では、主に法人税割額に関する内容を記載します。
❶ 「法人税法の規定によって計算した法人税額(1欄)」を記載する
この欄には、法人税法の規定によって計算した法人税額を記載します。
法人税確定申告書の別表1の9欄の金額を転記してください。
❷ 2欄から4欄の記載について
黒塗り部分は、章の末尾においてまとめて解説しています
❸ 「課税標準となる法人税額又は個別帰属法人税額及びその法人割額(5欄)」の課税標準を記載する
この欄には、1欄「法人税法の規定よって計算した法人税額」の金額と2欄「試験研究費の額等に係る法人税額の特別控除額」、4欄「退職年金等積立金に係る法人税額」の金額を足した金額から3欄「還付法人税等の控除額」を差し引いた金額を記載します。
記載例では、2欄から4欄まで空欄となっていますので、1欄の金額がそのまま5欄に記入されています。
❹ 「2以上の道府県に事業所又は事業所を有する法人における課税標準となる法人税額又は個別帰属法人税額及びその法人税割額(6欄)」について
この欄は、2つ以上の都道府県に事務所等がある場合に使用する欄となっています。
記載例では、事務所等は本社のみとなっているため、この欄は空欄となります。
➎ 「法人税割額(7欄)」を記載する
この欄では、法人税額から法人税割額を計算する欄となります。
税率の確認と記載
法人税割額の計算を行うには、税率の確認が必要となります。
法人税割額と書かれた下に「(⑤又は⑥× /100)」と記載されている欄があります。
この「 /100」空欄となっている箇所に、各県の条例に定められている税率を記載します。
この税率を確認するには、各県のホームページから確認する方法や都道府県より送付されてきた記載の手引きなどにより確認してください。
なお、例題の神奈川県のホームページを見てみると、以下の画像のように税率が記載されています。
うわーわかりずらい。
私の会社はどれを適用したらいいのかな…
確かに、この税率表は初めて見る方には、かなり難しく感じるでしょう。
私も初めて税率を確認した際に、誤った税率で計算してしまったことがあります、、、
しかしながら、この税率の適用は、税額算出において、とても大事なところです。
ここで誤った税率を適用すると税額を間違えてしまいますので、税率の適用には細心の注意が必要です。
それでは、ここで、この税率表を使って税率を決定する方法を解説していたいと思います。
この税率表の一番右端の列が法人県民税の法人税割の税率となります。
なるほど、でもこの欄には、「1.8%」と「(1)%」と書かれているみたいですが、どっちが適用する税率なんでしょうか。
( )書きで表記されている方の税率を「標準税率」と言い、( )書きされていない方の税率のことを「超過税率」と言います。
神奈川県では、以下の2つの条件に当てはまる法人の場合、( )書きで表記されている税率(標準税率)を使用します。
神奈川県の場合の標準税率適用法人
- 資本金の額又は出資金の額が2億円以下である
- 法人税額又は個別帰属法人税額が年4,000万円以下である
こちらの条件に当てはまらない法人については( )書きされていない方の税率(超過税率)を使用することになりますが、多くの中小企業の場合、資本金等の額が2億円以下かつ法人税額年4,000万円であることがほとんどであるため、( )書きで表記されている税率(標準税率)を使用することになります。
あえて「神奈川県では」と言いましたが、この標準税率を使用する対象となる法人は都道府県によって違いがあることがあります。
例えば、東京都の超過税率を使用する法人の条件を以下のようになっています。
東京都の場合の標準税率適用法人
- 資本金の額又は出資金の額が1億円以下である
- 法人税額又は個別帰属法人税額が年1,000万円以下である
このように、都道府県で標準税率を適用できる法人の条件に違いがありますので、都道府県から届く手引きや都道府県のホームページ等からご確認ください。
私の会社の資本金の額は200万円ですので、( )書きで表記されている「1%」を使用することになるということですね。
そのとおりです。
初めて第6号様式を見た時の印象は難しくみえたと思いますが、一度やり方がわかれば難しくないですよね。
なお、例題の記載については、「(⑤又は⑥× /100)」と記載されている欄に「(⑤又は⑥×1/100)」となるように記載がされています。
税率が確定したところで、法人税割額を算出し記載していきます。
この欄には、課税標準となる法人税額(5欄)の金額に上記で解説した税率を乗じた金額を記載します。
なお、この金額は「法人税割額」と言います。
・計算式
課税標準(5欄)× 法人税割の税率= 法人税割額(7欄)
・記載例での計算式
1,664,000円(5欄)× 1.0%(税率)= 16,640円(7欄)
ここで7欄を記載する上で、事務所等の所在地が東京都である場合にのみ、記載する欄があります。
それら欄についても解説していきたいと思います。
なお、事務所等の所在地が東京都以外の場合は飛ばしてください。
事務所等の所在地が東京都である場合の使用欄
事務所等の所在地が東京都である場合、第6号様式の下部にある24欄から27欄を使用することになります。
また、事務所等が東京都の特別区にあるのか、特別区以外にあるのかによっても、記載する欄が変わります。
なお、東京都の都民税法人税割の税率表は以下のとおりです。
この税率表は先ほどの神奈川県の法人税割額の税率表と一緒のものですか?
明らかに、税率が違うと思うのですが、、、
23区内に事務所等をある場合の税率は低い方でも7.0%もありますよ。
確かに神奈川県の法人税割額の税率表と東京都の法人税割額の税率表だとかなりの違いがあるように見えます。
なお、中小企業は先ほど解説したように税率の低いを方の税率である「標準税率」を使用するのは変わりありません。
ほとんどの中小企業は税率表の右側にある「超過税率」は使用しませんのご注意ください。
なぜ、23区内(特別区)に事務所等をある場合の税率(標準税率)が「7.0%」と高いかと言いますと、特別区の第6号様式は、道府県民税相当分と市町村民税相当分を合わせて都税事務所に申告することになっているからです。
特別区以外の第6号様式の場合は、道府県民税のみの申告を県税事務所に提出することになります
このため、特別区の法人税割額の税率が高くなっているということです。
【1%(道府県民税相当分)+6%(市町村民税相当分)=7%】
税率についての解説はここまでにして、24欄から27欄の解説をしていきたいと思います。
❶ 「特別区分の課税標準額(24欄)」を記載する
この欄は、事務所等が特別区に所在している場合に使用することになります。
この欄には、特別区にのみ事務所等を有する法人である場合は5欄の金額を転記します。
なお、2つ以上の都道府県に事務所等を有する法人は、「第10号様式(課税標準の分割に関する明細書)」の「分割課税標準額」の「本部分」の「特別区分」の欄の金額を転記します。
❷ 「同上に対する税額(25欄)」を記載する
この欄では、特別区分の法人税割額を計算する欄です。
先ほど、解説したように税率を確認し、24欄に税率を乗じた金額を記載します。
❸ 「市町村分の課税標準額(26欄)」を記載する
この欄は、事務所等が東京都の市町村(特別区以外)に所在している場合に使用することになります。
この欄には、特別区にのみ事務所等を有する法人である場合は5欄の金額を転記します。
なお、2つ以上の都道府県に事務所等を有する法人は、「第10号様式(課税標準の分割に関する明細書)」の「分割課税標準額」の「本部分」の「特別区分」の欄の金額を転記します。
➍ 「同上に対する税額(27欄)」を記載する
この欄では、東京都の市町村分(特別区以外)の法人税割額を計算する欄です。
先ほど、解説したように税率を確認し、26欄に税率を乗じた金額を記載します。
➎ 「法人税割額(⑤又は⑥ /100)(7欄)」を記載する
7欄には、25欄の金額と27欄の金額を足した金額を記入します。
ここまでが、23欄から26欄の記載の解説でした。
先ほどもお伝えしたように、東京都に事務所等がなければ、この欄の記載は不要となります。
❻ 8欄から12欄及び15欄の記載について
黒塗りの部分は、中小企業ではほとんど使用しない欄であるため、章の末尾においてまとめて解説しています。
❼ 「差引法人税割額(13欄)」を記載する
この欄には、7欄に8欄の金額を足した金額から、9欄、10欄、11欄、12欄を差し引いた金額を記載します。
➑ 「既に納付の確定した当期分の法人税割額(14欄)」を記載する
中間申告分の法人税割額がある場合は、14欄に記載します。
❾ 「この申告により納付すべき法人税割額(16欄)を記載する
この欄には、13欄「差引法人税割額」の金額から14欄「すでに納付の確定した当期分の法人税割額」と15欄「租税条約の実施に係る法人税割額の控除額」の金額を差し引いた金額を記載します。
ここまでは、多くの中小企業においても記載が必要な欄の書き方になります。
次は中小企業が作成する第6号様式において、使用する頻度が少ない欄の解説となります。
中小企業が作成する第6号様式で使用する頻度が少ない欄
ここで、これまで黒塗りで飛ばしてきた中小企業が作成する場合は、使用する頻度が少ない欄の記載方法を解説します。
❶ 「試験研究費の額等に係る法人税額の特別控除額(2欄)」を記載する
この欄には、「試験研究費の額等に係る法人税額の特別控除額」がある場合に使用する欄となります。
中小企業では、まず使用しない欄ですので、説明は割愛します。
なお、試験研究費の額等に係る法人税額の特別控除について、詳しく知りたい方は、国税庁HPの解説をご覧ください。
❷ 「還付法人税額等の控除額(3欄)」を記載する
この欄には、第6号様式 別表2の3の「当期控除額④」の「計」の欄の金額を記載します。
この欄は、欠損金の繰戻しによる還付を受けた法人が使用する欄となります。
欠損金の繰戻し還付制度というのは、青色申告書を提出する中小企業が、 確定申告書を提出する事業年度において欠損金額があった場合に、その欠損金額をその前事業年度に繰り戻して法人税額の還付を請求できるという制度です。
欠損金の繰戻しによる還付について、詳しく知りたい方は国税庁HPの解説をご覧ください。
❸ 「退職年金等の積立金に係る法人税額(4欄)」を記載する
この欄には、法人税確定申告書の別表19の12欄の金額を記載します。
退職年金等の積立金に係る法人税額というのは、企業年金の積立金に対して、法人税法上において係る税金のことです。
退職年金等の積立金に係る法人税額について、詳しく知りたい方は国税庁HPの解説をご覧ください。
次は、法人税割額の算出する欄の記載を行っていきます。
➍ 「都道府県民税の特定寄附金税額控除額(8欄)」を記載する
この欄は、第7号の3様式「特定寄附金を支出した場合の税額控除の計算に関する明細書」を提出する法人が記載する欄です。
この欄には、第7号の3様式の20欄の金額を記載します。
特定寄附金税額控除というのは、認定地方公共団体が行う、まち・ひと・しごと創生寄付活用事業に対して、青色申告書を提出する法人が行った寄付金について、税額控除を行える制度のことを言います。
➎ 「税額控除超過額相当額の加算額(9欄)」を記載する
この欄は、第7号の2様式別表7「税額控除不足額相当額及び税額控除超過額相当額の計算に関する明細書(その2)」を提出する法人が記載する欄です。
この欄には、第7号の2様式別表7の12欄の金額を記載します。
❻ 「外国関係会社等に係る控除対象所得税額等相当額又は個別控除対象所得税額相当額の控除額(10欄)」を記載する
この欄は、控除対象所得税額等相当額を法人税割額から控除しようとする場合に記載します。
第7号様式の9欄の金額の金額を記載します。
❼ 「外国の法人税等の額の控除額(11欄)」を記載する
この欄は、内国法人の所得のうちに外国で生じた所得があり、その国で日本の法人税や法人住民税に相当する税金が課された場合に法人税割額から控除しようとする場合に記載します。
第7号の2様式の13欄若しくは19欄と22欄の合計した金額を記載します。
➑ 「仮装経理に基づく法人税割額の控除額(12欄)」を記載する
この欄は、更正などで法人税割について減額された際に、その減少する法人税割額のうち、粉飾決算した金額がある場合に記載します。
仮装経理に基づく過大申告の更正に伴う控除法人税割額の明細書の8欄を記載します。
❾ 「租税条約の実施に係る法人税割額の控除額(15欄)」を記載する
この欄には、12欄の金額と13欄の金額が租税条約の実施に係る更正に伴う法人税割額とのいずれか少ない金額を記載します。
なお、金額がマイナスとなる場合は、記載しません。
以上で、「法人税割額」の算出に関する記載欄については完成となります。
次は「均等割額」の算出に関する記載欄の解説となります。
「均等割額」の算出に関する記載欄を記入する
この欄では、主に均等割り割額に関する内容を記載します。
法人税割での解説と同様に、第6号様式は、中小企業が使用することがほとんどない欄があります。
そのため、当記事では、中小企業が記載する頻度が少ない欄については、章の末尾でまとめて説明する形をとっています。
❶ 「算定期間中において事務所等を有していた月数(17欄)」を記載する。
17欄の「月」と記載された欄に、提出する申告書を提出する市町村に事務所等を有していた月数を記載します。
事業年度中に事務所等を新設、廃止した場合は月数を計算をします。
なお、1月に満たない場合は1月として、1月に満たない端数があるときは端数を切り捨てます。
1月に満たない端数があるときとは?
この例での事業年度は1年間(12か月)であり、月数計算は必要ありませんが、新設法人や市町村をまたいで事業所移転をするなどのケースで、事業年度が12か月に満たない場合があります。
月数計算を行う上で、一つ注意点があり、1月に満たない端数があるときは端数を切り捨てるというところです。
例えば、令和4年12月31日決算で、令和4年6月5日に違う市に移転した場合、6月の途中から始まっていますので、1月に満たない端数が出てきます。6ヶ月目が12月5日から12月31日になり1月丸々ありません。このような場合に6ヶ月目は切り捨てられて事業所を有していた月は5ヶ月になります。
❷ 「円×⑰/12」欄を記載する
この欄には、各市町村に定められた均等割額を記載します。
「円×⑰/12」と記載された欄に申告書を提出する市町村の条例に定められた均等割額の金額を記載します。
この均等割額を確認するには、税率と同様に都道府県のホームページから確認する方法や都道府県より送付されてきた記載の手引きなどにより確認してください。
なお、例題の神奈川県のホームページを見てみると、以下の画像のように均等割額が記載されています。
では、この税額表から例題の税額を確認してみましょう。
例題では、資本金については200万円なので「資本金が一千万円以下である法人」に該当します。
税率表で「資本金が一千万円以下である法人」の均等割額を確認してみると、年額20,000円となります。
法人道府県民税の均等割額の税額の確認は、資本金の額だけで判断出来てとても簡単ですね。
確かに、法人税割額の税率表よりは単純な形となっています。
原則として、都道府県で均等割額の確認方法は同じではありますが、県の条例の変更で均等割額の算出方法が変わることも考えられますので、県税事務所から送られてくる税率表等は念のため毎年確認するようにしましょう。
記載例では、「円×⑰/12」となっている欄に、確認した均等割額を記入し、「20,000円×⑰/12」となるように記載しています。
❸ 18欄を記載する
この欄には、月数計算を行った均等割額を記載します。
確認した均等割額×17欄に記載した月数÷12か月で算出した金額を記載します。
記載例では、事業年度は12か月であるため、「54,500円×12か月×12か月」を行い、算出した「20,000」を18欄に記載しています。
➍ 「既に納付の確定した当期分の均等割額(19欄)」を記載する
中間申告分の均等割額がある場合は、19欄に記載します。
➎ 「この申告により納付すべき均等割額(20欄)」を記載する
この欄には、18欄の金額から19欄「この申告により納付すべき均等割額」の金額を差し引いた金額を記載します。
「道府県民税額」の算出に関する記載欄を記入する
この欄では、主に道府県民税額の算出に関する内容を記載します。
❶ 「この申告により納付すべき市町村民税額(21欄)」を記載する
この欄には、16欄「この申告により納付すべき法人税割額」の金額に20欄を足した金額を記載します。
なお、この計算を行う際に、16欄、20欄の金額がマイナスである場合、「0」として計算します。
❷ 「⑳のうち見込納付税額(22欄)」を記載する
この欄には、確定申告書の提出期限が延長されている法人が市町村民税の申告書の提出前に納付した金額を記載します。
❸ 「差引(23欄)」を記載する
この欄には、21欄「この申告により納付すべき市町村民税額」の金額から22欄「⑳のうち見込納付税額」を差し引いた金額を記載します。
以上で、「法人都道府県民税」の算出に関する記載欄については完成となります。
次は「事業税」の算出に関する記載欄の解説となります。
2-2-2「事業税」の算出に関する記載欄を記入する
この欄では、主に事業税に関する内容を記載します。
上記の画像のとおり、事業税の算出するに関する記載欄は、第6号様式の左上側にある「STEP2 所得割額の算出に関する記載欄」と左下側部分にある「STEP1 所得金額の計算の内訳に関する記載欄」の二つの記載欄があります。
まずは、左下側の赤線の囲みの「STEP1 所得金額の計算の内訳に関する記載欄」から記載していきます。
なお、法人道府県民税の算出に関する記載欄と同様に、中小企業が記載する頻度が少ない欄については、章の末尾でまとめて説明する形をとっています。
STEP1「所得金額の計算の内訳」に関する記載欄を記入する
この欄では、主に所得金額の計算の内訳に関する内容を記載します。
❶ 「所得金額又は個別所得金額(63欄)」を記載する
この欄には、法人税確定申告書の別表4の34欄の金額を転記します。
❷ 「損金の額又は個別帰属損金額に算入した所得税額及び復興特別所得税(64欄)」を記載する
この欄は、損金の額に算入した所得税及び復興特別所得税がある場合に使用する欄です。
源泉所得税を税額控除せずに損金に算入した場合は、その金額を記載します。
❸ 65欄から67欄について
黒塗り部分は、章の末尾においてまとめて解説しています
➍ 「仮計(68欄)」を記載する
63欄から65欄を足した金額から66欄と67欄を差し引いた金額を記載します。
➎ 「繰越欠損金額等若しくは災害損失金額又は債務免除等があった場合の欠損金額等の当期控除額(69欄)」を記載する
この欄には、第6号様式別表9の4欄の金額を記載します。
❻ 「法人税の所得金額又は個別所得金額(70欄)」を記載する
この欄には、法人税申告書の別表4の52欄を転記します。
以上で、「所得金額の計算の内訳」に関する記載欄については完成となります。
次は「所得割額」の算出に関する記載欄の解説となります。
STEP2「所得割額」の算出に関する記載欄を記入する
次に第6号様式の左上部分の所得割額の算出に関する記載欄を記載していきます。
この欄では、主に所得割額に関する内容を記載します。
❶ 「所得金額総額(69欄)」を記載する
この欄には、70欄の金額を転記します。
❷ 所得金額から所得割の税額を算出して記載する
この29欄から31欄及び33欄は所得金額ごとに所得割額の算出し、記載する欄です。
この欄は、「課税標準」、「税率」、「税額」をそれぞれ記載することになります。
この欄で、所得割の税額を計算するんですね。
でも、33欄には金額が記載されてませんよね。
何が違うのでしょうか。
多くの中小企業は、29欄から32欄において、所得割の税額を算出します。
しかしながら、「軽減税率不適用法人」に該当する法人については、33欄を使って所得割の税額を計算します。
「軽減税率不適用法人」とは
事業年度終了の日に3以上の都道府県において事務所又は事業所を設けて事業を行う法人で資本金の額又は出資金の額が1,000万円以上の法人のことを指します。
今回の例では、資本金等の額が1,000万円以下のため、29欄から32欄を使用して、所得割の税額を算出することになります。
多くの中小企業が使用する欄は、29欄から32欄ということですね。
ではなぜ、29欄、30欄、31欄の3つの欄に分ける必要があるのでしょうか。
3つの欄に区分にして記載する理由は、「所得割」は所得の区分ごとに税率が設定されており、所得区分に応じて税額を算出する必要があるからです。
まずは、「課税標準」欄から解説を行っていきたいと思います。
・課税標準(左の欄)の記載方法
この欄には、「課税標準」を記載していきます。
それぞれ、どんな内容を記載するのでしょうか。
これら欄の記載方法は、「所得金額総額(28欄)」の金額によってそれぞれ記載方法が変わります。
記載内容は、以下の通りとなります。
29欄から31欄の記載方法
- 28欄の金額が年400万円以下であるときは、28欄の金額を29欄に記載します。
- 28欄の金額が年400万円を超え年800万円以下であるときは、29欄に「4,000,000」と記載し、30欄に「28欄-4,000,000」で算出された金額を各欄に記載します。
- 28欄が年800万円を超える場合は、29欄及び30欄に「4,000,000」を記載し、31欄に「28欄-8,000,000」で算出された金額を各欄に記載します。
以上の各欄の記載内容をまとめると下表のようになります。
29欄の記載内容 | 30欄の記載内容 | 31欄の記載内容 | |
---|---|---|---|
年400万円以下 | 28欄の金額を転記する | 記載不要 | 記載不要 |
年400万円超800万円以下 | 4,000,000 | 「28欄-4,000,000」で算出した金額 | 記載不要 |
800万円超 | 4,000,000 | 4,000,000 | 「28欄-8,000,000」で算出した金額 |
・税率( /100)(真ん中の欄)の記載方法
この欄には、「税率」を記載していきます。
税率を記載していくんですね。
税率はどこで確認することができるのでしょうか。
先ほど確認した法人県民税の法人税割の税率表と同じもので確認することができます。
税率表は、各都道府県の県税事務所等から送付されてきたものを確認するか、都道府県のホームページで確認することができます。
やっぱり、この税率表は難しそうですね。
私の会社のような中小企業はどこを確認したらよいのでしょうか。
それでは今回も、神奈川県の税率表を使って事業税の税率を確認してみましょう。
中小企業が主に使用する事業税の税率はこちらとなります。
税率表の赤枠部分を使用する会社は以下の条件を満たしている法人となります。
- 資本金の額が1億円以下の法人
- 農業協同組合、消費生活協同組合、使用金庫、医療法人以外の法人
なるほど、資本金が1億円以下で、特殊な業種以外は赤枠ということですね。
税率表を確認してみますと、また「( )書き」の税率とそうでない税率が出てきますね。
こちらも、法人道府県民税と同じで、「( )書き」の税率を使用したらいいですか?
おっしゃるとおりです。
中小企業の法人のほとんどが「( )書き」となっている税率(標準税率)を使用することになります。
なお、「( )書き」となっている税率(標準税率)を使用する法人は神奈川県においては、以下の2つの条件に当てはまる法人となります。
神奈川県において標準税率を使用する法人の条件
- 資本金の額または出資金の額が2億円以下である
- 所得金額が年1億5,000万円以下である
こちらの条件に当てはまらない法人については( )書きされていない方の税率(超過税率)を使用することになりますが、多くの中小企業の場合、資本金等の額が2億円以下かつ法人税額年4,000万円であることがほとんどであるため、( )書きで表記されている税率(標準税率)を使用することになります。
あえて「神奈川県においては」と言いましたが、この標準税率を使用する対象となる法人は都道府県によって違いがあることがあります。
例えば、東京都の超過税率を使用する法人の条件を以下のようになっています。
東京都の場合の標準税率適用法人
- 資本金の額又は出資金の額が1億円以下である
- 法人税額又は個別帰属法人税額が年1,000万円以下である
このように、都道府県で標準税率を適用できる法人の条件に違いがありますので、都道府県から届く手引きや都道府県のホームページ等からご確認ください。
記載例の事務所は神奈川県であり、資本金等の額は2億円以下であるため、「標準税率」を確認することになり、この税率表の赤枠部分の標準税率を確認すると、、、
所得のうち年400万円以下の金額の税率は、「3.5%」
所得のうち年400万円を超え年800万円以下の金額の税率は、「5.3%」
所得のうち年800万円を超える金額の税率は、「7%」
と税率を確認することができます。
なお、赤枠の一番下にある税率は提出する都道府県とは他の2つ以上の都道府県において、事務所等がある会社で、資本金等の額が1,000万円以上である場合(軽減税率不適用法人)に使用する税率なので注意してください。
これで、税率がわかりましたね。
では、この税率はどこに記載するのでしょうか。
確認できた税率は区分された課税標準ごとの税率欄にそれぞれ記載していきます。
所得のうち年400万円以下の金額の税率である「3.5%」を29欄に記載します。
所得のうち年400万円を超え年800万円以下の金額の税率である「5.3%」を30欄に記載します。
所得のうち年800万円を超える金額の税率は、「7%」を31欄に記載します。
・税額(右の欄)の記載方法
この欄には、「税額」を記載していきます。
ここまで、「課税標準」と「税率」の記載を行いましたが、最後に「税額」を記載していきます。
税額は「課税標準×税率」で算出することができます。
この例で当てはまると、
29欄には、「4,000,000×3.5%」で算出することができる「140,000」
30欄には、「4,000,000×5.3%」で算出することができる「212,000」
31欄には、「2,000,000×7%」で算出することができる「140,000」
をそれぞれ記載しています。
32欄に、29欄、30欄、31欄の「課税標準」と「税額」の合計金額をそれぞれ記載します。
➎ 「軽減税率不適用法人の金額(33欄)」について
この欄は、前述の軽減税率不適用法人(軽減税率が適用されない法人)が使用する欄です。
今回の例では、軽減税率不適用法人には該当しないため、「軽減税率不適用法人の金額(33欄)」は使用しませんが、使用する場合は次のように記載します。
軽減税率不適用法人には、課税標準の区分で税率が変わることがなく、一律の税率が掛かります。
税率表では、上記画像の赤枠の税率を使用します。
記載例では、「課税標準」欄には、28欄の金額がそのまま転記、「税率」欄には「7%」を記載、「税額」欄には、「10,000,000円(課税標準)×7.0%(税率)」で算出した「700,000」がそれぞれ記載されています。
ここまでは、多くの中小企業においても記載が必要な欄の書き方になります。
次は中小企業が作成する第6号様式において、使用する頻度が少ない欄の解説となります。
中小企業が作成する第6号様式で使用する頻度が少ない欄
ここで、これまで黒塗りで飛ばしてきた中小企業が作成する場合は、使用する頻度が少ない欄の記載方法を解説します。
・「所得金額の計算の内訳」に関する記載欄
まずは、「所得金額の計算の内訳」に関する記載欄のものとなります。
❶ 「損金の額又は個別帰属損金額に算入した海外投資等損金準備金勘定への繰入額(65欄)」を記載する
この欄には、法人税確定申告書の別表12(1)の5欄と10欄のうち、いずれか低い金額を記載します。
❷ 「益金の額又は個別帰属益金額に算入した海外投資等損失準備金勘定からの戻入額(66欄)」を記載する
この欄には、法人税確定申告書の別表12(1)の25欄と26欄を足した金額を記載します。
❸ 「外国の事業に帰属する所得以外の所得に対して課された外国法人税額(67欄)」を記載する
この欄は、外国の事業に帰属する所得以外の所得に対して課された外国法人税の額について外国税額の控除の適用を受ける金額がある場合に使用する欄です。
この欄には、法人税申告書の別表4の30欄に記載した金額を記載します。
「付加価値割」、「資本割」、「収入割」に関する記載欄について
この欄では、主に所得金額の計算の内訳に関する内容を記載します。
「付加価値割」「資本割」「収入割」と書いてある欄がありますが、全部黒塗りになっていますね。
ここは中小企業はいずれも使用しない欄なのでしょうか。
「付加価値割」「資本割」「収入割」はいずれも、ほどんどの中小企業は計算する必要はありません。
なぜなら、「付加価値割」「資本割」は、事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が1億円を超えている法人が計算する税金であり、「収入割」は、特殊な業種(送配電事業、ガス供給業、生命保険業、損害保険業、少額短期保険業及び貿易保険業)の法人のみが計算を行う税金だからです。
そのため、この3つの税金である「付加価値割」「資本割」「収入割」に関する計算欄は、当記事では割愛しています。
❶ 「合計事業税額(40欄)」を記載する。
この欄には「所得割」「付加価値割」「資本割」「収入割」の金額を足した金額を記載します。
記載欄としては、32欄、35欄、37欄、39欄を足した金額又は、33欄、35欄、37欄、39欄を足した金額を記載してください。
例題では、35欄、37欄、39欄に記載がありませんので、32欄の金額を転記しています。
「事業税額」の算出に関する記載欄を記入する
この欄では、主に事業税額の算出に関する内容を記載します。
❶ 以下の黒塗り部分について
黒塗り部分は、章の末尾においてまとめて解説しています。
❷ 「差引事業税額(43)欄」を記載する
この欄には、40欄の金額から41欄と42欄の金額を差し引いた金額を記載します。
❸ 「既に納付の確定した当期分の事業税額(44欄)」を記載する
中間申告分の事業税額がある場合は、44欄に記載します。
設例では、中間納付額がありませんので、「0」となります。
➍ 「この申告により納付すべき事業税額(46欄)」を記載する
この欄には、43欄の金額から44欄と45欄の金額を差し引いた金額を記載します。
➎ 「㊻の内訳・所得割(47欄)」を記載する
この欄には、32欄又は33欄の税額を記載します。
❻ 「差引(52欄)」を記載する
この欄には、46欄の金額から51欄の金額を差し引いた金額を記載します。
ここまでは、多くの中小企業においても記載が必要な欄の書き方になります。
次は中小企業が作成する第6号様式において、使用する頻度が少ない欄の解説となります。
中小企業が作成する第6号様式で使用する頻度が少ない欄
ここで、これまで黒塗りで飛ばしてきた中小企業が作成する場合は、使用する頻度が少ない欄の記載方法を解説します。
❶ 「事業税の特定寄附金税額控除(41欄)」を記載する
この欄は、第7号の3様式「特定寄附金を支出した場合の税額控除の計算に関する明細書」を提出する法人が記載する欄です。
この欄には、第7号の3様式の11欄の金額を記載します。
特定寄附金税額控除というのは、認定地方公共団体が行う、まち・ひと・しごと創生寄付活用事業に対して、青色申告書を提出する法人が行った寄付金について、税額控除を行える制度のことを言います。
❷ 「仮装経理に基づく事業税額の控除額(42欄)」について
この欄は、更正などで事業税額について減額された際に、その減少する事業税額のうち、粉飾決算した金額がある場合に記載します。
❸ 「租税条約の実施に係る事業税額の控除額(45欄)」について
この欄には、43欄の金額から44欄の金額を差し引いた金額と租税条約の実施に係る更正に伴う法人税割額とのいずれか少ない金額を記載します。
なお、金額がマイナスとなる場合は、記載しません。
➍ 「㊻の内訳・付加価値割(48欄)」について
この欄には、35欄の付加価値割の税額を転記します。
➎ 「㊻の内訳・資本割(49欄)」について
この欄には、37欄の資本割の税額を転記します。
❻ 「㊻の内訳・収入割(50欄)」について
この欄には、39欄の収入割の税額を転記します。
❼ 「㊻のうち見込納付額(51欄)」について
この欄には、確定申告書の提出期限が延長されている法人が第6号様式の提出前に納付した金額を記載します。
以上で、「事業税」の算出に関する記載欄については完成となります。
次は「特別法人事業税」の算出に関する記載欄の解説となります。
2-2-3「特別法人事業税」の算出に関する記載欄を記入する
この欄では、主に特別法人事業税に関する内容を記載します。
上記の画像のとおり、特別法人事業税を算出するに関する記載箇所は、第6号様式の左側真ん中あたりの赤枠部分となっています。
これまで同様、中小企業が記載する頻度が少ない欄については、章の末尾でまとめて説明する形をとっています。
まずは、「所得割額」、「収入割額」の計算に関する欄からの解説となります。
「所得割額」、「収入割額」の算出に関する記載欄を記入する
この欄では、主に「所得割額」、「収入割額」に関する内容を記載します。
❶ 「所得割に係る特別法人事業税額(53欄)」を記載する
この欄では、課税標準(事業税の所得割額)に税率を乗じて特別法人事業税額の所得割額の算出し、記載する欄です。
「課税標準」、「税率」、「税額」をそれぞれ記載することになります。
・課税標準(左の欄)の記載方法
この欄は、32欄又は33欄の金額を転記します。
記載例53欄には、32欄の金額である492,000を記載しています。
・税率( /100)(真ん中の欄)の記載方法
この欄には、「税率」を記載していきます。
特別法人事業税の税率を確認していきます。
それでは今回も、神奈川県の税率表を使って事業税の税率を確認してみましょう。
中小企業が主に使用する特別法人事業税の税率はこちらとなります。
税率表の赤枠部分を使用する会社は以下の条件を満たしている法人となります。
- 資本金の額が1億円以下の法人
- 農業協同組合、消費生活協同組合、使用金庫、医療法人以外の法人
なお、この条件を満たしていない場合は、赤枠部分の下の「260%」の高い税率を使用することになります。
ここで確認した税率を税率欄に記載してください。
記載例では、資本金等の額が1億円以下であるため、税率欄に37%を記載しています。
・税額(右の欄)の記載方法
この欄には、「税額」を記載していきます。
ここまで、「課税標準」と「税率」の記載を行いましたが、最後に「税額」を記載していきます。
税額は「課税標準×税率」で算出することができます。
記載例の税額欄には、「492,000×37%」で算出することができる「182,000」記載しています。
❷ 「収入割に係る特別法人事業税額(54欄)」について
この欄は、「収入割」を算出する欄となります。
なお、「収入割」は、特殊な業種(送配電事業、ガス供給業、生命保険業、損害保険業、少額短期保険業及び貿易保険業)の法人のみが計算を行う税金であるため、当記事では解説を割愛させていただきます。
「特別法人事業税額」の算出に関する記載欄を記入する
この欄では、主に特別法人事業税額の算出に関する内容を記載します。
❶ 以下の黒塗り部分について
黒塗り部分は、章の末尾においてまとめて解説しています。
❷ 「差引特別法人事業税額(57欄)」を記載する
この欄には、55欄の金額から56欄の金額を差し引いた金額を記載します。
❸ 「既に納付の確定した当期分の特別法人事業税額(58欄)」を記載する
中間申告分の特別法人事業税額がある場合は、58欄に記載します。
➍ 「この申告により納付すべき特別法人事業税額(60欄)」を記載する
この欄には、57欄の金額から58欄と59欄の金額を差し引いた金額を記載します。
➎ 「差引(62欄)」を記載する
この欄には、60欄の金額から61欄の金額を差し引いた金額を記載します。
ここまでは、多くの中小企業においても記載が必要な欄の書き方になります。
次は中小企業が作成する第6号様式において、使用する頻度が少ない欄の解説となります。
中小企業が作成する第6号様式で使用する頻度が少ない欄
ここで、これまで黒塗りで飛ばしてきた中小企業が作成する場合は、使用する頻度が少ない欄の記載方法を解説します。
❶ 「仮装経理に基づく特別法人事業税額の事業税額(56欄)」を記載する
この欄は、更正などで特別法人事業税額について減額された際に、その減少する事業税額のうち、粉飾決算した金額がある場合に記載します。
❷ 「租税条約の実施に係る特別法人事業税額の控除額(59欄)」を記載する
この欄には、57欄の金額から58欄の金額を差し引いた金額と租税条約の実施に係る更正に伴う法人税割額とのいずれか少ない金額を記載します。
なお、金額がマイナスとなる場合は、記載しません。
❸ 「60のうち見込納付額(61欄)」を記載する
この欄には、確定申告書の提出期限が延長されている法人が第6号様式の提出前に納付した金額を記載します。
2-2-4「その他」の記載欄を記入する
この欄では、税額の算出に関する記載以外その他の記載欄に関する内容を記載します。
上記の画像のとおり、「その他」の記載欄は、第6号様式の一番下の赤枠部分となっています。
なお、第6号様式は、中小企業が使用することがほとんどない欄があります。
そのため、当記事では、中小企業が記載する頻度が少ない欄については、章の末尾でまとめて説明する形をとっています。
❶ 以下の黒塗り部分について
黒塗り部分は、章の末尾においてまとめて解説しています。
❷ 「還付請求 中間納付額」を記載する
この欄は、中間納付額の還付を受ける場合に使用する欄です。
例題においては、還付申告ではないため、「0」が記載されています。
❸ 「法人税の期末現在の資本金等の額又は連結個別資本金等の額」を記載する
この欄には、期末現在の資本金等の額を記載します。
資本金等の額というのは、法人が株主等から出資を受けた金額のことを指します。
企業会計上の資本金と資本剰余金がこれに当たります。
➍ 「法人税の当期の確定税額又は連結法人税個別帰属支払額」を記載する
この欄には、当事業年度の法人税額を記載します。
次のように法人税の別表1の9欄の金額を記載してください。
➎ 「決算確定の日」を記載する
この欄には、提出する申告書に係る決算が確定した年月日を記載します。
決算確定の日とは、決算書がしかるべき機関(例えば株主総会)で承認された日を指します。
例えば株式会社の場合は、定時株主総会で決算の承認を行いますので、定時株主総会日が「決算確定の日」になります。
❻ 「申告期限の延長の処分(承認)の有無」について記載する
この欄には、法人税及び事業税の確定申告の延長の適用の有無について、該当する方に〇をつけます。
「申告期限の延長の特例」というのは、法人が2カ月以内には決算が確定しないという場合などに、所轄税務署等に「申告期限の延長の特例の申請書」を提出することで申告期限を1カ月延長することができる制度のことを言います。
❼ 「法人税の申告書の種類」について記載する
この欄には、提出する申告書が「青色申告書」かそれ以外かについて、該当する方に〇をつけます。
➑ 「翌期の中間申告の要否」について記載する
この欄には、翌期において中間申告を行うかどうかについて、該当する方に〇をつけます。
中間申告義務者は以下の条件のすべてに当てはまる法人が該当します。
- 事業年度が6か月を超える法人
- 前事業年度に係る法人税額が20万円を超える法人
法人税の中間申告義務がある法人は、法人都道府県民税及び法人事業税の中間申告義務者となり、事業年度の6ヶ月を超えた後、2ヶ月以内に中間申告を行う必要があります。
❾ 「国外関連者の有無」について記載する
この欄には、日本との租税条約締結国に子会社又は親会社等を有する場合に「有」に〇を付けてください。
その他の法人の場合は、「無」に〇を付けてください。
❿ 「還付を受けようとする金融機関及び支払方法」について記載する
この欄は、中間納付額の還付を受ける場合に使用する欄です。
還付金を入金を受けたい口座情報を記載します。
ここまでは、多くの中小企業においても記載が必要な欄の書き方になります。
次は中小企業が作成する第6号様式において、使用する頻度が少ない欄の解説となります。
中小企業が作成する第6号様式で使用する頻度が少ない欄
ここで、これまで黒塗りで飛ばしてきた中小企業が作成する場合は、使用する頻度が少ない欄の記載方法を解説します。
❶ 「法第15条の4の徴収猶予を受けようとする税額(71欄)」を記載する
この欄には、地方税法第15条の4の修正申告等に係る道府県民税、事業税及び特別法人事業税額の徴収猶予を受ける場合に使用する欄です。
徴収猶予を受けようとする税額を記載します。
❷ 「解散の日」を記載する
この欄は、解散を行った法人が記載する欄です。
法人を解散した年月日を記載します。
❸ 「残余財産の最後の分配又は引渡しの日」を記載する
この欄は、清算結了を行った法人が記載する欄です。
残余財産の分配等を引き渡した年月日を記載します。
➍ 「この申告が中間申告の場合の計算期間」を記載する
この欄は、提出した申告書の種類が中間申告である場合に記載する欄です。
中間申告の計算期間を記載します。
これで【ケース1】「黒字の法人である場合」の第6号様式の書き方の解説は以上となります。
次は、【ケース2】「赤字法人、還付申告」の第6号様式の書き方について解説していきたいと思います。
2-3 ケース2 「赤字であり、中間還付が発生する場合」の第6号様式の書き方
まず、次のケースは、赤字法人(欠損が発生している法人)で、かつ、中間納付による還付税額が発生している第6号様式の記載方法を解説していきます。
説例の内容は以下のとおりになります。
ケース2 設例の前提条件
決算期:令和4年6月1日から令和4年12月31日
資本金等の金額:資本金 2,000,000円
所得金額:△10,000,000円
法人税額:0円
中間申告の金額:
・道府県民税(法人税割額)83,000円 (均等割額)10,000円
・事業税 2,460,000円
・特別法人事業税額 910,000円
完成した申告書は以下のとおりです。
なお、第6号様式は、中小企業が使用することがほとんどない欄があります。
当記事では、中小企業が使用することがほとんどない欄については、「黒塗り」として表示していおります。
黒塗り部分の内容の解説は、ケース1と重複するため、ケース1の解説をご覧ください。
黒塗りの解説を確認したい方は、解説する章の末尾にケース1で黒塗り部分を解説した場所に行けるリンクがありますので、そちらからご確認するようお願いします。
では、解説を行っていきたいと思います。最初に記載するのは、道府県民税の算出に関する記載欄となります。
2-3-1「道府県民税」の算出に関する記載欄を記入する
この欄では、主に道府県民税に関する内容を記載します。
上記の画像のとおり、道府県民税を算出するに関する記載箇所は、第6号様式の右側となっています。
まずは、法人税割額の計算に関する欄からの解説となります。
「法人税割額」の算出に関する記載欄を記入する
この欄では、主に法人税割額に関する内容を記載します。
そのため、記載内容としては、法人税割額「0円」となるか中間納付による還付金額の記載を行うことになります。
❶ 「法人税法の規定によって計算した法人税額(1欄)」を記載する
この欄には、法人税法の規定によって計算した法人税額を記載します。
法人税確定申告書の別表1の9欄の金額を転記してください。
❷ 「課税標準となる法人税額又は個別帰属法人税額及びその法人割額(5欄)」の課税標準を記載する
この欄には、1欄「法人税法の規定よって計算した法人税額」の金額と2欄「試験研究費の額等に係る法人税額の特別控除額」、4欄「退職年金等積立金に係る法人税額」の金額を足した金額から3欄「還付法人税等の控除額」を差し引いた金額を記載します。
記載例では、2欄から4欄まで空欄となっていますので、1欄の金額がそのまま5欄に記入されています。
❸ 「2以上の道府県に事業所又は事業所を有する法人における課税標準となる法人税額又は個別帰属法人税額及びその法人税割額(6欄)」について
この欄は、2つ以上の都道府県に事務所等がある場合に使用する欄となっています。
記載例では、事務所等は本社のみとなっているため、この欄は空欄となります。
➍ 「法人税割額(7欄)」を記載する
この欄では、法人税額から法人税割額を計算する欄となります。
この欄には、課税標準となる法人税額(5欄)の金額に上記で解説した税率を乗じた金額を記載します。
なお、この金額は「法人税割額」と言います。
記載例では、赤字法人であり、課税標準である5欄が「0」であるため、この欄についても「0」が記載されます。
❺ 「差引法人税割額(13欄)」を記載する
この欄には、7欄に8欄の金額を足した金額から、9欄、10欄、11欄、12欄を差し引いた金額を記載します。
記載例では、7欄が「0」で8欄から12欄まで空欄であるため「0」と記載されています。
❻ 「既に納付の確定した当期分の法人税割額(14欄)」を記載する
中間申告分の法人税割額がある場合は、14欄に記載します。
この設例では、「83,000」が記載されています。
❼ 「この申告により納付すべき法人税割額(16欄)を記載する
この欄には、13欄「差引法人税割額」の金額から14欄「すでに納付の確定した当期分の法人税割額」と15欄「租税条約の実施に係る法人税割額の控除額」の金額を差し引いた金額を記載します。
・計算式
差引法人税割額(13欄)- 既に納付の確定した当期分の法人税割額(14欄)-租税条約の実施に係る法人税割額(15欄)= この申告により納付すべき法人税割額(16欄)
・記載例での計算式
0円(13欄)- 83,000円(14欄)-0円(15欄)= △83,000円(15欄)
設例では、「△83,000」と記載されており、この欄がマイナス表記(△)である場合、この金額が法人税割額の中間納付による還付金額となります。
以上で、「法人税割額」の算出に関する記載欄については完成となります。
なお、「法人税割額の算出に関する記載欄」の黒塗り部分の解説はこちらのリンクからご覧ください。
次は「均等割額」の算出に関する記載欄の解説となります。
「均等割額」の算出に関する記載欄を記入する
この欄では、主に均等割り割額に関する内容を記載します。
❶ 「算定期間中において事務所等を有していた月数(17欄)」を記載する。
17欄の「月」と記載された欄に、提出する申告書を提出する都道府県に事務所等を有していた月数を記載します。
事業年度中に事務所等を新設、廃止した場合は月数を計算をします。
なお、1月に満たない場合は1月として、1月に満たない端数があるときは端数を切り捨てます。
1月に満たない端数があるときとは?
この例での事業年度は1年間(12か月)であり、月数計算は必要ありませんが、新設法人や市町村をまたいで事業所移転をするなどのケースで、事業年度が12か月に満たない場合があります。
月数計算を行う上で、一つ注意点があり、1月に満たない端数があるときは端数を切り捨てるというところです。
例えば、令和4年12月31日決算で、令和4年6月5日に違う市に移転した場合、令和4年6月5日〜令和4年12月31日となり、6月の途中から始まっていますので、1月に満たない端数が出てきます。6ヶ月目が12月5日から12月31日になり1月丸々ありません。このような場合に6ヶ月目は切り捨てられて事業所を有していた月は5ヶ月になります。
❷ 「円×⑰/12」欄を記載する
この欄には、各都道府県に定められた均等割額を記載します。
「円×⑰/12」と記載された欄に申告書を提出する都道府県で定められた均等割額の金額を記載します。
この均等割額を確認するには、税率と同様に都道府県のホームページから確認する方法や都道府県より送付されてきた記載の手引きなどにより確認してください。
なお、例題の神奈川県のホームページを見てみると、以下の画像のように均等割額が記載されています。
では、この税額表から例題の税額を確認してみましょう。
例題では、資本金については200万円なので「資本金が一千万円以下である法人」に該当します。
税率表で「資本金が一千万円以下である法人」の均等割額を確認してみると、年額20,000円となります。
法人道府県民税の均等割額の税額の確認は、資本金の額だけで判断出来てとても簡単ですね。
確かに、法人税割額の税率表よりは単純な形となっています。
原則として、都道府県で均等割額の確認方法は同じではありますが、県の条例の変更で均等割額の算出方法が変わることも考えられますので、県税事務所から送られてくる税率表等は念のため毎年確認するようにしましょう。
記載例では、「円×⑰/12」となっている欄に、確認した均等割額を記入し、「20,000円×⑰/12」となるように記載しています。
❸ 18欄を記載する
この欄には、月数計算を行った均等割額を記載します。
「確認した均等割額 × 17欄に記載した月数 ÷ 12か月」で算出した金額を記載します。
記載例では、事業年度は12か月であるため、「20,000円 × 12か月 ÷ 12か月」を行い、算出した「20,000」を18欄に記載しています。
❹ 「既に納付の確定した当期分の均等割額(19欄)」を記載する
中間申告分の均等割額がある場合は、19欄に記載します。
この設例では、「10,000」が記載されています。
❺ 「この申告により納付すべき均等割額(20欄)」を記載する
この欄には、18欄の金額から19欄「この申告により納付すべき均等割額」の金額を差し引いた金額を記載します。
この説例では、18欄の20,000から19欄の10,000を差し引いた金額である10,000が記載されています。
「道府県民税額」の算出に関する記載欄を記入する
この欄では、主に道府県民税額の算出に関する内容を記載します。
❶ 「この申告により納付すべき道府県民税額(21欄)」を記載する
この欄には、16欄「この申告により納付すべき法人税割額」の金額に20欄を足した金額を記載します。
21欄の算出式は、「16欄+20欄=21欄」と簡単ですが、ここで21欄を算出するうえで、注意点が一つあります。
それは、この計算を行う際に、16欄、20欄の金額がマイナスである場合、「0」として計算します。
どういうことかと言うと、16欄が「△83,000」が「0」とします。
0円(16欄)+10,000円(20欄)=10,000円(21欄)
第6号様式の場合は、法人税割額が還付、均等割額が納付の場合は差引きはしません。
ここは、間違えやすいので注意しましょう!
❷ 「⑳のうち見込納付税額(22欄)」を記載する
この欄には、確定申告書の提出期限が延長されている法人が市町村民税の申告書の提出前に納付した金額を記載します。
❸ 「差引(23欄)」を記載する
この欄には、21欄「この申告により納付すべき市町村民税額」の金額から22欄「⑳のうち見込納付税額」を差し引いた金額を記載します。
以上で、「法人都道府県民税」の算出に関する記載欄については完成となります。
次は「事業税」の算出に関する記載欄の解説となります。
2-3-2「事業税」の算出に関する記載欄を記入する
この欄では、主に事業税に関する内容を記載します。
上記の画像のとおり、事業税の算出するに関する記載欄は、第6号様式の左上側にある「STEP2 所得割額の算出に関する記載欄」と左下側部分にある「STEP1 所得金額の計算の内訳に関する記載欄」の二つの記載欄があります。
まずは、左下側の赤線の囲みの「STEP1 所得金額の計算の内訳に関する記載欄」から記載していきます。
STEP1「所得金額の計算の内訳」に関する記載欄を記入する
この欄では、主に所得金額の計算の内訳に関する内容を記載します。
❶ 「所得金額又は個別所得金額(63欄)」を記載する
この欄には、法人税確定申告書の別表4の34欄の金額を転記します。
❷ 「損金の額又は個別帰属損金額に算入した所得税額及び復興特別所得税(64欄)」を記載する
この欄は、損金の額に算入した所得税及び復興特別所得税がある場合に使用する欄です。
源泉所得税を税額控除せずに損金に算入した場合は、その金額を記載します。
❸ 「仮計(68欄)」を記載する
63欄から65欄を足した金額から66欄と67欄を差し引いた金額を記載します。
❹ 「繰越欠損金額等若しくは災害損失金額又は債務免除等があった場合の欠損金額等の当期控除額(69欄)」を記載する
(68)がマイナスの場合は、欠損金の控除はありませんので、(69)欄は空欄になります。
❺ 「法人税の所得金額又は個別所得金額(70欄)」を記載する
この欄には、法人税申告書の別表4の52欄を転記します。
以上で、「所得金額の計算の内訳」に関する記載欄については完成となります。
次は「所得割額」の算出に関する記載欄の解説となります。
STEP2「所得割額」の算出に関する記載欄を記入する
次に第6号様式の左上部分の所得割額の算出に関する記載欄を記載していきます。
この欄では、主に所得割額に関する内容を記載します。
❶ 「所得金額総額(69欄)」を記載する
この欄には、70欄の金額を転記します。
❷ 所得金額から所得割の税額を算出して記載する(29欄から33欄)
この29欄から31欄及び33欄は所得金額ごとに所得割額の算出し、記載する欄です。
この欄は、「課税標準」、「税率」、「税額」をそれぞれ記載することになります。
なお、「所得割額の算出に関する記載欄」の黒塗り部分の解説はこちらのリンクからご覧ください。
ただ、赤字法人の場合、この所得割額の課税標準となる所得金額がありませんので、29欄から33欄kまで空欄となり、算出された所得割額は「0」となります。
「付加価値割」、「資本割」、「収入割」に関する記載欄について
この欄では、主に所得金額の計算の内訳に関する内容を記載します。
「付加価値割」「資本割」「収入割」と書いてある欄がありますが、全部黒塗りになっていますね。
ここは中小企業はいずれも使用しない欄なのでしょうか。
「付加価値割」「資本割」「収入割」はいずれも、ほどんどの中小企業は計算する必要はありません。
なぜなら、「付加価値割」「資本割」は、事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が1億円を超えている法人が計算する税金であり、「収入割」は、特殊な業種(送配電事業、ガス供給業、生命保険業、損害保険業、少額短期保険業及び貿易保険業)の法人のみが計算を行う税金だからです。
そのため、この3つの税金である「付加価値割」「資本割」「収入割」に関する計算欄は、当記事では割愛しています。
❶ 「合計事業税額(40欄)」を記載する。
この欄には「所得割」「付加価値割」「資本割」「収入割」の金額を足した金額を記載します。
記載欄としては、32欄、35欄、37欄、39欄を足した金額又は、33欄、35欄、37欄、39欄を足した金額を記載してください。
例題では、32欄、35欄、37欄、39欄に記載がありませんので、40欄についても「0」となります。
「事業税額」の算出に関する記載欄を記入する
この欄では、主に事業税額の算出に関する内容を記載します。
❶ 「差引事業税額(43)欄」を記載する
この欄には、40欄の金額から41欄と42欄の金額を差し引いた金額を記載します。
❷ 「既に納付の確定した当期分の事業税額(44欄)」を記載する
中間申告分の事業税額がある場合は、44欄に記載します。
設例では、中間納付額が2,460,000円ありますので、「2,460,000」が記載されています。
❸ 「この申告により納付すべき事業税額(46欄)」を記載する
この欄には、43欄の金額から44欄と45欄の金額を差し引いた金額を記載します。
設例では、「△2,460,000」と記載されており、この欄がマイナス表記(△)である場合、この金額が事業税の中間納付による還付金額となります。
❹ 「㊻の内訳・所得割(47欄)」を記載する
この欄には、46欄の内、「所得割額」に関する税額等を記載します。
記載例では、「所得割額」の中間納付額のみ発生しているため、46欄の金額を転記します。
❺ 「差引(52欄)」を記載する
この欄には、46欄の金額から51欄の金額を差し引いた金額を記載します。
以上で、「事業税」の算出に関する記載欄については完成となります。
なお、「事業税の算出に関する記載欄」の黒塗り部分の解説はこちらのリンクからご覧ください。
次は「特別法人事業税」の算出に関する記載欄の解説となります。
2-3-3「特別法人事業税」の算出に関する記載欄を記入する
この欄では、主に特別法人事業税に関する内容を記載します。
上記の画像のとおり、特別法人事業税を算出するに関する記載箇所は、第6号様式の左側真ん中あたりの赤枠部分となっています。
まずは、「所得割額」、「収入割額」の計算に関する欄からの解説となります。
「所得割額」、「収入割額」の算出に関する記載欄を記入する
この欄では、主に「所得割額」、「収入割額」に関する内容を記載します。
❶ 「所得割に係る特別法人事業税額(53欄)」を記載する
この欄では、課税標準(事業税の所得割額)に税率を乗じて特別法人事業税額の所得割額の算出し、記載する欄です。
「課税標準」、「税率」、「税額」をそれぞれ記載することになります。
ただ、赤字法人の場合、この所得割額に係る特別法人事業税額の課税標準となる事業税の所得割額が「0」となります。
そのため、53欄はすべて空欄となります。
❷ 「合計特別法人事業税額(55欄)」を記載します
この欄には、53欄の税額と54欄の税額を足した金額を記載します。
記載例では、53欄、54欄のいずれの税額も「0」であるため、空欄となります。
「特別法人事業税額」の算出に関する記載欄を記入する
この欄では、主に特別法人事業税額の算出に関する内容を記載します。
❶ 「差引特別法人事業税額(57欄)」を記載する
この欄には、55欄の金額から56欄の金額を差し引いた金額を記載します。
❷ 「既に納付の確定した当期分の特別法人事業税額(58欄)」を記載する
中間申告分の特別法人事業税額がある場合は、58欄に記載します。
記載例では、特別法人事業税額の中間納付額は「910,000円」ですので、58欄に「910,000」が記載されています。
❸ 「この申告により納付すべき特別法人事業税額(60欄)」を記載する
この欄には、57欄の金額から58欄と59欄の金額を差し引いた金額を記載します。
設例では、「△910,000」と記載されており、この欄がマイナス表記(△)である場合、この金額が特別法人事業税額の中間納付による還付金額となります。
➍ 「差引(62欄)」を記載する
この欄には、60欄の金額から61欄の金額を差し引いた金額を記載します。
以上で、「特別法人事業税額」の算出に関する記載欄については完成となります。
なお、「特別法人事業税の算出に関する記載欄」の黒塗り部分の解説はこちらのリンクからご覧ください。
次は「その他」に関する記載欄の解説となります。
2-3-4「その他」の記載欄を記入する
この欄では、税額の算出に関する記載以外その他の記載欄に関する内容を記載します。
上記の画像のとおり、「その他」の記載欄は、第6号様式の一番下の赤枠部分となっています。
❶ 「還付請求 中間納付額」を記載する
この欄は、中間納付額の還付を受ける場合に使用する欄です
この欄に記載する金額は、△(マイナス)となっている16欄(この申告により納付すべき法人税割額)、20欄(この申告により納付すべき均等割額)、46欄(この申告により納付すべき事業税額)、58欄(この申告により納付すべき特別法人事業税額)を合計した金額を記載します。
還付請求・中間納付額の記載の注意点
この欄を記載するにあたり、注意点が一つあります。
それは、16欄「法人税割額」、20欄「均等割額」、46欄「事業税額」、60欄「特別法人事業税額」のうち、「△(マイナス)」の金額だけ合計し、その金額から「△(マイナス)」を取った金額を72欄に記載するということです。
記載例で見てみると、16欄が「△83,000」、20欄が「10,000」、46欄が「△2,460,000」、60欄が「△910,000」となっていることから、還付となっている16欄、46欄、60欄の金額を足した金額(83,000+2,460,000+910,000=3,453,000)から納付となっている20欄の金額(10,000)を差し引いた金額である「3,443,000」を記載するように思えます。
しかしながら、20欄が「10,000」で正の数であるため、この欄は無視して計算を行います。
正しく計算を行うと、「83,000+0+2,460,000+910,000」となり「3,453,000」がこの還付請求・中間納付額欄に記載されることになります。
このように、16欄、20欄、46欄、60欄が納付である場合、この納付額を差し引くのではなく、あくまで、還付金額(△(マイナス)の金額)の合計金額を記載するようにしてください。
申告書の書き方としては、このように法人税割、事業税、特別法人事業税額の還付金額と均等割の納付額は差し引きしないで、記載することになりますが、実務では、均等割の金額を納付して、法人税割、事業税、特別法人事業税額の金額を還付するということはしなくて大丈夫です。
今回の例でいえば法人税割、事業税、特別法人事業税額の還付金額が合計で3,453,000円で均等割が10,000円であれば、納付しなければ、3,453,000- 10,000 = 3,443,000円が還付されてきます。
その際「中間納付税額を均等割額に充当希望」とわかるように申告書の余白に記載しておくとなおよしです。
❷ 「法人税の期末現在の資本金等の額又は連結個別資本金等の額」を記載する
この欄には、期末現在の資本金等の額を記載します。
資本金等の額というのは、法人が株主等から出資を受けた金額のことを指します。
企業会計上の資本金と資本剰余金がこれに当たります。
❸ 「法人税の当期の確定税額又は連結法人税個別帰属支払額」を記載する
この欄には、当事業年度の法人税額を記載します。
次のように法人税の別表1の9欄の金額を記載してください。
➍ 「決算確定の日」を記載する
この欄には、提出する申告書に係る決算が確定した年月日を記載します。
決算確定の日とは、決算書がしかるべき機関(例えば株主総会)で承認された日を指します。
例えば株式会社の場合は、定時株主総会で決算の承認を行いますので、定時株主総会日が「決算確定の日」になります。
➎ 「申告期限の延長の処分(承認)の有無」について記載する
この欄には、法人税及び事業税の確定申告の延長の適用の有無について、該当する方に〇をつけます。
「申告期限の延長の特例」というのは、法人が2カ月以内には決算が確定しないという場合などに、所轄税務署等に「申告期限の延長の特例の申請書」を提出することで申告期限を1カ月延長することができる制度のことを言います。
❻ 「法人税の申告書の種類」について記載する
この欄には、提出する申告書が「青色申告書」かそれ以外かについて、該当する方に〇をつけます。
❼ 「翌期の中間申告の要否」について記載する
この欄には、翌期において中間申告を行うかどうかについて、該当する方に〇をつけます。
中間申告義務者は以下の条件のすべてに当てはまる法人が該当します。
- 事業年度が6か月を超える法人
- 前事業年度に係る法人税額が20万円を超える法人
法人税の中間申告義務がある法人は、法人都道府県民税及び法人事業税の中間申告義務者となり、事業年度の6ヶ月を超えた後、2ヶ月以内に中間申告を行う必要があります。
➑ 「国外関連者の有無」について記載する
この欄には、日本との租税条約締結国に子会社又は親会社等を有する場合に「有」に〇を付けてください。
その他の法人の場合は、「無」に〇を付けてください。
❾ 「還付を受けようとする金融機関及び支払方法」について記載する
この欄は、中間納付額の還付を受ける場合に使用する欄です。
還付金を入金を受けたい口座情報を記載します。
記載例での申告は、中間還付申告となりますので、還付を受けようとする金融機関の口座情報を記載しています。
なお、「その他の記載欄」の黒塗り部分の解説はこちらのリンクからご覧ください。
これで【ケース2】「赤字の法人である場合」の第6号様式の書き方の解説についても以上となります。
以上で第6号様式の書き方の解説は終わりとなります。
いかがだったでしょうか、人によっては難しいと感じる方もいるとは思いますが、思っているよりは難しくなかったのではないですか?
なんとなく書けそうな気もするけど、計算をしたり、転記したりと結構ミスしそうな作業が多いですね…
やっぱり書き方を見ながら第6号様式を作るのは面倒だな。そもそも法人税の申告書も作ってからじゃないと第6号様式にたどり着かないし、自力で書くこと自体が面倒に思えてきた…
やっぱ高いけど税理士に依頼するしかないか…とほほ…
このくらいのことで税理士に依頼するのはもったいないですよ。
このような面倒くさがり屋さんにぴったりの方法が実はあります。
弊社が提供している、誰でも法人税の知識なしに簡単に法人税の申告書が作成できるクラウド税務ソフト「全力法人税」を利用する方法です。
第6号様式の作成に至っては、なんと法人税の申告書に作成に必要な入力を行うと、勝手に第6号様式が出来上がってしまいます。
第6号様式を作成するための特別な作業は一切ありません。
また、この手のソフトは有料会員になってからようやく作業ができますが、この全力法人税であれば、無料で作成でき、法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の税額を確認することができます。
(第6号様式の印刷は有料会員になる必要があります。)
ここで全力法人税を使って第6号様式の作成方法を紹介させてもらいたいと思います。
3 もっと早く正確に第6号様式を作成する方法
第6号様式を簡単に正確に効率的に作成する方法を紹介します。
その方法とは、誰でも簡単に法人税の申告書が作成できるクラウド税務ソフト「全力法人税」を利用するという方法です。
ここからは、やっぱり第6号様式を自分で作成するというのが面倒な方に向けて、全力法人税を使って第6号様式を簡単高速に作成する方法を紹介します。
転記が多くて記載欄を間違えそう、どこに何を記載するのかを記事を見ながらだと面倒だ、こういった理由で第6号様式を自分で書きたくないという方、
そんな方は、誰でも簡単に法人税の申告書が作成できるクラウド税務ソフト「全力法人税」を利用すれば、必要最低限の情報を入力するだけで瞬時に第6号様式ができてしまいます。
ちなみにこの記事で第6号様式について解説するために記載例を掲載しましたが、それも全力法人税でちゃちゃっと作成したものです。
それに、先ほどもお伝えしましたが、第6号様式の作成に至っては、なんと法人税の申告書に作成に必要な入力を行うと、勝手に第6号様式が出来上がってしまいます。
第6号様式を作成するための特別な作業は一切ありません。
全力法人税は、法人税の知識がなくても誰でもかんたんに法人税の申告書や法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の申告書が作成できるをコンセプトとしたソフトです。
かなりの高機能にもかかわらず一部の申告書の出力を除いてすべての機能を無料で利用できます。これほど高機能で無料で利用できるものを他に知りません。
実績は、これまでアカウントの登録数は21,000を超えています。
元国税調査官・税理士が監修しており、お客様レビューでの高評価数700件越えで信用できます。
【手書きと全力法人税利用の比較】
全力法人税で作成した場合、これだけのメリットがあります。
特に作成時間は法人税の申告書の作成が終わっているのであれば、あとは出力するだけです。
全力法人税で作成する方法のデメリットと言えば、第6号様式を出力するには、有料となってしまうこと、またクラウドソフトなので、利用するのにアカウント登録がいるというくらいでしょうか。
ここからは、全力法人税を使って実際に第6号様式を作成する方法を紹介します。
まずは次のページにアクセスしていただき、新規アカウント登録(メールアドレスとパスワードの登録)をする必要があります。
アカウント登録は、全部の書類を印刷したい場合にのみ有料会員となる必要があるだけで、それ以外の機能をすべて無料で利用することができますのでご安心ください。
❶ 全力法人税にログインする
全力法人税は、クラウドソフトであるため、アカウントを作成して、ログインする必要があります。
❷ トップ画面で「申告書を作成する」を選択する
❸ 基本情報を入力後「保存」して「次へ」を選択する
法人名や決算期等の法人の基本的な情報を入力してください。所要時間5分程度
❹ 「申告情報」を入力後「保存」して「次へ」を選択する
作成を行う申告書の情報を入力してください。所要時間5分程度
❺ 「決算情報」の会計データのインポートもしくは、入力を行う。
全力法人税で申告書の作成を行うには、「決算情報」を会計ソフトから出力した会計データをインポートするか、または入力する必要があります。
弥生会計(弥生オンライン含む)、MFクラウド会計、freee、会計王の会計データを全力法人税に取り込むことができます。
またその他の会計ソフトの場合は会計データを全力法人税に取り込める形に整形することでインポートすることも可能です。
全力法人税へインポートするマニュアルを参考までに以下に挙げておきます。
弥生会計からデータをインポートする方法
Freee(フリー)の会計データをインポートする方法
マネーフォワードの会計データをインポートする方法
弥生会計オンラインの会計データをインポートする方法
会計王の会計データをインポートする方法
あらゆる会計ソフトの会計データをインポートする方法
今回はイメージがしやすい会計ソフトのデータを読み込まずに申告書を作成する方法をご紹介します。
その場合は、次の画面で「その他の方法で作成する」を選択します。
手入力が増えますが、それでも簡単に申告書を作成することができます。
法人税の申告書を作成するのに必要な決算情報を入力します。
このデータだけで法人税の確定申告に必要な別表を簡単に作成できます。
入力が終わったら「登録」ボタンを押します。
その後画面の案内にしたがって、申告内容によって必要な勘定科目内訳明細書や別表、事業概況説明書に関する入力を進めます。
すべての入力を終えたら申告書類を出力します。
すると、法人税の申告に必要な別表が作成され、同時に第6号様式も完成されています。
❻ 第6号様式を出力する
有料版の場合は、すべての書類に関してPDF出力とeTaxソフトに組み込めるファイルを出力することが可能です。
メニューバー「印刷」をクリックすると、「申告書出力コントローラー」画面が表示されます。
第6号様式のチェックボックスにチェックを入れて、「PDF出力」をクリックすると、作成した第6号様式が出力されます。
なお、「道府県提出先」欄に管轄の県税事務所を入力すると、申告書に提出先の県税事務所長が入力されます。
すると、有料版の場合は、次のように印刷されます。無料版では第6号様式の内容を確認することはできません。
第6号様式 記載例
以上で第6号様式が完成しました。
記事を作成するために第6号様式を全力法人税で作成しましたが、簡単すぎて説明するところが本当に少ないです。
なお、無料版の場合は、都道府県民税の合計額と事業税と特別法人事業税の合計額を確認することが可能です。
このように全力法人税を使用して第6号様式や法人税の別表を作成するとかなり効率的にそして転記漏れもありませんので正確に作成できます。
無料版で出力できない申告書も画面で確認できる場合がありますので、全力法人税で作成したものをe-Taxソフトに入力したり、申告書に手書きで写す方法でも何もないところから申告書を作るよりずっと効率的に作成できます。
なお、有料版では、作成したすべての申告書類を出力することができ、税理士に申告書の作成依頼をするよりも手間も掛からず、かつ低コストです。(有料版と無料版での出力可能書類の違い)
是非効率的でかつ、低コストで申告書を作成したいという方はこの法人税の申告書作成支援ソフト「全力法人税」を試して損はないと思います。(全力法人税のお支払いシステムについて)
ここまで、第6号様式を効率的に作成する方法を解説してきました。
次の章では、この作成した申告書を基に、法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の納付書を書き方を解説していきたいと思います。
4 法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の納付書の書き方
ここでは、法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の納付書の書き方について解説していきます。
法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の納付書の書き方についても教えてほしいです。
法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の納付書の様式は、都道府県によって微妙に違いがありますが、基本的にどの都道府県でもほぼ同じ内容を記載することになります。
今回は、納付書の書き方の解説にあたり、神奈川県の法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の納付書を使って解説していきたいと思います。
まずは、神奈川県の法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の納付書の記載例をご覧ください。
納付書の下に記載されているように、納付書は3枚で1組となります。
3枚とも同じ内容を記載して、納付を行います。
それでは、納付書の書き方を解説していきたいと思います。
まずは、納付書の記載する欄を確認していきます。
納付書の黒塗り部分は記載しないケースが多くなります。
❶ 法人の所在地及び法人名を記載する
こちらの欄には、法人の事務所等の所在地と法人名を記載します。
❷ 管理番号を記載する
こちらには、管理番号を記載します。
管理番号は、県税事務所から送付されてきた申告書の右上に記載されている番号です。
国税庁によって振られている法人番号(13桁)ではありません。
都道府県によって、管理番号の桁数の違いますがあります。
どうしても、管理番号がわからない方は、県税事務所にお問い合わせください。
なお、初めて法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税を納付する場合は、記載の必要はありません。
❸ 事業年度を記載する
この欄には、申告する事業年度を記載します。
事業年度とは、会計期間(通常は1年間)のことです。決算期とも呼びます。
会計年度の開始年月日と終了年月日を記載します。
➍ 申告区分を記載する
この欄には、申告の区分を記載します。
申告の区分については、申告の種類のことを指しています。
例えば、確定申告であれば、「確定申告」、修正申告であれば、「修正申告」と記載してください。
➎ 法人税割額を記載する
この欄には、法人税割額の金額を記載します。
第6号様式の16欄の金額を記載してください。
❻ 均等割額を記載する
この欄には、均等割額の金額を記載します。
第6号様式の20欄の金額を記載してください。
❼ 合計額を記載する
この欄には、法人税割額と均等割額の合計金額を記載します。
記載例では、16,600円(法人税割額(01))+20,000円(均等割額(02))=36,600円(合計額(04))が記載されています。
➑ 事業税の所得割額を記載する
この欄には、事業税の所得割の金額を記載します。
記載例では、第6号様の47欄の金額を記載してください。
❾ 特別法人事業税額を記載する
この欄には、特別法人事業税の金額を記載します。
記載例では、第6号様62欄の金額を記載してください。
❿ 計(10欄)を記載する
この欄には、05欄「所得割額」から09欄「特別法人事業税額」までを足した金額を記載します。
記載例では、492,000円(05欄)と182,000円(09欄)を足した金額である674,000円が記載されています。
⓫ 計(15欄)を記載する
この欄には、10欄「計」から14欄「重加算税」までを足した金額を記載します。
記載例では、金額が記載されている欄が10欄のみであるため、同額である674,000を15欄に記載しています。
⓫ 合計額(16欄)を記載する
この欄には、04欄「計」と15欄「計」を足した金額を記載します。
記載例では、04欄の金額が36,600円、15欄の金額が674,000円であるため、二つの合計金額である710,600円を16欄に記載しています。
❾ 納期限を記載します
この欄には、納付期限を記載します。
納付期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。
記載例では、事業年度が令和4年1月1日から令和4年12月31日の事業年度終了の日の翌日から2か月以内である令和5年2月28日を記載しています。
これで法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税の納付書の書き方の解説は以上となります。
ここまで第6号様式の作成の仕方や法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税について解説してきましたが、ここで、最後の復習として、第6号様式や法人道府県民税(都民税)、法人事業税、特別法人事業税について振り返りましょう。
5 まとめ
ここまで解説してきたことを簡単に振り返ります。
- 第6号様式というのは、法人道府県民税、(法人都民税)、法人事業税、特別法人事業税を申告するための様式でした。
- 法人道府県民税、(法人都民税)、法人事業税、特別法人事業税の申告は、事務所等を設けているすべての法人が原則申告が必要な税金でした。
- 法人道府県民税、(法人都民税)、法人事業税、特別法人事業税の申告期限及び納付期限は原則として、事業年度終了の日の翌日から2か月以内でした。
- 第6号様式は一見難しい書類ですが、使用することない欄も多く、税率の確認には注意を要しますが、あとは基本的に転記と簡単な計算を行うことで完成することができる書類でした。
- 第6号様式を作成するためには、法人税申告書の別表1と別表4が必要でした。
- 全力法人税という申告ソフトを使うと正確かつ、短時間で綺麗な第6号様式を作成することができました。
第6号様式のように、一度書き方や制度について理解することが出来れば、高い専門知識などなくても十分自力申告が可能であることがわかっていただけたと思います。
そして申告ソフトを使えば、もっと簡単、正確、効率的に進めることも可能です。
全力経理部の法人税の書き方の記事を読みながら、最短距離で自力申告をやり遂げてもらえると、たいへん嬉しく思います。
他にも法人税の別表の説明や書き方の解説をわかりやすく行なっていますので、よろしければそちらもご覧いただけたらと思います。
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