
フリーランスとしてだいぶ軌道に乗ってきた今日この頃。
この前友人に会社を設立した方が節税できるから法人化した方が良いと言われたけど、会社を設立したらどんな税金を支払うことになるのかな。
法人を設立したら、個人事業主であったときに支払っていた税金の代わりに、色々な種類な税金を支払うことになります。
主な税金としては、法人税や消費税、それ以外にも法人住民税、法人事業税、特別法人事業税などの税金があります。
法人が納める主な税金概略図
法人にはたくさんの種類の税金があるのですね、知りませんでした。
それらの税金は、すべて自分に関係があるような税金なんでしょうか。
今、紹介した法人税、法人住民税(法人都民税)、法人事業税、特別法人事業税については、少なくともあなたが会社を設立した場合、確実に関係する税金です。
個人事業主でも事業税を支払っていると思いますが、今回の記事ではこれらの税金の中でも「法人事業税及び特別法人事業税額」をピックアップして解説していきたいと思います。
- 法人事業税・特別法人事業税の概要
- 法人事業税・特別法人事業税の計算方法
- 法人事業税・特別法人事業税の申告、納税方法と申告納税の期限
この記事は、今は個人事業主だが会社を設立したいと考えている方や、最近法人を設立したばかりの方で自分で税金の申告をしていきたいという中小企業向けに書かれたものになります。
内容としては、法人事業税・特別法人事業税の概要や申告納税の仕方についてなど、法人事業税・特別法人事業税について実務で知っておくべき基本を押さえた内容となっています。
税務初心者の方にも「法人事業税・特別法人事業税」についての必要な知識が簡単に理解できるよう、わかりやすく解説していますので、最後までご覧ください。
目次
1 法人事業税及び特別法人事業税の概要
まずは、法人事業税・特別法人事業税という税金の概要から確認していくことにしましょう。
1-1 法人事業税とは
まずは、法人事業税とは何かについて解説していきたいと思います。
1-1-1 法人事業税の概要
個人事業主も事業を行なっている都道府県に納めている事業税と同じく、法人事業税は会社が事業を行っている都道府県に対して納付する税金です。
法人が納付する税金には大きく分けて2つの種類があります。
それは、国に納付する「国税」と地方自治体に納付する「地方税」です。
法人事業税というのは、その「地方税」に属する税金です。
法人が納める主な税金概略図
この記事では法人事業税と特別法人事業税にフォーカスして解説していますが、法人県民税と法人市民税を合わせた法人住民税については、次の記事で詳しく解説しています。
今回の記事と併せて参考にしていただければと思います。
法人事業税を納付する必要がある会社はどんな会社でしょうか?
私の会社も納付が必要でしょうか?
1-1-2 法人事業税の納税義務者
法人事業税を納付する必要がある会社とは?
事業を行っているすべて法人ということは、私の会社も関係ありそうですね。
法人住民税では、赤字法人でも掛かる「均等割」という税金がありましたが、法人事業税も赤字法人にも掛かるような税金なのでしょうか?
法人事業税は、法人が事業を行ったことで得た所得に対して課される税金です。
そのため、赤字法人で、所得が発生していない法人であれば、法人事業税を納付する必要はありません。
地方自治体と言っても「都道府県」や「市町村」があると思うですけど、どちらに納付するものなのでしょうか。
法人事業税というのは、都道府県に納付する税金です。
そのため、申告書の提出、納付のいずれも管轄の県税事務所に行うことになります。
申告、納税の詳しい内容については、後ほど行います。
1-2 特別法人事業税とは
次に特別法人事業税とはどのような税金なのかを確認していきましょう。
1-2-1 特別法人事業税の概要
令和元年の税制改正によって、地方法人特別税が廃止され、法人事業税から分離して導入された税金が特別法人事業税となります。
法人事業税とは異なり、国税に属します。(実務ではこの部分はあまり気にする必要はありません。)
1-2-2 特別法人事業税の納税義務者とは
特別法人事業税を納付する必要がある法人はどのような法人なのでしょうか。
特別法人事業税も法人事業税と同様に、都道府県に納付する税金です。
そのため、申告書の提出、納付のいずれも管轄の県税事務所に行うことになります。
特別法人事業税は、単独で納めるのではなく、法人事業税と併せて納付することになります。
申告、納税の詳しい内容については、後ほど行います。
次に法人事業税と特別法人事業税の特徴について、少し紹介していきたいと思います。
1-3 法人事業税・特別法人事業税の特徴
法人事業税と特別法人事業税の特徴を二つ紹介したいと思います。
法人事業税と特別法人事業税の特徴は以下の二つとなります。
法人事業税及び特別法人事業税の特徴
- 赤字法人は税額が発生しない
- 法人税法上、翌期の損金に算入することができる
1-3-1 赤字法人は税額が発生しない
法人事業税及び特別法人事業税の特徴の一つとしては、所得がない法人(赤字法人)の場合、法人事業税は発生しません。
法人事業税と同じ、地方税である法人住民税は所得が発生していない場合でも、均等割という税金が発生するのに対して、
法人事業税 法人の所得金額に税率を掛けて算出する税金
特別法人事業税 その法人事業税に税率を掛けて算出する税金
法人の所得金額が0以下ならそこにいくら税率を掛けても0なので、税金は発生しません。
法人の所得金額 | 法人事業税 | 特別法人事業税 |
---|---|---|
0(①) | 0 (①)× 7% = 0(②) | 0(②) × 37% = 0 |
1-3-2 翌期の損金に算入することができる
法人が納付する税金のうち、法人事業税及び特別法人事業税における特徴が一つあります。
それは、法人事業税及び特別法人事業税は翌年の損金に算入できるということです。
「損金算入」というのは、法人税等を算出するための基となる「所得」を計算する上で、所得を減算することを言います。
簡単に言うと、法人税等を計算する上での費用にすることができるということです。
損金算入について、詳しく知りたい方は次の記事をご覧ください。
法人税、法人住民税、法人事業税及び特別法人事業税の中で、法人事業税と特別法人事業税のみが損金算入することができることから法人事業税の特徴と言えます。
税目 | 損金算入の可否 |
法人事業税・特別法人事業税 | 損金に算入することできる |
法人税 | 損金算入できない |
法人住民税 | 損金算入できない |
なお、特別法人事業税についても、法人事業税と同様に、法人が事業を行ったことで得た所得に対して課される税金です。
そのため、赤字法人で、所得が発生していない法人であれば、特別法人事業税が課されることはありません。
うわー損金に算入するとか難しくなってきましたねぇー
ぐにゃぐにゃ
自分で法人の税金を計算したいという場合は、避けては通れないところではあります。
しかし自力申告用の税務ソフトの全力法人税などを使えばこの辺りは考えなくても自動的に計算してくれますからそういうものを活用して乗り切るというのも考えておくといいと思います。
わ、わかりました。
法人事業税、特別法人事業税の概要はおおむね理解できたと思います。
この法人事業税と特別法人事業税はどのように計算するのでしょうか。
続いて、法人事業税、特別法人事業税がどのような計算で算出されるのかを確認していくことにしましょう。
2 法人事業税及び特別法人事業税の計算方法
法人事業税・特別法人事業税の計算方法について、解説していきたいと思います。
2-1 法人事業税の計算方法
まずは、法人事業税の計算方法から確認していきましょう。
上のように、法人事業税の計算は、「所得割額」、「付加価値割額」、「資本割額」、「収入割額」の4つの税金を足したものとなります。
これら4つの税金は、それぞれ算出方法が異なり、4つの税金を算出し、足したものが法人事業税の税額となっています。
4つも税金を算出しなければいけないんですか!?
大変そうだな、、
法人事業税を構成するのは4つの税金ですが、
ほとんどの中小企業は所得割のみを算出することになります。
また、その所得割は、法人税と同様に「所得」を基に税額を算出する税金です。
そのため、赤字法人である場合は、税額は発生しません。
コラム「付加価値割」「資本割」「収入割」は、なぜ多くの中小企業が算出しないのか
「所得割」以外の「付加価値割」「資本割」「収入割」はいずれも、ほどんどの中小企業は算出することはありません。
なぜなら、「付加価値割」「資本割」は、事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が1億円を超えている法人が計算する税金であり、「収入割」は、特殊な業種(送配電事業、ガス供給業、生命保険業、損害保険業、少額短期保険業及び貿易保険業)の法人のみが計算を行う税金だからです。
付加価値割 | 資本割 | 収入割 |
---|---|---|
資本金の額又は出資金の額が1億円超の法人対象 | 特殊な業種(送配電事業、ガス供給業、生命保険業、損害保険業、少額短期保険業及び貿易保険業)の法人対象 |
そのため、この3つの税金である「付加価値割」「資本割」「収入割」の解説は、当記事では割愛しています。
それでは、次に多くの法人が算出することになる法人事業税の所得割について、確認していきます。
2-1-1 所得割とは
多くの法人が算出することになる法人事業税の所得割の内容を確認していきます。
所得割額は各都道府県において定められている税率を掛けて算出します。
所得割額は法人税の申告書に記載されている「所得金額」を基に税額を計算することになります。
具体的には、法人税申告書の別表4の52欄の金額に所得割の税率を乗じます。
このように、所得割額の算出は、法人の所得金額に税率を掛けることから、儲かっている会社には多くの税額が発生するような仕組みとなっています。
こちらの金額に税率を掛けるわけですね。
では、所得割の税率は何パーセントでしょうか。
法人税割の税率は、都道府県、市町村の自治体によって税率が違うため、一概に何パーセントというのはお示しできません。
税率の確認する方法としては、各都道府県で定めるられている税率表を用いて確認することになります。
税率の確認の仕方も教えていただけますでしょうか。
では、法人事業税の所得割の税率の確認の仕方を解説していきたいと思います。
2-2-2 法人事業税の所得割の税率表の見方
法人事業税の所得割の税率を税率表から確認していきたいと思います。
法人事業税の税率表は、各都道府県によって若干の違いがあります。
今回の解説では、神奈川県の税率表を例に解説していきます。
設例内容
・資本金等の額 300万円
・所得金額 1,000万円
以下の画像が神奈川県の法人事業税の税率が分かる税率表となります。
この税率表は初めて見る方には、かなり難しく感じるでしょう。
私も初めて税率を確認した際に、誤った税率で計算してしまったことがあります、、、
この税率の適用は、税額算出において、とても大事なところです。
ここで誤った税率を適用すると税額を間違えてしまいますので、税率の適用には細心の注意が必要です。
それでは、ここで、この税率表を使って税率を決定する方法を解説していたいと思います。
この税率表の赤枠で表示されている欄が中小企業が使用する法人事業税の所得割の税率となります。
この欄は、記載されているとおり、資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人が使用する税率となります。
税率表の赤枠部分を使用する会社は以下の条件を満たしている法人となります。
- 資本金の額が1億円以下の法人
- 農業協同組合、消費生活協同組合、使用金庫、医療法人以外の法人
設例では、資本金の額が300万円であり、資本金の額が1億円以下あるため、上記の赤枠の税率を使用することになります。
なるほど、この欄から税率がわかるということですね。
あれ?ちょっと待ってください。
税率が何個も書かれていますね。どこを見ればいいのでしょうか?
所得割の税率は、その会社の規模や儲けの程度によって変わります。
法人事業税の税率は軽減税率というものがあり、通常の税率より低い税率が適用されます。
中小企業の多くは、この軽減税率を使用して税額の算出を行うことになります。
軽減税率は以下の欄の税率を使用することになっています。
上記のように軽減税率は、所得の金額が多くなるごとに段階的に税率が高くなるように設定されています。
それに対して、以下の赤枠にある税率は「軽減税率不適用法人」に該当する法人が使用する税率となります。
ご覧通り、所得の金額と関係なく、一律に高い税率を適用することになります。
「軽減税率不適用法人」ってどのような法人なのでしょうか。
「軽減税率不適用法人」とは
事業年度終了の日に3以上の都道府県において事務所又は事業所を設けて事業を行う法人で資本金の額又は出資金の額が1,000万円以上の法人のことを指します。
今回の例では、資本金等の額が1,000万円以下の法人であるため、「軽減税率」を使用することになります。
なるほど!
では、この所得割の税率表の上から3列目までの税率を確認するということですね。
でも、この税率表を見ると、( )書きされている税率とされていない税率が書かれているみたいですが、どっちが適用する税率なんでしょうか。
( )書きで表記されている方の税率を「標準税率」と言い、( )書きされていない方の税率のことを「超過税率」と言います。
神奈川県では、以下の2つの条件に当てはまる法人の場合、( )書きで表記されている税率(標準税率)を使用します。
神奈川県の場合の標準税率適用法人
- 資本金の額又は出資金の額が2億円以下である
- 所得金額が年1億5,000万円以下である
こちらの条件に当てはまらない法人については( )書きされていない方の税率(超過税率)を使用することになりますが、多くの中小企業の場合、資本金等の額が2億円以下かつ法人税額年4,000万円であることがほとんどであるため、( )書きで表記されている税率(標準税率)を使用することになります。
あえて「神奈川県では」と言いましたが、この標準税率を使用する対象となる法人は都道府県によって違いがあることがあります。
例えば、東京都の超過税率を使用する法人の条件を以下のようになっています。
東京都の場合の標準税率適用法人
- 資本金の額又は出資金の額が1億円以下である
- 法人税額又は個別帰属法人税額が年1,000万円以下である
このように、都道府県で標準税率を適用できる法人の条件に違いがありますので、都道府県から届く手引きや都道府県のホームページ等からご確認ください。
設例内容を確認すると、資本金等の額は300万円となっており、資本金の額又は出資金の額が1億円以下であるため、( )書きで表記されている税率を使用することになるということになります。
よって、設例での所得割の税率は以下の表のとおりとなります。
所得金額 | 税率 |
---|---|
年400万円以下 | 3.5% |
年400万円超800万円以下 | 5.3% |
800万円超 | 7% |
税率の確認の仕方についてはよくわかりました。
実際に会社の税額を算出して頂けませんか?
では、次の章で具体例を使って会社の法人事業税と特別法人事業税の税額を算出してみましょう。
実務では、法人事業税と特別法人事業税の申告書である第6号様式を作成することによって、税額がわかる形となっていますので、このように自分たちで計算式を覚えて算出することはありません。
あくまで、「こんな形で税額が算出されているだ」と知って頂くだけで結構です。
2-3 法人事業税の具体的な計算の仕方
ここでは、あるマイクロ法人を例に法人道府県民税と法人市民税の税額を算出していきたいと思います。
例題内容
事業年度:令和4年1月1日~令和4年12月31日
業種:小売業
事務所等:神奈川県横浜市(本店所在地)
資本金等の額:300万円
所得金額:1,000万円
まずは、法人道府県民税から確認していきます。
前述のとおり、法人事業税は所得割額、付加価値割額、資本割額、収入割額の4つを足した金額となります。
しかしながら、以下の理由から付加価値割額、資本割額、収入割額については算出を行いません。
付加価値割額、資本割額、収入割額の算出を行わない理由
- 「付加価値割」「資本割」は、事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が1億円を超えている法人が計算する税金
- 「収入割」は、特殊な業種(送配電事業、ガス供給業、生命保険業、損害保険業、少額短期保険業及び貿易保険業)の法人のみが計算を行う税金
上記の理由から付加価値割額、資本割額、収入割額は算出せず、所得割のみの算出を行っていきます。
所得割額の算出方法
所得額の算出を行います。
所得額の算出の式は、「所得金額×税率」です。
所得の金額は10,000,000円とします。
例題の事務所等は神奈川県にあるため、神奈川県の法人割額の税率表を使用します。
また、資本金の額が1億円以下であるため税率表の以下の赤枠を使用します。
今回の例では、資本金等の額が300万円で、法人税額が400万円であることから、( )書きで表記されている方の税率(標準税率)を使用します。
なお、神奈川県での( )書きで表記されている方の税率(標準税率)を使用する標準税率適用法人の要件は下のとおりです。
神奈川県の場合の標準税率適用法人
- 資本金の額又は出資金の額が2億円以下である
- 所得金額が年1億5,000万円以下である
税率表から、設例で使用する税率は以下のとおりとなります。
所得金額 | 税率 |
---|---|
年400万円以下 | 3.5% |
年400万円超800万円以下 | 5.3% |
800万円超 | 7% |
所得割額の算出式である、「所得金額×税率」で法人税割額を算出していきます。
年400万円以下の所得割額 | 4,000,000円(所得金額)×3.5%(税率)=140,000円(所得割額) |
年400万円超800万円以下の所得割額 | 4,000,000円(所得金額)×5.3%(税率)=212,000円(所得割額) |
800万円超の所得割額 | 2,000,000円(所得金額)×7%(税率)=140,000円(所得割額) |
所得割額の合計:140,000円+212,000円+140,000円=492,000円(所得割額の合計)
例題での法人事業税の所得割額は492,000円となります。
設例法人が算出すべき法人事業税は所得割額のみとなりますので、492,000円が設例法人が納付すべき法人事業税となります。
以上で、法人事業税の計算方法の解説は終了となります。
次に、特別法人事業税の計算方法について確認していきます。
2-4 特別法人事業税の計算方法
次に、特別法人事業税の計算方法について確認していきましょう。
2-4-1 特別法人事業税の算出について
特別法人事業税の算出式は以下の通りです。
上のように、特別法人事業税のの計算は、先ほど算出した法人事業税の金額に税率を掛けたシンプルな計算式となります。
法人事業税の金額は先程、算出したのであとは税率がわかれば、特別法人事業税を算出することが可能となります。
確かに法人事業税よりは簡単そうですね。
税率はどこで確認することが出来ますか?
特別法人事業税の税率は法人事業税と同様の税率表から確認することができます。
特別法人事業税の税率表の見方
特別法人事業税の税率を税率表から確認していきたいと思います。
特別法人事業税の税率表は、各都道府県のホームページ等で確認することができます。
税率表は各都道府県によって若干の違いがあります。
今回の解説では、これまで参照してきた神奈川県の税率表を例に解説していきます。
それでは、ここで、この税率表を使って税率を決定する方法を解説していたいと思います。
この税率表の赤枠で表示されている欄が中小企業が使用する法人事業税の所得割の税率となります。
この税率表の赤枠で表示されている欄が中小企業が使用する法人事業税の所得割の税率となります。
法人事業税とは違ってかなりわかりやすいですね。
単純に「37%」が特別法人事業税の税率ってことですよね。
おっしゃる通り、中小企業の多くが使用する特別法人事業税の税率は「37%」となっています。
特別法人事業税の税率は、法人事業税とは違い段階的な税率設定とはなっておらず、一律の税率が課されています。
なお、税率表の赤枠部分を使用する会社は以下の条件を満たしている法人となります。
- 資本金の額が1億円以下の法人
- 農業協同組合、消費生活協同組合、使用金庫、医療法人以外の法人
上記の条件を満たしていない法人の場合、下の税率表の赤枠に表示されている税率をしようすることになります。
税率が260%になっている!
資本金等の額が1億円を超える場合は税率が高くなるのか、、
自分の会社は資本金そんなにないけど、注意が必要ですね。
ご覧の通り、資本金等の額が1億円を超える大企業は高い税率を適用することになります。
特別法人事業税の税率の確認は法人事業税の税率の確認と比べてシンプルなものとなっていますが、税額を決定するものであることに変わりがないので、誤りがないようにしましょう。
では、次は法人事業税と同様に、特別法人事業税を設例に沿って算出してみましょう。
2-5 特別法人事業税の具体的な計算の仕方
ここでは、法人事業税の例と同じマイクロ法人の特別法人事業税の税額を算出していきたいと思います。
例題内容
事業年度:令和4年1月1日~令和4年12月31日
業種:小売業
事務所等:神奈川県横浜市(本店所在地)
資本金等の額:300万円
法人事業税の額:492,000円
特別法人事業税の算出の式は、「法人事業税の金額×税率」です。
設例では、法人事業税の金額は492,000円となっており、この金額に税率を掛けることになります。
それでは、税率を確認しています。
例題の事務所等は神奈川県にあるため、神奈川県の税率表を使用します。
なお、資本金の額が1億円以下であるため税率表の以下の赤枠を使用します。
その税率表から設例で使用する特別法人事業税の税率は「37%」とわかります。
それでは、次に特別法人事業税の算出式である、「法人事業税の金額×税率」で特別法人事業税を算出していきます。
特別法人事業税の算出
- 設例法人の法人事業税の金額:492,000円
492,000円(法人事業税の金額)×37%(税率)=182,000円(千円未満切り捨て)
この算出式から例題での、特別法人事業税の税額は182,000円となります。
以上で、特別法人事業税の計算方法の解説は終了となります。
法人事業税、特別法人事業税の計算方法について理解できました。
ところで、事務所が2つ以上の都道府県にある場合は、2つの都道府県に納付しなくてはいけないんですか?
1つの都道府県において、事業を行っている法人の場合は、その事業を行っている都道府県に法人事業税を納めることになりますが、2つ以上の都道府県において事業を行っている法人の場合、法人事業税を都道府県に分割して納付することになります。
それを、法人事業税の「分割基準」と言います。
次の章ではこの分割基準について解説していきたいと思います。
2-6 法人事業税の分割基準による計算
法人事業税は、事業所等がある都道府県に対して納付する義務が発生します。
そのため、複数の都道府県に事業所等がある場合、各都道府県に対して法人事業税を分割して納付する必要があります。このことを「分割基準」といいます。
分割基準の計算の方法は、会社がメインで行っている事業内容により変わります。
東京都のホームページに以下のような表がありますので、確認してみます。
上の表のような形で、業種によって法人事業税の按分計算の方法に違いがあります。
すべてを解説すると大変長くなってしまうため、今回の記事では、上記表の「ア 下記イからオ以外の事業(建設業、通信業、卸売業、小売業、銀行業、保険業、証券業、不動産業、サービス業、ソフトウェア業等)」の業種の分割基準について解説していきたいと思います。
この業種は製造業、倉庫業、ガス供給業、電気供給業、鉄道事業以外の業種がここに当てはまることになり、相当数の業種がこの分割基準を使用すFることになるかと思います。
多くの中小企業は「事業所の数 」と「従業員の数」に応じて法人事業税が分割され、それぞれの都道府県に納付します。
メインで行っている事業によって法人事業税の按分方法が変わるということですね。
ところで、事業所等の数及び従業員の数とありますが、具体的にどのようなことを指すのでしょうか。
2-6-1 事業所等の数とは
事業所等の数とは、実際に所有している事業所に関わらず、事業のために人的、物的設備として事業が継続的に行われている場所の数のことを言います。
そのため、一時的に事務所として使用していた場所は事務所として数えられません。
なお、分割基準でいうところの「数」とは、事業年度内の各月の最終日における数を合計したものをさします。
2-6-2 従業員の数とは
従業者というのは、給料や賃金などの支払いを受けるべき人のことを指します。
この場合において、当該事業の経営者である個人及びその親族又は同居人のうち当該事業に従事している者で給与の支払を受けない者は、給与の支払いを受けるべきものとみなします。
従業者の数は、事業年度の終了日に事業所ごとに数えます。新設したり廃止したりした場合は月数で按分し、従業者の数が年度内に大きく変動した場合は各月の平均をとります。
事業所の数、従業者の数については、理解できましたが、具体的にどのように法人事業税を按分計算を行うのでしょうか?
多くの中小企業の法人事業税の分割基準の計算は以下のような流れで算出することになります。
なお、こちらの算出の流れは、軽減税率を適用した製造業、倉庫業、ガス供給業、電気供給業、鉄道事業以外の業種の会社のものとなります。
分割基準の算出のSTEP
- STEP1 所得金額を段階税率の各区分に振り分ける
- STEP2 振り分けた所得金額を1/2にする。
- STEP3 1/2した金額を、事業所等の数、従業員の数でそれぞれ按分する。
- STEP4 按分した金額を合算し、各都道府県に納付すべき金額を算出する。
うーん、、なんかピンとこないですね。
具体的にどのように計算するのでしょうか。
それでは、法人事業税の分割基準での按分計算を例題に沿って解説していきたいと思います。
2-6-3 法人事業税の分割基準の具体例
ここでは、法人事業税の分割基準での按分計算を例題に沿って解説していきます。
設例の内容は以下の通りになります。
設例の前提条件
決算期:令和4年1月1日から令和4年12月31日
業種:小売業
資本金等の金額:資本金 2,000,000円
所得金額:15,000,000円
事業所数:神奈川県 1か所
静岡県 1か所 計 2か所
従業者の数:神奈川事務所 10名
静岡事務所 5名 計 15名
こちらの設例条件で、神奈川県に納付すべき法人事業税の分割基準による按分計算を行っていきます。
STEP1「所得金額を段階税率の各区分に振り分ける」
所得金額の総額を各区分に振り分けていきます。
所得金額の区分ってどのようなものですか?
軽減税率を適用した法人事業税の所得割額は所得金額の区分によって税率が変わります。
区分は以下のようになっています。
- 年400万円以下
- 年400万円超800万円以下
- 年800万円超
設例の所得金額である15,000,000円を区分分けすると以下のようになります。
所得金額15,000,000円の区分分け
- 所得金額のうち、年400万円以下分の金額 4,000,000円
- 所得金額のうち、年400万円超800万円以下分の金額 4,000,000円
- 所得金額のうち、年800万円超分の金額 7,000,000円
STEP2「振り分けた所得金額を1/2にする」
振り分けた所得金額に1/2を掛けます。
事業所の数で按分する金額と従業員の数で按分する必要があるため、1/2で掛ける必要があります。
区分分けした所得金額を1/2にすると以下のようになります。
区分 | 区分した所得金額 | 事業税等の数の按分で使用する所得金額 | 従業者の数按分で使用する所得金額 |
所得金額のうち、年400万円以下分の金額 | 4,000,000円 | 2,000,000円 | 2,000,000円 |
所得金額のうち、年400万円超800万円以下分の金額 | 4,000,000円 | 2,000,000円 | 2,000,000円 |
所得金額のうち、年800万円超分の金額 | 7,000,000円 | 3,500,000円 | 3,500,000円 |
STEP3「1/2した金額を、事業所等の数、従業員の数でそれぞれ按分する」
所得金額を区分分けし1/2した金額を事業所等の数、従業者の数でそれぞれ按分計算を行います。
按分の計算式は以下の通りです。
分割基準の按分式
事業所等の数による按分計算を行った所得金額 | 従業者の数による按分計算を行った所得金額 |
---|---|
事業所等の数の按分で使用する所得金額 × | 従業者の数の按分で使用する所得金額 × 分割基準の計算を行う都道府県に所属する事業者の数 / 総従業者の数 |
上記の式で所得金額の区分ごとに按分を行っていきます。
設例の内容で按分を行うと以下のようになります。
ここでは、神奈川県だけに焦点を当てて計算していきます。
・事業所等の数による按分
設例内容
総事業所数:2か所
神奈川県の事業所数:1か所
区分 | 算出式 | 按分した所得金額(千円未満切り捨て) |
所得金額のうち、年400万円以下分の金額 | 2,000,000円 × 1か所/2か所 | 1,000,000円 |
所得金額のうち、年400万円超800万円以下分の金額 | 2,000,000円 × 1か所/2か所 | 1,000,000円 |
所得金額のうち、年800万円超分の金額 | 3,500,000円 × 1か所/2か所 | 1,750,000円 |
・従業者の数による按分
設例内容
総従業者数:15名
神奈川県の事業所数:10名
区分 | 算出式 | 按分した所得金額(千円未満切り捨て) |
所得金額のうち、年400万円以下分の金額 | 2,000,000円 × 10名/15名 | 1,333,000円 |
所得金額のうち、年400万円超800万円以下分の金額 | 2,000,000円 × 10名/15名 | 1,333,000円 |
所得金額のうち、年800万円超分の金額 | 3,500,000円 × 10名/15名 | 2,333,000円 |
STEP4「按分した金額を合算し、各都道府県に納付すべき金額を算出する」
STEP3で事業所数の数、従業者の数のそれぞれで按分した所得金額を合算し、所得区分ごとに設定されている税率を掛けて税額を算出します。
設例内容で税額を算出すると以下の通りとなります。
区分 | 事業所の数の按分結果+従業者の数の按分結果 | 分割課税所得金額 |
所得金額のうち、年400万円以下分の金額 | 1,000,000円+1,333,000円 | 2,333,000円 |
所得金額のうち、年400万円超800万円以下分の金額 | 1,000,000円+1,333,000円 | 2,333,000円 |
所得金額のうち、年800万円超分の金額 | 1,750,000円+2,333,000円 | 4,083,000円 |
上記の式で算出した分割基準で按分された所得金額に神奈川県の法人事業税の税率を掛けて税額を算出します。
神奈川県の法人事業税の所得割税率は以下のとおりです。
所得金額 | 税率 |
---|---|
年400万円以下 | 3.5% |
年400万円超800万円以下 | 5.3% |
800万円超 | 7% |
税額を以下のように計算します。
区分 | 分割課税所得金額×税率 | 神奈川県に納付すべき法人事業税の金額(100円未満切り捨て) |
所得金額のうち、年400万円以下分の金額 | 2,333,000円×3.5% | 81,600円 |
所得金額のうち、年400万円超800万円以下分の金額 | 2,333,000円+5.3% | 123,600円 |
所得金額のうち、年800万円超分の金額 | 4,083,000円+7% | 285,800円 |
算出した分割基準による法人事業税を合計した金額が神奈川県に納付すべき法人事業税の金額となります。
81,600円+123,600円+285,800円=491,000円(神奈川県に納付すべき法人事業税)
静岡県についても同様に計算することで静岡県に納付する法人事業税についても算出することができます。ここでは内容が重複するため解説を割愛します。
これで、分割基準の解説は以上となります。
次に、法人事業税及び特別法人事業税の申告、納税の方法等について確認していきたいと思います。
3 申告・納付方法及び申告・納付期限
この章では、法人住民税の申告、納税の方法及び申告・納付期限について解説しています。
3-1 法人事業税・特別法人事業税の申告書の様式
まずは、法人事業税及び特別法人事業税の申告するための様式について解説します。
法人事業税と特別法人事業税の申告はどうやって行うのでしょうか?
法人事業税と特別法人事業税の申告書は違う様式なんですか?
法人事業税と特別法人事業税を申告するためには、どちらの税目も「第6号様式」を使用します。
「第6号様式」はどのような様式なんでしょうか。
法人事業税及び特別法人事業税額を申告するための様式である「第6号様式」について、簡単に解説します。
3-1-1 第6号様式とは
第6号様式は、法人事業税、特別法人事業税、法人道府県民税(都民税)の3つの税目が一つとなった申告書です。
様式としては、以下のようなものになります。
【法人事業税及び特別法人事業税の申告書(第6号様式)記載例】
3-1-2 法人事業税・特別法人事業税の申告書の書き方について
これが法人事業税と特別法人事業税の申告書なんですね。
なんか、難しそうですね。
一人では書けなさそうです。
確かに記載する欄が多くて、難しそうに感じる方もいると思います。
しかし、「第6号様式」は、中小企業が作成する内容であれば、決して自分で書き上げることは難しくない書類です。
「第6号様式」を自分で書き上げてみたいと考えている方のため、第6号様式の書き方に焦点を当てて解説している記事がありますので、詳しくはこちらをご覧ください。
3-2 法人事業税・特別法人事業税の申告書の提出方法
完成した申告書はどこに提出するのでしょうか。
完成した法人事業税・特別法人事業税の申告書である第6号様式は、以下の提出先となります。
提出先の詳細は各自治体のホームページに申告書の提出先が掲載されていますので、そちらをご確認いただくか、申告書類が郵送されてくる場合は、宛先を見ると記載があるはずです。
なお、控用が必要な場合、同じ内容の申告書を2部提出すると1部を控えとして受付印を押して返してくれます。
郵送の場合は、返信用封筒(切手貼付)を同封しておくと返送してくれます。
申告書の提出先はあくまで県税事務所の関係部署であり、税務署ではありませんので、ご注意ください。
第6号様式の提出の仕方は、県税事務所に持参すればいいのでしょうか。
確定申告書類は、次の3つの方法により提出できます。
- 窓口持参
- 郵送
- 電子申告
それぞれの提出方法のメリットデメリット
提出方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
窓口持参 | 窓口で不備があれば指摘してくれる場合がある | 交通費と労力をかけて提出場所に行くコスト |
郵送 | 窓口まで行かなくていい |
|
電子申告 |
|
|
これらの中から自社に適した提出方法を選択してください。
ここで電子申告について、もう少し詳しく見ていきましょう。
システム | eLTAX(エルタックス) |
---|---|
必要ソフト | PCdesk |
OS | Windowsのみ |
第6号様式等の申告書類を電子申告により提出する場合は、eLTAXというシステムを使い、PCdeskソフト(ダウンロード版)を利用して申告書を作成して送信します。
PCdeskソフト(ダウンロード版)は、Windowsでしか動作しません。Macでは電子申告用の申告書を作成することはできません。PCdesk(Web版)はMacも利用可能ですが、申告書を作成する機能がありません。
PCdeskは申告書のファイルを読み込ますこともできませんので、現状Macで電子申告することは公的にはできないことになっています。
電子申告する場合は、電子署名が必要になることから、電子証明書が必要になることにも注意が必要です。
(参考) 法人が利用可能な電子証明書には何がありますか。(国税庁HP)
PCdeskソフトは環境設定が面倒で、使い勝手もあまり評判が良くないので、電子申告のハードルは高めです。
ただ一度設定ができれば、やはり便利ですので、時間があればチャレンジする価値はあります。
3-3 法人事業税・特別法人事業税の納付方法
法人事業税及び特別法人事業税の納付方法について、確認しましょう
法人事業税及び特別法人事業税はそれぞれ、どうやって納付すればいいのでしょうか?
法人道府県民税と法人市民税の納付方法は分けて解説していきたいと思います
まずは、法人道府県民税の納付方法について解説します。
3-3-1 法人事業税・特別法人事業税の納付方法(納付書で納付)
法人事業税、特別法人事業税法人ってどうやって納付すればいいのでしょうか?
法人事業税、特別法人事業税の納付は、納付書を使用して納付を行います。
なお、この納付書で法人住民税である法人道府県民税の納付も行うことになります。
納付書は下の画像のような書類となります。
法人事業税、特別法人事業税の納付書様式例
納付書は、第6号様式と一緒に送ってくれる県税事務所が多いと思います。
申告書と同様に、県税事務所に直接取りに行く方法もありますし、納付予定の各都道府県のホームページからも出力することが可能です。
法人事業税、特別法人事業税は、どこで納付することができるのでしょうか。
法人事業税、特別法人事業税は以下の場所で納付することができます。
法人事業税、特別法人事業税の納付可能な場所の一覧
- 県税事務所
- 金融機関
- 郵便局
3-3-2 法人事業税・特別法人事業税のその他の納付方法について
法人事業税や特別法人事業税はコンビニで納付することはできるのでしょうか。
また、インターネットで納付するなんてことはできますか?
コンビニエンスストアでの納付について
多くの都道府県において、法人事業税及び特別法人事業税額はコンビニでの納付が可能となっています。
「多くの都道府県」と記載したように記事執筆現在で、すべての都道府県において、コンビニ納付が可能というわけではありませんので、各都道府県のホームページ等で確認が必要です。
また、すべて納付書でコンビニ納付ができるわけではなく、会計ソフト等で印刷した納付書は基本的にコンビニ納付はできません。
コンビニ納付が可能な納付書はコンビニ納付用のバーコードが印字され、かつ、納付手続き日が「コンビニエンスストア取扱期限」以内のものに限ります。
コンビニ納付用の納付書はどうやったら手に入りますか?
法人事業税、特別法人事業税、法人道府県民税の申告書を各都道府県に提出したのちに、各県税事務所にコンビニ納付用の納付書を発行を依頼する必要があります。
上の画像は、千葉県のコンビニ納付用の納付書ですが、赤枠のところに「コンビニエンスストア取扱期限」が記載されているのが特徴です。
各都道府県によって、納付書に違いがある場合もありますので、ご自身が持っている納付書でコンビニ納付ができるかどうかわからない場合は、所轄の県税事務所にお問い合わせください。
また、納付できるコンビニについても、各都道府県によって違いがありますので、納付する都道府県のホームページでご確認ください
スマホ及びパソコンからの納付について
令和5年4月1日から、「地方税お支払いサイト」を使用して色々な方法で法人事業税、特別法人事業税などの地方税を納付することができるようになりました。
地方税お支払いサイトとは、自宅や事務所などに届く納付書に印字されているeL-QRやeL番号を使い、スマートフォンやパソコンで地方税をお支払いいただけるサイトのことをいいます。
こちらのシステムを利用できる納付書は、eLマークの記載がある納付書です。
このeLマークの記載がある納付書は、原則として各県税事務所等から自宅や事務所に届く納付書がこれにあたります。
eLマークがない場合でも、eL番号やeL-QRが印字されている場合は取り扱い可能です。
eLTAXを利用していなくても、地方税お支払いサイトでの納付は可能となっていますが、eLTAXを利用していれば、繰り返しの利用や納付処理の簡略化などのメリットがあります。
納付が可能な方法としては、クレジットカード、インターネットバンキング、口座振替(ダイレクト方式)(期日指定可能)、ペイジー番号発行など、さまざまな納付方法が選択可能です。
一覧で表すと次のようになります。
納付方法 | eLTAX利用者IDでログインした場合 | eLTAX利用者IDでログインしない場合 |
クレジットカード納付 | ||
インターネットバンキングでの納付 | ||
口座振替での納付 | ||
Pay-easy(ペイジー)での納付 |
また、PayPayなどのスマートフォン決済アプリの利用も可能となっています。
地方税お支払いサイトについて、詳しく知りたい方は、地方税お支払いサイトの特設サイトがございますので、ご確認ください。
法人事業税・特別法人事業税の納付の方法についての解説は、以上となります。
次は、法人事業税・特別法人事業税の申告期限と納期限について確認していきます。
3-4 法人事業税・特別法人事業税の申告期限と納期限
次に申告書の提出期限と納付期限について、確認していきます。
申告書はいつまでに提出しなくてはならないのでしょうか。
また、納付はいつまでの行えばいいのでしょうか。
法人事業税・特別法人事業税の申告と納税はについては、いずれも原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。
この申告及び納税の期限は、法人税の申告書と同様となりますので、同じタイミングで提出すると良いでしょう。
申告期限と納付期限は同じ日ですので、申告書は提出してけれど、納付を忘れたなんてことがないように注意しましょう。
ただし、宅急便などで送付した場合、所轄の県税事務所に到着した日が提出された日になってしまうため、ご注意ください。
法人事業税・特別法人事業税の納付期限・・・事業年度終了の日の翌日から2か月以内
また、確定申告以外の申告の期限も含めて一覧で確認しておきましょう。
主な申告の種類 | 一般的な申告、納付期限 |
---|---|
1.中間申告(仮決算による申告) | 各事業年度開始の日から6か月を経過した日から2か月以内 |
2.予定申告(前事業年度の申告に基づく申告) | 各事業年度開始の日から6か月を経過した日から2か月以内 |
3.確定申告 | 各事業年度終了の日の翌日から2か月以内 |
これで法人事業税・特別法人事業の申告期限と納期限は以上となります。
ここまで法人事業税・特別法人事業とはどのような税金かについて解説してきましたが、ここで、最後の復習として、法人事業税・特別法人事業について振り返りましょう。
4 まとめ
ここまで解説してきたことを簡単に振り返ります。
- 法人事業税を納付する必要がある法人は、原則として事業を行っている法人のうち黒字の法人。
- 特別法人事業税というのは、法人事業税の一部を分離して導入された税金で、法人事業税の申告納付義務がある法人が納税義務者となります。
- 多くの中小企業が算出する法人事業税は所得金額に税率を掛けて算出し、特別法人事業税は法人事業税に税率を掛けて算出します。
- 法人事業税は事業所等がある各都道府県に納付する必要があり、2つ以上の都道府県に事務所等がある場合、分割基準で按分してそれぞれの都道府県に納付することになります。
- 法人事業税及び特別法人事業税は「第6号様式」を使用して申告を行う。
- 法人事業税及び特別法人事業税には納付書があり、それを使用して納付することができます。
- 法人事業税及び特別法人事業税の申告期限及び納付期限は原則として、事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。
今回の記事は、会社を設立したらほとんどの会社が納付することになる「法人事業税及び特別法人事業税」にスポットを当てて解説をしてきました。
「法人事業税?特別法人事業税って何だろう?」「どのくらいかかるのか?」等の疑問が解決できたのではないでしょうか。
税務関係の知識は、知っておいて絶対に損をしない知識ですので、どんどん勉強して税務に強い経営者になって頂ければと思います。
また、「全力経理部」では他にも税金に関わる解説を行っている記事を多数掲載していますので、「もっと、税務の知識を付けたい」、「自分で申告書を作成してみたい」という方は、是非読んでいただければ頂き、役に立てればたいへん嬉しく思います。
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