知識0から事前確定届出給与を出せるようになる!記載例と議事録付き

会社員 一人社長

最近、仕事も順調だから、自分へのご褒美で決算月に役員賞与を出そうかな?

ちょっと待ったー!!
法人の場合は、役員に賞与を自由に支給できないんですよ!!

役員に賞与を支給する場合は、いついつにいくらを誰に支給するというのを予め税務署に届け出ておく必要があるんです!!

弁護士 元国税調査官
悩む会社員 一人社長

え!?そうなんですか!?
そ、そんなぁ…

そのルールを無視して賞与を支給したらどうなるんですか?

その役員賞与の金額の全額が、法人税の税金の計算上丸々損金(法人税法上の経費)にならずに、その分所得金額が上がります。つまり、その所得金額×法人税率分の税金を余計に支払うことになるのです!

弁護士 元国税調査官
悩む会社員 一人社長

ちーん
なんてことだ!

そのルールを是非教えてください!
知らないとたいへんだ!

役員賞与は事前に税務署に届出が必要という法人税の独自ルールーを「事前確定届出給与」といいます。
法人を設立した場合には、真っ先に知っておかなければならないルールの一つです。

今回は、法人なら絶対知らないといけない「事前確定届出給与」についてそのルールを法人税の知識が0の方向けにわかりやすく解説していきますので、役員賞与をルールに則った形で自信を持って出せるようになります!
そしてこの届出の書き方や添付書類はどのようなものが必要でどうやって作成するかまで、手取り足取り解説していきますので、必ず自分で提出できるようになります!

ぜひ、この記事を最後まで読んで税務職員に否認されない形で「事前確定届出給与」を支給できるようになってください。

弁護士 元国税調査官
この記事の特徴
本記事は、税理士に頼らず自力で法人の経理処理から確定申告までを攻略したいという方向けの記事です。
中小企業向けに初心者にもわかりやすく元国税調査官で税理士が実務で必要となる知識に絞って可能な限り簡単に解説していきます。

目次

1 事前確定届出給与とは

この章では、「事前確定届出給与」の制度の概要、適用される賞与の種類、届出を行う必要性について解説していきます。

1-1 事前確定届出給与とは(概要)

悩む会社員一人社長

そもそも「事前確定届出給与」というのはどのようなルールなのでしょうか?

 

事前確定届出給与とは
事前確定届出給与とは、会社が役員に対して賞与(ボーナス)を支給する場合に、あらかじめその支給額や支給日を決定し、税務署に届出を行うことで、その賞与を法人税の計算上、損金(法人税法上の経費)として扱えるようにする制度です。
説明する会社員 一人社長

役員賞与を出すには、税務署に事前に届けなければ経費にできないってことですか!?

そのとおりです。
通常、役員への給与は、法人の意思で自由に増減でき、決算期末に利益を圧縮する目的で賞与を支給するなど、利益を圧縮することが容易にできることから、税務上は厳しくルールが設けられています。
特に賞与については、原則として損金に算入することはできません。つまり、経費として認められないのです。(損金不算入)

しかし、この「事前確定届出給与」の制度を活用すれば、その要件を満たすことで役員賞与も損金算入が可能になります。

間違えるとその全額が損金(法人税法上の経費)にならないという大変な事態になりますので、正しく理解することが重要です!

弁護士 元国税調査官

1-2 事前確定届出給与が損金不算入という意味は

会社員 一人社長

事前に届出ていない役員賞与は「損金不算入」になるという用語が出てきましたが、そもそも「損金」というのはどういう意味なんでしょう?

 

「損金」とは
損金とは、簡単に言うと、
法人税法上も費用(経費)となる金額
を意味します。
悩む会社員 一人社長

法人税法上も費用ってどういうことですか?

まず、税金を計算するイメージなのですが、次のようにイメージしてもらうといいです。

❶ 収益 ー 費用 = 利益
❷ 利益 × 法人税率 = 法人税

弁護士 元国税調査官

次の例で考えてみます。

  • 収益:1,000万円
  • 費用:600万円
  • 法人税率:20%

❶ 利益は、1,000万円 – 600万円 = 400万円と計算できます。

❷ 法人税額は、400万円 × 20% = 80万円と計算できます。

会社員 一人社長

これはよくわかりますよ。

損金というのは、この利益を計算するための「費用」とほとんど同じ意味だと考えてください。

費用が大きくなれば税金が少なくなりますよね?
先ほどの例で、費用を600万円から800万円にしてみると

弁護士 元国税調査官
費用 600万円費用 800万円
利益1,000万円 – 600万円 = 400万円1,000万円 – 800万円 = 200万円
法人税額400万円 × 20% = 80万円200万円 × 20% = 40万円
費用が200万円少なくなると法人税額が40万円少なくなる!
説明する会社員 一人社長

費用が多くなれば、税金は少なくなりますね。

それを前提として、今度は法人税の立場に立って考えてみます。

法人税法は、税の公平性を考えて、企業会計では認められる費用も、法人税法では認めないというルールを決めています。

例えば、以下のようなルールがあります。

弁護士 元国税調査官
ルールの内容ルールの理由
減価償却費を決まった方法で計算した金額を超える金額は認めない。減価償却費を会社のルールで自由に計算することができると、利益が出そうな時に減価償却費を多めに計上して利益を圧縮するということもできるので不公平。
中小企業の場合は、交際費は800万円を超えた金額は認めない。冗費の節約による企業経営の健全化と公正な企業間競争を促すため。
中小企業の役員報酬は、毎月同額の金額でない場合は、その同額でない金額は認めない。役員報酬を使って、利益が出たから今月は多くしようなど、利益を操作することを防ぐため。

このように、課税の公平を担保するために、法人税は独自ルールを作って費用とは認めない金額を決めてきます。そのため、法人税の費用と企業会計の費用が一致しなくなります。法人税では、会社計算の計算と異なった費用を算出するために「費用」でなく「損金」という言葉を使っているのです。

法人税法では、以下のように名称をつけて、企業会計(会社計算)と区別しています。

弁護士 元国税調査官

法人税額の計算式
収益 ー 費用 = 利益
  ではなく
益金 ー 損金 = 所得金額
 
所得金額 × 法人税率 = 法人税額

そして、届出のない役員賞与は、この法人税法の「損金」に算入されないのです。

損金に算入されないということを一言で「損金不算入」と言います。

弁護士 元国税調査官

ここまでの話をまとめます。

損金とは?損金算入とは?損金不算入とは?のまとめ
法人税額=所得金額×税率
  この法人税額を決定する所得金額は「益金 ー 損金」で計算する。

「所得金額 = 益金 ー 損金」は会社計算(企業会計)の「利益 = 収益 ー 費用」とほとんど同じ

❸ 会社が費用にしたすべてを法人税法では認められない部分があるので、便宜的に「費用」と区分するために「損金」とした

❹ 法人税法では、会社計算の費用のうち認められない金額を「損金不算入」の金額として、認められる金額を「損金算入」の金額としている。

会社計算の費用はほとんどが損金となるが、一部損金不算入となるものがあると理解しよう!

 

「損金」「損金算入」「損金不算入」という言葉は、法人の経理には絶対必要になる知識です。まだよくわからないという方や、もっと詳しく知りたいという方は、次の記事でわかりやすく詳しく解説していますので、是非一読をおすすめします!

弁護士 元国税調査官

0からわかる損金とは?損金算入と損金不算入をわかりやすく簡単解説

 

説明する会社員 一人社長

なるほど。「損金」のことはよくわかりました。

では、例えば、賞与を支給して、届け出をしていなかった場合、どのくらい法人税が掛かってしまうのでしょうか。

では、適正な手続きを行わないで賞与を支給した場合、どのくらい法人税の負担が増えるのかを具体例から見てみましょう。
説例内容は以下の通りです。

弁護士 元国税調査官

【説例内容】

  • 資本金:1,000万円(中小企業)
  • 所得:3,000万円
  • 役員賞与(社長):100万円を支給
  • ※役員賞与について税務署への事前確定届出なし

上の設例内容のとおり、役員賞与を300万円支給した場合の法人税の概算は以下のようになります。

弁護士元国税調査官
項目届出あり(適正処理)届出なし(不適正処理)
営業利益3,000万円3,000万円
損金算入される役員賞与300万円0円(不算入)
課税所得2,700万円3,000万円
法人税(仮に実効税率30%)810万円900万円
法人税の差額(損失)+90万円
悩む会社員 一人社長

なるほど、、役員賞与の届け出を行っていないだけで、役員賞与300万円で法人税が90万円も違ってくるんですね、、
これは、かなり大きい税額です。

おっしゃるとおり、届け出を怠っただけで90万円もの無駄な税金がかかってしまうことになってしまうんです!

弁護士 元国税調査官

1-3 事前確定届出給与の対象となる賞与とは

説明する会社員 一人社長

役員への賞与と一言で言っても、夏冬の賞与やインセンティブ報酬などがあると思いますけど、届出が必要な賞与は、具体的にはどのようなものになりますか?

事前確定届出給与の対象となる「賞与」とは、一般的に会社が役員に対して、通常の月次報酬とは別に支給するボーナス的な給与を指します。

ただ少し整理が必要な点があるので、役員に支給する給与のうちどのようなものが事前確定届出給与の対象となるのかを整理して確認していきましょう。

弁護士元国税調査官

1-3-1 同族会社の事前確定届出給与の対象となる具体例

では、実際に制度の対象となる「賞与」とは、どのようなものがあるのでしょうか。

最初は、本記事の目的である中小企業向けに、同族会社の場合に事前確定届出給与の対象となる役員への給与の例を挙げることにします。

弁護士 元国税調査官
同族会社の「事前確定届出給与」として届出が必要な賞与
同族会社が「事前確定届出給与」として届出が必要な賞与の具体例は、以下のようなものです。
  • 夏季・冬季の賞与(いわゆるサマー・ウィンター・ボーナス)
  • 成果や業績に応じて支給される特別報酬 
    など

このような、役員報酬のように毎月支払われるのではなく、一時的な給与が、事前確定届出給与の適用対象となります。

自社が同族会社かわからない場合など、同族会社がどのようなものかわからないという方は、次の記事で詳しく解説しています。

フローチャートで簡単判定!同族会社とは?4つのデメリットに要注意

1-3-2 同族会社の事前確定届出給与の対象となる給与とは

では、実際に事前確定届出給与の対象となる給与かどうかをどのように判断すればいいか。

このように判断してください。

弁護士 元国税調査官
同族会社の事前確定届出給与とは?
同族会社で、事前確定届出給与に該当する役員に支給する給与は、以下の給与以外のもの
  • 定期同額給与:毎月定額で支給される役員報酬(例えば毎月50万円など)
  • 退職給与:役員退任や退職に際して支給される報酬
悩む会社員 一人社長

退職給与は、退職金ということだからわかりますが、定期同額給与ってなんでしょう?

定期同額給与は、事前確定届出給与よりも注意が必要な法人税のルールです!
これを知らないというのは、さらに危険です!
すぐに次の記事をチェックしてください!

弁護士 元国税調査官

会社員 一人社長

なるほど、この定期同額給与と退職給与以外に役員に給与を支給する場合は、事前確定届出給与として税務署に届出が必要と考えておけばいいんですね。
これはわかりやすい。

そうです。
同族会社の場合は、そう考えてもらって問題ありません。

一応ですが、同族会社以外の場合は、もう損金に算入できる一つ給与の種類が増えて、「業績連動給与」というものがあり、これは事前確定届出給与から除いてよいことになっていますので、ここにも触れておきます。

弁護士 元国税調査官

1-3-2 非同族会社の事前確定届出給与の対象となる給与とは

同族会社の場合は、定期同額給与と退職給与以外が事前確定届出給与になると覚えてもらって構いませんが、非同族会社の場合は、「業績連動給与」が事前確定届出給与から除かれます。

弁護士 元国税調査官

【非同族会社では損金算入となる役員に支給する給与】

給与の名称内容
定期同額給与一定期間(1ヶ月以内)ごとに同額で支給するもの(役員報酬)
業績連動給与一定の要件を満たした会社の業績に連動して支給するもの
退職給与役員退任や退職に際して支給される報酬
事前確定届出給与これら以外の給与
会社員 一人社長

私は、一人社長でおもいっきり同族会社なので、関係ないということですが、「業績連動給与」とはどういう種類の給与になりますか?

業績連動給与とは、会社の売上や利益、株価といった会社の業績に連動して支給するもので、会社の業績を何で測るかなど、一定の条件のもとで役員の給与を損金に算入できるものです。

非同族会社であれば、「業績連動給与」に該当する給与は、事前確定届出給与の届出なしで損金に算入されます。一応同族会社でも、業績連動給与が使える場合があり、非同族会社による完全支配関係がある同族会社は、業績連動給与が使えます。それ以外の同族会社は、退職給与と定期同額給与以外で損金に算入したい場合は、すべて事前確定届出給与にする必要があります。

弁護士 元国税調査官
役員給与を損金に算入する方法まとめ
同族会社の場合:定期同額給与と退職給与以外は、すべて事前確定届出給与として税務署に届出必要!
非同族会社の場合:定期同額給与と退職給与以外でも業績連動給与に該当すれば、その分は事前確定届出給与でなくてもOK。それ以外はすべて事前確定届出給与として税務署に届出必要!

1-4 事前確定届出給与の要件の概要

説明する会社員 一人社長

なるほど。
事前確定届出給与として届出が必要な給与はわかりました。

事前確定届出給与として損金に算入するためには、単純に賞与(ボーナス)を支給する予定を税務署に伝えるだけでいいんですか?

実は、これらの賞与を法人税の計算上、損金として認めてもらうためには、以下の3点の要件が必要です。

  1. 株主総会などのしかるべき機関であらかじめ役員賞与の支給額・支給日などを決議すること
  2. 役員賞与について、所定の時期に所定額を支給する旨の届出書を、期限内に税務署へ提出すること
  3. 届出のとおりに賞与を支給すること

これらの要件を満たしていなければ、どんなに合理的な支給であっても、税務上は「恣意的な支給」とみなされ、損金不算入となってしまいます。

弁護士 元国税調査官

そのため、「事前に内容を決定し、期日を守って税務署に届出をすること」が、この制度の最も重要なポイントとなります。

1-4-1 なぜ届出が必要なのか

悩む会社員 一人社長

そもそも、なぜ、税務署に賞与を届け出る必要があるのでしょうか?
賞与を支給するのは会社の勝手なんだから税務署に関係ないと思うんですが。

届出が必要な理由は、「役員賞与の支給が恣意的でないことを明確にするため」です。
あらかじめ支給内容を決議し、税務署へ届け出ることで、会社が後から利益調整目的で自由に金額を変えたのではないと証明することになります。

弁護士 元国税調査官

役員に支給する給与は、会社の経営者が自分の裁量で自由に金額やタイミングを決められる性質を持っています。
そのため、後から都合よく賞与を支給して不当に法人税額を減らすということを防ぐ目的があります。

1-4-2 届出があることで「計画的な支給」とみなされて損金に算入される

そこで導入されているのが「事前確定届出給与」という仕組みです。

具体的には、以下の流れで税務署に「事前に決めた内容」を提出します。

弁護士 元国税調査官

事前確定届出給与の流れ

支給内容(支給日・金額・対象者)を株主総会や取締役会などで決議

決議内容を記載した届出書を作成

一定の期限内に税務署へ提出

この手続きを経ることで、「賞与が計画的・客観的に支給されたもの」として認められ、税務上も損金に算入されます。

1-4-3 届出がなければ絶対に損金不算入になる

悩む会社員 一人社長

事前に届出をしなかった役員賞与はどうやっても損金にできないのでしょうか。
あとで届け出たりしてもダメですか?

届出をしていなかった場合、いかなる事情があっても賞与は損金にはできません

具体的には、以下のような場合には、役員賞与は損金に算入されません。

弁護士 元国税調査官

 

損金として認められない場合

  • 届出を提出しなかった
  • 提出が期限に遅れた
  • 支給額や日付に変更があった(要件を満たさない変更)
  • 実際の支給が届出内容と異なる

このようなことになると、役員賞与の全額が損金に算入されませんので、事前確定届出給与の具体的なルールをしっかり学んでいきましょう!

弁護士 元国税調査官
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2 事前確定届出給与の届出の要件

事前確定届出給与を適用するためには、正確に書類を作成し、期限内に税務署へ提出する。そしてその届出どおりに賞与を支給する必要があります。

事前確定届出給与として損金に算入できる要件
事前確定届出給与として役員賞与を損金算入させるためには、以下の3つをすべて満たす必要があります。
  • 株主総会などのしかるべき機関で予め役員賞与の支給額・支給日などを決議すること
  • 役員賞与について、所定の時期に所定額を支給する旨の届出書を、期限内に税務署へ提出すること
  • 届出のとおりに賞与を支給すること

この章では、事前確定届出給与を適用するために必要な要件であるしかるべき機関で決議を行う必要があること、また必要な提出書類とその期限について解説していきます。

2-1 しかるべき機関で予め役員賞与の支給額と支給日などを決議すること

事前確定届出給与となるためには、所定の時期に、確定した金額を支給することを定めておくことが要件になっています。

定めを行うのは、株式会社であれば、役員賞与を決定する機関である株主総会または取締役会になり、それ以外の法人であれば、定時社員総会などがそれにあたります。

要するに役員賞与をいつ誰にいくら支給するかを、法人として予めしかるべき機関で決定しておく必要があります。

2-2 届出書を期限内に税務署に提出すること

事前確定届出給与として損金に算入するには、所定の届出書を決められた期限内に税務署に提出していることが条件になります。

2-2-1 事前確定届出給与の提出書類とは

説明する会社員 一人社長

事前確定届出給与の届出書とは具体的にどのような書類を提出すればいいのでしょうか?

事前確定届出給与の届出で必要になる主な書類は以下のものになります。

事前確定届出給与を行う上で提出が必要な書類

❶ 事前確定届出給与に関する届出書(本表・付表)

 支給対象の役員ごとに支給日・金額を明記した所定の届出書。
 届出書類の様式は国税庁のウェブサイトからダウンロード可能です。

❷ 株主総会や取締役会などのしかるべき機関が賞与について決議した議事録(添付書類)

 支給内容を決定した会議の内容を記録したもの。決議日・決議内容が明記されている必要があります。

上記の書類を作成し、提出期限内に提出する必要があります。

2-2-2 事前確定届出給与の届出の提出期限とは(いつまでに届出書を提出する?)

説明する会社員 一人社長

なるほど、、提出期限までに提出する必要があるんですね!
事前確定届出給与はいつまでに提出する必要があるのでしょうか?

届出の提出期限は、制度適用の可否を左右する極めて重要なポイントです。

1日でも遅れると、その届出は無効となり、賞与は損金に算入できなくなります。
提出期限は下表のとおりとなります。

弁護士 元国税調査官
・事前確定届出給与の提出期限
ケース提出期限
株主総会等で支給を決議した場合その決議日から1ヶ月以内、または会計期間開始から4ヶ月以内(いずれか早い方)
新設法人の場合設立日から2ヶ月以内
臨時に支給内容を改定した場合改定事由発生から1ヶ月以内、または上記2つの提出期限のいずれか遅い方

上記のとおり、法人の状況や支出する報酬の内容で提出期限が変わります。

弁護士 元国税調査官

2-2-3 提出方法について

会社員 一人社長

作成した届出書はどのように提出すればよいのでしょうか?

届出は、以下のいずれかの方法で税務署に提出することができます。

事前確定届出給与の届出の提出方法

  • 書面による提出

     所轄の税務署に持参、または郵送で提出します。

  • e-Tax(電子申告)による提出

     電子申告システムを利用してオンラインで提出する方法です。
     法人税の申告をe-Taxで行っている法人は、その流れで届出書も提出できます。

提出方法により有利・不利はありません。
しかしながら、今は届出書の控えに税務署の受付印(収受印)が押されませんので、e-Taxで提出していれば、提出日時の記録が正確に残るため、提出期限の管理がしやすいというメリットもあります。

弁護士 元国税調査官

2-3 届出のとおりに支給する

株主総会等で予め誰にいついくら賞与を支給するかを決めて、その内容を所定の様式で届出を行ったら、最後にその届出書どおりに賞与を支給する必要があります。

支給する時期が届出た内容と異なっていたり、実際に支給する金額が異なっていた場合には、その役員賞与の全額が損金に算入されないという恐怖の事態になります。

絶対に届出た内容のとおりに支給する必要があることに最新の注意が必要です!

説明する会社員 一人社長

事前確定届出給与を損金に算入する要件は理解できたと思います!

実際のところの届出書の書き方や決議の仕方がわからないのですが、どのようにしたらいいのでしょうか?私でもできますか?

はい、もちろんご自身で作成することも可能です!
ただし、事前確定届出給与の届出書や議事録は、記載内容に不備があると受理されなかったり、後々の税務調査で否認されたりするリスクもあるため、ポイントを押さえて正確に作成することが大切です。

次章では、届出書や決議の記録である議事録の書き方を実際の記載例をもとにわかりやすく解説していきます。

弁護士 元国税調査官

3 議事録の書き方(事前確定届出給与の届出書の添付書類)

まずは、要件の1つである株主総会等がいつ誰にいくらを支給するという定めをするというところから始まります。
定めをしたという証拠を残すという意味でもその決議の議事録を作成しておくのが一般的です。

弁護士 元国税調査官
会社員 一人社長

その議事録というのは、どのようなものを作成すればいいのでしょうか?

株主総会や取締役会、定時社員総会などを開いた場合は、その議事録を残すのが一般的です。
このような機関で役員賞与について、正式にいつ、誰に、いくら支給するかを決定することが要件になります。
その決定をしたことを証明する意味で、事前確定届出給与の届出書の添付書類としてこの議事録を添付します。

悩む会社員 一人社長

議事録ってどんな内容を記載したらいいのでしょうか?

3-1 議事録に記載する必要のある項目

議事録には、以下の項目が漏れなく記載されていることが求められます。

議事録に記載すべき内容は以下の通りです。

必須項目説明
開催日・開催場所会議の基本情報
決議機関・出席者株主総会 又は 取締役会、出席役員名
支給対象者役員の氏名・役職
支給額・支給日支給する金額と支給する日時(届出書と完全に一致させること)
決議内容「承認可決」など明確な記載が必要です。
議長の署名または記名押印実在性・正当性を示すために記載が必要です

3-2 議事録の記載例

ここでは、最も事例が多いと思われる定時株主総会で事前確定届出給与の支給を決議することを想定したサンプルを参考までにお示しします。
記載例の内容は以下のようになります。

弁護士 元国税調査官

【説例内容】

  • 会社名:株主総会テンプルフロント

  • 事業年度:令和6年4月1日~令和7年3月31日

  • 対象役員:代表取締役 寺前太郎

  • 支給予定額:年2回、各回1,200,000円(合計2,400,000円)

  • 支給予定日:令和6年6月10日・令和6年12月10日

  • 決議日:令和6年5月27日

「事前確定届出給与の支給に関する議事録」記載例
事前確定届出給与の添付書類 議事録の記載例(サンプル)

事前確定届出給与の添付書類である定時株主総会の議事録の雛形を以下よりダウンロードできますので、編集してご活用ください。

説明する会社員 一人社長

これを真似して、自社に当てはめて自社用の議事録を作ればいいんですね!
これなら私でもできそうです!

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4 事前確定届出給与の届出書の書き方

続いて要件の2つ目、株主総会等で決議した役員賞与は、その内容を期限内に税務署に届け出る必要がありました。
その事前確定届出給与の届出書の書き方を解説していきます。

弁護士 元国税調査官

事前確定届出給与の届出書は、国税庁の様式を用いて作成します。
主に次の2つの書類で構成されています。

事前確定届出給与の届出書の様式

  • 事前確定届出給与に関する届出書
  • 付表1(金銭交付用)

なお、付表には、「金銭交付用」と「株式交付用」の2種類がありますが、今回は通常使用される金銭交付の賞与の解説を行います。

具体例を使って書き方の解説をしていきます。

弁護士 元国税調査官

事前確定届出給与に関する届出書(本表)【記載例題内容】

株式会社テンプルフロントが、
株主総会
令和6年5月27日
以下の賞与を「代表取締役 寺前太郎」に支給することを決議しました。

  • 令和6年6月10日 1,000,000
  • 令和6年12月10日 1,000,000 

4-1 事前確定届出給与に関する届出書(本表)の書き方

まずは、本表の書き方から解説していきたいと思います。

事前確定届出給与に関する届出書記載例

事前確定届出給与に関する届出書記載例

❶ 「①事前確定届出給与に係る株主総会等の決議をした日及びその決議をした機関等」を記載する

「株主総会」、「取締役会」や「社員総会」などの機関等の決議により事前確定届出給与に関する決議をした日とその決議をした機関等の名称を記入します。
この欄は、「誰が・いつ決めたか」を明記する部分です。

つまり、役員賞与(事前確定届出給与)の支給内容がしかるべき機関で、いつ正式に決議されたのかを記載します。

今回の例では、株主総会で令和6年5月27日に事前確定届出給与に該当する賞与支給を決議したので、その内容を記載しています。

決議をした決議等については会社の形態によって違いがあります。
主な会社形態と決議機関は下表のとおりです。

会社形態決議機関
株式会社(取締役会設置会社)取締役会が通常(または株主総会)
株式会社(取締役会非設置会社)株主総会での決議が多い
合同会社や一般社団法人など社員総会や定款による決定機関

その法人の定款・実務に基づく機関を確認したうえで記載しましょう。

【「①事前確定届出給与に係る株主総会等の決議をした日及びその決議をした機関等」の記載例

① 取締役会設置会社の場合
(決議をした日)令和7年5月26日
(決議した機関等) 取締役会

② 小規模会社(取締役会非設置)の場合
(決議をした日)令和7年5月27日 
(決議した機関等)株主総会

③ 合同会社などのケース
(決議をした日)令和7年5月28日 
(決議した機関等)社員総会

❷ 「② 事前確定届出給与に係る職務の執行を開始する日」欄を記載する

役員賞与は、その役員の職務遂行の対価として支払われます。
今回届け出た役員賞与のその職務を執行を開始する日を記載します。

事前確定届出給与に係る職務の執行を開始する日は、一般的には定時株主総会の開催日です。法人税基本通達9-2-16

なお、実務上、役員給与については月払が一般的であることから、職務の執行を開始する日が定時株主総会の翌月初で、かつ、定時株主総会の日に近接する日であるようなケースも、この「職務の執行を開始する日」として認められます。

例えば、3月決算法人が5月27日に定時株主総会を開催し、定時株主総会の翌月の6月1日から開始する職務に対して役員給与を定めるようなケースは、OKです。

❸ 「③ 臨時改定事由の概要及びその臨時改定事由が生じた日」欄を記載する

この欄は、予定していた給与額・内容をやむを得ず変更する場合に記載することになります。

例えば、事業年度の途中で新たに選任された役員に適用したい場合にこの欄にその事由を記載します

既に事前確定届出給与の届出を提出している役員に、このような臨時の改定事由が生じた場合は、事前確定届出給与に関する変更届出を提出することに注意が必要です。

提出した事前確定届出給与の届け出で内容を変更するには、役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情があることが条件です。
このような事情を「臨時改定事由」と呼びます。

以下のようなケースが具体例として挙げられます。

  • 取締役が急病などの理由により他の社員が取締役へ昇格するなどの役員の職制上の地位の変更
  • 合併、分割等により役員の職制上の地位は変わらないもののその職務内容が大幅に変わる場合

臨時改定事由で新たに選任された役員に事前確定届出給与を適用する場合の税務署への提出期限は以下のとおりとなります。

次に掲げる日のうちいずれか遅い日
  • イ 上記1に掲げる日(上記2に該当する場合は、2に掲げる日)
  • ロ 当該臨時改定事由が生じた日から1月を経過する日

❹ 「④ 事前確定届出給与等の状況」欄の「(No. ~No. )」欄を記載する

次に説明する事前確定届出給与の付表1に付した一連番号の最初と末尾の番号を記載します。

❺ 「⑤ 事前確定届出給与につき定期同額給与による支給としない理由及び事前確定届出給与の支給時期を付表の支給時期とした理由」欄を記載する

この項目は、「なぜ定期同額給与※ではなく、事前確定届出給与として支給するのか?」という理由と、「その支給時期(タイミング)をどうしてそのように設定したのか?」の理由を説明するものです。

定期同額給与一定期間(1ヶ月以内)ごとに同額で支給するもの(役員報酬)

「⑤事前確定届出給与の定期同額給与と分ける理由と支給時期の理由」欄の記載例

例1:年2回の賞与的支給を予定している場合

業績評価に基づき、役員に対する報酬を年2回(6月・12月)に分けて支給するため、定期同額給与による支給とはせず、従業員に支給する賞与と時期を同じにするため。

 例2:会社設立直後で定期支給が難しい場合

設立間もないため資金繰りに配慮し、定期的な支給が困難であることから、一定の支給スケジュールを事前に定めたうえで事前確定届出給与として支給することとした。

 

「定期同額給与」との違いがはっきり分かるように、

  • なぜ定期同額給与と分けて支給するのか
  • なぜその時期の支給なのか

という理由を説明するようにしましょう!

弁護士 元国税調査官

❻ 「⑥ その他参考となるべき事項」欄を記載する

この記載欄には、賞与の支給を予め定めた株主総会の決議内容など参考となる事項を記載します。

会社が新しく設立されたばかりで、設立と同時に役員に対して事前確定届出給与を支給する場合には、「設立年月日 令和〇年〇月〇日」のように、設立日の情報をこの欄に記載します。

 役員の給与に関する「どの時期に、いくらの金銭などを支給するか」といった決議内容の参考となる事項を記載する欄になりますが、通常は、その定めを具体的に記載するのではなく、その記入に代えて株主総会の議事録などの写しを添付します。

    具体的には、例にあるように「所定の時期に確定額を支給する旨の定めについて、株主総会議事録を添付します。」とこのように記載し、議事録の写しを届出に添付して提出

    します。

    事前確定届出給与の中には、現金ではなく、一定の条件に従って株式や新株予約権を交付することで支給する場合は、その旨を明記する必要があります。

    該当する場合には、その支給内容がこの制度に該当する旨を記載してください。

    ❼ 「届出期限」欄を記載する

    「届出期限」は、「この届出書をいつまでに提出すべきか」を記載する欄です。

    ここで事前確定届出給与の届出書の提出期限を復習します。

    弁護士 元国税調査官

    【事前確定届出給与の提出期限】

    ケース提出期限
    株主総会等で支給を決議した場合その決議日から1ヶ月以内、または会計期間開始から4ヶ月以内(いずれか早い方)
    新設法人の場合設立日から2ヶ月以内
    臨時に支給内容を改定した場合改定事由発生から1ヶ月以内、または上記2つの提出期限のいずれか遅い方

    記載欄の「イ」というのは上の表の一番上「株主総会等で支給を決議した場合」で使用することになります。

    株主総会等で支給を決議した場合は、

    • 事前確定届出給与に関する支給内容を決議した日から1か月以内
    • その事業年度開始の日から4か月以内

    のいずれか早い日となります。

    例えば、

    • 決議日:2025年6月10日
    • 事業年度開始日:2025年4月1日

    この場合であれば、

    1. ①決議日+1か月=2025年7月10日
    2. ②期首+4か月=2025年8月1日

    のいずれか早い方である、①の2025年7月10日が届出日として記載します。

    「決議をした日から1月を経過する日」は、「決議をした日」の翌日を起算日として、暦に従って計算します。
    なお、起算日が月の初めでないときは、翌月におけるその起算日に応当する日の前日(翌月にその応当する日がないときは、その月の末日)となります。

    例:決議をした日が5月25 日の場合、5月 26 日が起算日となり、翌月における起算日に応当する日 (6月26 日)の前日である6月25日が「決議をした日から1月を経過する日」となります。) 

    経過する日はこの届出の場合は、単純にその月を足せば大丈夫です。

    2025年6月10日から1月を経過する日は、6月+1月で7月なので、2025年7月10日という具合です。

    弁護士 元国税調査官

    「ロ」を使用するのは、新設法人の場合であり、その設立日から2ヶ月を経過する日とを記載します。

    「ハ」は臨時に支給内容を改定した場合で使用する欄で、改定事由発生から1ヶ月を経過する日を記載してください。

    4-2 付表1(金銭交付用)の書き方

    次に、付表の書き方を解説していきたいと思います。

    付表1(金銭交付用)記載例
    付表1事前確定届出給与等の状況(金銭交付用)記載例

    基本情報に関する記載方法

    ❶ 「事前確定届出給与対象者の指名(役職名)」欄を記載する

    この項目は、「誰に対して事前確定届出給与を支給するのか(氏名+役職)」を明記する欄です。
    なお、役職については、「役職なし」「○○部長」「○○マネージャー」などの表現は避けてください。
    あくまで「法人税法上の役員」でなければ届出の対象にはなりません。

    ❷ 「事前確定届出給与に係る職務の執行の開始の日」欄を記載する

    職務の執行の開始の日」は、通常は株主総会や取締役会などの決議機関が決議を行なった会議の開催日です。
    職務執行期間は、定時株主総会の開催日から次の定時株主総会の開催日までの期間などが一般的な記載例になります。

    ❸ 「当該事業年度」欄を記載する

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