
初めての法人税の確定申告を自分でやってみようと思い、税務署から郵送されてきた申告書類を確認してみた。
申告書類を一枚一枚確認していき「別表16(8)(一括償却資産の損金算入に関する明細書)」を手にする。
「一括償却資産の損金算入に関する明細書」?
なんか、難しそうな書類が出てきたな、、、
「一括償却資産」って何だろう?
自分の会社に関係ある書類なのか?
別表16(8)は、法人が少額な資産を購入した場合に、通常の減価償却よりも簡便的に償却する方法を選択したときに必要となる書類です。
別表16(8)は中小企業の場合には、実は登場場面はあまり多いとは言えない少々影が薄くなりがちな申告書類ですが、状況によっては使い勝手のよいものです。
どのようなケースで使用するのか、また使用するとなった場合にどのように別表16(8)を作成するのかをこの記事を読めば実務に即した形でよく理解できますので、是非最後までどうぞ。
この記事の特徴
中小企業向けに、初めて法人税の申告書を作成する初心者の方でも申告書類の書き方がわかるように解説します。
一括償却資産について、大企業も含めて解説すると細かい点まで説明することになりますが、中小企業に絞ることで知らなければならない事項が激減します。
中小企業にとっては、別表16(8)は最も簡単に作成できる書類の一つで、誰でも簡単に作成できるので安心してください。
数多くの税務調査を国税調査官として行ってきた経験を持つ私が、重要ポイントは押さえながらメリハリをつけてわかりやすく解説します。
繰り返しますが、この記事は中小規模の会社の法人税の申告を自力で行う方向けの記事です。
別表16(8)を解説するにあたり減価償却費についての内容が多く出てきます。
減価償却費についてよくわからないという方は、先に下記の記事を一読していただくことをお勧めします。
- 別表16(8)とは、どのような書類なのか
- 「一括償却資産」というのはどのような資産で、どのように減価償却を行うのか
- 別表16(8)の書き方
- 簡単かつ速く正確に別表16(8)を作成する方法
それでは、まずは別表16(8)(一括償却資産の損金算入に関する明細書)という書類はどのような書類なのかを解説していきたいと思います。
目次
1 別表16(8)(一括償却資産の損金算入に関する明細書)とは
ここでは、別表16(8)(一括償却資産の損金算入に関する明細書)とはどのような書類なのかについて中心に確認していきたいと思います。
まずは、別表16(8)の役割について確認していきましょう。
1-1 別表16(8)の役割とは
別表16(8)という書類は、いったいどのような書類なのでしょうか。
別表16(8)の正式名称は「一括償却資産の損金算入に関する明細書」と言います。
一括償却資産って何のことでしょう?
それでは、まずは一括償却資産というのは、どのようなものから詳しく見ていくことにしましょう。
1-2 一括償却資産とは
別表16(8)という別表は、一括償却資産を適用するために必要であることを説明しましたが、その一括償却資産というのは、そもそもどのようなもので、どのような制度なのかを確認していきましょう。
1-2-1 一括償却資産の概要
まずは、一括償却資産の制度の概要から見ていきましょう。
法人税法には、一括償却資産の3年償却の取り扱いというものがあります。
通常の減価償却は、資産ごとに個別で償却の計算を行いますが、一括償却資産の場合は、同じ事業年度に取得した資産の合計金額の1/3を償却することになります。
具体例で確認しましょう。
例えば、180,000円のパソコンを2台購入したとします。
2台のパソコンを一括して「360,000 × 1/3 = 120,000円」を3年間均等に償却します。
経過年数 | 1年目 | 2年目 | 3年目 |
償却費 | 120,000円 | 120,000円 | 120,000円 |
つまり1年間あたり120,000円ずつ3年間にわたって償却します。
ほとんどのケースでは、この理解で問題ありませんが、正確にいうと下記の算式で一括償却資産の償却額を計算します。
一括償却資産の償却限度額の計算式
償却限度額 = 一括償却資産対象の取得価額 × 当該事業年度の月数 ÷ 36
上の計算式をご覧いただくとわかるように、単純に1/3をするわけではなく、当該事業年度の月数/36をすることになっています。
そのため、設立した事業年度などで事業年度が1年未満の場合は1年間丸々ではなく、月割計算する必要があります。
なるほど、一括償却資産であれば、通常の減価償却のように耐用年数と関係なく3年間で費用にできるってことですね。耐用年数調べたりするのは面倒ですからかなり簡素化された印象ですね。
それで、この一括償却資産はどんな会社でも適用できるのでしょうか?
1-2-2 一括償却資産を適用するための要件
どのような法人が一括償却資産を適用することができるかについて解説します。
一括償却資産を適用するための要件についてですが、基本的にどのような法人でも使用することができ、取得価額が20万円未満の償却資産であれば、限度なく適用可能です。
一括償却資産として償却を行うかどうかは、選択制です。
取得価額が20万円未満の償却資産を取得したとしても通常の減価償却で行うか、少額減価償却資産の特例を使用するかはその会社次第となります。
また、償却方法は資産ごとに決めることができます。
1-2-3 一括償却資産の3年償却の意義について
続いて、一括償却資産の意義について解説していきます。
結論から言いますと、一括償却資産がある理由は、会社の経理処理の簡素化です。
一括償却資産は、先ほど解説したとおり、少額の資産を箱にまとめて入れて一括で償却を行うイメージです。
通常の減価償却では、一つ一つの資産を個別で管理する必要がありますが、一括償却資産の場合は、その必要がありません。
したがって、この一括償却資産という制度の趣旨は、少額である資産については、簡便な償却方法を認めて会社の事務を簡易化させるのが目的ということになります。
通常の減価償却を考えると、耐用年数を調べて、償却率を調べて、保証率が、、、といったように1つの資産を償却するにも調べることがたくさんあります。
例えば、特例を適用せずに、会社Aが19万円のカメラと16万円のパソコンを購入したとします。
カメラは器具備品で一般的には耐用年数が5年で、パソコンの耐用年数は6年なので、それぞれカメラは5年、パソコンは6年をかけて減価償却する必要があります。
ここで、通常の減価償却を行った場合の計算をしてみると、以下のようになります。
資産 | 取得価額 | 耐用年数 | 償却方法、償却率 |
カメラ | 190,000円 | 5年 | 定率法 0.500 |
パソコン | 170,000円 | 6年 | 定率法 0.333 |
1年目の減価償却費の計算
カメラ 190,000円(取得価額) × 0.400(定率法・償却率) = 76,000円(償却限度額)
パソコン 170,000円(取得価額) × 0.333(定率法・償却率) =56,610円(償却限度額)
2年目の減価償却費の計算
カメラ 114,000円(残存価額)×0.400(定率法・償却率)=45,600円(償却限度額)
パソコン 113,390円(残存価額) × 0.333(定率法・償却率) =37,758円(償却限度額)
このような計算を耐用年数の期間行い、少しずつ費用化していくことになります。
なお、原則通りの減価償却を行った場合、イメージは下の図のようになります。
こんな少額な資産を何年もかけて個別に管理・計算していくのはかなり事務コストがかかりますよね。
ということで、「20万円未満の少額な資産については、全部まとめて1/3ずつ償却していいですよ。」という意義で一括償却資産の3年償却が設けられています。
一括償却資産を適用した場合の減価償却の計算をここでもう一度確認してみましょう。
通常の減価償却の計算例と同様に、会社Aが19万円のカメラと17万円のパソコンを購入したとします。
購入した資産を一括償却資産とした場合の減価償却の計算をしてみると、以下のようになります。
1年目の減価償却費の計算
カメラとパソコン 360,000円(取得価額) × 12/36 = 120,000円(償却限度額)
2年目の減価償却費の計算
カメラとパソコン 360,000円(取得価額) × 12/36 = 120,000円(償却限度額)
3年目の減価償却費の計算
カメラとパソコン 360,000円(取得価額) × 12/36 = 120,000円(償却限度額)
これで、終わりです。かなりシンプルですよね。
通常の減価償却だと、カメラとパソコンを別々に減価償却の計算を行っていますが、一括償却資産を適用した場合だと、2つまとめて1/3ずつ償却しているだけです。
なお、一括償却資産の3年償却を行った場合、以下の図のようなイメージとなります。
括償却資産の3年償却を行った場合の減価償却のイメージ図
そして、以下の表が、先ほど行った一括償却資産とした場合と通常の減価償却を行った場合の費用化に関する比較表になります。
結果として、同じ金額の費用化ができますが、より早く経費とすることで管理も簡単になります。
一括償却資産を適用すると、少額な資産の管理がかなり楽になることが、ご理解いただけたと思います。
理解できました。でも、「一括」と聞くと全額を経費として計上できそうな感じがしますね。
確かに、始めて「一括」と聞くと一時の損金にできそうと勘違いしてしまう場合もあるかもしれません。
ここで言う「一括」というのは、取得した少額の資産を箱にまとめて一括で償却するというイメージです。
なるほど、一括して償却するということですね。
償却の計算が楽になるということの他に、この制度を使うメリットがあったりしますか?
次の章では一括償却資産のメリットについて、解説していきます。
1-2-4 一括償却資産の3年償却のメリットについて
一括償却資産のメリットについては、以下のようなものがあります。
- 減価償却の処理が簡単で、事務を簡素化できる。
- 適用要件がなく、どんな会社でも利用できる。
- 法定耐用年数より短い期間で減価償却できる。
- 償却資産税の対象とならない。
以上のメリットを一つずつ簡単に確認してきます。
【メリット1】減価償却の処理が簡単で、事務を簡素化できる
先程も解説しましたが、一括償却資産のメリットの1つ目としては、減価償却の処理が簡単に行えるということです。
通常の減価償却を行う場合、耐用年数を調べ、その償却率、改定償却率や保証率などを確認し、償却する金額を計算する必要があります。
しかし、一括償却資産であれば、個別に管理する必要がなく、原則として取得価額の1/3を償却するという簡単な計算で償却する金額が算出することができ、事務が簡素化することができます。
【メリット2】適用要件がなく、どんな会社でも利用できる
一括償却資産のメリットの2つ目としては、適用要件が特になく、どのような会社でも利用できる点です。
一括償却資産は利用するのに制限がありません。
例えば、中小企業の少額減価償却資産の特例という制度がありますが、青色申告であることや従業員数等の要件に加えて年間300万円までという上限があります。(後述)
したがって、一括償却資産は要件がなく利用しやすい制度と言えるでしょう。
【メリット3】法定耐用年数より短い期間で減価償却できる
次のメリットとして、法定耐用年数より短い期間で償却できるという点です。
法定耐用年数が3年を超える少額の資産を一括償却資産とすることで、取得した金額をより早く費用とすることができます。(つまり節税につながる。)
中古の資産など、3年未満の耐用年数となる場合もありますが、多くの少額の資産は3年を超える耐用年数となっていますので、より早く経費化することが可能となります。
【メリット4】償却資産税の対象とならない
4つ目のメリットとして、市区町村に申告する償却資産税の対象とならず、節税となる可能性があります。
一括償却資産にした少額の資産は償却資産税の申告書に記載が不要となっています。
そのため、結果として節税に繋がります。
また、申告書に記載しなくてよいため、事務の簡素化にもつながります。
以上が一括償却資産にすることで得られるメリットです。
一括償却資産ってこんなにメリットがあるんですね。
逆に一括償却資産の3年償却する上でのデメリットはあるのでしょうか。
次に、一括償却資産の3年償却を行う上でのデメリットについて紹介していきます。
1-2-5 一括償却資産の3年償却のデメリットについて
一括償却資産の3年償却を行う上での注意点については、以下のようなものがあります。
- 中小企業の少額減価償却資産の特例と比べると、償却期間を短縮する効果が薄く、償却に係る手間が掛かる
- 3年以内に資産を売却または、除却して資産がなくなっても、償却を続ける必要がある
- 一括償却資産にした場合、2年目以降も継続する必要があり、任意に償却をやめることができない
一つ一つ見ていきましょう。
【デメリット1】中小企業の少額減価償却資産の特例と比べると、償却期間を短縮する効果が薄く、償却に係る手間が掛かる。
最初のデメリットとしては、中小企業の少額減価償却資産の特例と比べると償却期間を短縮する効果が薄く、償却に係る手間が掛かるという点です。
少額の資産を購入した際に、中小企業であれば適用できる「少額減価償却資産の特例」は、取得価額の全額を取得した事業年度において費用にすることができます。
それに比べると、前述のとおり一括償却資産の場合は取得価額の3年にわたり費用計上することになることから、償却期間を短縮する効果は薄いです。
また、少額減価償却資産の特例の場合は、取得価額の全額を取得した事業年度に経費にすることができるため、その後の資産の管理自体が不要となるため、一括償却資産に比べると更に事務の簡素化に効果があります。
なお、一括償却資産と少額減価償却資産の違いについては、下表のとおりになります。
一括償却資産 | 少額減価償却資産の特例 | |
適用に必要な別表 | 別表16(8) | 別表16(7) |
適用対象法人 | すべての法人 | 中小企業者等 |
青色申告の要件 | 青色申告法人でなくても適用可能 | 青色申告法人であること要件 |
対象資産の取得価額 | 10万円以上※20万円未満 | 10万円以上※30万円未満 |
償却方法 | 3年間にかけて1/3ずつ償却する | 取得価額の全額を即時償却できる |
限度額 | なし | 年間300万円まで |
償却資産税 | 非課税 | 課税 |
※資産の取得価額が10万円に満たない場合は、減価償却しなくてもよいため、実質10万円以上と理解できます。
中小企業の少額減価償却資産の特例及び特例に必要な別表16(7)については、次の記事で詳しく解説しています。
【デメリット2】3年以内に資産を売却または、除却して資産がなくなっても、償却を続ける必要がある
次のデメリットとしては、一括償却資産を一度適用すると3年以内に資産を売却または、除却して資産がなくなっても、継続して償却を続ける必要があるという点です。
一括償却資産の償却中(3年以内)に売却や除却をした場合でも、税務上は未償却分全額を費用化することはできません。
たとえば、一括償却2年目に資産を廃棄した場合でも、2年目と3年目は均等償却を続けることになります。
一般的な固定資産として計上していた場合は、資産を廃棄すると、残りの価額は除却損としてその年の損金に算入することが認められています。
【デメリット3】一括償却資産にした場合、2年目以降も継続する必要があり、任意で変更ができない
次のデメリットについてですが、一括償却資産にした場合、2年目以降も継続する必要があり、任意で変更ができないということです。
2のデメリットで解説した内容に近いですが、一般的の固定資産の減価償却の場合、償却をしないという方法がとれますが、一括償却資産を適用した場は、償却しないという選択をすることができません。
一括償却資産した場合、2年目以降も継続する必要があり、任意で変更ができないという点で、一般的な償却方法で行うのと比べると縛りが強く、自由度が低いと言えます。
コラム「中小企業の申告において、一括償却資産が出る幕はどのような場合か」
前述のとおり、中小企業が取得価額30万円未満の少額資産を購入した場合は、一括償却資産として償却するより、中小企業の少額減価償却資産の特例を適用する方が事務の簡素化及び償却期間の短縮に有利となっています。
このように聞くと、「中小企業の実務において、いつ一括償却資産を適用するの?出番がないのでは?」と思う方もいらっしゃると思います。
結論としては、中小企業の少額減価償却資産の特例の限度額である300万円までを少額減価償却資産の特例を適用して、限度額を超えた分を一括償却資産にするということが多いです。
なお、一括償却資産に適用した場合は、3年間は必ず償却する必要があるので、赤字が続いている場合などで費用を増やしたくない場合は、逆に適用しない方が良い場合もあります。
一括償却資産の3年償却を行うメリットとデメリットについての解説は以上となります。
次の章では一括償却資産の経理処理について解説していきたいと思います。
1-2-7 一括償却資産の経理処理について
ここでは、一括償却資産を適用する上で、必要な経理処理の方法について、解説していきたいと思います。
一括償却資産を適用とした場合、資産を個別に管理することはありません。
その事業年度で取得した一括償却資産の取得価額の合計額を損金算入することになります。
一括償却資産を損金算入する方法としては、以下の2つの方法があります。言葉自体を覚える必要は全然ありません。
一括償却資産を損金算入する2つの方法
- 決算調整方式
- 申告調整方式
上の2つの方法のうち、いずれかを会社が選択して一括償却資産を損金とする計算を行っていきます。
ここで、先にお伝えしたいことがあります。
この2つの方法では、「決算調整方式」の方が圧倒的に簡単で分かりやすいので決算調整方式でやりましょうということです。
これから、二つの方法を解説していきますが、税務初心者の方は、決算調整方式だけ理解してもらえれば十分です。
では2つの方法での、一括償却資産を適用した場合の経理処理について、それぞれ解説していきたいと思います。
決算調整方式での経理処理について
まず、一つ目の方法としては「決算調整方式」です。
この方法は、一括償却資産として資産計上をしたうえで減価償却資産として損金算入する方法です。
ごくごく一般的なやり方です。
具体的な経理処理は以下のようになります。
決算調整方式での経理処理
一括償却資産の内容は以下の通りです。
資産の内容 | 数量 | 単価 | 合計額 |
パソコン | 20台 | 150,000円 | 3,000,000円 |
・取得時の経理処理
資産を取得した時の仕訳については、以下の通りです。
勘定科目 翌期の処理の仕訳
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
一括償却資産又は器具備品 | 3,000,000円 | 現金 | 3,000,000円 |
・決算時の経理処理
別表16(8)を作成し、損金算入限度額を算出する
この記載例の場合、3,000,000円×12/36=1,000,000円が損金算入限度額となります。
算出した損金算入限度額の仕訳を行う。
決算時の仕訳は以下の通りです。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
減価償却費 | 1,000,000円 | 一括償却資産又は器具備品 | 1,000,000円 |
・2年目と3年目の仕訳
2年目と3年目での仕訳は1年目の決算時と同じ仕訳を行います。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
減価償却費 | 1,000,000円 | 一括償却資産又は器具備品 | 1,000,000円 |
申告調整方式での経理処理について
次に、二つ目の方法としては「申告調整方式」です。
この方法は、取得時に消耗品費等として全額を費用として計上し、法人税の確定申告時に2年目以降の分を加算調整する方法です。
申告調整方式での経理処理
一括償却資産の取得価額合計額:器具備品 300万円
・取得時の経理処理
資産を取得した時の仕訳は以下の通りです。
一度、費用勘定で全額を費用とします。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
消耗品費などの費用科目 | 3,000,000円 | 現金及び預金 | 3,000,000円 |
・決算時の経理処理
申告調整方式の場合、決算時においては仕訳は不要となります。
別表16(8)を作成し、損金算入限度額を算出する
この記載例の場合、3,000,000円×12/36=1,000,000円が損金算入限度額となります。
・申告時に行う経理処理
別表4で「一括償却資産損金算入限度額超過額」として、当期では費用化できない金額を加算します。
設例では、取得価額である3,000,000円から損金算入限度額の1,000,000円を差し引いた2,000,000円を別表4で加算することになります。
限度超過???
確かに、申告調整方式は難しそうですね、、、
繰り返しになりますが、申告調整方式は決算調整方式と比べるとかなり複雑です。
税務や会計に通じており、申告調整等の理解がある方ではないと大変です。
そのため、余程の理由がない限り、単純な決算調整方式で経理処理するようにしましょう。
その理由は、次章の「別表16(8)の書き方」を読んでもらえると更によく分かってもらえると思います。
決算調整方式って、要するに取得した時は、全部「一括償却資産」という科目で資産計上して、決算の時に減価償却費で費用にすれば良いということですね。
法人でこの一括償却を適用する場合には、別表16(8)(一括償却資産の損金算入に関する明細書)を提出しなければならないことになっているということを冒頭の別表16(8)の役割のところで説明しました。
次の章からは、法人税の確定申告において、一括償却資産を損金に算入した場合に必要になるこの別表16(8)の書き方について解説していきたいと思います。
2 別表16(8)の書き方
それでは、一括償却資産の3年償却を適用するために必要や書類である「別表16(8)」の書き方について、解説していきます。
別表16(8)は法人税の別表の中では、そこまで難しくはない書類の一つです。
2-1 別表16(8)の様式の確認
まずは、別表16(8)が、どのような書類なのかを見てみましょう。
なお、ここで紹介する記載例は、中小企業が作成する別表16(8)で記載するべき内容をなるべく盛り込んだ場合の記載例となります。
実務において作成する別表16(8)はもっとシンプルなものになること多いかと思います。
したがって、ここで記載する内容が書けるようになれば、実務でも完璧な別表16(8)が書き上げることができるようになると思います。
【一般的な中小企業が作成する別表16(8)の記載例】
中小企業で作成する別表16(8)は、記載例のような形になります。
記載する欄の半分ほどしか書かれてませんね。
これなら、自分でも書けそうです。
それでは、別表16(8)の具体的な書き方を解説していきます。
2-2 別表16(8)の記載方法
ここでは、記載例に沿って別表16(8)の記載方法について解説していきたいと思います。
作成する別表16(8)の記載例の内容は以下の通りになります。
例題内容
事業年度:令和5年1月1日から令和5年12月31日
経理区分:税込経理
経理方式:決算調整方式
一括償却資産の内容
資産の内容 | 購入日・事業の用に供した日 | 購入個数 | 単価(税込金額) | 合計金額(税込金額) |
パソコン | R3.1.31 | 5台 | 185,000円 | 925,000円 |
応接セット | R4.7.7 | 1式 | 175,000円 | 175,000円 |
カメラ | R5.3.4 | 2台 | 194,400円 | 388,800円 |
それでは、別表16(8)を作成していきます。
① 「事業の用に供した事業年度(1欄)」を記載する
この欄には、一括償却資産の事業の用に供した日に属する事業年度を記載します。
右から当期分、前期分、前々期分の順に一括償却資産とした事業年度を記載していくことになります。
当期分の一括償却資産の記載の場合は、既に「(当期分)」と印字されているため、記載は不要となります。
記載例では、当期、前期及び前々期において、一括償却資産を取得しているため、右側から「当期分」、「令和4年1月1日 令和4年12月31日」、「令和3年1月5日 令和3年12月31日」と記載しています。
② 「同上の事業年度において事業の用に供した一括償却資産の取得価額の合計額(2欄)」を記載する
この欄には、各期において一括償却資産とした資産の取得価額の合計額を記載します。
取得価額というのは、以下の式で算出されます。
取得価額 = 購入代金+購入するためにかかった費用(付随費用)+ 使用するためにかかった費用(事業供用費用)
取得価額は上のような式にとなっていますが、「取得価額 ≒ 購入代金」として考えて差し支えありません。
Amazonなどで購入した際に、送料が入っていたらそれも取得価額にするくらいで理解してもらえれば十分です。
取得価額を確認する上で以下の点に注意が必要です。
一括償却資産の取得価額の2つの注意点
- 取得価額は消費税の経理方式でその金額が変わる
- 取得価額の判定単位
一つ目の注意点としては、消費税の取り扱いです。
取得価額は、税込経理方式を採用していれば税込金額で、税抜経理方式を採用していれば税抜金額で判断します。
したがって、税込経理方式を採用している場合は、税抜価額で20万円未満であっても、税込金額が20万円以上の場合は、一括償却を適用できないことになることに注意しましょう。
続いて二つ目の注意点としては、取得価額の判定単位です。
その資産の取得価額が20万円未満であるという金額判定は、パソコン等であれば「1台」ごと、応接セットであれば「1組」など、通常1単位として取引される単位で判定します。
例えは、テーブルとソファの組み合わせである応接セットを購入した場合、テーブル、ソファの単体ごとの取得価額で金額判定するのではなく、応接セット全体の価格で判定する必要があるということです。
設例では、当期において一括償却資産とした資産は1台194,400円(税込)のカメラを2台一括償却資産としているため、合計金額である388,800円を記載しています。
③ 「当期の月数(3欄)」を記載する
この欄には、一括償却資産の3年償却を行う資産の事業の用に供した日に属する事業年度の月数を記載します。
基本的に事業年度は12か月となりますので、多くの場合は12が記載されます。
設立間もない法人である場合、事業年度の月数が短い場合がありますので、その場合は事業年度の月数(1月に満たない端数があるときは、これを1月とする)を記載することになりますので、注意しましょう。
例えば、設立した事業年度が10ヵ月と1日の場合は、端数日を切り上げて11か月となります。
設例では、当期の事業年度の月数はすべて12か月となっているため、「12」と記載しています。
④ 「当期分の損金算入限度額(4欄)」を記載する
この欄には、当期分の損金算入限度額を記載します。
損金算入限度額というのは、その事業年度において、税務上、会社が損金にしてもいい金額のことを指します。
言わば、この金額までは費用にできるということです。
損金算入限度額について、簡単に説明します。
法人税は、税金を故意に少なくされる行為ことを嫌います。
一括償却資産でいえば「20万円未満の資産は、一度に全額費用にされると税金が少なくなるので、1/3の金額しか税金の計算では差し引かないよ」という意味で、損金(法人税法上の費用)の額に算入する限度額を設けています。
損金の額に限度額を設けて自由な償却に制限をかけているのです。
4欄「当期分の損金算入限度額」には、一括償却資産の取得価額の合計額(2欄)×当期の月数(3欄)×36で算出した金額をそれぞれ記載します。
なお、設例での損金算入限度額の計算は、下表のとおりになります。
事業年度 | 損金算入限度額の計算式 | 算出された損金算入限度額 |
当期分(R5.1.1からR5.12.31期) | 388,800円×12か月/36 | 129,600円 |
前期分(R4.1.1からR5.12.31期) | 175,000円×12か月/36 | 58,333円 |
前々期分(R3.1.1からR5.12.31期) | 925,000円×12か月/36 | 308,333円 |
あれ?前々期分の損金算入限度額の計算が間違えてますよ。
算出式では、「925,000円×12か月/36=308,333円」となっていますが、別表16(8)には、「308,334」と書かれますけど、、
おっしゃる通り、これは、一括償却資産の償却時によく遭遇する端数計算の問題です。
前々期分の一括償却資産は925,000円で、この金額を3年償却を行うと各年度の償却限度額は「308,333円」となります。3年間の償却額を合計すると924,999円となります。
3年目の期末で端数分の1円の未償却額が残ることとなります。
この1円の未償却額は、本来であれば4年目に償却を行うべきでしょう。
しかしながら、実務においては、3年目にこの未償却残額を減価償却費として1円多く費用としても問題になることはありません。
そのため、今回の設例でもその考えに準じて3年目において、未償却額である1円を多く償却しています。
⑤ 「当期損金経理額(5欄)」を記載する
この欄には、当期損金経理額を記載します。
当期損金経理額というのは、その名称の通り、その期に会社が一括償却資産分として減価償却費とした金額を指します。
ここで一つ注意点があります。
それは、損金算入限度額(4欄)と当期損金経理額(5欄)は必ず一致させるようにしましょう。
なぜなら、4欄と5欄を一致させれば、ここで別表16(8)は完成となるからです。
4欄と5欄が一致しない場合は、6欄から10欄に加えて別表4と別表5(1)を使用して複雑な損金算入限度超過額の計算をしなければならなくなります。
これが、前述の面倒な申告調整方式です。
なるほど、4欄と5欄を一致させると税務処理が簡単ということですね。
では実務では、どのように4欄と5欄を一致させるのでしょうか?
実務において4欄と5欄を一致させる方法は次のとおりです。
実務において4欄と5欄を一致させる方法
- 会計ソフトを使って一括償却資産の減価償却費を計算している場合は、4欄で算出した損金算入限度額に一括償却資産の減価償却費を訂正する。
- 会計ソフト等を使用していない場合は、4欄で算出した損金算入限度額を一括償却資産の減価償却費として計上する。
前述のとおり4欄と5欄が一致している場合は、別表16(8)はここで完成です。
別表16(8)の6欄以降は、4欄(損金算入限度額)と5欄(当期損金経理額)が一致していない場合にのみ記載が必要となる欄となります。
4欄(損金算入限度額)と5欄(当期損金経理額)を一致させないとどれほど面倒かがわかってもらえればという意味で6欄以降の書き方を簡単に解説していきます。
⑥ 「損金算入不足額(6欄)」及び「損金算入限度超過額(7欄)」の記載について
この欄は、4欄と5欄の金額が一致していない場合に使用する欄です。
この欄には、「当期分の損金算入限度(4欄)」と「当期損金経理額(5欄)」を比較して、4欄>5欄の場合は、その差額を損金算入不足額(6欄)に記載し、4欄<5欄の場合は、その差額を損金算入限度超過額(7欄)に記載することになります。
なお、4欄と5欄が同額である場合は、6欄、7欄ともに記載は不要です。
4欄>5欄の場合 | 4欄と5欄の差額を6欄に記載する |
4欄<5欄の場合 | 5欄と4欄の差額を7欄に記載する |
4欄=5欄の場合 | 記載不要または0 |
損金算入不足額?損金算入限度超過額?
この二つはどのような意味ですか?
「損金算入不足額」というのは、会計上で計上した償却額がその損金算入限度額を満たない場合の差額のことを言います。
損金算入不足額については、前期から繰り越された償却超過額がなければ切り捨てられることになり、除却や売却などで資産がなくなるまで損金算入することはできません。
「損金算入限度超過額」というのは、会計上で計上した償却額がその損金算入限度額を超えてしまった場合の差額のことを言います。
この税法上の償却費を超えた部分である「損金算入限度超過額」は会計上では、費用ですが税務上では、損金にすることができません。
⑦ 「損金算入限度超過額」に関する記載欄(8欄から10欄)について
この欄は、損金算入限度超過額の内容に関する記載欄となります。
当期の申告において、損金算入限度超過額がある場合や前期からの損金算入限度超過額の繰越額がある場合に使用する欄です。
Ⅰ 8欄の記載内容
この欄には、前期から繰り越した損金算入限度超過額を記載します。
前期の別表16(8)の10欄の金額を転記してください。
Ⅱ 9欄の記載内容
この欄には、当期損金認容額を記載します。
「損金算入不足額(6欄)」の金額と「前期からの繰越額(8欄)」の金額を比べて、少ない金額を記載します。
なお、ここに記載した金額は、別表4の12欄(減価償却超過額の当期認容額)で減算処理を行います。
Ⅲ 10欄の記載内容
この欄には、翌期へ繰り越す損金算入限度超過額を記載します。
「前期からの繰越額(7欄)」と「前期からの繰越額(8欄)」を足した金額から「同上のうち当期損金認容額(9欄)」を差し引いた金額を記入します。
確かに、難しそうですね。
損金算入限度超過額の計算は、当期だけではなく、前期以前や翌期以降にも影響が出てくることや、別表16(8)以外にも別表4で加算減算を行う必要があるなど、複雑な処理が多く専門家以外が手を出してはいけない領域です。
繰り返しになりますが、よほど法人税の別表処理に通じている場合を除いて「当期分の損金算入限度(4欄)」と「当期損金経理額(5欄)」は必ず一致させて損金算入限度超過額が発生しないようにしましょう。
これで、別表16(8)は完成となります。
ここまでお読みになっていれば比較的簡単に書くことができるようになっていると思います。
しかしながら、別表16(8)を作成するには、購入した資産を固定資産台帳で整理して、その資産のうち、一括償却資産となる資産を別表16(8)に転記し、事業年度が12ヶ月ない場合の調整や、端数計算の注意点などにも気を配る必要があります。計算自体はそんなに難しいものではありませんが、面倒な作業が伴うことは否定できません。
そのほかにも計算ミスや転記ミスが不安だ。このように感じる方がいるかもしれません。
そんな方にぴったりな、簡単にそしてより早くより正確に別表16(8)を作成する方法があります。
次の章では、別表16(8)を簡単に早く正確に作成する方法をご紹介します。
3 もっと早く、簡単に別表16(8)を作成する方法
別表16(8)を簡単、正確にそして、早く作成する方法、それは、
誰でも簡単に法人税の申告書が作成できるクラウド税務ソフト「全力法人税」を利用する方法です。
ちなみにこの記事で別表16(8)の記載例を掲載しましたが、それも全力法人税でちゃちゃっと作成したものです。
ただ、先に申し上げておきますが、「全力法人税」を使って別表16(8)を作成する場合には、有料会員になる必要があります。
全力法人税を利用して別表16(8)などを作成し、出力する場合の料金
利用は無料(一部の書類の出力を除く)
別表16(8)を出力する場合は有料版が必要
(初年度:19,620円+税/翌年以降:10,000円+税)
別表16(8)を作成して、出力するだけでお金が掛かるんですか?
それだけのためにこの価格はちょっとないですかね…
おっしゃる通り、別表16(8)を作成するだけのために全力法人税の有料会員となり利用することは、おすすめできません。
ただ、全力法人税を利用することで、他の法人税の申告に必要な書類が手書きより圧倒的に早く簡単に作成することができます。
なお、あくまで印刷するのが有料であり、作成して税額等を確認するのは無料でできます。
例えば、法人税の申告書で一番難しい別表4や別表5(1)、別表5(2)は出力はできませんが、画面上で無料で確認できます。勘定科目内訳明細書や事業概況説明書などは無料で作成できます。
法人税の申告書を作成する上で、知っておいて良いツールだと思いますよ。
3-1 全力法人税とは
全力法人税は、法人税の知識がなくても誰でもかんたんに法人税の申告書が作成できるをコンセプトとしたソフトです。
かなりの高機能にもかかわらず一部の申告書の出力を除いてすべての機能を無料で利用できます。これほど高機能で無料で利用できるものを他に知りません。
ただし、別表16(8)については、有料版でのみ出力が可能な書類です。
無料版と有料版で出力できる書類の違いについては、全力法人税の対応書類一覧をご確認ください。)
うーん…本当に良いソフトなのかな??
実績は、これまでアカウントの登録数は22,000を超えています。
元国税調査官・税理士が監修しており、お客様レビューでの高評価数850件越えで信用できます。
【手書きと全力法人税利用の比較】
全力法人税を使ってどれくらい簡単に別表16(8)が作成できるか見てみましょう。
3-2 全力法人税を使って別表16(8)を自動で作成する方法
全力法人税を使って別表16(8)を作成する方法を紹介します。
まずは次のページにアクセスしていただき、新規アカウント登録をする必要があります。
アカウント登録は、全部の書類を印刷したい場合にのみ有料会員となる必要があるだけで、それ以外の機能をすべて無料で利用することができますのでご安心ください。
❶ 全力法人税にログインする
全力法人税は、クラウドソフトであるため、アカウントを作成して、ログインする必要があります。
❷ トップ画面で「申告書を作成する」を選択する
❸ 基本情報を入力後「保存」して「次へ」を選択する
法人名や決算期等の法人の基本的な情報を入力してください。所要時間5分程度
❹ 「申告情報」を入力後「保存」して「次へ」を選択する
作成を行う申告書の情報を入力してください。所要時間5分程度
❺ メニューバー「固定資産台帳」>「固定資産台帳」画面で購入した資産の金額等を入力する
メニューバー「固定資産台帳」>「固定資産台帳」画面に移ります。
ここが購入した一括償却資産の詳細の入力を行うための画面になります。
「新規登録」クリックし、入力フォームに必要な情報を入力します。
一括償却資産については、資産を個別で入力するのではなく、一括償却資産の対象となる資産を決算期ごとにまとめてから入力します。
なお、取得年月日は、便宜上、最後に取得した資産の取得した年月日を入力するでOKです。
入力が終わったら「保存」ボタンを押します。
この入力画面で、「一括償却を適用する」にチェックを入れることで、一括償却資産として償却を行うことができます。
なお、画像にもあるとおり、「普通償却費」欄には、償却限度額が自動で算出されます。
❻ 別表16(8)を出力する
別表16(8)は有料版でないと出力することができませんので、お支払いが必要になります。
メニューバー「印刷」をクリックすると、「申告書出力コントローラー」画面が表示されます。
別表16(8)のチェックボックスにチェックを入れて、「PDF出力」をクリックすると、作成した別表16(8)が出力されます。
次のように印刷されます。
別表16(8) 記載例
以上で別表16(8)が完成しました。
多少の一括償却資産の知識は必要ではありますが、ここまで記事を読んでいただいた方であれば、かなり簡単に作成できることを感じていただけたのではないしょうか。
記事を作成するために別表16(8)を全力法人税で作成しましたが、簡単すぎて説明するところが本当に少ないです。
このように全力法人税を使用して法人税の別表を作成するとかなり効率的にそして転記漏れもありませんので正確に作成できます。
繰り返しになりますが、別表16(8)のためだけに有料版になるというのは現実的ではないと思いますが、法人税の知識がなくても申告に必要な書類一色が作成でき、無料で出力できる書類も多く、無料で出力できなくても別表4や別表5(1)、別表7など画面で確認できるものも多くありますので、全力法人税で作成したものをe-Taxソフトに入力したり、申告書に手書きで写す方法でも何もないところから申告書を作るよりずっと効率的に無料で作成することも可能です。
是非効率的に申告書を作成したいという方はこの法人税の申告書作成支援ソフト「全力法人税」を試して損はないと思います。
最後にここまで、記事で解説した内容について振り替えいきたいと思います。
4 まとめ
ここまで解説してきたことを簡単に振り返ります。
法人税の申告書である別表16(8)「一括償却資産の損金算入に関する明細書とは、一括償却資産の3年償却を適用するための申告書類です。
「一括償却資産の3年償却」というのは、取得価額が20万円未満の固定資産ならどんな種類のものでもそれを一括して3年間で均等に償却できるという制度でした。
一括償却資産の3年償却は、事務の簡素化などメリットが多くありますが、一括償却資産を一度適用すると3年以内に資産を売却または、除却して資産がなくなっても、継続して償却を続ける必要があるなどデメリットもありました。
一括償却資産を損金算入する方法としては、「申告調整方式」と「決算調整方式」の二つがあり、原則「決算調整方式」で処理する必要がありました。
申告ソフトを使うと正確かつ、短時間で綺麗な別表16(8)を作成することができました。
別表16(8)のように、一度書き方や制度について理解することが出来れば、高い専門知識などなくても十分自力申告が可能であることがわかっていただけたと思います。
そして申告ソフトを使えば、もっと効率的に進めることも可能です。
全力経理部の法人税の書き方の記事を読みながら、最短距離で自力申告をやり遂げてもらえると、たいへん嬉しく思います。
他にも法人税の別表の説明や書き方の解説をわかりやすく行なっていますので、よろしければそちらもご覧いただけたらと思います。
コメント