今回初めて法人税の中間申告(予定納税)のお知らせが来て、電子申告でやろうと思ったけどお知らせを見てもどうやったらいいのか全然わからない…どうしよう…
初めてのときは、わからないですよね。
でも中間申告(予定納税)は全然難しいことはないので、この記事をブックマークして毎年余裕でクリアしてしまいましょう。
この記事では、中小企業向けに法人税、地方税そして消費税の中間納付(予定納税)をe-TaxとeLTAXを使って電子申告し、電子納税までする方法をやさしく丁寧に解説していきます。
電子申告で中間納税をする方法を解説する前に、法人にまつわる法人税、地方税と消費税の中間申告に関する概要について、まずは確認しておきましょう。
目次
1 法人税・地方税・消費税の中間納付(予定納税)の概要
そもそも中間申告の対象となる法人とは?その対象となる法人について確認しましょう。
1-1 中間申告(納税)の対象となる法人
法人税、地方税、消費税で中間申告が必要となる法人の条件は次のとおりです。
法人税 | 地方税 | 消費税 |
---|---|---|
前事業年度(前年度)の確定法人税額が20万円超 | 法人税が中間申告が必要となった場合(=前事業年度の確定法人税額が20万円超) | 直前の課税期間の年間確定消費税額が48万円超 詳しくは国税庁HPの解説へ |
実務では、電子申告の申請をしている場合は、メッセージボックス(+メール)で中間申告の通知がきますし、電子申告をしていない場合は、郵送でお知らせがきますので、忘れてしまう!ということはないでしょう。
次に中間申告が必要となった法人は、いつまでに申告書を提出し、いつまでに納付しなければならないのでしょうか。
1-2 法人の中間申告の提出期限と納付期限
法人の中間申告の提出期限と納付期限は次のとおりです。
つまり、会計年度開始の日が1月1日であれば、6か月経過となるのは7月1日です。そこから2か月以内の8月31日までが、中間申告書の提出期限であり、納付期限ともなります。
中間申告の提出期限と納付期限は確定申告と同様同じ日なので注意しましょう。
原則というのは、消費税だけは、直前の課税期間の確定消費税額(年額)が400万円を超えると年3回と年11回というバリエーションが出てきますので、このような法人は当てはまりません。しかしながらそのような法人は多くないでしょうからここでは原則としてこのように言っています。(詳しくは国税庁HPのNo.6609 中間申告の方法を参照してください。)
1-3 予定申告(予定納税)とは
中間申告には実は、次の2つの方法があります。
前年度実績による予定申告 | 仮決算による中間申告 |
---|---|
前年度の実績(次の計算式)で中間納付税額が決まる方法 | 会計年度開始日以後6ヶ月の期間を1会計期間とみなして、仮決算を行い、提出期限までに中間申告する方法 |
仮決算による中間申告が期限内に提出されなかった場合は、前年度実績による予定申告書が提出されたものとみなされます。
仮決算を行うケースは、予定申告では納めすぎてしまって資金繰りに困ってしまうような場合です。
そうでない多くのケースでは前年度実績による予定申告書を提出することになります。
中間申告書を期限内に提出しなかった場合はどうなるのでしょう?
前年度実績による予定申告書が期限内に提出されたものとみなされ、期限内にその中間税額を納付しない場合は、納付するまでの期間延滞税が計算されることになります。
ここまで中間申告(納税)の概要です。
いよいよここからが本題の電子申告による中間申告そして納税の方法を解説していきます。
ここでは予定申告の方法を解説します。(仮決算による中間申告の方法の解説は割愛します。)
2 電子申告による中間納付・予定納税の方法
中間納付(予定納税)を電子申告するにあたって、使用するシステムによって次のようにカテゴリー分けできます。ここで整理しておきましょう。
国税 | 地方税 | |
---|---|---|
税目 |
|
|
システム | e-Tax | eLTAX |
使用ソフト | e-Taxソフト(ダウンロード版) ※納税はweb版でも可能 | PCdesk(ダウンロード版) ※納税はweb版でも可能 |
国税の方から1つ1つ電子申告→電子納税の方法を解説していきます。
まずは法人税と消費税の中間納付(予定納税)の方法を解説します。
2-1 法人税・消費税の中間納付(予定納税)の方法(電子申告)
法人税と消費税は国税ですので、先の解説であったようにe-Taxというシステムを利用して中間申告(予定申告)を電子申告することになります。
法人税と消費税の中間納付(予定納税)を電子申告(e-Tax)で行う方法は同じですので、ここでは法人税を例に解説していきます。
なお、法人税と消費税を電子申告できる環境が整っていない場合(初めてe-Taxで電子申告を行う場合)は、次の記事でその環境設定を行ってください。
STEP1 お知らせの受信
まず、中間申告(予定納税)の対象の法人には、その期限の1月ほど前に次のようなお知らせをe-Taxに登録したメールアドレス宛に送られてきます。
【件名】税務署からのお知らせ【申告に関するお知らせ】
【送信者】e-Tax(国税電子申告・納税システム) <info@e-tax.nta.go.jp>
【内容】e-Taxをご利用いただきありがとうございます。
国税に関する申告の参考となる情報について、メッセージボックスに格納しましたので、内容をご確認ください。e-Taxの利用可能時間内に、以下の手順で確認することができます。
■ パソコンから確認する場合
※個人納税者の方が確認するためにはマイナンバーカード等が必要です。
●受付システムをご利用の場合
1 「受付システム ログイン」画面からログインします。
2 「メッセージボックス一覧」から該当のお知らせを選択すると、内容が表示されます。
⇒ 受付システムへ ⇒ https://uketsuke.e-tax.nta.go.jp/UF_APP/lnk/loginCtlKakutei●e-Taxソフト(WEB版)をご利用の場合
1 「e-Taxソフト(WEB版)メインメニュー」画面からログインします。
2 「送信結果・お知らせ」を選択してください。
3 「メッセージボックス一覧」から該当のお知らせを選択すると、内容が表示されます。
⇒ e-Taxソフト(WEB版)へ ⇒ https://clientweb.e-tax.nta.go.jp/UF_WEB/WP000/FCSE00001/SE00S010SCR.doー 中略 ー
※ 本メールは、「国税電子申告・納税システム(e-Tax)」にメールアドレスを登録いただいた方へ配信しております。
なお、本メールアドレスは送信専用のため、返信を受け付けておりません。ご了承ください。
———————————————————-
発行元:国税庁
Copyright (C) NATIONAL TAX AGENCY ALL Rights Reserved.
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STEP2 e-Taxソフトのメッセージボックスでお知らせの確認
実際にe-Taxソフト(ダウンロード版)でメッセージボックスを開けます。
e-Taxソフト(ダウンロード版)を開き、メニューから「メッセージボックス」をクリックし、「メッセージボックス」の中から「法人税及び地方法人税の予定申告について」を選択します。
メッセージ詳細(受信通知)画面で「お知らせ」ボタンを押すと、中間申告(予定納税)の計算結果を確認することができます。
次のような中間(予定)申告の内容を確認することができます。
予定申告用
令和 4年 1月 1日 事業年度等分中間(予定)申告について
令和 4年12月31日来る8月31日は、貴法人の予定申告書の提出期限であり、また、法人税及び地方法人税の納期限です。
予定申告については、原則として前事業年度等の法人税額の2分の1及び地方法人税額の2分の1を申告して、同時にその税額を納付することになっていますから、期限内に申告と納税をしてください。納付が遅れますと、本税のほかに納付の日までの延滞税を納付していただくことになります。
なお、事業概況が前事業年度等と著しく異なっているなどの場合には、この申告によらないで中間事業年度の実際所得金額を基礎として申告納税することもできます。この場合には確定申告書の様式によって作成した申告書を提出してください。
前事業年度等 自令和 3年 1月 1日 至令和 3年12月31日 法人税額の計算 地方法人税額の計算 修正・更正・決定の年月日 令和 年 月 日 修正・更正・決定の年月日 令和 年 月 日 前事業年度の法人税額 1,000,000円 前課税事業年度の地方法人税額 103,000円 同上のうち土地譲渡税額等及び税額控除超過額の加算額(※1) 0円 同上のうち税額控除超過額相当額の加算額等(※2) 0円 差引法人税額 差引地方法人税額 月数換算 同上の税額 × 6 / 前事業年度の月数 月数換算 同上の税額 × 6 / 前課税事業年度の月数 納付すべき法人税額 500,000円 納付すべき地方法人税額 51,500円 ※1 令和4年3月31日以前提出分は、「同上のうち土地譲渡税額等及び連結納税の承認を取り消された場合等における既に控除された法人税額の特別控除額の加算額」
※2 令和4年3月31日以前提出分は、「同上のうち土地譲渡税額等及び連結納税の承認を取り消された場合等における既に控除された法人税額の特別控除額の加算額に係る金額」
(中間申告)予定納税の金額がどのように決定されたかを確認したいときに利用するとよいでしょう。
STEP3 法人税の予定申告書を作成する
続いて本題の法人税の予定申告書を作成していきます。
メッセージ詳細(受信通知)画面で今度は「申告書等作成」ボタンをクリックします。
画面の案内にしたがって「申告等名称入力」「申告・申請等基本情報」を入力を進めると予定申告書作成画面に移ります。
納付すべき法人税額と地方法人税額が入力されたものが表示されます。
法人税・消費税の予定申告書は、予定納税額が入ったものが自動で作成されますので、誰でもできますね。
STEP4 法人税の予定申告書に電子署名を付与する
作成した法人税の予定申告書に電子署名を付します。
❶ 「署名可能一覧へ」をクリック
❷ 「電子署名」をクリック
❸ 署名を付したいデータをクリック
❹ 「署名」をクリック
マイナンバーカードによる電子署名の付与の方法を解説します。
ICカードを挿入し、「ICカードを利用」を選択し、「次へ」をクリックします。
「公的認証サービス(マイナンバーカード)」を選択し、「次へ」をクリックします。
マイナンバーカードを作成した際に登録したパスワードを入力し、「OK」をクリックします。
確認画面が表示されるので、内容を確認し「OK」をクリックします。
申告・申請等に電子署名が付与され、「署名可能一覧」画面に戻ります。
「署名数」欄に、署名されている数が表示されます。
ICカードをICカードリーダライタから取り出します。
STEP5 申告書を送信する
電子署名を付与した法人税の予定申告書を送信します。
❶ 「送信可能一覧へ」をクリック
❷ 「送信」をクリック
❸ 「送信可能申告・申請等一覧」の中から送信したいデータをクリック
❹ 「送信」をクリック
受付システムへのログイン画面が表示されるので「利用者識別番号と暗証番号によるログイン」を選択し、「利用者識別番号」と「暗証番号」を入力し、「OK」をクリックします。
受信通知の格納先フォルダを選択し、「OK」をクリックします。
送信が開始され、送信状況が表示されます。送信が完了すると、「即時通知結果表示」画面が表示されます。
またメールボックスで予定申告が完了した通知を確認することもできます。
STEP6 予定申告に基づいて電子納税する
STEP5で予定申告書を送信すると、同時に納税がすぐできるよう「納付情報登録依頼」が行われ、メッセージボックスに格納されます。
これによりすぐに電子納税することが可能です。
メッセージボックスを開き、「納付情報登録依頼」という件名のメッセージを開きます。
納付区分番号通知確認(受信通知)画面に右下の「ダイレクト納付」「インターネットバンキング」「クレジットカード納付」から納付方法を選択し、納付します。
選択した納付方法の案内にしたがって納付を済ませます。
これで法人税と消費税の中間納付(予定納税)を電子申告(e-Tax)で行うことができました。
続いて法人税に中間納付の必要がある場合は、事業税や道府県民税、市町村民税という地方税の方も中間申告が必要であることを意味することは説明しました。
地方税の中間申告を電子申告(eLTAX エルタックス)により行う方法を解説していきます。
2-2 地方税の中間納付(予定納税)の方法(電子申告)
地方税というのは、都道府県に申告する道府県民税(都民税)と事業税、そして市町村に申告する市町村民税の総称です。
地方税とは
提出先 | 都道府県 | 市町村 |
---|---|---|
税目 |
| 市町村民税 |
地方税の中間申告(予定申告)を電子申告する場合は、eLTAX(エルタックス)というシステムを利用してPCdeskという無料ソフトを使って行なっていくことになります。
地方税を電子申告できる環境が整っていない場合(初めて地方税の電子申告を行う場合)は、次の記事でその環境設定を行ってください。
まずは、都道府県に提出する道府県民税(都民税)と事業税の中間納付(予定納税)を電子申告(eLTAX)により行う方法を解説していきます。
2-3 道府県民税(都民税)と事業税の中間納付(予定納税)編
都道府県に提出する道府県民税(都民税)と事業税の中間納付(予定納税)をPCdeskを使ってする方法をSTEP式に解説していきます。
STEP1 お知らせの受信
まず、中間申告(予定納税)の対象の法人には、その期限の2月ほど前に次のようなお知らせをe-Taxに登録したメールアドレス宛に送られてきます。
【件名】eLTAXからのお知らせ:プレ申告データの格納(神奈川県)
【送信者】announce@portal.eltax.lta.go.jp
【内容】
eLTAX(地方税ポータルシステム)をご利用いただきありがとうございます。
このメールは、eLTAXからプレ申告データの格納に関するお知らせです。以下のプレ申告データをeLTAXのメッセージボックスに格納しました。
メッセージは、2022/09/29まで確認できます。プレ申告データとは、今回の申告を行う際のもととなる情報が、
あらかじめ設定されたデータです。申告データ作成の際にご活用ください。
【プレ申告データの送信元】
神奈川県〇〇県税事務所
【税目】
法人都道府県民税・事業税・特別法人事業税又は地方法人特別税プレ申告データの確認方法は以下の通りです。
・PCdesk(DL版)をご利用の方
eLTAXのメッセージボックスから内容をご確認いただけます。
操作手順がご不明の場合は、PCdesk(DL版)の操作マニュアルをご参照ください。
なお、PCdesk(DL版)の操作マニュアルは、eLTAXのホームページより
ダウンロード可能です。
【ホームページURL】
https://www.eltax.lta.go.jp/support/document/ー 以下略 ー
STEP2 PCdeskのメッセージボックスで中間納税に関するお知らせを確認する
メールを受けて実際にPCdeskのダウンロード版でメッセージボックスを確認します。
PCdeskのweb版は中間申告書を作成できませんので、PCdeskダウンロード版で中間申告書を作成していきます。
中間申告に関するメッセージ「プレ申告データに関するお知らせ」を開きます。
「作成」ボタンを押します。
STEP3 道府県民税と事業税の予定申告書を作成する
「作成方法選択」画面で必須となっている部分を入力します。
作成方法は「手入力による作成」を選択し、中間申告の対象となる事業年度を入力し、「次へ」ボタンを押します。
「手続情報・様式確認」画面に移りますので、表示されている内容を確認し、問題なければ「次へ」ボタンを押します。
「申告データ表示・編集(本表)」画面に遷移します。
ここで画面右下の「保存」ボタンを押してみましょう。
これをするとエラーチェックが行われます。エラーが生じた場合は解消しましょう。
この例では、画面の下半分が空欄であることが原因となっています。
昨年度の第6号様式を手元に用意し、次のように転記します。
まずは、事業税について昨年度の第6号様式から次のように転記します。
続いて道府県民税のエラーを昨年度の第6号様式から次のように転記し、解消します。
転記が終わったら「申告データ表示・編集(本表)」画面に右下の「保存」ボタンを押してエラーが解消されていることを確認し、「次へ」ボタンを押します。
STEP4 道府県民税と事業税の中間申告書に署名を付与する
「申告データ一覧(署名)」画面に移りますので、付与したい申告データを選択し、「署名付与」ボタンをクリックします。
申告データにエラーがない場合に限ってこの画面に署名可能な申告データが表示されます。
ここでは、マイナンバーカードによる電子署名の方法を解説します。
署名に使用する電子証明書を選択します。
「ICカード又はUSBトークンを利用」を選択し、「認証局サービス名」を選択し、「次へ」をクリックします。
マイナンバーカードを設置し、電子証明書のパスワードを入力し、OKをクリックします。
電子証明書の内容が表示されるので、表示された内容を確認し、「次へ」をクリックして、署名を付与します。
STEP5 道府県民税と事業税の中間申告書データを送信する
署名を行なった申告データを送信します。
「申告メニュー」画面から「申告データの送信」をクリックします。
一覧から送信を行う対象の申告データを選択し、「送信」をクリックします。
ここでポータルサイトへログインしていない場合は、ポータルセンタログイン画面が表示されるので、ログインしてから操作を続けてください。
申告データの送信が完了すると、申告データの送信結果が一覧表示されるので、送信結果を確認します。(送信結果一覧は、一度閉じると再度確認することはできません。)
送信の完了の確認は、メッセージボックスに格納される「申告受付完了通知」でも確認することができます。
予定申告がここで完了しましたので、次は電子納税に移っていきます。
STEP6 中間申告書に関する納付情報発行依頼を行う
ここからはPCdeskのweb版の画面で解説します。(PCdeskのダウンロード版でも同様の操作で行えます。)
PCdeskにログインし、トップメニューで「納税メニュー」をクリックします。
「納税メニュー」画面で「電子申告連動」をクリックします。
「納付対象申告一覧」画面で「税目区分」欄にこれから納付したい税目を選択します。この例では、「法人都道府県民税・事業税・特別法人事業税又は地方法人特別税」になります。
「申告区分」欄は「予定」を選択し、事業年度は中間申告の対象となっている事業年度を入力し、「検索」ボタンを押します。
この検索によって中間申告を行なったものが同じ「納付対象申告一覧」画面の下部の「納付対象申告一覧」に表示されるので、納付したいものにチェックを入れて「次へ」ボタンを押します。
「納付・納入金額一覧」画面に表示されている内容を確認し、「次へ」をクリックします。
「納付・納入金額」画面で、納付情報発行依頼を行う内容を確認し、「送信」をクリックします。
これで納付情報発行依頼は完了です。
納付情報発行依頼が受け付けられると、受付通知のメッセージが届きます。
納付情報発行依頼後、通常数分で納付可能になりますので、納付手続きを行います。
STEP7 納付情報発行依頼に基づき中間税額を納付する
トップメニューから「納税メニュー」を選択し、「納付情報発行依頼の確認・納付」をクリックします。
「納付情報一覧」画面で納付情報発行依頼をかけたものが「納付状況」欄で「納付可」となっているかを確認し、納付したいものにチェックを付して、画面右下の「次へ」ボタンを押します。
「納付方法選択」画面で納付方法を選択し、すぐに納付する場合は、納付方法を「今すぐ納付を行う。」を選択し、「次へ」ボタンを押します。
それぞれの納付方法の案内にしたがって納付を完了します。
メッセージボックスでも「納付結果通知」という件名のメッセージで納税が完了したことを確認できます。
これでeLTAX(エルタックス)を使った都道府県民税と事業税の予定納税の手続きがすべて完了しました。
2-4 市町村民税の中間納付(予定納税)編
法人の市町村民税の予定納税については、これまでの税目と違ってメールでのお知らせやメッセージボックスへのお知らせというものが各市町村で対応が違うようで必ず来るとは限らないので、注意が必要です。
メールでのお知らせやメッセージボックスへのお知らせが来ない場合は、郵送での通知は来ているはずですので、そちらを確認しましょう。
今回は郵送で通知が来た場合の予定納税の申告方法を解説します。
市町村民税の予定納税は、第20号様式の3様式というものを使用します。
STEP1 PCdeskで市町村民税の予定申告書の様式を用意する
市町村民税の予定申告書についてもPCdesk(ダウンロード版)のみが対応しているので、またこちらを使用します。
トップメニューで「申告に関する手続き」を選択します。
「申告メニュー」画面で、「申告データの作成」ボタンをクリックします。
「利用者情報確認」画面で退出先を確認し、「次へ」ボタンを押します。
「科目選択」画面で「法人市町村民税」をクリックします。
「申告区分選択」画面で「予定申告」にチェックを入れます。
「作成方法選択」画面で必須となっている部分を入力します。
作成方法は「手入力による作成」を選択し、中間申告の対象となる事業年度を入力し、「次へ」ボタンを押します。
「法人情報登録・変更」画面に移りますので、内容を確認して「次へ」ボタンを押します。
「申告様式選択」画面で「事業年度」が正しいものになっているか、「予定申告書」にチェックが入っているかなどを確認し、問題なければ「次へ」ボタンをクリックします。
「提出先選択」画面で、市町村民税の予定申告書を提出する先にチェックを入れて、「次へ」ボタンを押します。
「申告データ表示・編集(本表)」画面が開きます。
STEP2 PCdeskに市町村民税の中間申告データを入力する
ここで、市町村から郵送された法人市町村民税の予定申告に関する通知を用意し、「申告データ表示・編集(本表)」画面に転記していきます。
市町村によって予定申告書(第20号の3様式)に記載されている内容が異なると思います。
「申告データ表示・編集(本表)」画面に転記し、「保存」ボタンを押してエラーが出る場合は、次の図解を参照して不足する欄を埋めていきましょう。
❶と❷は、上の図のように転記します。
❸は、予定申告書の差引法人税割額(19)の値を前事業年度又は前連結事業年度の法人税割額(1)に転記します。
❹は、前事業年度又は前連結事業年度の法人税割額(1)に「6/前事業年度の月数(通常は12)」を乗じます(かけます)。
❺は、算定期間中において事務所等を有していた月数(普通は6)を入力します。
❻は、均等割率を入力します。
すべての入力が終わったら画面右下の「保存」ボタンを押して、エラーがなければ、「次へ」ボタンを押します。
STEP3 市町村民税の中間申告データに電子署名を付与する〜電子納税まで
以後は道府県民税と事業税のところで解説してものと同じになりますので、そちらを参照してください。
「STEP4 道府県民税と事業税の中間申告書に署名を付与する」へジャンプ
これで法人市町村民税のeLTAX(エルタックス)を利用した中間納付(予定納税)の方法の解説は完了です。
ここで法人税と地方税の中間納付をしたときにどのように仕訳帳に登録するかも確認しておきましょう。
3 法人税・地方税・消費税の中間納付の仕訳の方法
まずは、法人税と地方税の中間納付の仕訳の方法から解説していきます。
3-1 法人税と地方税の中間納付の仕訳の方法
法人税と地方税の中間納付の仕訳の方法は、代表的なものは2つありますが、税理士に頼まず自分自身で申告を行う場合は、次の方法で仕訳をすることをおすすめします。
【ケース1】法人税・地方税の中間納付を費用計上する仕訳方法(オススメ)
12月決算の法人が、法人税と地方税の中間納付を合わせて2022.8.20(X1年度)に500,000円支払った場合の仕訳
日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
2022.8.20 | 法人税、住民税及び事業税 | 500,000 | 現金預金 | 500,000 |
なぜこの仕訳の方法を勧めるかというと、もし還付となったときに法人税の別表4と別表5(1)の処理が楽だからです。
2023.3.20(X2年度)に法人税と地方税の中間納付を合わせて250,000(事業税が50,000)円の還付がされた場合の仕訳
日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
2023.3.20 | 現金預金 | 250,000 | 雑収入 | 250,000 |
この還付による別表4の処理は、X2年度で損金算入の事業税(特別法人事業税)を除いた金額200,000について次のように処理するだけです。
これくらいの処理なら次の記事を参照すれば税理士に依頼しなくてもなんとかできると思います。
【ケース2】法人税・地方税の中間納付を仮払計上する仕訳方法(後々たいへん)
⑴ 12月決算の法人が、法人税と地方税の中間納付を合わせて2022.8.20(X1年度)に500,000円支払った場合の仕訳
日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
2022.8.20 | 仮払金(仮払法人税等) | 500,000 | 現金預金 | 500,000 |
⑵-1 X1年度の確定申告により法人税と地方税合わせて1,100,000円が計算され、決算期末に未払法人税等で計上する場合の仕訳
日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
2022.12.31 | 法人税、住民税及び事業税 | 1,100,000 | 現金預金 | 600,000 |
仮払金(仮払法人税等) | 500,000 |
⑵-2 X1年度の確定申告により法人税と地方税合わせて250,000(事業税が50,000)円が還付されることになった場合の仕訳
日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
2022.12.31 | 法人税、住民税及び事業税 | 250,000 | 仮払金(仮払法人税等) | 500,000 |
未収法人税等 | 250,000 |
ケース1はX1期の確定申告の時点で還付がわかっているので、X2期に雑収入で還付金を受け入れるのはX1期に500,000円費用が丸々計上されて還付金が反映されておらず決算書の見栄えを考えると多少難ありと思うかもしれません。
ただし、ケース2のように仮払金で処理した場合、X1期でもX2期でも別表4と別表5(1)で複雑な処理が必要になり、自力申告は暗礁に乗り上げるかもしれません。
法人税の別表処理を考えると間違いなく法人税と地方税の中間納付は、費用処理した方がよいと言えるのです。
X1年度の法人税の別表4の処理例
X1年度の別表4だけでもこんな訳のわからない処理をしなければならないわけです。
とても自力での作成は困難と言わざるをえません。
こんな苦労をしてわざわざ仮払経理をする理由はもはやないと言えるでしょう。
続いて消費税の中間納付の仕訳の方法を解説していきます。
3-2 消費税の中間納付の仕訳の方法
消費税の中間納付の仕訳の方法は、税込経理方式と税抜経理方式によって異なります。
またここに挙げる方法以外にも仕訳の方法はありますが、代表的な例を挙げることにします。
3-2-1 税込経理方式の場合
⑴ 中間納付する消費税が500,000円であった場合の仕訳
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
租税公課 | 500,000 | 現金預金 | 500,000 |
⑵-1 確定申告をした結果納付すべき消費税の額が400,000円(中間含めて900,000円)であった場合の仕訳
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
租税公課 | 400,000 | 現金預金 | 400,000 |
⑵-2 確定申告をした結果納付すべき消費税の額が200,000円還付となる場合の仕訳
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
未収入金 | 200,000 | 雑収入 | 200,000 |
3-2-2 税抜経理方式の場合
⑴ 中間納付する消費税が500,000円であった場合の仕訳
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
仮払金 | 500,000 | 現金預金 | 500,000 |
⑵-1 確定申告をした結果納付すべき消費税の額が400,000円(中間含めて900,000円)であった場合の仕訳
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
仮受消費税等 | 2,400,000 | 仮払消費税等 | 1500,000 |
仮払金(中間分) | 500,000 | ||
未払消費税等 | 400,000 |
⑵-2 確定申告をした結果納付すべき消費税の額が200,000円還付となる場合の仕訳
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
仮受消費税等 | 1,800,000 | 仮払消費税等 | 1500,000 |
未収入金(消費税) | 200,000 | 仮払金(中間分) | 500,000 |
以上が消費税の中間納付をした際の仕訳例です。
消費税の場合は、法人税・地方税のときと異なり、こう仕訳しないといけないということはありません。
4 まとめ
法人税・消費税・地方税(都道府県民税・事業税・市町村民税)の中間納付(予定納税)を電子申告する方法を解説してきました。
ここで各税目の中間納付(予定納税)を電子申告する上でのポイントをまとめてみましょう。
税目 | 法人税・消費税 | 都道府県民税・事業税 | 市町村民税 |
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システム | e-Tax | eLTAX | eLTAX |
メールでのお知らせ | |||
自動計算 | すべて自動計算 | 半分自動計算 | 自分で計算 |
法人税と消費税は、e-Taxソフトのメッセージボックスから簡単に予定申告書の作成電子納税までシームレスに実行できる印象です。
都道府県民税・事業税・市町村民税は、前年度の確定申告書から転記が必要な場面があり、多少手間がかかる印象です。(執筆時時点)
中間申告(予定納税)は、基本的には1年に1回のことなので、この記事をブックマークして、毎年この記事を参照しながら対応すれば、そう難しくなくどなたでもクリアできるでしょう。
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