
インボイス制度がついに令和5年(2023年)10月1日から始まりますね。
インボイスという言葉は、ちょくちょく耳にするんですが、私は売上も少ないしがないフリーランスですから関係ないと思ってます。色々と忙しいんで。
で、大丈夫ですよね?
え!?まさか!?
あなたのような売上が1,000万円いかないような方に一番影響があるんですよ。
このインボイス制度を知らないとたいへんですよ。
やっぱり関係あるのか〜
薄々気付いていたんですよ。少し調べたことがあるんですが、ほとんど何言ってるかわかんなくて後回しにしていましてー
私にお任せください。
あなたのようにインボイスに関して全く知らない方に向けて、これ以上ないくらいやさしくわかりやすく解説しましょう!わかりやすいイラストもどんどん使っていきますから安心してついてきてください。
これを読み終わった頃には、知らない人に解説してあげられるくらいインボイス制度の概要と実務で押さえておくべき点を理解していると思いますよ。
目次
1 インボイス制度の概要

インボイス制度ってそもそもなんの問題なんですか?
税金の問題です。
その中でも消費税の問題です。
インボイス制度は、まず消費税の問題であることを最初に頭に入れておきましょう。
インボイス制度と言われますが、そもそもインボイスって何なんですか?
インボイスというのは、売上げた時に相手方に交付する請求書や領収書、レシートのことを言います。
つまり、この請求書や領収書に関して何か新しいことが始まるということですね?
あんまり大したことでないことを望む…
そういうことです。
最近の改正の中でも最大のものの一つと言えるのではないでしょうか。
ガク…
インボイス制度とは、このような請求書や領収書に関する新しい制度ということになりますが、冒頭でインボイス制度を理解する上で最も重要なポイントを先に2つ押さえておきましょう。
⒈ 消費税が10%なのか8%なのかを正確にインボイスに表示する
⒉ インボイス制度で認められるインボイスを発行するためには消費税を申告・納税する必要がある
一つ目は、食料品を購入すると消費税は8%になるので、その8%と通常の10%の区分を請求書やレシートに正確に記載するということですよね。
そうです。
インボイス制度が適用されるインボイスに表示しなくてはならない項目が決まっているのですが、これまでのものに加えてさらに3つ追加されます。
1-1 インボイス制度が適用されるインボイスに記載しなくてはならない項目とは
インボイス制度で認められるインボイスに記載しなければならない事項は以下の6つです。ただし、売上先が不特定多数の場合は5つです。
インボイスに記載が必要な6つの項目
| 記載の必要な項目 | |
|---|---|
| ❶ | インボイス発行事業者の名称と登録番号 |
| ❷ | 取引年月日 |
| ❸ | 取引内容(軽減税率の対象である旨も) |
| ❹ | 税率ごとに区分して合計した対価の額と適用税率 |
| ❺ | 税率ごとに区分した消費税額等 |
| ❻ | 書類の交付を受ける事業者の名称 ※不特定多数の場合は不要 |
この項目をカフェでレシートを受け取ったとすると、次のように表現されることになります。

これまでのものとほとんど変わりがないように見えますが…
そうなんです。レシートだけ見るとこれまでとほとんど変わりがないのですが、実はものすごいインパクトがあることがこの制度には隠されているんです。
それが、Tから始まる「登録番号」
これがこのインボイス制度の最も大きな問題なのです!
先に挙げたインボイス制度のもう一つのポイント「インボイス制度で認められるインボイスを発行するためには消費税を申告・納税する必要がある」に関係してきます。
1-2 登録番号を取得するためには、消費税の申告・納税する必要がある
もう一つのインボイス制度のポイントである「インボイス制度で認められるインボイスを発行するためには消費税を申告・納税する必要がある」とはどういうことかというと
インボイス制度で認められるインボイスの記載事項である「登録番号」を表示するためには、消費税の申告義務が必要??
この2つ目のポイントがインボイス制度の肝なのです。
絶対に押さえておかなければならないところです!!
しかしながら、インボイス制度で認められるインボイスを発行するには、これまで申告する義務が免除されていた事業者も消費税の申告が必要になります。
私はフリーランスをやっていますが、消費税を申告する必要がありません。
でもインボイス制度の下では、消費税の申告義務が出てくるのですか??
支出が増えるのは嫌だ!
インボイス制度はやりたくない。全員がやらなくてもいいんですよね?
インボイス制度で認められるインボイスを発行しないという選択はできます。
しかしながら、実質的にはインボイスを発行しないことを選択することは難しいケースが多くなると思われます。
インボイス制度が始まるとどのようなことが起きるかをこれから詳しく解説していきますので、それを理解してから判断していくとよいと思います。
その前にここまでのところを整理しておきましょう。
1-3 インボイス制度について知っておくべきことまとめ
ここまでのところで、インボイス制度について知っておくべきことをお伝えしてきました。ここまでのところの解説を1枚にまとめましたので、復習にご利用ください。

インボイス制度が始まるとビジネスの現場では大きな影響があると思われます。
その影響について理解していくことにしましょう。
2 インボイス制度で何が変わるのか

インボイス制度が始まることでこれまでと何が変わるのでしょうか。
まずは、影響のある人ない人から確認しましょう。
影響のない人はこの記事をこれ以上読む必要がありませんから、そのような人は早く知りたいですもんね。
まず、インボイス制度が始まることで影響のある人とない人からざっくり理解しましょう。
まずは影響のある人です。
原則、事業を営んでいる人や経理担当者は多かれ少なかれ影響があります。
どのくらいの影響があるかは、その人がいる状況によって大きく変わってきます。それは後述します。
続いて影響のない人(少ない人)は次のように言えるでしょう。
一般消費者は関係がありません。好きに買い物をしている場面では、一般消費者はインボイス制度について知っておかなければならないことは何もありません。
経理に関係のない一般の勤め人の方も大方は関係がないと思います。仕事内容によっては、取引先との関係で影響が出てくる可能性がありますが、その場合は会社からお達しがあるはずなので、そのとおりにすれば特に自分で調べて対応するということはほぼないだろうと考えられます。
続いて、インボイス制度に関して最も重要なところ、このインボイス制度が開始されると世の中にどのような影響があるのか?という点です。
端的に言うと大きな影響は次の2点です。
- 多くの事業者の税負担が増える可能性がある
- ほとんどすべての事業者の事務負担が増える
インボイス制度が始まることによる影響を端的に表現するとこの2点に集約されます。
多くの事業者に多大な影響があります。これはどういうことか?詳しくみていきましょう。
2-1 インボイス制度によって税負担が増えるからくり
インボイス制度が始まることによりなぜ税負担が増えるのか?
前の章で少し触れましたが、これは消費税によって起こります。
まずは消費税のしくみがどのようになっているかを知る必要があります。簡単に確認しましょう。
消費税のしくみをわかりやすくするためにシンプルな取引を想定して図解します。
1年間の取引が1回きりで、スマホを仕入れて売った場合を例に、どのように消費税が税務署に納められるのかを下の図で確認していきましょう。
次のイラストの左側の❶から順に見ていってください。

あるお店が、❶スマホを33,000円(税込)で仕入れて、❷110,000円(税込)で売り上げた場合は、❸そのお店が「10,000 – 3,000(受け取った消費税 ー 支払った消費税)= 7,000」という計算をして、❹7,000円を税務署に納付します。
| 税込金額 | 消費税額 | |
|---|---|---|
| ❷スマホの売上 | 110,000 | 10,000 |
| ❶スマホの仕入 | 33,000 | 3,000 |
| ❹納める消費税の額 | 7,000 | |
消費税が税務署に納まるまで、実はこのような仕組みになっています。
消費税のこの仕組みを前提とした上で、インボイス制度が導入されるとどうなるか?
消費税の負担増
また❶から順に見ていってください。

その場合は、❸33,000の消費税分3,000を、受け取った消費税10,000から差し引くことができないので、❹10,000を税務署に納付することとなります。
インボイスが受け取れていたら10,000 – 3,000 = 7,000でよかったところを10,000 – 0 = 10,000を納付することとなり、3,000損することになりました。
| 税込金額 | 消費税額 | |
|---|---|---|
| ❷スマホの売上 | 110,000 | 10,000 |
| ❶スマホの仕入 | 33,000 | インボイスなし |
| ❹納める消費税の額 | 10,000(3,000増) | |
消費税は、受け取った消費税から支払った消費税を差し引いた残りを税務署に納付するしくみになっていますが、この支払った消費税はインボイスがないと差し引けない!
これがインボイス制度による新ルールです。
消費税の確定申告で、受け取った消費税から支払った消費税を差し引く計算のことを仕入税額控除といいますが、逆に言うと、インボイス制度をこのように表現することができます。
仕入税額控除をするために必要となる6つの必須記載項目を記載したインボイスのことを、税務用語では「適格請求書」と呼びます。
この記事ではこの適格請求書のことをわかりやすいように「インボイス」と呼んでいます。以下同様です。この記事では、「インボイス」=「適格請求書」です。
このようにインボイス制度が導入されることで生じる大きなポイントはこの点なのです。
では、インボイスを交付できれば相手先で消費税を差し引けるということですよね?
だったら問題ないのではないですか?
そのとおりですが、ここに大きな問題があります。
インボイスを交付するには、絶対に消費税を申告する必要があるのです。
これがどういう意味かわかりますか?
これまで売上が1,000万円以下だったので消費税の申告をしてなかったのに、インボイスを発行するには消費税の確定申告が必要になるんですね。
それはつまり、消費税を納めることになって手取りが減る…
そういうことです。これまで消費税を申告しなくてよかった事業者にとっては、
インボイス発行 = 消費税の確定申告が必要 = 税負担が増える
こういう構図です。
むにゃむにゃむにゃ
ここまでのところを一旦整理します。
- 消費税の確定申告で、支払った消費税を差し引く(仕入税額控除の計算)には、登録番号や適用税率等の必要事項が全て記載されたインボイスを保存しておく必要がある。
- この登録番号や適用税率等の必要事項が全て記載されたインボイスのことを適格請求書と呼びます。(覚える必要なし)
- このインボイス(適格請求書)を発行するためには、消費税の確定申告が必ず必要となる。
インボイスの影響は、実はこれだけではないんです。
これまで消費税の申告をしてこなかった事業者は、消費税の申告書を作成する必要がでてきます。そしてこれまで消費税を申告していた事業者もインボイスをもらえたかどうかを把握する必要があります(簡易課税制度を選択している場合を除く)。ということは何を意味すると思いますか?
そう。
インボイス制度により事務負担が増えることを意味するのです。
2-2 インボイス制度導入による事務負担の増加
インボイス制度の導入で被る大きな影響は、税負担だけではありません。
もう一つの大きな影響、それは事務負担の増大です。
もう、踏んだり蹴ったりだー
ぐにゃぐにゃぐにゃ
また、インボイスを交付するためには、税務署に予め登録手続きをする必要があります。
インボイス制度が開始する令和5年(2023年)10月1日からインボイスを交付できるようにするには、原則令和5年(2023年)9月30日までに税務署に登録申請書を提出する必要があります。(詳しくは後述します。)
インボイスを交付するためには税務署に申請をするのですが、インボイスを交付しないという選択肢も制度的には残されています。このような踏んだり蹴ったりなインボイスを発行するなんてしたくないと普通なら考えると思います。
それでは次にインボイスを発行しなかったらどうなるかという点を見ていきたいと思います。インボイスを発行しないという道は残されているのか?
3 インボイスを発行しないとどうなるのか?

あなたが事業者の場合で、インボイスを発行しないとどうなるのでしょうか?
え!?
仕事がなくなるかも!?
インボイスを発行しないとその事業者の状況にもよりますが、このようなことが多くの場合想定されます。
これはどういうことかというと、次のような構図が考えうるからです。
あなたがインボイスを発行しないということは、取引先はあなたへ支払った消費税を確定申告で差し引くことができないので、あなたへ支払った消費税分損をする
得意先は同じ仕事をするならインボイスを発行できる事業者に発注した方が得
得意先があなた以外の事業者へ発注する
イラストで確認してみましょう。
上がインボイス制度前の図で、下がインボイス制度後です。

このように売上先の立場に立つと、インボイスを発行していない事業者に仕事を発注すると、発注額の10%相当額を損するということになれば、インボイスを発行する事業者に仕事を発注しようと考えるのが通常ではないでしょうか。
インボイスを発行しないデメリットはかなり大きいですね…
ちなみにインボイスを発行しなくてもデメリットがないということはないんでしょうか?
すごく稀なケースですが、これまで消費税を申告していなかった事業者がインボイスを発行しなくても不利益がないケースが本当に稀ですがあります。
❶ 売上先がすべて一般消費者
❷ 売上先が消費税を申告していない
❸ 売上先が簡易課税制度を選択して消費税を申告している
❹ 売上先が売上税額の2割を納税額として消費税の申告をしている(詳しくは後述)
❶売上先がすべて一般消費者の場合は、一般消費者は消費税を申告しませんので、通常はインボイスを要求してきません。
ただし、売上先が一般消費者と思われても会社で経費とするために領収書を要求されたことがある場合は、インボイスの発行を検討した方がよいでしょう。
❷売上先が消費税を申告していない場合は、売上先がインボイスがないと消費税を差し引けないということがありませんので、インボイスを発行しなければならない理由がありません。
❸売上先が簡易課税制度を選択している場合も、簡易課税は受け取った消費税から消費税の納税額を計算するので、支払った消費税を把握する必要がありません。したがって、売上先は、支払い先からインボイスを受け取らなくても問題がないのです。
❹インボイス制度の支援措置として新たに売上税額の2割を納税すればよいという制度が設けられます。(後述)これも❸同様受け取った消費税だけ把握していればいいので、支払い先からインボイスを受け取らなくても問題がありません。
以上の4つのケースに該当する場合は、インボイスを発行しなくても問題がありません。
❷から❹については、売上先に確認しないとわからないことなので、インボイス制度が始まるまでに売上先にインボイスが必要かを確認することが、インボイスを発行するべきか否かを判断する上でとても大事になってきます。
ここまでのところで、インボイスを発行しない場合のデメリットのインパクトは大きそうだということがわかっていただけたと思います。続いては、インボイスを発行するとなった場合にどのようなことが想定されるかを確認していきましょう。
4 インボイスを発行するとどうなるか?

インボイスを発行しないと、自分の仕事に差し支えが出る可能性があるということを述べてきました。では、インボイスを発行するということになったときに実務ではどのような影響があるのでしょうか。そのメリットデメリットという切り口で確認していきたいと思います。
4-1 インボイスを発行するメリット
まずは、インボイスを発行した場合のメリットは、インボイスを発行しなかったデメリットと表裏一体ですので、次のように言えます。
取引の際、インボイスを発行できないからという理由で不利益を被ることがない。
これまでと変わりなく取引ができる。
インボイスを発行すれば、相手先は消費税の計算で損することはありませんので、これまでと変わりなく事業を営むことができます。プラスはありませんが、マイナスにはならないというのがインボイスを発行することの最大のメリットと言えます。
それでは次にインボイスを発行するとなったときにインボイス制度下で被るデメリットの方を見ていきましょう。
次の3つのケースに分けてその影響(デメリット)を考えていきます。
- 消費税を納める必要がなかった事業者(免税事業者)のケース
- 簡易課税制度で消費税の申告をしていた事業者(課税事業者)のケース
- 原則課税で消費税の申告をしていた事業者(課税事業者) のケース
まず消費税を納める必要がなかった事業者(免税事業者)が受けるデメリットから見ていくことにしましょう。
4-2 消費税を納める必要がなかった事業者(免税事業者)が受けるインボイス制度のデメリット
消費税を納める必要がなかった事業者(免税事業者)が受けるデメリットは大きく次の2つです。
【デメリット❶】消費税を納税する必要が出てくるので手取りが減る
【デメリット❷】消費税の確定申告などインボイス制度に必要な手続きをする必要があり、事務負担が激増する
インボイスを発行すれば、取引先はこれまでと変わりなく確定申告で消費税を差し引くことができ、取引先にマイナスが生じないので、あなたは取引をこれまでどおり続けることができるというメリットがあります。
しかしながら他方でインボイスを発行する場合は、デメリット1つ目として、必ず消費税を申告する必要がありますので、通常は消費税を納税することになり、その分出費が増えます。つまり手取りが減ります。
デメリット2つ目として、消費税を申告する必要があったり、インボイスには記載していなくてはいけない項目が決まっていますので、その所定の様式を用意したり、消費税を申告するための帳簿付け等のこれまでしてこなかった事務を強いられることになります。
次のイラストでここのところを確認しましょう。
(上段がインボイス発行前で、下段がインボイス発行後を表しています。)

消費税を納める必要のなかった免税事業者は、消費税の申告もなかったので、その分の事務負担も消費税の納税もありませんでした。しかしながら、インボイスを発行するとなると、消費税の申告事務が増え、さらに消費税の納税することで出費も増えることになります。
これまで消費税の申告なんてやってきていないのにいきなり申告を迫られるのか…
消費税の申告ってどうやったらいいのでしょう。
消費税の申告の方法はいくつかありますので、ここで確認しておきましょう。
免税事業者がインボイス発行業者となり、消費税を申告する場合の申告方法はどうしたらいい?
消費税を申告する必要のなかった事業者(免税事業者)が、インボイス発行事業者となり、消費税を申告する場合にどのような申告方法をとるべきかをここで解説しておきましょう。
これらの事業者が取れる方法は、次の3つです。
免税事業者がインボイス発行業者となり消費税を申告する場合に取れる3つの方法
- 売上税額の2割を納税額とする方法
- 簡易課税を選択する方法
- 原則課税で申告する方法
結論としては余程のことがなければ、「売上税額の2割を納税額とする方法」を取るべきと考えられます。
その理由は、それぞれのメリットとデメリットを確認することで判断できます。
売上税額の2割を納税額とする方法
事務負担が最も少なく計算も最も簡単である方法は「売上税額の2割を納税額とする方法」です。
この方法は、インボイス制度が開始することになり、免税事業者であった事業者への支援策として導入(される予定※執筆現在具体的申告方法は示されていない)された方法です。
例えば売上の時に受け取った消費税が30万円のケースでは、次のように簡単に消費税の計算ができます。
30万円 × 20% = 6万円
この方法のメリットデメリットは次のとおりです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
事務負担が軽減される
| 売り上げた時の消費税よりも支払った消費税の方が多い時に還付を受けられない。(損をする) →売上の時に受け取った消費税が30万円で、支払いの時に支払った消費税が40万円の場合、原則課税の場合は、30万円 – 40万円 = -10万円 10万円還付となるはずが30万円 × 20% = 6万円の納付となる |
ただし、この制度は、次の点に注意が必要です。
- 対象が免税事業者からインボイス発行事業者になった者(2年前(基準期間)の課税売上が1000万円以下等の要件を満たす)
- 対象となる期間が令和5年10月1日から令和8年9月30日を含む課税期間まで(個人事業主は令和8年分の申告まで)という時限的措置であること
簡易課税を選択する方法
消費税の確定申告の方法は上記の他に簡易課税と原則課税の2パターンがあります。
簡易課税はその名のとおり原則課税よりも簡単な方法で申告書を作成できます。
簡易課税の特徴を簡単に説明します。
簡易課税制度の特徴
- 2年前の売上が5,000万円以下の事業者が選択可能
- 簡易課税を選択するためには、原則申告対象期間の前日までに届出書を税務署に提出する必要がある
- 売上の事業内容によって仕入税額控除の控除率を決定し、売り上げた時の消費税にその控除率をかけて仕入税額控除の金額を計算する。
簡易課税制度は次の仕入税額控除を計算するための控除率(みなし仕入率)を売り上げた事業内容によって決めます。
| 事業区分 | みなし仕入率 | 売上の事業内容 |
|---|---|---|
| 第一種事業 | 90% | 卸売業 |
| 第二種事業 | 80% | 小売業 |
| 第三種事業 | 70% | 農業・林業・漁業、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業等 |
| 第四種事業 | 60% | 第一種事業、第二種事業、第三種事業、第五種事業および第六種事業以外の事業。例えば飲食店業など。 |
| 第五種事業 | 50% | 運輸通信業、金融・保険業 、サービス業(飲食店業を除く)など |
| 第六種事業 | 40% | 不動産業 |
消費税額の計算はおおまかに次のように行われます。
例えば製造業を営んでいる場合は、第三種事業に該当し、みなし仕入率が70%となります。売上の時の消費税が100万円であった場合は次のように計算します。
【仕入税額控除の計算】100万円 × 70% = 70万円
【納税額の計算】100万円 – 70万円 = 30万円
この方法のメリットデメリットは次のとおりです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
事務負担が軽減される
|
|
簡易課税制度について詳しく知りたい場合は、次の記事をご覧ください。
原則課税で申告する方法
この方法は、売り上げた時の消費税と支払った時の消費税を把握して、その差引により消費税の納税額を計算する方法です。
例えば売り上げた時の消費税が100万円で支払った時の消費税が50万円の場合は、次のように計算します。
100万円 ー 50万円 = 50万円(消費税の納税額)
この方法は、最も確定申告が難しい方法で、帳簿付けも正確にする必要があり、事務負担は他の方法の比にならないほど大きいです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 他の2つの方法よりも納税額が少なくなるケースがある(まれ) |
|
免税事業者がインボイス発行業者となることで、消費税の申告をするとなった時にとれる3つの方法について解説してきました。
税務についてある程度の知識があるということでなければ、基本的には「売上税額の2割を納税額とする方法」を取るのが得策といえると思います。
「売上税額の2割を納税額とする方法」で計算するよりも実際の納税額が少なくなるというのは、輸出や卸売業を除けばそうないはずです。
そして事務負担や申告書の作成を考えれば圧倒的に容易な「売上税額の2割を納税額とする方法」を取るのが合理的です。
ただしこの制度は令和8年9月30日を含む年度までという時限的なものなので、その後は簡易課税か一般課税で申告する必要がある点を注意しておきましょう。
それでは次に、元々消費税の申告はしていて、簡易課税を選択して消費税の申告をしていた事業者がインボイス制度により受けるデメリットを見ていきましょう。
4-2 簡易課税制度で消費税の申告をしていた事業者が受けるインボイス制度のデメリット
実は、簡易課税制度で消費税を申告している事業者が最も影響が少ないのです。
インボイスを発行するための税務署への申請やインボイスの様式を用意する等の事務負担が増える
簡易課税の場合は、支払い先がインボイスを発行しているかどうかを把握する必要がないため、消費税の申告という面で事務負担が増えることはありません。純粋にインボイスを発行するための事務負担のみが増えるだけなので、事務負担の増加は比較的多くありません。
次に、元々消費税の申告はしていて、簡易課税ではなく原則課税で消費税の申告をしていた事業者がインボイス制度により受けるデメリットを見ていきましょう。
4-3 原則課税で消費税の申告をしていた事業者が受けるインボイス制度のデメリット
元々消費税を申告していて簡易課税制度を選択していない事業者が被るインボイス制度のデメリットは?
- インボイスを発行するための税務署への申請やインボイスの様式を用意する等の事務負担が増える
- 支払いの都度仕入税額控除の判断のため、インボイスかどうかをいちいち確認しなくてはならない
- インボイス発行業者かどうかで帳簿の消費税の税区分を変える必要がある
- インボイスを発行できない人に発注すると消費税分損をする 税負担増の可能性
原則課税で消費税を申告していた事業者がインボイス制度により被る事務負担の増加は相当なものだと言えます。
多くの税理士がインボイス制度に反対しているのも納得です。
デメリットの件は、もう気持ちが萎えてきますねぇ
とんでもない制度が始まるといった印象を禁じ得ないです…
ここまでが、インボイス制度とはどのようなものか?インボイス制度が始まると実務ではどのような影響が事業者に生じるのかをわかりやすく解説してきました。
ここからは実務で気を付ける必要のあるインボイス制度の手続きに関する部分に焦点を移していきます。
インボイスを発行しないとこれまでの取引に影響がありそうなので、もう年貢を納める気持ちでインボイスを発行することにします。
何から始めたらいいのでしょうか。
インボイスを発行するためには、その記載事項である登録番号の取得が必須になりますので、まずは登録番号の取得から始めていきましょう。
5 インボイスの登録番号の取得方法とは

消費税の確定申告で支払った消費税を差し引くためには、インボイス(適格請求書)が必要です。
そのインボイスには、登録番号を記載しなくてはなりません。
その登録番号は、税務署へ登録申請をすることで、取得することができます。
ここからは、税務署への申請の方法を具体的に解説していきます。
ここでは、e-Taxソフト(Web版)で申請する方法を紹介します。
紙で税務署の窓口または郵送で提出するという場合は、次のリンク先の国税庁のHPから様式(適格請求書発行事業者の登録申請書)をダウンロードできます。
このページには、様式の他、記載例や記載にあたっての注意事項等が充実していますので、「適格請求書発行事業者の登録申請書」の作成にあたって参考になると思います。
それでは、「適格請求書発行事業者の登録申請書」をe-Taxソフト(Web版)で作成する方法を解説していきます。
まず、e-Taxソフト(Web版)のページにアクセスし、ログインします。
⑴ メインメニュー画面で、「申告・申請・納税」をクリックします。
⑵ 「申告・申請・納税」画面で「新規作成」の「操作に進む」をクリックします。

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