会計ソフトは「全力会計」を導入してと。
お、我が「全力会計」を導入していただきありがとうございます!
いやぁ、当然ですよ。お世話になりっぱなしですからぁ。
ところで、ちょっと気になることがありまして。
会計ソフトで作成する帳簿や決算書って一昔前までは紙に印刷して保存していたという話を聞いたのですが、今の時代、そんなことする必要はないですよね?
それは、電子帳簿保存法の話になってきますね。
いや、実は会計ソフトで作成した帳簿書類を紙に印刷せずに済むには、要件があるんですよ。
そんなバカな!?こんなデジタルの時代に!?
どんなことをすれば紙に印刷しなくて済むんですか?
それでは今回は、小規模法人向けに電子帳簿保存法の要件を満たして会計帳簿を電子保存する方法をわかりやすく解説していきますね。
1 会計帳簿や書類を電子保存するには要件がある

会計ソフトで作成できる「仕訳日記帳」「総勘定元帳」「補助元帳」などの帳簿と決算書は税法で保存しなければならないと決められています。
法人税法では具体的にどのような書類を保存しなければならないかを以下の記事で詳しく解説しています。
これらを印刷せずに、会計ソフトにあるデータで保存してもいいですよ、というのが電子帳簿保存法という法律で決められています。
つい最近の2022年までは、税務署に事前に届出を出さないと電子保存は認められていませんでした。
2022年以降は届出が不要になり、かなり敷居が低くなったという経緯があるのです。
この電子帳簿保存法で、会計ソフトから帳簿書類を印刷しなくてもよいという条件が決められています。
その条件は以下のとおりです。
❶ 電子保存に関する事務手続を明らかにした書類の備付け
❷ 電子保存対象の国税関係帳簿書類を表示できるパソコンやタブレット等のコンピュータ、プリンタ、操作説明書(オンラインヘルプ等)が用意され、整然とした形式・明瞭な状態で速やかに出力できること
❸ 国税調査官から質問検査権に基づいてダウンロードの求めがあったらこれに応じること
上の2つ目は、会計ソフトを利用していれば通常は満たしていますし、3つ目は求めに応じればいいので、この2つによって電子保存が認められないということは通常考えられません。
問題は1つ目の「電子保存に関する事務手続を明らかにした書類の備付け」です。
国税庁のパンフレットやQ&Aの要件にもこの文言がはっきり出てきていませんので、目についてない方も多いかと思いますが、電子帳簿保存法施行規則にはっきりと明記されています。
電子帳簿保存法施行規則第2条第2項
法第四条第一項の規定により国税関係帳簿…に係る電磁的記録の備付け及び保存をもって当該国税関係帳簿の備付け及び保存に代えようとする保存義務者は、次に掲げる要件…に従って当該電磁的記録の備付け及び保存をしなければならない。
一 当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存に併せて、次に掲げる書類…の備付けを行うこと。
イ …
ロ …
ハ ..
ニ 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理並びに当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存に関する事務手続を明らかにした書類…
会計ソフトから帳簿書類を印刷しなくてもよい条件でクリアしなければならない最大の要件は、次のように言えます。
うわっ!
いかにもお役所仕事っぽいこの書類はいったいどんなものなのでしょうか。
(あってもなくても実務上は変わらないような気がするお役所仕事的な -心の声-)この書類を説明していきましょう。
2 電子保存に関する事務手続を明らかにした書類とは

「電子保存に関する事務手続を明らかにした書類」とはどのような書類を用意すればいいのでしょうか。
この事務手続きの書類には次の事項が記載されている必要があることになっています。(国税庁の取扱通達4−6⑷による)
- 入出力処理(記録事項の訂正又は削除及び追加をするための入出力処理を含む。)の手順
 - 日程
 - 担当部署
 - 電子データの保存等の手順
 
具体的には国税庁が公表している電子帳簿保存法一問一答問9で次のようなサンプルが紹介されています。
(入力担当者)
1 仕訳データ入出力は、所定の手続を経て承認された証票書類に基づき、入力担当者が行う。
(仕訳データの入出力処理の手順)
2 入力担当者は、次の期日までに仕訳データの入力を行う。
- ⑴ 現金、預金、手形に関するもの 取引日の翌日(営業日)
 - ⑵ 売掛金に関するもの 請求書の発行日の翌日(営業日)
 - ⑶ 仕入、外注費に関するもの 検収日の翌日(営業日)
 - ⑷ その他の勘定科目に関するもの 取引に関する書類を確認してから1週間以内
 (仕訳データの入力内容の確認)
3 入力担当者は、仕訳データを入力した日に入力内容の確認を行い、入力誤りがある場合は、 これを速やかに訂正する。
(管理責任者の確認)
4 入力担当者は、業務終了時に入力データに関するデータをサーバに転送する。管理責任者 はこのデータの確認を速やかに行う。
(管理責任者の確認後の訂正又は削除の処理)
5 管理責任者の確認後、仕訳データに誤り等を発見した場合には、入力担当者は、管理責任者の承認を得た上でその訂正又は削除の処理を行う。
(訂正又は削除記録の保存)
6 5の場合は、管理責任者は訂正又は削除の処理を承認した旨の記録を残す。
なんだこの、マイクロ法人(一人社長)の私にとっては、ほとんど実際的でない形式だけのものになりそうな内容の書類は!?
同感です。
要するに、以下の事項が記載されていればいいので、国税庁が公表しているサンプルをアレンジすればいいでしょう。
- 入出力処理の手順
 - 日程
 - 担当部署
 - 電子データの保存等の手順
 
でも、適当に作って正しい書類ではないと言われても困っちゃいますよね。
本当に適当では困りますが、そんなに堅苦しく考えなくてもいいと思います。
もしこの書類に不備があったとしても、元国税調査官の私の感覚では、この書類によって税額が変わるわけではないので、調査官が目くじらを立てる部分では全くないと言えます。
もし不備があったとしても次のようになると考えられます。
おお、不備があっても全然楽勝という感じですね!
むしろどんなものを書けばいいかわからないから、調査官にあなたの会社ならこういう書類を作るべきですよと訂正してもらった方が効率的とさえ言えると思えちゃいますよ!
そんな感じで捉えていいと思いますよ。
「電子保存に関する事務手続を明らかにした書類」が条件ですから書類自体の用意がないと問題ですが、とにかく自社の形で用意することが何より大事です。
一人社長のマイクロ法人の我が社が、軽い気持ちで作るとこんな感じでしょうか。
国税関係帳簿に係る電子計算機処理に関する事務手続
(入力担当者)
1 仕訳データ入出力は、所定の手続を経て承認された証票書類に基づき、入力担当者が行う。
(仕訳データの入出力処理の手順)
2 入力担当者は、1の証票書類を受け取った後、速やかに入力を行う。
(仕訳データの入力内容の確認)
3 入力担当者は、仕訳データを入力した日に入力内容の確認を行い、入力誤りがある場合は、これを速やかに訂正する。
(管理責任者の確認)
4 管理責任者は、所定の時期にこのデータの確認を速やかに行う。
(管理責任者の確認後の訂正又は削除の処理)
5 管理責任者の確認後、仕訳データに誤り等を発見した場合には、入力担当者は、管理責任者の承認を得た上でその訂正又は削除の処理を行う。
(訂正又は削除記録の報告)
6 5の場合は、管理責任者は、入力担当者が訂正又は削除の処理を完了した旨の報告を受け、その内容を確認する。
良い塩梅だと思います。
うまいですね!
ありがとうございます!
せっかくなので、欲しい方にダウンロードできるようにしておきますね。
全力経理部verの「国税関係帳簿に係る電子計算機処理に関する事務手続」のサンプルをダウンロードできます。
それでは「全力会計」という会計ソフトがあって、この書類もあるので、これからはもう、晴れて帳簿書類を印刷する必要がないということですね!
これで帳簿書類の電子帳簿保存はばっちりです!
立派に電子帳簿保存法の要件を満たして会計帳簿を電子保存できていることになります!
3 まとめ

- 会計ソフトを導入したからといって、帳簿書類を印刷する必要がなくなるわけではない。
 - 印刷しないで済むには、「電子保存に関する事務手続を明らかにした書類」を備え付ける必要がある。
 - 「電子保存に関する事務手続を明らかにした書類」の作成はそんなに難しく考える必要はない。
 
なぜなら
堅苦しく考えず、サンプルを自社にあった形にアレンジして作成して備え付けておけばOK
      
 
 
 

 
 