来期から消費税の申告をすることになるんだけど、消費税の申告ってどうすればいいんだろう?
消費税の申告方式には、原則課税方式(一般課税方式)と簡易課税方式の二つがあります。
初めて消費税を申告するなら簡易課税での申告も検討した方が良いでしょう。
原則課税方式(一般課税方式)に簡易課税方式?
消費税の申告って2つの方法があったんですね。
この2つの申告方式はそれぞれどう違うんですか?
どっちが得とかあるのでしょうか?
それでは、今回は、原則課税方式(一般課税方式)と簡易課税方式のそれぞれの違いを比較して確認していきたいと思います。
それぞれのメリットとデメリット比較もしますので、どちらの方式が自社に合っているかも判断できるはずですよ!
この投稿の内容は動画でも解説しています。
動画の方がお好みの方はこちらからどうぞ。
目次
1 原則課税方式(一般課税)と簡易課税方式とは

まずは、「原則課税方式」と「簡易課税方式」の概要について解説していきたいと思います。
「原則課税方式」は「一般課税方式」と呼ぶこともあります。
そもそも、原則課税方式(一般課税方式)と簡易課税方式というのは、消費税の申告方法のこと指します。
ということは、消費税の申告方法には、原則課税方式と簡易課税方式の2つがあるということでしょうか?
そのとおりです。
消費税の申告は、原則として原則課税方式で申告を行うことになりますが、ある一定の条件を満たすことで簡易課税方式を選択することができます。
なるほど…
この2つの申告方法は、どのような違いがあるのでしょうか?
それでは、それぞれの課税方式による消費税の算出方法について確認していきましょう。
1-1 原則課税方式(一般課税方式)とは
まずは、「原則課税方式(一般課税方式)」の内容から確認して行きます。
・原則課税方式(一般課税方式)の計算式
売上に上乗せした消費税額 ー 支払いに上乗せされた消費税額(仕入税額控除額)= 納付すべき消費税額
うーん、、受け取った消費税から仕入税額控除を差し引く、、
ちょっとイメージ湧かないですね、、
それでは、具体例を使って説明します。

上の図は、事業者が仕入先から600万円の商品を購入し、消費者に対して1,000万円で販売した取引図です。
まず、事業者が仕入先から600万円の商品を購入した際に、購入代金に消費税60万円が上乗せされますので、合計660万円を支払っています。
この上乗せした消費税が「支払った消費税額」です。
次に、消費者に対して商品を1,000万円で販売した際に、販売代金に消費税100万円を上乗せしますので、合計1,100万円を受け取っています。
この上乗せした消費税が「受け取った消費税」です。
この事業年度の事業者の取引がこの取引のみだとすると、この事業者の申告すべき消費税額は次のようになります。
100万円(受け取った消費税額)-60万円(支払った消費税額)=40万円(納付すべき消費税額)
ふむふむ、、
収入などに上乗せしていた消費税と支払いなどに上乗せされている消費税の差額を納めるという感じですね。
受け取った消費税額から支払った消費税額を差し引くときのこの支払った消費税額のことを「仕入税額控除額」といいます。
受け取った消費税から控除するための仕入れなどの支払いの時の消費税額の略称とでも覚えてもらえればと思います。
1-2 簡易課税方式とは
次に「簡易課税方式」の内容を確認していきます。
うーん、、ちょっとイメージつかないですね。
さっきの例と同じ条件だとどのような違いがあるんですか?
それでは、先ほどの例と同じ内容で簡易課税方式での計算を見てみましょう。
計算例の内容:受け取った消費税 100万円
支払った消費税 60万円
業種 小売業(みなし仕入率 80%)
受け取った消費税が100万円で、みなし仕入率が80%となっています。
支払った消費税を実際に支払った消費税に関係なく、100万円 × 80% = 80万円と計算します。
納付すべき消費税は、100万円 –80万円 = 20万円と算出されます。
簡単にいうと、このように計算するのが簡易課税方式です。
ふむふみ、、
ところで、この「みなし仕入率」って何ですか?
どうやって求めるのでしょうか?
みなし仕入率というのは、この事業であればどの位の支払いが発生するかを予測した国税庁が決めた割合のことを言います。
例えば、小売業であれば、商品を購入して販売する事業柄、売上に対する費用の割合が高くなると予測されるため、高いみなし仕入率(80%)が設定されており、一方、サービス業などは、在庫を持つ必要がないなど、売上に対する費用の割合が少なくなると予測され、低いみなし仕入率(50%)が設定されています。
小売業の場合は、このみなし仕入率を使って、預かった消費税が100であれば、その80%を仕入税額控除額にしてしまえ、とざっくり計算してしまうのです。
そのように、国税当局が、事業を6つの区分に分けて、事業区分ごとの売上に対する費用等の支払いの割合を予測し、決めたのが「みなし仕入率」とイメージしてもらえれば結構です。
みなし仕入率がどのように設定されているかというと、次のように営んでいる業種ごとに設定されています。
事業区分 みなし仕入率 該当する事業 第一種事業 90% 卸売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業)をいいます。 第二種事業 80% 小売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する事業で第一種事業以外のもの)、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業)をいいます。 第三種事業 70% 農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含みます。)、電気業、ガス業、熱供給業および水道業をいい、第一種事業、第二種事業に該当するものおよび加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除きます。 第四種事業 60% 第一種事業、第二種事業、第三種事業、第五種事業および第六種事業以外の事業をいい、具体的には、飲食店業などです。
なお、第三種事業から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業も第四種事業となります。第五種事業 50% 運輸通信業、金融・保険業 、サービス業(飲食店業に該当する事業を除きます。)をいい、第一種事業から第三種事業までの事業に該当する事業を除きます。 第六種事業 40% 不動産業
ご覧のとおり、営んでいる事業区分ごとで割合に違いがあり、みなし仕入率の割合が高ければ高いほど、仕入税額控除額が多くなり、納付すべき消費税額が少なくなる仕組みとなっています。
・第一種事業(卸売業)を営んでいれば次のように計算します。
受け取った消費税100万円 × みなし仕入率(90%) = 90万円 100万円 – 90万円 = 10万円(納付額)
・第五種事業(サービス業)を営んでいれば次のように計算します。
受け取った消費税100万円 × みなし仕入率(50%) = 50万円 100万円 – 50万円 = 50万円(納付額)
なるほど、簡易課税方式は営んでいる業種によって、仕入税額控除額が変わり、それに伴って納付する消費税額が変わる計算方法と言うことですね。
その理解で問題ありません。
それでは、2つの申告方法の違いについてまとめてみましょう。
1-3 納付すべき消費税額を算出する2つの方法の違い
消費税の算出する二つの方法である、「原則課税方式」と「簡易課税方式」の2つの算出式を簡単に表すと以下のとおりになります。
原則課税方式
収入のときに受け取った消費税額 ー 支払いに対する消費税額(仕入税額控除額)= 納付すべき消費税額
簡易課税方式
収入のときに受け取った消費税額 -(受け取った消費税額 × みなし仕入率)(仕入税額控除額)= 納付すべき消費税額
原則課税方式の場合、売上高などの「収入」に係る消費税額に加えて仕入・経費などの「費用」に係る消費税額についても請求書や領収書等の整理を行い、ようやく納付すべき消費税額を算出できます。
一方で、簡易課税方式の場合では、売上高などの「収入」に係る消費税額さえ整理できれば納付すべき消費税額を算出することが出来るということになります。
| 原則課税 | 簡易課税 |
| 消費税の計算をするのに売上の消費税と支払いの消費税の両方を把握する必要あり | 消費税の計算をするのに売上の消費税のみ把握していればよい (原則課税と比べて労力半分以下) |
そのため、「原則課税方式」で申告するより、「簡易課税方式」の方が、申告書作成の労力を見ても、日々の経理の労力の点から見ても圧倒的に簡単な申告方法と言えます。
2つの申告方法で、消費税の計算方法に大きな違いがあるんですね。
ここまでの話を聞く限り簡易課税方式がかなり簡単そうに感じますね。
初めて消費税の申告をする私は、やはり簡易課税方式を選択するべきしょうか。
そうですね。
簡易課税方式は、「簡易」とあるだけに、原則課税方式と比べて計算方法が簡単な仕組みになっています。
ただ、原則課税方式にするメリットも存在し、場合によっては、算出される消費税額が有利になる場合もあります。
そうなんですね。
では、それぞれの申告方法にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
それでは、次にそれぞれの課税方式のメリットとデメリットについて確認していきたいと思います。
2 2つの課税方式のメリットとデメリット

ここでは、原則課税方式と簡易課税方式のそれぞれのメリットとデメリットについて解説していきたいと思います。
それでは、まずは簡易課税方式のメリットとデメリットを見ていきましょう。
2-1 簡易課税方式のメリットとデメリット
簡易課税方式のメリットとデメリットは以下の表のとおりとなります。
| メリット | デメリット |
| 原則課税方式に比べて事務負担が圧倒的に少ない | 事業内容や支出の状況によっては支払う消費税が多くなる |
| 事業内容によっては、支払う消費税が安くなる | 適用条件があり、すべての事業者が選択できるわけではない |
| 申告書の作成が簡単 | 簡易課税制度を適用した場合、2年間は原則課税に変更することができない |
2-1-1 簡易課税方式のメリット
・原則課税方式に事務負担が圧倒的に少ない
簡易課税方式のメリットの一つ目は、原則課税方式のように支払った消費税を考慮しなくてよいため、申告書を作成するための事務負担が少なくなるということです。
制度の概要でも、少し触れましたが、簡易課税方式は、納付すべき消費税額を算出する際に必要な「控除対象仕入税額」の計算が簡単です。
原則課税方式で「控除対象仕入税額」を算出するには、仕入や経費などの支払った金額のすべてについて、消費税がかかる取引かかからない取引かどうかの判断をし、そして消費税率が10%と軽減税率8%と正しく分類されているか等々を整理するといった税務初心者には少し難しい作業が伴います。
しかしながら、簡易課税方式であれば、基本的には、受け取った消費税に対してみなし仕入率を乗じることで「控除対象仕入税額」を算出することができるので、支払いに消費税がかかるかかからないかの判定を考慮する必要もないのです。
事務負担の軽減に関しては令和5年10月1日から開始されたインボイス制度を考慮するとさらに威力を発揮します。
インボイス制度というのは、インボイス発行事業者が発行する一定の事項が記載された請求書や領収書がないと仕入税額控除ができないという制度です。
これまでは消費税を差し引く上で、次のことをしていればよかったのですが…
①消費税がかかる取引であったかの判定
②消費税率が何%か
それに加えて、次のことも判定する必要がでてきます。
③支払った相手の請求書が適格請求書(インボイス)かどうか
簡易課税を選択しているとこの3つすべてをしなくていいのです。
簡易課税制度を適用した場合の事務負担の軽減は大きいです。
・事業事業内容によっては、支払う消費税が安くなる
次のメリットは、会社が営んでいる事業の状況によっては、消費税額が原則課税方式と比較して少なくなることがあるという点です。
例えば、サービス業のみを営んでいる会社(みなし仕入率:50%)を想定してみましょう。
商品等の仕入がなく、支払いは人件費がほとんどだったとします。
| 原価の内訳 | 支払額 | ←うち消費税額 |
|---|---|---|
| 役員報酬と給与 | 800万円 | 0円 |
| その他経費 | 200万円 | 20万円 |
売上が2000万円で預かった消費税が200万円とします。
簡易課税で仕入税額控除額を計算すると200万円 × 50% =100万円となります。
原則課税と簡易課税の納税額を比較すると180万円と100万円と税額が激しく異なってきます。
| 原則課税 | 簡易課税 | |
|---|---|---|
| 預かった消費税 | 200万円 | 200万円 |
| 仕入税額控除額 | 20万円 | 100万円 |
| 納税額 | 180万円 | 100万円 |
このように原則課税で計算した課税売上に対する課税仕入の割合がサービス業のみなし仕入率(50%)より少なくなることが往々にしてあります。
このような場合であれば、「簡易課税方式」で申告することで納付すべき消費税額を効果的に少なくすることが出来ます。
・申告書の作成が簡単
次のメリットは、原則課税方式の申告書に比べて簡易課税方式の申告書の方がシンプルで作成が簡単という点です。
原則課税方式では、課税売上高の他に仕入税額控除額の算出に関する記載欄などがあり、税務初心者が作成するにはやや敷居が高いものとなっています。
それに加えて、原則課税方式の場合、課税売上割合というものが95%以下になると、支払いの消費税を3種類に分けて、個別対応方式と一括比例配分方式の二つのいずれかのうち有利な方を選択するなどかなりの手間が掛かります。
それに比べると、簡易課税方式の申告書は、仕入れ税額控除の計算が、収入の消費税からみなし仕入率をかけて算出されることから圧倒的にシンプルかつ簡単な作りとなっており、自分で消費税の申告書を作成したいと考えている場合、簡易課税方式を選択する方が楽に申告書を作り上げることができるでしょう。
2-1-2 簡易課税方式のデメリット
・事業内容や支出の状況によっては支払う消費税が多くなる
事業内容やその計算期間の支出額や投資額等によっては、逆に簡易課税制度を適用した場合、納付すべき消費税額が多くなってしまうこともあります。
例えば、多額の設備投資をする場合や、輸出取引が多くなった場合などには、簡易課税制度を適用するより、原則課税方式で消費税の計算を行った方が有利になることがあります。
そのため、安易に簡易課税制度を選ぶのではなく、事業区分や実際の事業内容、今後の経営方針などを考えて、簡易課税制度を適用するのかどうかを決定することおすすめします。
また、売上高より仕入、経費が多くなった場合や、輸出取引を行っている場合など、原則課税方式であれば、還付申告となり、消費税が還付になる場合がありますが、簡易課税方式では、還付申告とすることが出来ないので、注意が必要です。
・適用条件があり、すべての事業者が選択できるわけではない
次のデメリットは、簡易課税方式を適用するには、要件があり、すべての事業者が適用できるわけじゃない点です。
簡易課税制度を選択する要件は、原則として次の2つをいずれも満たしている場合に適用することができます。
要件は以下の2つとなります。
- 消費税簡易課税制度選択届出書が提出されていること
- 基準期間における課税売上高※が、5000万円以下である
この要件を満たしていなければ、簡易課税方式を適用することができません。
※基準期間の課税売上高については以下の記事で詳しく解説しています。
・簡易課税制度を適用した場合、2年間は原則課税に変更することができない。
デメリットのもう一つです。簡易課税制度は、毎年、好きなタイミングで原則課税方式にすることが出来るわけではありません。
実は、簡易課税制度を適用したら、2年間は原則課税方式にすることはできないのです。
そのため、簡易課税制度を適用した次の年度に、事業内容の変更や多額の設備投資を行ったなどで、原則課税方式が有利になったとしても、その年度は簡易課税方式で申告しなければなりません。
下の図で説明すると、例えば、第X2期から簡易課税制度を適用した場合は、第X2期と第X3期は、原則として簡易課税方式でしか申告することができないということになります。そして、2年間縛りが終わっているため、第X4期からは、原則課税を選択することができるようになります。

続いて原則課税方式のメリットとデメリットについて解説します。
2-2 原則課税方式(一般課税方式)のメリットとデメリット
原則課税方式のメリットとデメリットは以下の表のとおりとなります。
| メリット | デメリット |
| 人件費が少なくて外注が多い業種などで納税額が少なくなる | 事務手続きが複雑で事務負担が大きい |
| 多額の設備投資等を行った場合に有利になる | 外注よりも人件費が相対的に多い業種で簡易課税よりも納付額が多くなる |
2-2-1 原則課税方式(一般課税方式)のメリット
・人件費が少なくて外注が多い業種などで有利になる
一つ目のメリットは、人件費が少なく外注費が多い業種の場合、簡易課税方式と比べて税額が少なくなることが多い点です。
人件費の支払いには消費税がかかりません。しかしながら他社やフリーランスなどに外注する支払いは消費税がかかります。
人件費を支払っても、受け取った消費税から差し引ける消費税は0ですが、外注すると支払額の10%の消費税を差し引くことができます。
つまり、人件費よりも外注する方が多いと消費税の納税額は下がっていくのです。
例えば、建設業のみを営んでいる会社(みなし仕入率:70%)を想定してみましょう。
一人社長で他の職人をすべて外注しているケースで消費税額を計算してみます。
計算例の内容
・収益の内容
売上高 4,500万円 預かった消費税 450万円
・費用の内容
仕入高 2,000万円 支払った消費税 200万円
外注費 1,500万円 支払った消費税 150万円
人件費 800万円 支払った消費税 0円
例えば上のような決算内容の場合、簡易課税で仕入税額控除額を計算すると450万円 × 70% =315万円となりますが、原則課税方式の場合は350万円となります。
| 原則課税 | 簡易課税 | |
|---|---|---|
| 預かった消費税 | 450万円 | 450万円 |
| 仕入税額控除額 | 350万円 | 315万円 |
| 納税額 | 100万円 | 130万円 |
上の場合の計算例の場合、原則課税方式が納税額が100万円、簡易課税方式が130万円となり、原則課税方式が有利となります。
人件費以外の支出が多いほど、控除できる金額も増えるため、人件費に比べて外注が多い事業者にとっては、原則課税方式が適しています。
このように、営んでいる業種の支払いが消費税が課税される取引が多い場合、原則課税方式を選択した方が有利となることがあります。
・多額の設備投資等を行った場合に有利になる
二つ目のメリットとしては、仕入れの多い業種や多額の投資を行った場合などで有利になるという点です。
こちらのメリットの納税額の有利に関するものです。
例えば、多額の設備投資をする場合や、輸出取引が多くなった場合などには、簡易課税制度を適用するより、原則課税方式で消費税の計算を行った方が有利になることがあります。
また、売上高より消費税のかかる仕入、経費が多くなった場合や、輸出取引を行っている場合など、原則課税方式であれば、還付申告となり、消費税が還付になる場合があります。
しかしながら簡易課税方式は、受け取った消費税にみなし仕入率(最高90%)を乗じて計算するため、還付になることは絶対にありません。
2-2-2 原則課税方式(一般課税方式)のデメリット
・事務手続きが複雑で事務負担が大きい
一つ目のデメリットは、簡易課税方式と比べて圧倒的に事務手続きが複雑であることということです。
簡易課税のメリットで言及した裏返しになります。
原則課税方式は、売上や仕入れ、経費にかかる消費税を正確に記録しなければならず、詳細な帳簿を管理する必要となります。
これにより、事務作業が増え、記録管理に時間とコストがかかることがあります。特に小規模な事業者にとっては、煩雑な手続きが負担になることがあります。
また、インボイス制度により原則課税方式での事務手続きが更に複雑化しました。
原則課税方式の消費税を計算するための事務負担はかなりのものです。
・外注よりも人件費が相対的に多い業種で簡易課税よりも納付額が多くなる可能性がある
2つ目のデメリットは、原則課税の1つ目のメリットの裏返しです。
外注費よりも人件費が相対的に多い業種については、発生する納税額が簡易課税方式よりも多くなる点です。
人件費の支払いには消費税がかかりません。しかしながら他社やフリーランスなどに外注する支払いは消費税がかかります。
人件費を支払っても、受け取った消費税から差し引ける消費税は0です。
つまり、外注するよりも人件費が多いと消費税の納税額は上がっていくのです。
他社に頼らず自社で事業をおこなっている場合は、消費税の納税額は相対的に上がっていきます。
例えば、飲食業やサービス業などの業種だと外注費よりも人件費が多くなる傾向があります。
このような業種だと、簡易課税方式の方が税額が少なくなることが多くなります。
計算例の内容
・収益の内容
売上高 4,500万円 預かった消費税 450万円
・費用の内容
仕入高 2,000万円 支払った消費税 200万円
外注費 300万円 支払った消費税 30万円
人件費 2,300万円 支払った消費税 0円
例えば上のような決算内容の場合、簡易課税で仕入税額控除額を計算すると450万円 × 60% =270万円となりますが、原則課税方式の場合は230万円となります。
| 原則課税 | 簡易課税 | |
|---|---|---|
| 預かった消費税 | 450万円 | 450万円 |
| 仕入税額控除額 | 230万円 | 270万円 |
| 納税額 | 220万円 | 180万円 |
上の場合の計算例の場合、原則課税方式が納税額が220万円、簡易課税方式が180万円となり、簡易課税方式が有利となります。
人件費には消費税が課税されないため、原則課税方式の仕入税額控除額の算出方法だと、不利になります。
2-3 二つの申告方式の比較
それでは、ここで二つの申告方式のメリットとデメリットの内容を比較してみましょう。
比較内容は下表の通りになります。
| 項目 | 原則課税方式 | 簡易課税方式 |
| 事務負担が大きさ | 詳細な帳簿管理が必要であり、事務負担が大きい | 簡単な帳簿管理で済み、事務負担が少ない |
| 税額的な有利さ | 業種や支払い状況によっては有利 | 業種や支払い状況によっては有利 |
| 納税額の安定性 | 事業状況の状況によって変動が大きく予測が難しい | 売上に基づくため納税額が安定している |
| 選択の自由度 | 特別な届出不要で自由に選択可能 | 税務署への事前届出が必要、2年間は変更不可 |
それぞれのメリットとデメリットについて、良くわかりました。
でも消費税額が有利になるか不利になるかは実際に計算してみないとわからないですよね?
申告書を両方書き上げないとわからないのでしょうか?



