勘定科目の「地代家賃」について、具体例をふんだんに使って簿記初心者にもわかりやすく解説します。
1「地代家賃」が使われる取引例
勘定科目の「地代家賃」で経理される主な取引例は以下のとおりです。
| 内容 | 具体例 | 
|---|---|
| 土地の貸借 | 
  | 
| 建物の貸借 | 
  | 
2「地代家賃」とは
「地代家賃」で経理されるものは、建物や土地を借りた際に発生する賃料等に要した費用です。
「地代家賃」の特徴は次のとおりです。
2-1 地代家賃の特徴
「地代家賃」の会計上おさえておくべき特徴は次のとおりです。
| グループ | 「費用」グループ | 
|---|---|
| 決算書の表示 | 販売費及び一般管理費 | 
| 類似科目 | 賃借料 | 
| 税区分 | 「課税仕入」「対象外」※ | 
| インボイス有無の判定 | 必要(一部不要※) | 
※ 後述(4-3消費税の取り扱い) 対象外の場合はインボイス不要
3「地代家賃」の仕訳例
事務所の家賃220,000円(税込10%)を支払ったケース
【税込経理方式】
| 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 
|---|---|---|---|
| 地代家賃 | 220,000 | 普通預金 | 220,000 | 
【税抜経理方式】
| 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 
|---|---|---|---|
| 地代家賃 | 200,000 | 普通預金 | 220,000 | 
| 仮払消費税等 | 20,000 | 
4「地代家賃」処理上のその他の注意点
4-1 地代家賃に計上できないもの
20万以上の[礼金、返還される敷金、保証金]は「地代家賃」として計上できず、繰延資産として計上する必要があります。
(20万以下の[礼金、返還される敷金、保証金]は「地代家賃」として計上することができます)
詳しくは、次の記事をご参照ください。
また、コインパーキングなど一時的に借りる駐車場代は「車両費」または「旅費交通費」で処理するのが一般的です。
4-2 賃借料の支払いについて
4-2-1 「前払費用」として計上し、翌月に振り替える
決算期末に事務所の賃借料220,000円を支払ったケース
| 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 
|---|---|---|---|
| 前払費用 | 220,000 | 普通預金 | 220,000 | 
翌年度の月初に振替の仕訳をします。
| 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 
|---|---|---|---|
| 地代家賃 | 220,000 | 前払費用 | 220,000 | 
4-2-2 短期前払費用の特例を利用する
短期前払費用に該当する場合は、支払った時点で損金に計上することができます。
ただし、次の要件に当てはまる場合に限ります。
- 支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合
 - 支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する会計年度の費用に計上している時
 
事務所の賃借料220,000円翌月分を決算期末に支払ったケース
| 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 
|---|---|---|---|
| 地代家賃 | 220,000 | 普通預金 | 220,000 | 
短期前払費用の特例についての詳細は次の記事をご参照ください。
4-3 消費税の取り扱い
4-3-1 地代の消費税の取り扱い
土地の賃借料は、原則消費税のかからない非課税取引になります。したがって税区分は「対象外」で経理します。(「非課税仕入」という税区分もありますが、「対象外」としても消費税の計算上は無関係なので、区分する意味が薄いです。)
ただし、以下の費用には、消費税がかかります。
- 駐車場(区画整備されていない青空駐車場は除く)
 - 事務所など建物と一緒に賃借された時の土地の賃料
 - 施設の利用に伴って土地が使用される場合(球技場、グラウンドやテニスコートなど)
 - 貸付期間が1ヶ月に満たない場合
 
4-3-2 家賃の消費税の取り扱い
事務所などの事業用に使用される建物の賃料は消費税がかかります。
しかしながら、住宅の貸付け※は、消費税のかからない非課税取引になります。
※契約で住宅用であることが明記されているものや居住用と明記されていなくても貸付け等の状況からみて住宅用に供されていることが明らかなものに限られます。
ただし貸付期間が1ヶ月未満の場合は、居住用でも消費税がかかります。(ホテル、ウィークリーマンションなど)
(参考)No.6225 地代、家賃や権利金、敷金など(国税庁)
居住用の家賃には消費税がかからないことについて、以下の記事で詳しく解説しています。
4-3-2 適格請求書(インボイス)の保存の仕方
地代家賃の支払いを、仕入税額控除(預かった消費税から支払った消費税を差し引くこと)するためには、適格請求書(インボイス)の保存が要件になります。
地代家賃の支払いは、口座振替えなど、領収書の受け渡しがされないことが一般的です。
この場合には、適格請求書(インボイス)を1つの書類で満たさなくてもよいことになっています。
したがって、契約書等に適格請求書(インボイス)に必要な記載事項の一部が記載されていて、実際に支払った事実を示す書類を別途保存するという方法で、適格請求書(インボイス)の要件を満たすことができます。
(参考)家賃を口座振替・口座振込により支払う場合の仕入税額控除の適用要件(国税庁)
4-4 賃借物件に住居用スペースがある場合
個人事業主に限りますが、自宅を事務所として利用している場合や事務所はあるが自宅でも仕事をしている場合等、自宅で事業を営んでいる場合は、自宅の家賃も「地代家賃」として計上することが可能です。
その場合、計上できるのは事業に利用した部分だけなので、事業で使用している割合とプライベートで使用している割合を按分する必要があります。
按分方法はいくつかありますが、一般的な方法は次のとおりです。
- 自宅面積のうち、事業で使用している面積を按分する
 - 面積を按分が難しい場合は、作業時間をもとに按分する
 
「地代家賃」に関する解説は以上です。
この取引がどの勘定科目に当てはまるかわからない、教えてほしいということがあったらコメントくださいね。
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