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短期前払費用の特例とは?前払い分の家賃は資産?費用?

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悩む会社員 新米一人社長

決算期の最後の月に家賃1年分を前払いしたのだが、これって全部経費にできるのかな?
前払費用というものがあって、全部経費にできないとも聞いたことがあるのだけど…

 

「短期前払費用」の特例を適用すれば、1年分ならすべての金額を支払った年度の経費にできますよ。

弁護士 勘定科目先生

 

会社員 新米一人社長

詳しく教えてください!

 

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1 短期前払費用とは

短期前払費用を理解するには、「前払費用」という勘定科目を理解しておく必要があります。
まずは、前払費用を確認しましょう。

1-1 前払費用とは

「前払費用」とは
前払費用とは、一定の契約に基づいて継続的にサービスを受けるために支出した費用のうち、その会計年度の終了時点でまだサービスの提供を受けていない部分に対応する金額を資産として経理するために使う勘定科目をいう。

前払費用は、「資産」グループに分類されます。

具体例を使って、前払費用を説明します。
12月決算の法人が、7月1日に1年分の家賃1,200,000円(1月@100,000円)を支出した場合、7月から12月分はすでにサービスを受けていますが、翌年1月から6月分はまだサービスを受けていません。

サービスを受けていない6ヶ月分の家賃600,000円は前払費用として資産に計上します。

1月|2月|3月|4月|5月|6月 7月|8月|9月|10月|11月|12月
サービスを受けている サービスを受けていない
「地代家賃」として費用計上 「前払費用」として資産計上
費用の額 600,000円 資産の額 600,000円

支払いが終わっていたとしても、その会計年度の中でサービスをすべて受けていない場合は、その受けていない金額は、費用ではなく資産にしておこうというのが「前払費用」の考え方です。

弁護士 勘定科目先生

会計原則的には、このように処理するのが原則ですが、国税庁が特例を用意しています。
それが今回のテーマである「短期前払費用」です。

1-2 短期前払費用とは

「短期前払費用」とは
「短期前払費用」の特例とは、本来は、前払費用として資産計上する金額があったとしても、その支払った日から1年以内にすべてのサービスの提供を受けられる場合は、その全額を支払った年度の費用にできるというものです。

前述の「前払費用」で使用した例を「短期前払費用」に当てはめると以下のように変わります。

1月|2月|3月|4月|5月|6月 7月|8月|9月|10月|11月|12月
サービスを受けている サービスを受けていない
「地代家賃」として費用計上 前払費用地代家賃」として資産費用計上
費用の額 600,000円 資産費用の額 600,000円

「短期前払費用」の特例は、どんどん使うべきです!
これを使うことによって次のようなメリットがあります。

  • 支払いの一部を資産として管理する手間がなくなる
  • 費用を前出しできるので節税になる
弁護士 勘定科目先生

本来前払費用とすべきものを、短期前払費用として経理するためには要件があります。

1-2-1 短期前払費用の要件

短期前払費用の要件
❶ 支払日から1年以内にサービスを受ける前払費用であること
❷ 同様の取引を継続して同様に処理していること

1つ目は、前払費用のうち、支払日から1年以内にサービスを受け終わるものである必要があります。
契約に基づいて1年分の家賃の前払いであればですが、2年分の家賃の前払いは、となります。

2つ目は、短期前払費用として処理する場合は、以後継続的に同様に処理してください、というものです。

例えば、前年度は、1年分の家賃を前払いする契約の家賃を、全額費用にしたが、同様の支払いの一部を前払費用として資産計上するというように、短期前払費用を適用したり、適用しなかったりということは認めませんということです。

一度短期前払費用を適用した取引は、毎期継続して短期前払費用を適用しなければなりません。

1-2-2 短期前払費用の注意点

国税庁の通達に次のような記述があります。

借入金を預金、有価証券などに運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、たとえ1年以内の短期前払費用であっても、支払時点で損金の額に算入することは認められませんので注意してください。

収益と費用が明確に紐づいているものは、たとえ前述の短期前払費用の要件に合致していたとしても、短期前払費用として支払い時点で全額を費用にできないということを明示しています。


2 短期前払費用が適用できる具体例

短期前払費用の根拠となっているものは、国税庁が公表している通達によります。

法人税所得税(通達37-30の2)いずれにも通達がありますので、法人と個人事業主問わずこの短期前払費用を適用できます。

この通達の中で短期前払費用の特例が適用できるのは、「役務の提供を受けるために支出した費用」とされています。
したがってそれ以外の支出は短期前払費用として処理できないので、その点注意してください。

具体的にどのような取引が短期前払費用として処理できうるのかを例示します。

  • 土地や建物の賃料
  • 保険料
  • サービス使用料
  • システムのリース料
  • セミナーや講習等の受講費用
  • 雑誌や新聞の年間購読料(電子版に限る)

実務では、これらの例が短期前払費用として要件に合えば処理されるものの代表例です。

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3 短期前払費用の特例のまとめ

前払費用として経理しなければならない場面でも、1年以内の契約に基づく支払いであれば、短期前払費用の特例を適用でき、一時の費用として経理可能です。

実務では、1年以上先の前払いというものはそう多くあるものではありません。
つまり、前払費用として経理しなくてはいけないものの多くが、この短期前払費用の特例を適用して支払った時に全額費用にできるのです。

短期前払費用を適用することにより次のメリットを享受できます。

  • 支払いの一部を資産として管理する手間がなくなる
  • 費用を前出しできるので節税になる

短期前払費用は、良いこと尽くめな上に、適用できる場面も実務で多くあるので、これを使わない手はありません。

短期前払費用の特例のおかげで、実務では、「前払費用」の登場する場面が激減しています。
それほど実務でお世話になるのが「短期前払費用」です!是非ご活用ください!

弁護士 勘定科目先生

 

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