勘定科目の「広告宣伝費」について、具体例をふんだんに使って簿記初心者にもわかりやすく解説します。
1「広告宣伝費」が使われる取引例
勘定科目の「広告宣伝費」で経理される主な取引例は以下のとおりです。
| 内容 | 具体例 |
|---|---|
| マスメディア等への広告掲載費用 |
|
| 広告作成費用 |
|
| ホームページ関連費用 |
|
| 求人広告費用※1 | 求人広告(新卒採用、中途採用、アルバイト募集など) 具体例:マイナビ、エン転職、doda、バイトル |
※1 「採用教育費」とすることも可能
2「広告宣伝費」とは
「広告宣伝費」で経理されるものは、CMや新聞広告、web広告のほか、宣伝用のホームページの作成や運用に要した費用、PRのための試供品やグッズの作成費用など、会社・商品・サービス等を宣伝するためにかかる費用です。
2-1 広告宣伝費の特徴
「広告宣伝費」の会計上おさえておくべき特徴は次のとおりです。
| グループ | 「費用」グループ |
|---|---|
| 決算書の表示 | 販売費及び一般管理費 |
| 類似科目 | 支払手数料、販売促進費、交際費、採用研修費 |
| 税区分 | 課税仕入(インボイスなしの国外の会社との取引は対象外) |
| インボイス有無の判定 | 必要 |
2-2 広告宣伝費とする要件
不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用は、広告宣伝費に計上できます。
3「広告宣伝費」の仕訳例
会社のパンフレットを300,000円+消費税30,000円で作成したケース
【税込経理方式】
| 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 広告宣伝費 | 330,000 | 現金 | 330,000 |
【税抜経理方式】
| 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 広告宣伝費 | 300,000 | 現金 | 330,000 |
| 仮払消費税等 | 30,000 |
4「広告宣伝費」処理上のその他の注意点
4-1 消費税の仕入れ税額控除の取り扱い
昨今インターネット検索やSNSへの広告が、広告の主流となりつつあります。このようなインターネット広告を依頼した際に問題となるのが消費税です。
インターネット広告の多くが、Googleや、X(旧Twitter)、Facebook、Instagramなど海外のサービスです。
海外取引は、基本的には消費税がかかりませんので、海外が拠点のサービスへの広告宣伝費の支出は、消費税の仕入れ税額控除ができないのではないか?という疑問が生じます。
消費税を差し引けるかどうかは、支払い先が消費税法の規定するインボイスを発行できているかどうかで判断できます。
具体的にはいわゆるT番が請求書または領収書があるかどうかで判断できます。
例えば、Google広告は、グーグル合同会社(東京都渋谷区)が運営しており、T1010401089234を持っています。したがって、仕入れ税額控除ができます。
X(旧Twitter)は、インボイス登録行者になっておりませんので、T番号を持っておらず、消費税は請求額に上乗せされていません。つまり、仕入れ税額控除ができません。
Facebook広告は、Facebook自体は、Facebook Japan合同会社という法人を持ち、T3010401084654を持っており、インボイス登録行者になっていますが、広告内容によって請求書にこのT番号が記載され、消費税がかかっている場合とそうでない場合があるそうなので注意が必要です。T番号が記載されている請求書または領収書が発行されていれば仕入れ税額控除ができます。
4-2 資産計上が必要な場合がある
広告宣伝のための費用でも、取引内容や金額によっては、「広告宣伝費」として費用計上するのではなく、資産計上する必要があります。
具体的なケースは次のような場合です。
・駅やビルに看板を設置する等、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合で、当期分以外の金額を支払っている場合は、「前払費用」で仕訳します。(短期前払費用を適用する場合を除きます。)
| 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 前払費用 | 500,000 | 現金 | 550,000 |
| 仮払消費税等 | 50,000 |
・看板や広告塔などを制作又は購入する支出額が10万円以上の場合(要件を満たす中小企業は、30万円以上となる特例があります)は、「構築物」等の「固定資産」で仕訳します。