
勘定科目の「支払手数料」について、具体例をふんだんに使って簿記初心者にもわかりやすく解説します。
1「支払手数料」が使われる取引例
勘定科目の「支払手数料」で経理される主な取引例は以下のとおりです。
| 取引内容 | 具体例 | 
|---|---|
| クレジットカード売上の決済手数料 | PayPal、Amazon pay、Square、Stripeなど | 
| 電子マネーやQR コード決済での売上の決済手数料 | PayPay、Line Pay、交通系電子マネー(スイカ(Suica)、パスモ(Pasmo))など | 
| 金融機関の手数料 | 銀行の振込手数料、為替手数料、ATM手数料など | 
| 士業への支払い(「支払報酬料」可) | 税理士、会計士、弁護士、社会保険労務士、行政書士、不動産鑑定士、司法書士など | 
| クラウドサービスやWebアプリのサブスクリプション費用(「通信費」可) | クラウド会計ソフト、Microsoft(マイクロソフト)365、Slack(スラック)、Chatwork(チャットワーク)、Jobcan(ジョブカン)、クラウドサイン、楽々精算、全力法人税、マネーフォワード、弥生、ChatGPTなど | 
| ECサイトや自社サイト運用に必要な支払い(「通信費」可) | レンタルサーバー代、ドメイン使用料、AWS、Microsoft Azure(アジュール)など | 
| 不動産の賃貸や売買した際の仲介手数料 | 仲介手数料など | 
| 各種コンサルティングの支払い | コンサルティング料など | 
| 信用保証料 | 借入の際の信用保証料、賃貸する際の家賃保証料など | 
| 各種事務手数料 | 登録手数料、解約手数料、キャンセル料など | 
| フランチャイズ加盟店手数料 | 
2「支払手数料」とは
「支払手数料」は、文字どおり手数料を支払った際に使われる科目であるため、広く使用される勘定科目となっています。
経理自由の原則から、必ずこの取引にはこの勘定科目を使用しなければいけないということは、ありません。したがって、例えばクラウドサービスのサブスクの料金を「支払手数料」と経理することも「通信費」として経理することも可能です。
一旦選択した処理方法は、継続性の原則から毎期継続して適用することを求められますので、この点だけ注意すれば、手数料を支払った場合にすべてこの「支払手数料」を使用することも可能です。
「支払手数料」の基本的特徴は以下のとおりです。
| グループ | 「費用」グループ | 
|---|---|
| 決算書の表示 | 販売費及び一般管理費 | 
| 類似科目 | 支払報酬料、通信費、租税公課、販売促進費など | 
| 税区分 | 課税仕入または対象外(非課税) | 
| インボイス有無の判定 | 必要 | 
3「支払手数料」の仕訳例
クレジットカードで売り上げたケース
❶【売上の仕訳】
| 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 100,000 | 売上高 | 100,000 | 
❷【入金の時の仕訳】
| 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 97,000 | 売掛金 | 100,000 | 
| 支払手数料 | 3,000 | 
4「支払手数料」処理上の注意点
4-1 消費税の取り扱い
「支払手数料」という勘定科目を使用する取引の多くは、消費税の「課税取引」に該当します。
つまり、仕訳日記帳に仕訳を登録する際の税区分は基本的には「課税対象仕入」を選択することになります。
そして消費税の税率は通常10%で経理されます。
ただし、支払手数料に区分される取引の中にも「課税取引」にならないものがあります。以下の取引には注意が必要です。
4-1-1 キャッシュレス決済手数料
クレジットカード決済や決済代行サービスを利用した場合、QRコード決済、電子マネー等のキャッシュレス決済で売上金額を回収する際の支払手数料は、非課税取引となるケースがあります。
| 取引内容 | 税区分 | 
|---|---|
| 店が直接クレジットカード会社の加盟店となるケース | 非課税取引(金銭債権の譲渡) | 
| クレジットカード会社と直接ではなく、Amazon Pay等の決済代行サービスを通すケース | 課税取引※ | 
※決済代行サービスを通すケースは、課税取引の判定は、国内取引に限ります。国外取引の場合は、課税取引には該当せず、「対象外」取引になる点にも注意が必要です。
実務でどのように判定すればいいかはシンプルです。
請求書に次の2つが載っていれば税区分は「課税取引」で、載っていなければ税区分は「対象外」と経理すればOK。
- 消費税が載っているか
 - インボイス登録番号が載っているか
 
消費税には、「課税取引」や「非課税取引」「対象外」「免税取引」がありますが、支払いの場合は、「課税取引」とそれ以外はすべて「対象外」に区別していれば、消費税の確定申告書は作成できます。支払いまで「非課税取引」や「対象外」「免税取引」を区別する必要はありません。
4-1-2 国外の事業者が提供するサービスを利用する場合
国外の事業者が提供するサービスを利用する場合は、消費税がかからない取引が多くなります。
例えば、取引例に挙げたサービスでは、PayPalやSquareは消費税がかからないため、仕訳帳では「課税仕入」ではなく「対象外」で経理する必要があります。
逆にSlackは国外の事業者ですが、インボイスの登録事業者になっているので、「課税仕入」とすることができます。Amazonやmicrosoftは国内に会社を作っており、インボイス登録事業者になっているため「課税仕入」とすることができます。
実務でどのように判定すればいいかは4-1-1で「消費税がかかるかどうかの見分け方」で説明したとおりです。
請求書に次の2つが載っていれば税区分は「課税取引」で、載っていなければ税区分は「対象外」と経理すればOK。
- 消費税が載っているか
 - インボイス登録番号が載っているか
 
4-1-3 行政手数料
法務局等の国や地方自治体への各種証明書の発行手数料や印紙は、手数料とはいいますが、勘定科目「租税公課」で経理します。
これらの手数料は、「非課税取引」に該当します。
したがって、仕訳帳への登録の際の「税区分」は「対象外」を選択することになります。
4-2 資産に計上するケース
手数料を支払った場合でも、「支払手数料」で経費にするのではなく、資産に計上する必要があるケースがあります。
主な例は以下の2つです。
- 土地建物等の不動産を取得する際に支払った仲介手数料
 - 株式、社債、国債、投資信託受益証券等の有価証券を取得した際に支払った購入手数料
 
4-3 販売手数料
次のような、売上に直接関係する経費は、「販売手数料」または「販売促進費」という勘定科目で経理します。
- 特約店等のセールスマン
 - 外交員の売上に応じた販売手数料
 - 契約に基づいた情報提供料
 - 委託販売に伴う販売手数料
 
「支払手数料」は、売上に直接関係しない経費に用います。
このように決められていますが、決算書の表示では、いずれも「販売費及び一般管理費」に分類されるものなので、実務においては、いずれも「支払手数料」一本で経理したとしても特に支障はありません。
この取引がどの勘定科目に当てはまるかわからない、教えてほしいということがあったらコメントくださいね。
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