勘定科目の「開業費」について、具体例をふんだんに使って簿記初心者にもわかりやすく解説します。
1「開業費」が使われる取引例
勘定科目の「開業費」で経理される主な取引例は以下のとおりです。
| 内容 | 具体例 |
|---|---|
| 開業費 |
法人設立後、開業までに支出した以下の費用のうちその支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶもの
|
2「開業費」とは
2-1 勘定科目の「開業費」とは
「開業費」で経理されるものは、開業のための広告宣伝費及び接待費その他法人の設立後事業を開始するまでの間に開業準備のため特別に支出した費用です。
2-2 開業費の特徴
「開業費」の会計上おさえておくべき特徴は次のとおりです。
| グループ | 「純資産」グループ |
|---|---|
| 決算書の表示 | 貸借対照表 > 資産 > 繰延資産 |
| 類似科目 | 創立費 |
| 税区分 | 課税取引 |
| インボイス有無の判定 | 必要 |
2-3 繰延資産とは
「開業費」は繰延資産に分類されます。
繰延資産とは、法人税法では、次のように定義しています。
費用収益対応の原則という考え方があって、ある会計期間の収益獲得に貢献した費用だけをその会計期間の費用にしましょうという会計上の決まりごとがあります。
したがって、支出の効果が1年以上に及ぶなら今期の収益獲得に貢献する分だけを費用にして、残りは将来の収益獲得に貢献するので翌年度以降に繰延資産という形で繰り延べようと考えるのです。これが繰延資産の考え方の基本です。
開業費で考えると、開業までにかかった費用、例えばホームページ作成費用や開業についての大々的な広告費用などを考えると、その年度の収益獲得にだけ貢献するものでなく、その次の年度、またその次の年度の収益獲得にも貢献しているはずなので、一旦資産に計上して、貢献している年度に対応する費用を年度ごとに償却していこうとなります。
減価償却費と同じ考え方ですね。

3「開業費」の仕訳例
開業前に店舗オープンのチラシ作成費用30万円を現金で支払いしたケース
| 借方勘定科目(税区分) | 借方金額 | 貸方勘定科目(税区分) | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 開業費(課対仕入10%) | 300,000 | 現金(対象外) | 300,000 |
4「開業費」処理上のその他の注意点
4-1 「開業費」の償却方法について
開業費は、将来の収益獲得にも貢献する費用を資産として計上しておいて、貢献した年度に費用化すると説明しました。
その費用化することを、会計用語で「償却」といいます。
開業費を償却する場合に用いられる勘定科目は「繰延資産償却」または「開業費償却」です。
この「開業費」の償却方法は、以下のように2通りあります。
- 均等償却
- 任意償却
4-1-1 開業費の均等償却
均等償却とは、決められた償却期間で均等に費用化する方法です。
「開業費」の償却期間は5年と決められています。