会計データをインポートする前に確認すべき注意事項|全力法人税

 

全力法人税に会計データをインポートする際に事前に確認する注意事項として全ユーザーに当てはまる事項と全力法人税で消費税の申告を作成するユーザーだけに関係する事項に分類して説明します。

 

1 全力法人税共通事項

 

1-1 当期発生する未払法人税等を決算に含めていないか

 

全力法人税にインポートする仕訳帳データの中に、当期発生する未払法人税等の仕訳は含めません。

それが起こり得る状況として次の2つが考えられます。

 

決算が赤字の場合の均等割の金額

 

全力法人税が当期の確定法人税等を計算するので、通常は事前にその金額はわからないのですが、決算が赤字の場合は、地方税の均等割だけしか発生しないことを知っている場合に、全力法人税使用前に当期の未払法人税等としてその均等割の金額を計上しているケースが考えられます。

 

一度すべての操作を終えてからインポートをやり直す

 

メニューバー「申告書」>「法人税等に関する仕訳の表示」画面の案内どおりに当期発生する未払法人税等を会計ソフトに追加した後に、決算に変更が生じたなどの理由で再度会計データのインポートをすることになった場合に、そのまま仕訳帳データをエクスポートするケースが考えられます。

 

以上この2つの例のように当期発生する未払法人税等が登録されているデータを全力法人税にインポートする場合は、該当の未払法人税等を削除してから仕訳帳データをエクスポートする必要があります。

当期発生の未払法人税等が含まれた状態で申告書を作成すると申告を誤るのでご注意ください。

 

1-2 貸借対照表の「資産の部」「負債の部」の科目の残高がマイナスになっていないか

 

会計ソフトから決算書を出力し、「資産の部」と「負債の部」の勘定科目の残高がマイナスになっている場合は、会計上ありえない数字になっています。

「資産の部」の「貸倒引当金」と「減価償却累計額」は残高がマイナスになりますので、この2つの科目は除きます。

仕訳の登録ミスまたは登録漏れがあることが考えられますので、仕訳帳のマイナスとなっている科目を見直し、原因を特定し解消してください。

例えば次の例のように「現金及び預金」の残高がマイナスとなっている場合、会社に現金預金がないのに支払いが行われていることを意味します。

ありえないという意味が理解いただけれるかと思います。

 

貸借対照表 現金マイナス

 

1-3 支払済みの法人税等や源泉所得税の金額は費用計上しているか

 

全力法人税では、以下の税金の支払いについての経理処理は、必ず費用計上してください。

  • 法人税と法人地方税の中間申告分の納付
  • 預金利息等から天引きされる源泉所得税

税金を仮払い処理している経理方法には対応しておりません。

費用計上するとは、納めた日付で次のような仕訳をします。

 

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
法人税・住民税及び事業税 ××× 現金預金  ×××

 

仮払処理をしているとは

 

仮払経理とは次のような仕訳をしていることを指します。全力法人税は、仮払経理には対応しておりません。

 

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
仮払法人税等 ××× 現金預金  ×××

 

仮払処理している場合は、必ず期末までに次のように費用への振替え処理をしてください。

 

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
法人税・住民税及び事業税 ××× 仮払法人税等  ×××

 

2 全力消費税で消費税の申告書を作成する場合

 

2-1 消費税の中間納付分の処理方法

 

全力法人税で消費税の申告書を作成する場合(全力消費税を使用する場合)、消費税の中間申告分の納付についての経理処理は次のように処理してください。

 

税込経理方式の場合は、費用計上する。

 

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
租税公課 ××× 現金預金  ×××

 

税抜経理方式の場合は、仮払い処理する。

 

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
仮払金 ××× 現金預金  ×××

 

2-2 税抜経理方式の場合の消費税の精算仕訳

 

税抜経理方式の消費税の精算仕訳は、全力消費税の仕様の有無によって異なります。

全力消費税使う→精算仕訳不要

全力消費税使わない→精算仕訳必要

以上のように全力消費税を使う場合は、消費税のこれから計算するわけですので、精算仕訳をしない状態で会計データをインポートします。全力消費税を使わない場合は、すでに消費税の申告が完成していますので、精算仕訳が登録された会計データをインポートします。

 

消費税の精算仕訳とは

消費税の精算仕訳とは、決算時に消費税の確定申告書を作成して納税額が確定した後に仮受消費税等の合計額と仮払消費税等の合計額を実際に納付すべき未払消費税等に振り替える仕訳をいいます。

消費税の納付税額は、仮受消費税等の合計額と仮払消費税等の合計額の差額になります。

消費税の納付税額(未払消費税等) = 仮受消費税等の合計 ー 仮払消費税の合計

決算時に消費税の確定申告書を作成して納税額が確定した後に、仮受消費税等の合計額と仮払消費税等の合計額を実際に納付すべき未払消費税等に振り替えます。

具体的には、以下のような仕訳を行います。

仮受消費税等の貸方残高 500,000(ア)
仮払消費税等の借方残高 300,000(イ)
中間納付額 120,000円
確定納付税額 80,300円(消費税の確定申告書を作成して中間税額を差し引いた確定納付額)

【精算仕訳】

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
仮受消費税等(ウ) 500,000 仮払消費税等(エ) 300,000
雑損失 300 仮払金 120,000 中間消費税
未払消費税等 80,300 確定納付税額

仮受消費税等の残高に着目します。

借方残高 貸方残高
(ウ)500,000 (ア)500,000
(仮受消費税等の残高)0

精算仕訳によって仮受消費税等の残高は0になります。

次に、仮払消費税等の残高に着目します。

借方残高 貸方残高
(イ)300,000 (エ)300,000
(仮払消費税等の残高)0

仮払消費税等の残高も精算仕訳によって0になります。

最後に、消費税の計算は、簡易課税を選択していたり、千円未満を切り捨てたりする関係で、「仮受消費税等の合計 ー 仮払消費税の合計」の金額とは差額が生じます。

その差額は、「雑損失」または「雑収入」という勘定科目を使って調整します。

 

なお、税込経理方式で、未払消費税等を計上する場合も同様で、全力消費税を使用しない場合は、未払消費税等の記帳を済ませた会計データをインポートし、全力消費税を使用する場合は、未払消費税等の仕訳の登録はしない会計データをインポートします。

 

3 会計年度の途中から消費税の申告をするようになった場合

 

インボイス発行事業者への登録の影響で、以下のいずれにも該当する場合は、消費税の納税義務のない期間の取引の税区分すべてを「対象外」にした状態で仕訳帳データをエクスポートすること。
  • 年度の途中で消費税を申告することになった
  • 税抜経理方式を採用している

詳しくは次のページをご参照ください。

会計年度の途中から消費税の申告をするようになり+税抜経理方式を採用している場合の注意点
消費税の納税義務がなかった事業者が、インボイス登録事業者になったことで、決算期の途中から消費税を納税する義務が出てきた場合に、全力法人税へ仕訳帳データをインポートする際に以下の注意点があります。税抜経理方式を採用している場合は、消費税の納税...

全力法人税に会計データをインポートする際に事前に確認していただきたい事項は以上です。

このようになっていない場合は、仕訳帳を修正してからインポートをしていただくようお願いいたします。

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