業績が伸び悩み、役員報酬を減額せざるを得ない状況に陥ることがあると思います。
そんなときに法人税のことを考えずに減額した場合、思いがけず大きな税負担を強いられることがあります。役員報酬を下げても税金が増えてしまっては元も子もありません。
ここでは役員報酬を減額する上で押さえておくべきポイントをわかりやすく解説していきます。これさえ押さえておけば何も怖がることはありませんのでしっかりチェックしていきましょう。
また、減額するときに必要となる株主総会議事録の雛形もダウンロードできます。是非ご活用ください。
本題に入る前に
表題のとおり0から説明していきます。0から理解するためには役員報酬の減額手続きの説明に入る前に次の2つのポイントを押さえておく必要があります。
- 損金とは、損金不算入とは
- 役員報酬が損金に算入される条件とは
この2つが前提となりますので、まずはその点を一つずつ押さえていきましょう。
損金とは 損金不算入とは
「損金」と「損金不算入」という用語は、知らないと法人税法の話を理解することができないというほどの超基本ワードです。逆にこの2つの用語を知っていればだいたいの話は理解できます。あとはその規定を知っているか知らないかだけの話になります。
ここは遠回りになりますが、まずはこの2つのキーワードを解説した次の記事を読んでから、またこの続きに移ってもらえらばと思います。

定期同額給与を知ろう
役員報酬は実は、法人税法でかなり厳しく縛られています。
役員報酬を損金に算入する(法人税法上も費用にする)にはなんと、たった一つしか方法がありません。
それは以下の条件に則って役員報酬を支給するという定期同額給与です。
- 支給時期が1月以下の一定の期間ごと
- 会計期間内の各支給期間の支給額が同額
定期同額給与についてよく知らない場合は、次の記事でその内容を理解してからまたこの記事に戻ってきてください。

役員報酬を減額するには
役員報酬を減額する手続き
役員報酬を減額するには次のような手続きを踏む必要があります。
❶ 役員報酬の変更には株主総会などで正式に決定する必要があります。
❷ 決定後は株主総会議事録を作成する必要があります。
なお、合同会社の場合は、同意書という形で変更内容を残す必要があります。
役員報酬を減額できる3つの要件
役員報酬を減額してその全額を損金に算入するためには、次の3つの要件のいずれかに当てはまる必要があります。
どのように改定して支給すれば要件に合致するかを、一つ一つ確認していきましょう。
⒈ 定時株主総会等での役員報酬の減額
一つ目は一番安全な減額の方法です。
定時株主総会の決議や総会後の取締役会の決議などにより会計期間開始の日から3ヶ月以内に減額を行うという方法です。
例えば3月決算の法人で、5月に定時株主総会を開催して、6月支給分から役員報酬を減額するケースが当てはまります。
下の例では改定前の4〜5月は70万円で、改定後の6〜3月が50万円でそれぞれの期間が同額になっています。
また4月に会計期間が開始し、5月に減額を行なっていますので、会計期間開始の日から3ヶ月以内に行われています。条件を満たしていますので、適正な減額ということになり、この役員報酬の全額が損金に算入されます。
定時株主総会議事録のサンプル
定時株主総会で役員報酬を減額する場合の株主総会議事録の雛形を示しておきますので参考にしてください。

⒉ 業績悪化による役員報酬の減額
続いては、業績悪化による減額です。
経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由で減額されるときは定期同額給与に該当する改定と認められます。
どのようなときに業績悪化のための改定と認められるかについては次の具体例が挙げられていますので、それを参考に判断することになります。
業績の悪化による改定と認められる具体例
⑴ 財務諸表の数値が相当程度悪化したこと
⑵ 倒産の危機に瀕したこと
⑶ 株主との関係上※、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合
※ただし株主との関係については、同族会社のように株主が少数の者で占められ、かつ、役員の一部の者が株主である場合や株主と役員が親族関係にあるような会社について安易にこれを適用すればそれは調査で否認される危険性を伴います。そのような場合には、役員給与の額を減額せざるを得ない客観的かつ特別の事情を具体的に説明できるようにしておく必要があります。
⑷取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合
⑸業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合
⑹売上の大半を占める主要な得意先が1回目の手形の不渡りを出したなどの客観的な状況があり、得意先の経営状況を踏まえれば数か月後には売上が激減することが避けられない状況となったため、役員給与の減額を含む経営改善計画を策定したような場合
⑺法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなどは該当しません。
⑴や⑵のように会社の存続が危ぶまれるようなケースは当然に認められると考えられます。そしてそこまではいかないケース⑶〜⑹のように第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じた場合は客観的に判断できるため認めています。逆に⑺で示しているように、第三者との関係もないし、会社が危機に瀕しているわけでもない場合には認められないので注意しましょう。
このような場合には、役員給与の額を減額せざるを得ない客観的かつ特別の事情を具体的に説明できるようにしておく必要があるでしょう。
このように業績の悪化で減額するときは上記具体例を参考にして慎重に決定する必要があります。
ただし元国税調査官の個人的な意見を言わせてもらいますと、大会社でもなければ会社が赤字でそれを回避するために減額する場面で、敢えてムキになって否認しにいくかと言ったら、よほどのことがない限り積極的には動かないと思われます。節税とは反対の局面です。国税調査官は税金を減らそうとするところにこそ目を光らせる人種だからです。
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コメント
何もわからずに法人を立ち上げ、役員や使用人の区別をなく、給与を支払ってきてしまった者です。先生の記事はどのサイトよりも本当に0からわかるので、素人には助かります。
顧問税理士はいますが、私ども素人は、今回のようにおかしことをやっていることにも気づけずにいる状態のため、うまく税理士さんを使いこなせていません。
まだ、読んでいる途中なのですが、良いサイトに出会えて感激して書き込みました。
しっくり勉強させていただきます。
ありがとうございます。
コメントありがとうございます。お役に立てて何よりです。引き続き、わけのわからないものを、シンプルに整理し、わかりやすく解説していきたいと思います。