
飲み会の費用が、会社の経費になるのか?
なるとしたら何の費用になるのか?
費用にするには注意点がないか?
どんなものを経費にしてはいけないのか?
飲み会の領収書を見ながらこんな疑問を抱くことがあるかもしれません。
今回は飲み会の費用に焦点を当てて中小企業(法人)向けに飲み代にまつわる税務について元国税調査官・税理士が解説したいと思います。
資本金が1億円以上あるような会社さん用には、書いていませんので、その点を予めお伝えしておきます。
1 飲み会代は何の費用になるのか?
飲み会代の領収書があって、それを法人税法上で分類するとすれば、通常次の3つの費用に分類されます。
- 福利厚生費
- 交際費
- 給与
法人の税金計算上次の順番で会社に有利になります。
①福利厚生費 ②交際費 ③給与
福利厚生費が一番有利で、給与が一番不利になります。
それではまず、飲み会代が会社に一番有利である福利厚生費に該当するかどうかを見ていくことにしましょう。
2 飲み代が福利厚生費に該当するか
2-1 福利厚生費とは
法人税法上、福利厚生費とは、かくかくしかじかである。という明文規定はありません。
しかしながら、飲食の費用に関連してこういったものは福利厚生費等に該当するという規定が以下のとおり2つあります。
創立記念日、国民祝日、新社屋落成式等に際し従業員等におおむね一律に社内において供与される通常の飲食に要する費用
専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
(国税庁タックスアンサー No.5261 交際費等と福利厚生費との区分)
この飲食に関連する福利厚生費に関連するであろう規定はこの2つしかりません。
この規定もかなりピンポイントなので、飲み代を福利厚生費かどうかを広く判断するのはかなり難しいといえます。
これらの規定から少なくとも言えることは、
- 従業員に対して概ね一律に行われること
- 通常の飲食に要する費用
である必要があるということです。
「従業員に対して」なので、他社の会社の人がいれば、福利厚生費にはなりません。
「概ね一律」ということですので、一部の従業員だけというのは難しいでしょう。これは、会社の規模や業態によっては、全従業員でなくてもよいと解されています。
規模の大きい会社であれば、部署ごとの忘年会などが考えられるかと思います。
しかしながら会社が本店事務所のみで、従業員10人程度であれば全員に声をかけるのは難しくないので、部署ごとというのは難しいと思われます。
「通常の」というのは、社会の一般的な感覚的で通常という意味ですので、これも曖昧です。
ちなみに10か月間で53回の従業員の慰労のための飲み会代は福利厚生費とならず交際費だという判例があります。つまりやりすぎだろ!という感覚です。
1人当たり約2.2万円~2.9万円の慰安のための行事(旅行でない)も交際費だという判例もあります。これは高すぎんだろ!という感覚です。
2-2 福利厚生費とする判断基準
2-2-1 福利厚生費の判断が難しい
ではどのくらいなら良いのか?
法令上の明文の基準はありませんので、判断は極めて難しいと言えます。
判例でも、法人の規模や事業状況等を踏まえた上で、 行事の目的、参加者の構成、開催頻度、規模及び内容、効果、参加者一人当たりの費用額等を総合して判断するのが相当である。と言っていますので、簡単には判断できません。
では、どうしたらいいのか。
創立記念日、国民祝日、新社屋落成式等の祝賀会で、従業員等に概ね一律に与えた通常かかる程度の飲食代であることが明らかな場合は、福利厚生費にしましょう。
え?飲み代はほとんど福利厚生費にはならない?と思うでしょうが、それで構いません。
次が大事ですが、通常の中小企業の場合、福利厚生費でも交際費でも税金の負担は変わりませんので、悩むだけ時間の無駄です。
2-2-2 福利厚生費でも交際費でもどちらでも同じ場合
以下の条件に当てはまる会社は、福利厚生費であろうと交際費であろうと税金の計算上すべて費用になる(法人税法上は損金になるといいます)。
- 期末の資本金の額が1億円以下
- 交際費関連の支出金額が年間800万円以内
世の中では資本金が1億円以下の会社が大多数であって、交際費を800万円以上もかけている会社は相当稀れでしょうから、大多数の中小企業にとっては、福利厚生費と交際費で悩む意味は、実は実務ではありません。
どうせ税金の計算では同じになりますので。
これまでの福利厚生費の件はなんだったんだという感じですが、福利厚生費の判定が難しいというのと、難しいけど悩んでもほぼ意味がないんだというのを理解いただければと思います。
それでは、次に移ります。交際費とは一体何かを確認していきましょう。
3 飲み代が交際費となるか
3-1 交際費とは
交際費というと、得意先を接待するというイメージが湧いてくるかと思いますが、税法上の交際費は一般的なものより幅広いといえます。
法律では次のように規定されています。
交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの
交際費とは、どんな支出なのかという話はかなり長くなりますので、次のリンクだけ参考としてお示しして、飲食に関わるものに今回は焦点を絞って解説していきたいと思います。
3-2 交際費の損金不算入
先ほども少し言及しましたが、交際費には税金計算上注意すべき点があります。
帳簿上で、交際費と経理したとしても、法人税の計算上すべて損金※(税法上の費用)になるわけではありません。
※損金については、次の記事で解説しています。

現行の税法では、簡単に説明すると、次のような制限がかけられています。
⑴ 期末の資本金の額又は出資金の額が1億円以下である等の法人
世の中の大多数の会社はこちらに該当するかと思います。
次のいずれか少ない金額が損金(税法上の費用)になりません。
① 交際費のうち年間800万円を超える金額
② 交際費のうち、飲食費用の50%超の金額
⑵ 期末の資本金の額又は出資金の額が1億円超である等の法人
交際費のうち、飲食費用の50%超の金額
全力法人税にログインまたは無料登録するとこの記事の全文をお読みいただけます。



コメント